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獲
>
え
ふりがな文庫
“
獲
(
え
)” の例文
空想文学に対する
倦厭
(
けんえん
)
の情と、実生活から
獲
(
え
)
た多少の経験とは、やがて私しにもその新らしい運動の精神を
享入
(
うけい
)
れることを得しめた。
弓町より
(新字新仮名)
/
石川啄木
(著)
されば
真個
(
しんこ
)
の富強は決して一躍して
獲
(
え
)
られるべきものではない、必ずや深くその根本を培養し、その素養を確実にせねばなりません。
国民教育の複本位
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
我
(
わ
)
が
獲
(
え
)
ものとを
見較
(
みくら
)
べながら、かたまけると
云
(
い
)
ふ
笑方
(
ゑみかた
)
の、
半面
(
はんめん
)
大
(
おほ
)
ニヤリにニヤリとして、
岩魚
(
いはな
)
を
一振
(
ひとふり
)
、ひらめかして、また、すた/\。
雨ふり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
丘では、追々とひきあげて来る人々が、各〻
獲
(
え
)
て来た敵の
首級
(
しるし
)
を、藤吉郎の
床几
(
しょうぎ
)
の前にならべ合って、血のさかもりにどよめいていた。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一
房
(
ばう
)
の
繩
(
なは
)
が七
錢
(
せん
)
五
毛
(
まう
)
で一
足
(
そく
)
の
草鞋
(
わらぢ
)
が一
錢
(
せん
)
五
厘
(
りん
)
といふ
相場
(
さうば
)
だからどつちにしても一
日
(
にち
)
熱心
(
ねつしん
)
に
手
(
て
)
を
動
(
うご
)
かせば
彼
(
かれ
)
は六七
錢
(
せん
)
の
儲
(
まうけ
)
を
獲
(
え
)
るのである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
▼ もっと見る
尾崎行雄氏が、われわれは自由を
獲
(
え
)
た。しかしそれは最も悲しむべき状態に於てそれを獲たというような意味のことを言われた。
「寺田寅彦の追想」後書
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
読むことから、そして見ることから、われ/\の随時に
獲
(
え
)
たあるものに対して、統一を与え組織を与えるものは、実に思索の賜物である。
文章を作る人々の根本用意
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
全般の形勢は連合側に不利であったが、英国の斡旋で大王は六月十一日墺軍とブレスラウの講和を結び、シュレージエンを
獲
(
え
)
た。
戦争史大観
(新字新仮名)
/
石原莞爾
(著)
との一言を
放
(
はな
)
ち、
却
(
かえ
)
って反対者の
喝采
(
かっさい
)
を
獲
(
え
)
たところなどは、その公平無私かつ
度量
(
どりょう
)
の寛大なるところは、ほとんどドラマチックであった。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
下谷の坂本通りで善吉を斬ったのは何者であるか、このごろ流行る辻斬りであろうというだけのことで、遂にその手がかりを
獲
(
え
)
ずに終った。
兜
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
この
界隈
(
かいわい
)
のことだから代価はしごく
低廉
(
ていれん
)
である。あわれな女はその僅少な金を
獲
(
え
)
るために、自分の意志で、男と同伴して行く。
女肉を料理する男
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
魯の
哀公
(
あいこう
)
が西の
方
(
かた
)
大野
(
たいや
)
に
狩
(
かり
)
して
麒麟
(
きりん
)
を
獲
(
え
)
た頃、子路は一時衛から魯に帰っていた。その時
小邾
(
しょうちゅ
)
の大夫・
射
(
えき
)
という者が国に
叛
(
そむ
)
き魯に来奔した。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
わたくしの
獲
(
え
)
た五郎作の手紙の中に、整骨家名倉弥次兵衛の流行を詠んだ狂歌がある。
臂
(
ひじ
)
を傷めた時、親しく治療を受けて詠んだのである。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
選者もしその陳腐
剽窃
(
ひょうせつ
)
なることを知らずして一句にても二句にてもこれを載すれば、投句者は鬼の首を
獲
(
え
)
たらん如くに喜びて友人に誇り示す。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
義を慕う者は単に
自己
(
おのれ
)
にのみ之を
獲
(
え
)
んとするのではない、万人の
斉
(
ひとし
)
く之に与からんことを欲するのである、義を慕う者は義の国を望むのである
聖書の読方:来世を背景として読むべし
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
何でも短冊は僅か五、六枚ぐらいしか書かなかったろうという評判で、短冊蒐集家の中には鴎外の短冊を懸賞したものもあるが
獲
(
え
)
られなかった。
鴎外博士の追憶
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
王子豕肉を食うて鳥類の語を解く力を
獲
(
え
)
、シシリアの譚は、ザファラナ女、豕の髭三本を火に投じてその老夫たる王子を若返らせ、露国の談に
十二支考:10 猪に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
したがって不正な手段で富を増そうという悪い心も生ぜず、抽籤に当たって大金を
獲
(
え
)
ようという卑しい根性も起こらぬ。
理想的団体生活
(新字新仮名)
/
丘浅次郎
(著)
唯儂一個人としては、六年の
田舎住居
(
いなかずまい
)
の後、いさゝか
獲
(
え
)
たものは、土に対する執着の意味をやゝ
解
(
かい
)
しはじめた事である。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
私の生活は、ここで、まれな静けさと、調和とを
獲
(
え
)
て落ちつくように見えた。そしてみずからも天の甘美と、遠い平和とに
与
(
あずか
)
るような心地がした。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
彼はついに聖フランシスの
帰依者
(
きえしゃ
)
となり、ローマ・カトリックの僧位を
獲
(
え
)
て始めて生活の安らかさを確保したのである。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
それは確かな説ではないが、浅井の二女を
獲
(
え
)
ただけは
否
(
いな
)
み難い史上の事実で、その一人は今いう淀君、他の一人は徳川二代秀忠の室となった光源院。
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
この屋敷へ入り込むのは、
虎穴
(
こけつ
)
へ入ると同じだが、そういう冒険をしなかった日には、虎児を
獲
(
え
)
ることはむずかしい。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
凱旋の翌日、
獲
(
え
)
た首を検したのに二千五百余あった。
下方
(
しもかた
)
九郎左衛門が
生擒
(
いけどり
)
にした
権阿弥
(
ごんあみ
)
をして首を名指さしめた。
桶狭間合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
かつて海底に径寸の
鰒
(
あわび
)
の珠を、
獲
(
え
)
させられたという物語は伝わっているが、それはまだ考古家の眼にも触れず、またしばしばあった事とも思われない。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
成程結構な茶入だ、滅多に
獲
(
え
)
られない名器だなと思ふと、五人の頭に言ひ合はせたやうに馬越氏の事が浮んで来た。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
翻訳劇を演ずる俳優の技芸の如き、あるひはまた公設展覧会の
賞牌
(
しょうはい
)
を
獲
(
え
)
んとする画家の新作の如き即ちこれなり。
一夕
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
「
描
(
えが
)
けども成らず、描けども成らず」と丸き男は調子をとりて軽く
銀椀
(
ぎんわん
)
を
叩
(
たた
)
く。葛餅を
獲
(
え
)
たる蟻はこの響きに度を失して菓子椀の中を
右左
(
みぎひだ
)
りへ
馳
(
か
)
け廻る。
一夜
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
一
箭
(
せん
)
二
雁
(
がん
)
を
獲
(
え
)
ずと
雖
(
いえど
)
も、一雁を失わず、一計双功を収めずと雖も、一功を得る有り。永楽帝の
智
(
ち
)
、
豈
(
あに
)
敢
(
あえ
)
て建文を
索
(
もと
)
むるを名として
使
(
つかい
)
を発するを
為
(
な
)
さんや。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
〔評〕
榎本武揚
(
えのもとぶやう
)
等五
稜郭
(
りようかく
)
の兵已に敗る。
海律全書
(
かいりつぜんしよ
)
二卷を以て我が海軍に
贈
(
おく
)
つて云ふ、是れ嘗て
荷蘭
(
おらんだ
)
に學んで
獲
(
え
)
たる所なり、身と倶に
滅
(
ほろ
)
ぶることを惜しむと。
南洲手抄言志録:03 南洲手抄言志録
(旧字旧仮名)
/
秋月種樹
、
佐藤一斎
(著)
今この、より実質的な住みかを身のまわりに
獲
(
え
)
てわたしは世の中に腰をすえることにおいて幾分の進歩をした。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
ほぼ等しい大山岳圏に
囲繞
(
いじょう
)
せられているから、北アルプスの高山で見るような、広々とした眺望は
獲
(
え
)
られない。
白峰山脈縦断記
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
すべての物の真の価格、すべての物がこれを
獲
(
え
)
ようとする人に真実に費さしめる所のものは、彼がこれを獲るために費さなければならぬ労働と苦痛とである。
純粋経済学要論:01 上巻
(新字新仮名)
/
マリー・エスプリ・レオン・ワルラス
(著)
しかるにオホヤマモリの命は天皇の命に背いてやはり天下を
獲
(
え
)
ようとして、その弟の御子を殺そうとする心があつて、竊に兵士を備えて攻めようとしました。
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
俺が百万円を積んだところで、昔の宮は
獲
(
え
)
られんのだ! 思へば
貨
(
かね
)
もつまらん。
少
(
すくな
)
いながらも今の
貨
(
かね
)
が熱海へ追つて行つた時の
鞄
(
かばん
)
の中に在つたなら……ええ‼
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「ふ、ふ、意気地なしめ! ドラ猫だって、
獲
(
え
)
ものを見りゃあとびかかるぜ! やって来ねえか? おい!」
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
素直に答えたが、この女は私を
獲
(
え
)
ようとして、大阪から出てきたのである。しかし、何事もなかった。翌日
死までを語る
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
指導役
(
しどうやく
)
のお
爺
(
じい
)
さんに
伺
(
うかが
)
って
見
(
み
)
ましても、あまり
要領
(
ようりょう
)
は
獲
(
え
)
られませぬ……。つまり
無
(
な
)
い
訳
(
わけ
)
ではないが、
限
(
かぎ
)
りある
器量
(
ちから
)
ではどうにもしょうがないのでございましょう。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
人の手に
獲
(
え
)
られない物を獲たらしく見せかける努力、あるいはそれをまじめに獲ようとする無駄な努力が、いかにさまざまな異なった姿をもって現われるかである。
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
そしたら、学術的に
心持
(
メンタルトーン
)
を培養する学理は解らんでも、その
技術
(
アート
)
を
獲
(
え
)
ることは出来やせんか、と云うので、最初は方面を撰んで、実業が最も良かろうと見当を付けた。
予が半生の懺悔
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
彼は
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
にか、失業の苦しみが、芯の
髄
(
ずい
)
まで沁みていた……というよりも、職に離れると同時に、あの、
獲
(
え
)
たばかりの美しき野獣——京子に、別れなければならぬ。
鉄路
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
段々ある落ちつき場処を求め
獲
(
え
)
た様子を見ると、万葉の外殻を
被
(
かぶ
)
って、叙景詩に行き止ったものは、まだしも、多少の生きた気魄を感じることは出来るが、外々の者は
歌の円寂する時
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
この日は猟師が言ったほどの大猟ではなかったがしかし六頭の鹿を
獲
(
え
)
て、まず大猟の方であった。
鹿狩り
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
一度
札
(
テップ
)
にかえた金はすぐ婆さんのふところへ這入って、それを資本に勝ってテレサを
獲
(
え
)
ない以上、この家のそとへ持って出たって勿論どこへ行っても金にはかわらないし
踊る地平線:08 しっぷ・あほうい!
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
曰く静岡県は何とかの財源を
獲
(
え
)
むがために沼津千本松原の一部を伐採すべしといふのである。
沼津千本松原
(新字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
獲
(
え
)
て言うなお前言うまいあなたの安全器を
据
(
す
)
えつけ発火の予防も施しありしに
疵
(
きず
)
もつ足は冬吉が帰りて後一層目に立ち小露が先月からのお約束と出た跡尾花屋からかかりしを
かくれんぼ
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
果して自国民族からさえも一般的承認を
獲
(
え
)
たか? 昔の予言者達は、果して世に
容
(
い
)
れられたか? イエスは
何
(
ど
)
うか? ポーロは
何
(
ど
)
うか? いかなる時代のいかなる改革者が
霊訓
(新字新仮名)
/
ウィリアム・ステイントン・モーゼス
(著)
おう
行
(
ゆ
)
こうと男が口外したものを
反故
(
ほご
)
には出来ん、一足も
退
(
ひ
)
く事は出来ん、
仮令
(
たとい
)
謀計
(
はかりごと
)
があっても虎の穴へ
這入
(
へえ
)
らなければ虎の子は
獲
(
え
)
られぬから
行
(
ゆ
)
くよ、貴様も男らしくも
無
(
ね
)
え
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
寺務
(
じむ
)
の
間
(
いとま
)
ある日は
七
湖
(
うみ
)
に小船をうかべて、
八
網引
(
あびき
)
釣
(
つり
)
する
泉郎
(
あま
)
に銭を
与
(
あた
)
へ、
獲
(
え
)
たる魚をもとの江に放ちて、其の魚の
遊躍
(
あそ
)
ぶを見ては画きけるほどに、年を
経
(
へ
)
て
九
細妙
(
くはしき
)
にいたりけり。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
リゼットが始めて彼に
捉
(
とら
)
えられてサン・ラザールの
館
(
シャトウ
)
——
即
(
すなわ
)
ち
牢屋
(
ろうや
)
へ送り込まれるときには
生鳥
(
いけどり
)
の
鶉
(
うずら
)
のように大事にされた。真に
猟
(
りょう
)
を愛する
猟人
(
かりうど
)
は
獲
(
え
)
ものを
残酷
(
ざんこく
)
に扱うものではない。
売春婦リゼット
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
獲
常用漢字
中学
部首:⽝
16画
“獲”を含む語句
獲得
捕獲
姑獲鳥
生獲
漁獲
獲物
鹵獲品
鹵獲
獲易
獲難
濫獲
獲物嚢
獲麟
獲来
相獲
臧獲
虜獲
獲寳
獲場
猟獲
...