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梁
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はり
ふりがな文庫
“
梁
(
はり
)” の例文
調度も貧しく、酒の道具は裏庭に散らばつた儘、仰ぐと天井板が半分しか無く、太い
梁
(
はり
)
が頭の上を通つて居るのも
見窄
(
みすぼら
)
しい限りです。
銭形平次捕物控:278 苫三七の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
魚形水雷
(
ぎょけいすいらい
)
を、潜水艦ぐらいの大きさにひきのばしたようなこの銀色の巨船は、トタン屋根をいただいた
梁
(
はり
)
の下に長々と横たわっていた。
月世界探険記
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
遠近
(
おちこち
)
の森に
棲
(
す
)
む、
狐
(
きつね
)
か
狸
(
たぬき
)
か、と見るのが
相応
(
ふさわ
)
しいまで、ものさびて、のそ/\と
歩行
(
ある
)
く犬さへ、
梁
(
はり
)
を走る
古鼠
(
ふるねずみ
)
かと疑はるゝのに——
光籃
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
蒲団
(
ふとん
)
は
梁
(
はり
)
に掛けてあり、その上にゴザを冠せてあった。食糧や燃料は無いようである。雪は南側の窓のある方には随分入っていた。
単独行
(新字新仮名)
/
加藤文太郎
(著)
実はあそこの
梁
(
はり
)
に紐をかけて
縊死
(
いし
)
を遂げて
居
(
お
)
りましたが、あまりに見にくいので、そのままお届けも致さないで、下して寝かせました。
好色破邪顕正
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
▼ もっと見る
或朝、万太夫座の道具方が、楽屋の
片隅
(
かたすみ
)
の
梁
(
はり
)
に、
縊
(
くび
)
れて死んだ中年の女を
見出
(
みいだ
)
した。それは、紛れもなく
宗清
(
むねせい
)
の女房お梶であった。
藤十郎の恋
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「そん都度に家が揺れ、
梁
(
はり
)
がみしみし鳴っとですたい。生きた心地はなかったです。
丁度
(
ちょうど
)
こん子が、小学校に入ったか入らん齢で——」
幻化
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
日頃危ない芸当をして命の綱を渡っているくせに、もう少ししっかりおし、いよいよの時には
梁
(
はり
)
を伝わっても逃げられるじゃないか
大菩薩峠:09 女子と小人の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
闇
(
やみ
)
に
馴
(
な
)
れた蛾次郎のひとみには、ようようそこの屋根うらが、
怪獣
(
かいじゅう
)
のような
黒木
(
くろき
)
の
梁
(
はり
)
に
架
(
か
)
けまわされてあるのが
薄
(
う
)
っすらわかった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
〔蔵を建てるには〕先ず丈夫な骨組みが出来、その
梁
(
はり
)
の間に籠細工のように竹が編み込まれ、この網の両側から壁土が塗られる。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
だんだんに声を
辿
(
たど
)
って行くと、戸じまりをした隣家の
納屋
(
なや
)
の中に、
兵児帯
(
へこおび
)
と
褌
(
ふんどし
)
をもって両手足を縛られ、
梁
(
はり
)
から
兎
(
うさぎ
)
つるしに
吊
(
つる
)
されていた。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
彼はいきなり戸の
梁
(
はり
)
に手をかけると、器械体操で習練した身軽さで
跳
(
と
)
びあがり、
一跨
(
ひとまた
)
ぎに跨いで用心ぶかく内側へおりて行った。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
長い月日の間、火を焚く烟で黒く
煤
(
すす
)
けた天井の
梁
(
はり
)
からは、煤が下っている。
其処
(
そこ
)
から吊された
一筋
(
ひとすじ
)
の
鉄棒
(
かなぼう
)
には大きな黒い
鉄瓶
(
てつびん
)
が懸っていた。
越後の冬
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
山小屋
(
ヒュッテ
)
は、広い料理場と乾燥室のついた、二階建のがっちりした建物で、大きな広間の天井には煤色の
栂
(
とが
)
の太い
梁
(
はり
)
がむきだしになっている。
キャラコさん:02 雪の山小屋
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
そして、その棟木と直角に、これは大蛇の
肋骨
(
あばら
)
に当る沢山の
梁
(
はり
)
が両側へ、屋根の傾斜に沿ってニョキニョキと突き出ています。
屋根裏の散歩者
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
昭和五年の二月二十日、京都の宿で、紋服を着て紫ちりめんの
定紋
(
じょうもん
)
のついた風呂敷で顔を
被
(
おお
)
って、二階の
梁
(
はり
)
に首を
吊
(
つ
)
っていた。
江木欣々女史
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
ガラス張りのベランダと海とに面した高窓のついた、地階の、天井に
梁
(
はり
)
の見える大きな食堂では、食事の度に女主人が采配をふるっていた。
トニオ・クレエゲル
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
さうして
學校
(
がつこう
)
の
教場内
(
きようじようない
)
に
竝列
(
へいれつ
)
した
多數
(
たすう
)
の
机
(
つくゑ
)
や
或
(
あるひ
)
は
銃器臺
(
じゆうきだい
)
などは、
其連合
(
そのれんごう
)
の
力
(
ちから
)
を
以
(
もつ
)
て、
此桁
(
このけた
)
や
梁
(
はり
)
、
又
(
また
)
は
小屋組
(
こやぐみ
)
全部
(
ぜんぶ
)
を
支
(
さゝ
)
へることは
容易
(
ようい
)
である。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
しかしとうとう晩年には悲壮な
譃
(
うそ
)
つきだったことに
堪
(
た
)
えられないようになりました。この聖徒も時々書斎の
梁
(
はり
)
に恐怖を感じたのは有名です。
河童
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
やつは小屋の
梁
(
はり
)
へ帯をかけて、輪さを作ってさ、丸太の切れ端に乗っかって、その輪さを首へかけようとしているじゃないか。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
煤
(
すす
)
けた
梁
(
はり
)
や柱に黒光りがするくらい年代のある田舎家の座敷を、そっくりそのまま持ち込まれた茶座敷には、
囲炉裏
(
いろり
)
もあり、
行灯
(
あんどん
)
もあった。
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
あの方は燒け跡から助け出されました、生きてしかし
慘
(
みじ
)
めに傷ついて。一本の
梁
(
はり
)
が幾らかあの方を
庇
(
かば
)
ふやうに落ちてゐました。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
夜が明けるとすぐ大急ぎをして帰って来て見ると、家では
梁
(
はり
)
にさげてあった
鉈
(
なた
)
が落ちて、その
母
(
おっか
)
さんが死んでいたそうです。
北国の人
(新字新仮名)
/
水野葉舟
(著)
かえって馬小屋のマギで聞いていた圭吾のほうで、申しわけ無くなって、あなた、馬小屋の
梁
(
はり
)
に縄をかけ、首をくくって死のうとしたのです。
嘘
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
それから起重機はグーッとまわって、平吉の体を今までのところより五六メートル高い屋上の鉄の
梁
(
はり
)
の上にぽとりと下した。
秋空晴れて
(新字新仮名)
/
吉田甲子太郎
(著)
皆が飛出すと、一足違いに、ドッと
梁
(
はり
)
が落ちて、
金色
(
こんじき
)
の火の子が、パッと花火のように散った。火勢はいよいよ猛烈だった。
鱗粉
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
太陽が沈んで、私たちが涼みに出る時分になると、彼女らは、
昏睡
(
こんすい
)
状態のまま一方の
爪
(
つめ
)
の先でぶら下がっていた古い
梁
(
はり
)
から
剥
(
は
)
がれ落ちて来る。
博物誌
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
それも、玄関前の軒下の
梁
(
はり
)
のところへ、だらりと
兵児帯
(
へこおび
)
をつりさげて、その下にぼんやりと腕組みしながら、しきりと首をひねっているのです。
右門捕物帖:24 のろいのわら人形
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
忍んで様子を窺うに
如
(
しか
)
ずと思って、かれは廟の
欄間
(
らんま
)
へ
攀
(
よ
)
じのぼり、
梁
(
はり
)
のあいだに身をひそめていると、やがてその一行は門内へ進んで来ました。
中国怪奇小説集:14 剪灯新話(明)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
子供部屋は縁側の
外
(
はず
)
れにあった。この部屋はちょうど屋根裏に似て、天井がなく、
梁
(
はり
)
がむきだしてあり、その梁が六尺ぐらいの高さでしかない。
オモチャ箱
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
なんとゆつても、まるで
屍骸
(
しんだもの
)
のやうに、ひツくりかへつてはもう
正體
(
しやうたい
)
も
何
(
なに
)
もありません。
梁
(
はり
)
の
煤
(
すゝ
)
もまひだすやうな
鼾
(
いびき
)
です。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
梁
(
はり
)
のうえには
笠鉾
(
かさぼこ
)
、万燈。枝と縄と藁で面白い粗野な織物になってる屋根裏からは太鼓、
提灯
(
ちょうちん
)
などがぶらさがっている。
島守
(新字新仮名)
/
中勘助
(著)
連城は王の家へいったが、
忿
(
いか
)
って飲食をしないで、ただ早く死なしてくれといった。室に人のいないのを見ると
梁
(
はり
)
の上に紐をかけて死のうとした。
連城
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
その後の調査によるに、ニコライ円頂の落ちしは六時ごろにして、火は間もなく収まりしも、ただ塔中には
欅
(
けやき
)
の階段、床、鐘を釣りたる
梁
(
はり
)
等あり。
地震なまず
(新字新仮名)
/
武者金吉
(著)
さうしてその上の
梁
(
はり
)
の一つに、紺色の可憐な燕の雛が懷かしさうに、牡丹いろの頬をちらりと巣の外に見せて、ついついと鳴いてゐる日もあつた。
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
姉は
梁
(
はり
)
の端に
吊
(
つ
)
り
下
(
さが
)
っている梯子を昇りかけた。すると吉は
跣足
(
はだし
)
のまま庭へ飛び降りて梯子を下から
揺
(
ゆ
)
すぶり出した。
笑われた子
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
天井に渡してある
梁
(
はり
)
や丸太からは、長い煤が幾つも下っていて、それが下からの焚火の火勢や風で揺れた。——ランプは真中に一つだけ釣ってある。
不在地主
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
直径二尺から三尺、高さ三十尺から四十尺の巨柱は、複雑な
腕木
(
うでぎ
)
の網状細工によって、斜めの
瓦屋根
(
かわらやね
)
の重みにうなっている巨大な
梁
(
はり
)
をささえていた。
茶の本:04 茶の本
(新字新仮名)
/
岡倉天心
、
岡倉覚三
(著)
塩魚を
梁
(
はり
)
か何かに
吊
(
つ
)
って置いたところが、連日の雨で空気が湿っているのでその塩魚の塩が溶けて土間の上にポタポタと雫が落ちるというのである。
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
炉の上の
梁
(
はり
)
や屋根裏が、かっかっと燃え上る火に、
塗
(
ぬ
)
りたてのコールターのように真っ黒くてらてら光っていたこと。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「旦那様、大変でございますよ。あの綺麗な浪人の内儀が、しごきを
梁
(
はり
)
へ引っかけて、
縊
(
くび
)
れているじゃありませんか」
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
梁
(
はり
)
にある鶏の巣へ丸木の枝を「なわ」でまとめた
楷子
(
はしご
)
が壁際に吊ってあってその細かく出た枝々には
抜羽
(
ぬけは
)
だの糞だのが白く、黄いろくかたまりついて
農村
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
藁葺
(
わらぶき
)
屋根の軒の傾いた家で、天床のないむきだしの
梁
(
はり
)
に、まっくろに
煤
(
すす
)
けた縁側も畳も波をうっている、およそ廃屋とでもいいたい感じのものだった。
新潮記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
隅
(
すみ
)
の屋根裏より窓に向かいて斜めにさがれる
梁
(
はり
)
を、紙にて張りたる下の、立たば
頭
(
かしら
)
の
支
(
つか
)
うべきところに
臥床
(
ふしど
)
あり。
舞姫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「あんなにぎつしり書物が載つかつてるんで御座いませう。ひよつとかすると
梁
(
はり
)
が折れやしないかと思つて。」
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
舗石
(
しきいし
)
、泥土、
梁
(
はり
)
、鉄棒、ぼろ、ガラスの破片、腰のぬけた
椅子
(
いす
)
、青物の
芯
(
しん
)
、錠前、
屑
(
くず
)
、および
呪詛
(
じゅそ
)
の念などから成っていた。偉大であり、また卑賤であった。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
一番都合のいいのは、帯を解いて
梁
(
はり
)
に掛け、自分で
縊
(
くび
)
れて死ねば彼等に殺人の罪名がないわけだ。そうすれば自然願いが通って皆大喜びで鼠泣きするだろう。
狂人日記
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
なかば焼けなかば腐った大きな木の
梁
(
はり
)
が、廃墟全体を区分けしているのを見た、やがて焼かれて打ち砕かれた建物の残骸の中に立ってみると、雑草や
蕁麻
(
いらくさ
)
が
秘密礼拝式
(新字新仮名)
/
アルジャーノン・ブラックウッド
(著)
まあ
梁
(
はり
)
が落ちて来たんだね。あんまり不思議な夢だから、易者にでも占ってもらおうかと思ったさ。何か家の内がごたごたしてる。さもなければ、あんな夢を
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
卯平
(
うへい
)
の
視力
(
しりよく
)
が
再
(
ふたゝ
)
び
恢復
(
くわいふく
)
した
時
(
とき
)
には
火
(
ひ
)
は
既
(
すで
)
に
天井
(
てんじやう
)
の
梁
(
はり
)
に
積
(
つ
)
んだ
藁束
(
わらたば
)
の、
亂
(
みだ
)
れて
覗
(
のぞ
)
いて
居
(
ゐ
)
る
穗先
(
ほさき
)
を
傳
(
つた
)
ひて
昇
(
のぼ
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
梁
漢検準1級
部首:⽊
11画
“梁”を含む語句
棟梁
鼻梁
橋梁
跳梁
梁山泊
梁木
高梁
大梁
梁川
脊梁
梁上
梁楷
梁間
横梁
梁中書
跳梁跋扈
梁川星巌
船梁
梁田
大棟梁
...