トップ
>
平
>
たい
ふりがな文庫
“
平
(
たい
)” の例文
川上の方を見ると、すすきのいっぱいにはえている
崖
(
がけ
)
の下に、白い
岩
(
いわ
)
が、まるで
運動場
(
うんどうじょう
)
のように
平
(
たい
)
らに川に
沿
(
そ
)
って出ているのでした。
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
この二つは、共に比較的あたらしい改良であって、以前はなるべく
平
(
たい
)
らな、まっすぐな棒を、少しもけずらずに使うのが
朸
(
おこ
)
であった。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
三センチほどの厚さで
平
(
たい
)
らな面を作っており、その上に、つやのある毛よりも細い金属線らしいものがひとつかみほど、のせてあった。
金属人間
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「
葦原
(
あしはら
)
の中つ国はもはやすっかり
平
(
たい
)
らいだ。おまえはこれからすぐにくだって、さいしょ申しつけたように、あの国を治めてゆけ」
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
それからこんどは、島のまんなかにある
平
(
たい
)
らな
高台
(
たかだい
)
にのぼっていきました。そこには
風車
(
ふうしゃ
)
のほかは、
建物
(
たてもの
)
はなんにもありませんでした。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
▼ もっと見る
無二無三それを突破しながらすでに登りつめること数十町、ふと仰ぐと、やっと頂上へ出たか
平
(
たい
)
らかな岩盤とかなり広そうな平地がある。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
さんざん
回
(
まわ
)
りをこぎ
回
(
まわ
)
りますと、やっと
平
(
たい
)
らな
州
(
す
)
のようなところがあって、
島
(
しま
)
の中から
小
(
ちい
)
さな川がそこに
流
(
なが
)
れ
出
(
だ
)
していました。
鎮西八郎
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
平生ならば三つや四つ何でもない方だから少々
胃吉
(
いきち
)
と
腸蔵
(
ちょうぞう
)
に気の毒だったけれども苦しいのを我慢して
大丼
(
おおどんぶり
)
を一つ半
平
(
たい
)
らげた。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
「さ、剃刀をこう云う風に持ってな、………そうだ、………それから此の鼻を、此処から斯う真っ
平
(
たい
)
らに、きれいに切るんだ」
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
私は時々
生温
(
なまぬる
)
い水に
足下
(
あしもと
)
を襲われました。岸へ寄せる波の余りが、のし
餅
(
もち
)
のように
平
(
たい
)
らに
拡
(
ひろ
)
がって、思いのほか遠くまで押し上げて来るのです。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
犢
(
こうし
)
の冷肉を一皿とクワス一本を
平
(
たい
)
らげてから、広大無辺な我がロシア帝国の地方によっては、よく言い草にされている、
謂
(
いわ
)
ゆる『
鞴
(
ふいご
)
のような
大鼾
(
おおいびき
)
』
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
この社会、この国を改良しよう、この世界の敵なる悪魔を
平
(
たい
)
らげようとの目的をもって戦争をするのであります。
後世への最大遺物
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
こう
感
(
かん
)
ずると、
地主
(
じぬし
)
は、
急
(
きゅう
)
に
悪夢
(
あくむ
)
からさめたような
気
(
き
)
がしたのでした。
同時
(
どうじ
)
に、
目
(
め
)
の
前
(
まえ
)
へ、
清
(
きよ
)
らかで、
平
(
たい
)
らかな
人
(
ひと
)
として
踏
(
ふ
)
むべき
道
(
みち
)
の
開
(
ひら
)
けるのを
感
(
かん
)
じました。
子供は悲しみを知らず
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
大名華族からは又うどんかけの振舞いがあり、駄菓子屋と仕立屋と彼は
喰
(
た
)
べたが、隣人は固く拒み、結局駄菓子屋と仕立屋がそれを半分ずつ分けて
平
(
たい
)
らげた。
遺産
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
その藤葛が横に靡けば、
前岸
(
かわむこう
)
に
聳
(
そばだ
)
った
平
(
たい
)
らかな岩の
出
(
で
)
っ
端
(
ぱな
)
に往かれそうである。彼はそれに眼をつけた。
仙術修業
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
御仏
(
みほとけ
)
のそのをさなごを
抱
(
いだ
)
きたまへるもかくこそと
嬉
(
うれ
)
しきに、おちゐて、
心地
(
ここち
)
すがすがしく胸のうち安く
平
(
たい
)
らになりぬ。やがてぞ
呪
(
じゆ
)
もはてたる。
雷
(
らい
)
の音も遠ざかる。
竜潭譚
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
わたしたちが一さらを
平
(
たい
)
らげると、すぐにつぎのさらにかかった。カピもおすそわけにあずかりに来た。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
どうぞお
平
(
たい
)
らに、されば——御監察の要はいささかもこれなく、これ
膳部
(
ぜんぶ
)
を差し上げ申せ、——ただゆるゆる御滞在あって、お心まかせに御保養ご休息を願いまする
三悪人物語:忍術千一夜 第二話
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
云わばわたくしの心の
秤
(
はかり
)
は数馬に傾いて居るのでございまする。わたくしはこの心の
秤
(
はかり
)
を
平
(
たい
)
らに致したい一心から、自然と多門の皿の上へ
錘
(
おもり
)
を加えることになりました。
三右衛門の罪
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
土饅頭
(
どまんじゅう
)
ぐらいな、なだらかな
丘
(
おか
)
が
起伏
(
きふく
)
して、その
先
(
さき
)
は広い
平
(
たい
)
らな野となり、
緑
(
みどり
)
の
毛氈
(
もうせん
)
をひろげたような中に、森や林が
黒
(
くろ
)
い
点
(
てん
)
を
落
(
おと
)
していて、日の光りに
輝
(
かがや
)
いてる
一筋
(
ひとすじ
)
の大河が
強い賢い王様の話
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
どんな珍しいものを見るかと思って……段々海へ乗出して
往
(
ゆ
)
く
中
(
うち
)
には、
為朝
(
ためとも
)
なんかのように、海賊を
平
(
たい
)
らげたり、
虜
(
とりこ
)
になってるお姫さまを助けるような事があるかも知れませんからね。
忘れ形見
(新字新仮名)
/
若松賤子
(著)
そう
言
(
い
)
って
母親
(
ははおや
)
は
子家鴨
(
こあひる
)
の
頸
(
くび
)
を
撫
(
な
)
で、
羽
(
はね
)
を
滑
(
なめら
)
かに
平
(
たい
)
らにしてやりました。そして
醜い家鴨の子
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
手のひらを
平
(
たい
)
らにして、片方ずつ抜いてごらん。ゆるくしばったのだから、わけなく抜ける。ほらね。するとベルトが輪になったまま残るね。これを洋服ダンスの中へ持ってはいるのだ。
月と手袋
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
四方山のような岩にかこまれ、一方だけに口をあけた、二町四方もあるであろうか——そんなにも広い
平
(
たい
)
らの土地に、ひもうせんとでもいいましょうか、深紅の敷き物が敷いてあったからです。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「みんな
平
(
たい
)
らに、あぐらをかきたまえ。関君、どうです、服で
窮屈
(
きゅうくつ
)
にしていてはしかたがない」こう言って笑って、「私が一つビールを
奢
(
おご
)
りましょう。たまには愉快に話すのもようござんすから」
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
弘徽殿の女御がこれに
平
(
たい
)
らかでないことに道理はあった。
源氏物語:07 紅葉賀
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
闌干方与
二
赤城
一
平
闌干
(
らんかん
)
は
方
(
まさ
)
に
赤城
(
せきじょう
)
と
平
(
たい
)
らなり
礫川徜徉記
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
牧場
(
ぼくじょう
)
のうしろはゆるい
丘
(
おか
)
になって、その黒い
平
(
たい
)
らな
頂上
(
ちょうじょう
)
は、北の
大熊星
(
おおくまぼし
)
の下に、ぼんやりふだんよりも
低
(
ひく
)
く、
連
(
つら
)
なって見えました。
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
この大きな島は、みんなの下に
平
(
たい
)
らによこたわっています。地上は、スコーネと同じように
市松
(
いちまつ
)
もようで、
教会
(
きょうかい
)
や
農園
(
のうえん
)
がたくさんあります。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
尼院の庭は
平
(
たい
)
らかであったが、東は伊豆山の絶壁であり、南は
熱海
(
あたみ
)
の漁村まで、山なりに海へ傾斜している半島の
突角
(
とっかく
)
だった。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
命
(
みこと
)
はこんなにして、お
道筋
(
みちすじ
)
の
賊
(
ぞく
)
どもをすっかり
平
(
たい
)
らげて、
大和
(
やまと
)
へおかえりになり、天皇にすべてをご
奏上
(
そうじょう
)
なさいました。
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
この総数が減らないために、国民が全体で
平
(
たい
)
らに繁栄してきたように、ちょっとは考えられるけれども、それはどうも事実でなかったようである。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
土をならすだけならさほど
手間
(
てま
)
も
入
(
い
)
るまいが、土の中には大きな石がある。土は
平
(
たい
)
らにしても石は平らにならぬ。石は切り砕いても、岩は始末がつかぬ。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
平
(
たい
)
らな劇の舞台の上に、とつぜん大道具が組立てられ、大実験室の舞台装置が出来上ったようなものであった。
海底都市
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
なるほどこの少年はこれであろう、
身体
(
からだ
)
は沢庵色にふとっている。やがてわけもなく
餌食
(
えじき
)
を
平
(
たい
)
らげて湯ともいわず、ふッふッと
大儀
(
たいぎ
)
そうに
呼吸
(
いき
)
を向うへ
吐
(
つ
)
くわさ。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
もしそうしなかったら今度こそ彼の兎唇の上にある隆起物が其ッ
平
(
たい
)
らになってしまったかも知れない。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
正二
(
しょうじ
)
くんは、おじいさんの
持
(
も
)
っていられた
眼鏡
(
めがね
)
を
自分
(
じぶん
)
の
手
(
て
)
に
受
(
う
)
け
取
(
と
)
って、
片方
(
かたほう
)
についているねじを
見
(
み
)
ました。それは、
小
(
ちい
)
さな、
平
(
たい
)
らな
頭
(
あたま
)
に
溝
(
みぞ
)
のついているものでした。
小さなねじ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
檐下でなければ上の方へ高さ四、五尺位に屋根を作ります。その屋根の下へ太い止まり木を横に渡します。止まり木の代りに平たいヌキ板を
平
(
たい
)
らに渡しても構いません。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
田村麻呂
(
たむらまろ
)
は
奥州
(
おうしゅう
)
の
荒
(
あら
)
えびすを
平
(
たい
)
らげて、ゆるゆると
京都
(
きょうと
)
へ
凱旋
(
がいせん
)
いたしました。
天子
(
てんし
)
さまはたいそうおよろこびになって、
田村麻呂
(
たむらまろ
)
にたくさんの
御褒美
(
ごほうび
)
をお
授
(
さず
)
けになりました。
田村将軍
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
わたしが一きれずつ切ってやると、かれらはむさぼるようにして見るまに
平
(
たい
)
らげてしまった。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
庭
(
にわ
)
には木も石もなく、ただ
平
(
たい
)
らな
地面
(
じめん
)
が高い
壁
(
かべ
)
に取り
巻
(
ま
)
かれてるきりでした。
強い賢い王様の話
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
「土人どもを
平
(
たい
)
らげて宝を奪おうではございませぬか」
加利福尼亜の宝島:(お伽冒険談)
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「ほんとうにここは
平
(
たい
)
らですね。」諒安はうしろの方のうつくしい黄金の草の高原を見ながら
云
(
い
)
いました。その人は笑いました。
マグノリアの木
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
その
平
(
たい
)
らなどこを、どう掘っても、湯が
湧
(
わ
)
いて来るのだから、
裸体
(
はだか
)
になって、手で砂を
掻
(
か
)
き分けて、
凹
(
くぼ
)
んだ
処
(
ところ
)
へ横になれば、一文も使わないで事は済む。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
断崖の下は、かなりひろく
平
(
たい
)
らにならされていて、芸術的ではないが、実用向きの
幅
(
はば
)
のひろいセメント道路が出来ていた。仕事の早いのには全くおどろかされる。
海底都市
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
しばしば六尺よりももっと長い棒のなかほどにゆわえつけて、
平
(
たい
)
らにして持ち運ぶひつようがあった。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
まっ
平
(
たい
)
らな両毛平野も、この辺まで来ると、渡良瀬川をさかいに、
平
(
たいら
)
ノ
将門
(
まさかど
)
以来の
坂東
(
ばんどう
)
の人煙が日光山脈に
拠
(
よ
)
って散在し、赤松の小丘陵の多い起伏の変化もおもしろい。
随筆 私本太平記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
六人前も
平
(
たい
)
らげるとおっしゃいますがそんなお方に限って牛肉は背の肉が良いか
腿
(
もも
)
の肉が良いか、
肋
(
あばら
)
の肉はどんな味だか、舌や尾はどんなものだか少しも御存知ありません。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
門にすぐつづいて、大きな
平
(
たい
)
らな石をしきつめた、
広場
(
ひろば
)
がありました。まわりには、高いりっぱな
建物
(
たてもの
)
が立ちならんでいて、そのあいだに、せまくて長い通りがありました。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
もう
道
(
みち
)
のない
草
(
くさ
)
の中をやたらに
踏
(
ふ
)
み
分
(
わ
)
けて行きますと、ひょっこり
平
(
たい
)
らな
土地
(
とち
)
へ出ました。
人馬
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
“平”の意味
《名詞》
(たいら)でこぼこのない様子。突出や沈降のない様子。
(たいら)でこぼこのない土地。
(ひら)特別な地位を持っていない様子。接頭語的にも使用される。
(なみ)平均的。標準的。或いは平均値や標準に近い様子。優れても劣ってもいない様子。
(出典:Wiktionary)
平
常用漢字
小3
部首:⼲
5画
“平”を含む語句
平常
平生
平和
平素
平日
大平
平伏
扁平
平等
平均
平坦
平安
平地
平時
平癒
平相国
北平
地平
真平
不平
...