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瑠璃色
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るりいろ
ふりがな文庫
“
瑠璃色
(
るりいろ
)” の例文
此
(
こ
)
の
樹
(
き
)
の
蔭
(
かげ
)
から、すらりと
向
(
むか
)
うへ、
隈
(
くま
)
なき
白銀
(
しろがね
)
の
夜
(
よ
)
に、
雪
(
ゆき
)
のやうな
橋
(
はし
)
が、
瑠璃色
(
るりいろ
)
の
流
(
ながれ
)
の
上
(
うへ
)
を、
恰
(
あたか
)
も
月
(
つき
)
を
投掛
(
なげか
)
けた
長
(
なが
)
き
玉章
(
たまづさ
)
の
風情
(
ふぜい
)
に
架
(
かゝ
)
る。
月夜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
何日も見て居乍ら、何時見ても目さむる様の心地せらるゝは、朝顔形に
瑠璃色
(
るりいろ
)
の模様したる鉢に植ゑし大輪の白薔薇なり。
閑天地
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
ぽつねんと独り待っているうちに、初夏の軽い雨が降り出し、
瑠璃色
(
るりいろ
)
のタイルで張られた露台に置き
駢
(
なら
)
べられた盆栽が、見る間に美しく
濡
(
ぬ
)
れて行った。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
遠くまでたなびき渡して、空は
瑠璃色
(
るりいろ
)
深く澄みつつ、すべてのものが皆いきいきとして、
各
(
おのおの
)
その本能を発揮しながら、またよく自然の統一に参合している。
隣の嫁
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
この朝顔はね、あの婆の家にいた時から、お敏さんが
丹精
(
たんせい
)
した鉢植なんだ。ところがあの雨の日に咲いた
瑠璃色
(
るりいろ
)
の花だけは、奇体に今日まで
凋
(
しぼ
)
まないんだよ。
妖婆
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
青
(
あお
)
天鵞絨
(
ビロード
)
の海となり、
瑠璃色
(
るりいろ
)
の
絨氈
(
じゅうたん
)
となり、荒くれた自然の中の姫君なる亜麻の畑はやがて
小紋
(
こもん
)
のような
果
(
み
)
をその繊細な茎の先きに結んで美しい狐色に変った。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
青焔
(
せいえん
)
に揺れる大海原が
瑠璃色
(
るりいろ
)
の空と続くあたりは、金粉を交えた水蒸気にぼかされて白く霞んで見えた。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
睦
(
むつ
)
まじく畑に並んだ老母と嫁の手に、
挘
(
も
)
がれた
茄子
(
なす
)
は、七ツ、十、二十といつか籠を
瑠璃色
(
るりいろ
)
に埋めた。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
もろもろの陰は深い
瑠璃色
(
るりいろ
)
に、もろもろの明るみはうっとりした
琥珀色
(
こはくいろ
)
の二つに統制されて来ると、道路側の
瓦
(
かわら
)
屋根の一角がたちまち
灼熱
(
しゃくねつ
)
して、
紫白
(
しはく
)
の
光芒
(
こうぼう
)
を
撥開
(
はっかい
)
し
金魚撩乱
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
瑠璃色
(
るりいろ
)
の羽をした鳥や、
孔雀
(
くじゃく
)
のように羽を広げた鳥などが、岩屋の前をおりおり
啼
(
な
)
いて通った。河野はふと
己
(
じぶん
)
が気絶したときに
喫
(
の
)
まされた不思議な薬のことを思いだした。
神仙河野久
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
是公の家の屋根から
突出
(
つきだ
)
した細長い塔が、
瑠璃色
(
るりいろ
)
の大空の一部分を黒く染抜いて、大連の
初秋
(
はつあき
)
が、内地では見る事のできない深い色の奥に、数えるほどの星を
輝
(
きら
)
つかせていた。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
打晴れたる空は
瑠璃色
(
るりいろ
)
に
夕栄
(
ゆふば
)
えて、
俄
(
にはか
)
に
冴
(
さ
)
え
勝
(
まさ
)
る
颰
(
こがらし
)
の目口に
沁
(
し
)
みて磨鍼
とぎはり
を打つらんやうなるに、烈火の如き酔顔を差付けては
太息嘘
(
ふといきふ
)
いて、右に一歩左に一歩と
踽
(
よろめ
)
きつつ
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
牝牛
(
めうし
)
さん、
聞
(
き
)
いて
下
(
くだ
)
さい。
私
(
わたし
)
の
可愛
(
かは
)
いい
坊
(
ばう
)
や
達
(
たち
)
はね。きつと
美
(
うつく
)
しい
瑠璃色
(
るりいろ
)
をしてゐて、
薔薇
(
ばら
)
の
花
(
はな
)
みたいによい
匂
(
にほひ
)
がしますよ。そして
鈴
(
すゞ
)
をふるやうなよい
聲
(
こゑ
)
でちる/\と
歌
(
うた
)
ひますよ。
お母さん達
(旧字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
雪のはだえは
瑠璃色
(
るりいろ
)
にしっとり湿気を含んで、二九まさるはたちばかりの今ぞ色濃き春のこころは、それゆえにひとしおあだめかしい髪のくし巻き姿とともにいちだんのふぜいを添えて
右門捕物帖:06 なぞの八卦見
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
瑠璃色
(
るりいろ
)
の南国の青空が色ガラスのように眼に映った。
秘境の日輪旗
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
美女 でも、
貴方
(
あなた
)
、雲が見えます、雪のような、空が見えます、
瑠璃色
(
るりいろ
)
の。そして、
真白
(
まっしろ
)
な絹糸のような光が
射
(
さ
)
します。
海神別荘
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
綺麗に掃除されたラムプの油壷は
瑠璃色
(
るりいろ
)
のガラスで、その下には乳色のガラスの台がついていた。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
「いえ。およそお使者の旨は、分っておりますから、あわてるには及びません。……少し茄子を
捥
(
も
)
いで、朝露の
艶
(
つや
)
やかな
瑠璃色
(
るりいろ
)
を、信長公のお目にかけようかと存じまして」
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それが水天一枚の
瑠璃色
(
るりいろ
)
の面でしばしば断ち切れて、だんだん淡く、
蜃気楼
(
しんきろう
)
の島のように中空に映り
霞
(
かす
)
んで行く。たゆげな翼を伸した鳥が、水に落ちようとしてたゆたっている。
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
伏屋貝
(
ふせやがい
)
かと浜道へこぼれていて、朽ちて崩れた
外流
(
そとながし
)
に——見ると、
杜若
(
かきつばた
)
の真の
瑠璃色
(
るりいろ
)
が、濡色に咲いて二三輪。……
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その狭い井の口から広大に眺められる
今宵
(
こよい
)
の空の、何と色濃いことであろう。それを仰いでいると、情熱の
藍壺
(
あいつぼ
)
に面を浸し、
瑠璃色
(
るりいろ
)
の
接吻
(
せっぷん
)
で苦しく唇を閉じられているようである。
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
空の
蒼々
(
あおあお
)
したのが、
四辺
(
あたり
)
の
樹立
(
こだち
)
のまばらなのに透いて、
瑠璃色
(
るりいろ
)
の朝顔の、
梢
(
こずえ
)
に
搦
(
か
)
らんで朝から咲き残った趣に見ゆるさえ、どうやら澄み切った夜のよう。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
遠い水は
瑠璃色
(
るりいろ
)
にのして、表面はにこ毛が密生しているように白っぽくさえ見える。
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
白菊
(
しらぎく
)
の
咲
(
さ
)
く
頃
(
ころ
)
、
大屋根
(
おほやね
)
へ
出
(
で
)
て、
棟瓦
(
むねがはら
)
をひらりと
跨
(
また
)
いで、
高
(
たか
)
く、
高
(
たか
)
く、
雲
(
くも
)
の
白
(
しろ
)
きが、
微
(
かすか
)
に
動
(
うご
)
いて、
瑠璃色
(
るりいろ
)
に
澄渡
(
すみわた
)
つた
空
(
そら
)
を
仰
(
あふ
)
ぐ
時
(
とき
)
は、あの、
夕立
(
ゆふだち
)
の
夜
(
よ
)
を
思出
(
おもひだ
)
す……そして
霰ふる
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
瑠璃色
(
るりいろ
)
に澄んだ
中空
(
なかぞら
)
の
樹
(
こ
)
の間から、竜が円い口を張開いたような、釣鐘の影の
裡
(
なか
)
で、
密
(
そっ
)
と、美麗な
婦
(
おんな
)
の——人妻の——写真を
視
(
み
)
た時に、
樹島
(
きじま
)
は血が冷えるように
悚然
(
ぞっ
)
とした。……
夫人利生記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
折々
(
をり/\
)
の
空
(
そら
)
の
瑠璃色
(
るりいろ
)
は、
玲瓏
(
れいろう
)
たる
影
(
かげ
)
と
成
(
な
)
りて、
玉章
(
たまづさ
)
の
手函
(
てばこ
)
の
裡
(
うち
)
、
櫛笥
(
くしげ
)
の
奧
(
おく
)
、
紅猪口
(
べにちよこ
)
の
底
(
そこ
)
にも
宿
(
やど
)
る。
龍膽
(
りんだう
)
の
色
(
いろ
)
爽
(
さわやか
)
ならん。
黄菊
(
きぎく
)
、
白菊
(
しらぎく
)
咲出
(
さきい
)
でぬ。
可懷
(
なつかし
)
きは
嫁菜
(
よめな
)
の
花
(
はな
)
の
籬
(
まがき
)
に
細
(
ほそ
)
き
姿
(
すがた
)
ぞかし。
五月より
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
だから、日向で汗ばむくらいだと言った処で、雑樹一株隔てた中には、草の枯れたのに、日が
映
(
さ
)
すかと見れば、何、
瑠璃色
(
るりいろ
)
に小さく
凝
(
こ
)
った
竜胆
(
りんどう
)
が、
日中
(
ひなか
)
も冷い白い霜を
噛
(
か
)
んでいます。
唄立山心中一曲
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
棟瓦
(
むねがわら
)
をひらりと
跨
(
また
)
いで、高く、高く、雲の白きが、
微
(
かすか
)
に動いて、
瑠璃色
(
るりいろ
)
に
澄渡
(
すみわた
)
った空を仰ぐ時は、あの、夕立の夜を
思出
(
おもいだ
)
す……そして、美しく清らかな母の懐にある
幼児
(
おさなご
)
の身にあこがれた。
霰ふる
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
殺さぬまでに
現責
(
うつつぜめ
)
に苦しめ呪うがゆえ、
生命
(
いのち
)
を縮めては相成らぬで、毎夜少年の気着かぬ間に、振袖に
緋
(
ひ
)
の
扱帯
(
しごきおび
)
した、
面
(
つら
)
が
狗
(
いぬ
)
の、召使に持たせて、われら秘蔵の
濃緑
(
こみどり
)
の酒を、
瑠璃色
(
るりいろ
)
の
瑪瑙
(
めのう
)
の
壺
(
つぼ
)
から
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
狹
(
せま
)
い
町
(
まち
)
に
目
(
め
)
まぐろしい
電線
(
でんせん
)
も、
銀
(
ぎん
)
の
絲
(
いと
)
を
曳
(
ひ
)
いたやうで、
樋竹
(
とひだけ
)
に
掛
(
か
)
けた
蜘蛛
(
くも
)
の
巣
(
す
)
も、
今朝
(
けさ
)
ばかりは
優
(
やさ
)
しく
見
(
み
)
えて、
青
(
あを
)
い
蜘蛛
(
くも
)
も
綺麗
(
きれい
)
らしい。
空
(
そら
)
は
朝顏
(
あさがほ
)
の
瑠璃色
(
るりいろ
)
であつた。
欄干
(
らんかん
)
の
前
(
まへ
)
を、
赤蜻蛉
(
あかとんぼ
)
が
飛
(
と
)
んで
居
(
ゐ
)
る。
番茶話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
“瑠璃色”の解説
瑠璃色(るりいろ)は、紫みを帯びた濃い青。名は、半貴石の瑠璃(ラピスラズリ、en: lapis lazuli)による。JIS慣用色名では「こい紫みの青」(略号 dp-pB)と定義している。
(出典:Wikipedia)
瑠
常用漢字
中学
部首:⽟
14画
璃
常用漢字
中学
部首:⽟
14画
色
常用漢字
小2
部首:⾊
6画
“瑠璃”で始まる語句
瑠璃
瑠璃子
瑠璃草
瑠璃杯
瑠璃紺
瑠璃瓦
瑠璃鳥
瑠璃燈
瑠璃灯
瑠璃液