夕飯ゆうはん)” の例文
取ったからだにはひどくこたえる。わたしはいいねどことの前で夕飯ゆうはんを食べたい。だがそれはゆめだ。さあ、前へ進め、子どもたち
夕飯ゆうはんのあとは、お祖父じいさん、お祖母ばあさん、少年しょうねんの三にんが、いろりのはたでえだ松葉まつばをたき、毎晩まいばんのようにたのしくおはなしをしました。
おかまの唄 (新字新仮名) / 小川未明(著)
曲馬の楽隊がくたいはもうとっくから、すばらしいにぎやかさで鳴りひびいて来ています。新吉は夕飯ゆうはんをかみながら外へとび出しました。
曲馬団の「トッテンカン」 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
よこせとまで仰しゃって有難い事ですねえ、まアおっかさん少し落着いたらお粥でもお上り遊ばせ、どれお夕飯ゆうはんの支度をましょう
今晩はしかたがないから明日あすの晩は夕飯ゆうはんわずに往って見ようと思って彼はふところの勘定をした。懐には十円近い小遣こづかいがあった。
牡蠣船 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「まあ、よくきてくださいました。でも、ほんとのところは、おくさんが夕飯ゆうはんをもってきてくださったんなら、もっとよかったんですがね。」
主人は夕飯ゆうはんをすまして書斎に入る。妻君は肌寒はださむ襦袢じゅばんえりをかき合せて、あらざらしの不断着を縫う。小供は枕を並べて寝る。下女は湯に行った。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
おばあさんは、囲炉裏いろりにまきをくべて、あたたかくしてくれたり、おかゆをいてお夕飯ゆうはんべさせてくれたり、いろいろ親切しんせつにもてなしてくれました。
安達が原 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「まあ、ありがたい、おおかみのやつ、うちのこどもたちを、お夕飯ゆうはんにして、うのみにのみこんだままだから、みんなきっとまだ生きているのだよ。」
僕等は夕飯ゆうはんをすませたのち、ちょうど風の落ちたのを幸い、海岸へ散歩に出かけることにした。太陽はとうに沈んでいた。しかしまだあたりは明るかった。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
級長 じゃ夕飯ゆうはんがすんでから、誰かの家へ集ってやることにしよう。僕の家の会社に広い会議室があるから、お父さんにいってあそこを貸してもらおうや。
新学期行進曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
たまねこ)が屹度きつと今夜こんやわたしさがしてよ!みンな夕飯ゆうはん時分じぶん牛乳皿ぎうにうざらしてやるのをおぼえてゝくれゝばいが。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
とさけんでいる、ペテロの心を思いうかべ、「おお、神よ」といって、朝飯あさはん夕飯ゆうはんにとりかかるのでした。
丘の銅像 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
女官がしらは、ほかの人たちとおんなじに、ひどくおなかがへって、がまんできないほどでしたから、だしぬけに大きな声で、お姫さま、お夕飯ゆうはんのおしたくができましたと、申しあげました。
眠る森のお姫さま (新字新仮名) / シャルル・ペロー(著)
此処らは未来の大文豪も俗物と余りちがわぬ心持になって、何だかしきりに嬉しがって、莞爾にこにこして下宿へ帰ったのは丁度夕飯ゆうはん時分じぶんだったが、火を持って来たのは小女ちび、膳を運んで来たのはお竹どんで
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
そして、おじいさんが、こうしてこいをってかねにしてかえらなければ、みんなはたのしく、夕飯ゆうはんべることもできなかったのであります。
千代紙の春 (新字新仮名) / 小川未明(著)
夏ののことであった。その晩はそのあたりに縁日えんにちがあるので、夕飯ゆうはんがすむと二人の者は散歩に往こうと云いだしたが、一人は従わなかった。
女の姿 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
小さな鋼鉄くろがねの如意を持ちまして隣座敷へ泊った和尚様が、お湯に入り、夕飯ゆうはんべてりますと、禅宗坊主だからちゃんと勤めだけの看経かんきんを致し
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
夕飯ゆうはんに親方がのこりのパンを分けた。おやおや、もうわずかしかなかった。すぐに食べられてしまった。わたしたちはくずものこさず、がつがつして食べた。
おかあさんにけた山姥やまうばは、うちの中にはいると、さっそくお夕飯ゆうはんにして、子供こどもたちがびっくりするほどたくさんべて、今夜こんやはくたびれたからはやようといって
物のいわれ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「おくさん、おそかったですね。今夜こんやは、もう夕飯ゆうはんがいただけないのかと思いましたよ。」
夕飯ゆうはんのときに二人ふたりは、そのにあったことをはなしあうのが、たのしみでありました。
牛をつないだ椿の木 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
あのふとった宣教師はもう電燈もともり出した今頃、何をしていることであろう? クリストと誕生日を共にした少女は夕飯ゆうはんぜんについた父や母にけさの出来事を話しているかも知れない。
少年 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
夕飯ゆうはんのとき、牛丸が話しかけようとすると、牢番は、こわい目でにらんだ。そして不安な目付で左右をふりかえった。そしてもう一度こわい目をし、大口をあいて、牛丸少年をおどかした。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
さて、ふたりは、かがみに出て行きました。そこで夕飯ゆうはん食卓しょくたくについて、王女づきの女官じょかんたちがお給仕きゅうじに立ちました。そのあいだ、バイオリンだの、木笛きぶえだのが、百年まえの古いきょくをかなでました。
眠る森のお姫さま (新字新仮名) / シャルル・ペロー(著)
あるレストランで、高橋たかはし小原おばら自分じぶんの三にんが、夕飯ゆうはんべながらしたしくはなしをしたのです。そのレストランは、おおきなきれいなみせでありました。
世の中へ出る子供たち (新字新仮名) / 小川未明(著)
でもおっかあは、もっとくわしい話が開きたいので、ぜひ夕飯ゆうはんを食べて行くようにと言ってたのんだ。道は悪いし、森の中にはおおかみが出るといううわさもある。
夕飯ゆうはんがすむと、ぼうさんは炉端ろばたすわって、たきにあたりながら、いろいろたびはなしをしますと、おばあさんはいちいちうなずいてきながら、せっせと糸車いとぐるままわしていました。
安達が原 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
その晩も下宿で淋しい木屑きくずを噛むような夕飯ゆうはんをすますと、机の上の雑誌をってのぞいていたが、なんだかじっとしていられないので、活動でも見て帰りに蕎麦そばでもおうと思って
牡蠣船 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
手は掛るが皆此方こちらでやって置くが、一ヶの住職を頼んで置きますが、お前ナア余り早く来ると此方で困るから、昼飯ひるはんでも喰ってからそろそろ出掛け、夕飯ゆうはんは此方で喰う気で来なさい
そのよる夕飯ゆうはんのとき、海蔵かいぞうさんはとしとったおかあさんに、こうはなしました。
牛をつないだ椿の木 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
かれは、それよりおおかみへの約束やくそくなどはかまわずにうちがって、今日きょうはまず無事ぶじでよかったとよろこんで、夕飯ゆうはんぜんかって、さけみはじめたのであります。
おおかみと人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
本郷林町ほんごうはやしちょう素人しろうと下宿にいる洋画家の友人が、夏の間その海岸にいたことを思いだして、それとなしに女の噂でも聞いてみようと思って、浅草の問屋へ往っての帰りに夕飯ゆうはんみちですまし
草藪の中 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「なんだ、なんにもない。夕飯ゆうはんにはなにもないのか」とかれは台所を見回した。
夕飯ゆうはんがすんでしまうと、あるじのぼうさんは手をならして
人馬 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
かれは、やがて、女房にょうぼう二人ふたりで、そこそこに夕飯ゆうはんをすましました。ふたたび、仕事場しごとばにもどって、鉄槌てっついで、コツコツとあかけたてつ金床かなどこうえでたたいていました。
般若の面 (新字新仮名) / 小川未明(著)
夕飯ゆうはんには、ちょっとがある、往ってみよう、腹こなしにはいい」
山寺の怪 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
だいじょうぶさ。わたしはまっすぐに歩いているのだ。なにしろおじょうさんたちがやかましいから、お父さんもせいぜいまっすぐに歩かなくてはならぬ。リーズは、わたしが夕飯ゆうはんのときいなかったのを
母親ははおやは、病気びょうきにかかって、いままでのごとく、かいがいしくかけてゆく見送みおくり、また、晩方ばんがたは、夕飯ゆうはん仕度したくをしてつということができなくなりました。
新しい町 (新字新仮名) / 小川未明(著)
いて来ると水彩画をえがいていた益雄は、父親から呼ばれて明日あすの朝の汽車で東京へ帰ることになったので、しずかな居心地の好い海岸へ名残をおしむような感傷的な気もちになって、夕飯ゆうはんの後で海岸へ出
草藪の中 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「エチエネット、おまえはいい子だ。あすはわたしはルイソーのうちへ行く。わたしはちかって夕飯ゆうはんにはきっと帰る。おまえが待っていてくれるのが気のどくだし、リーズが心配しいしいねるのがかわいそうだから」
しかし、夕飯ゆうはんあとは、いつも、辰吉たつきちは、そとて、自分じぶん故郷こきょうにいるときとおなじように、そらほしあおぎました。やさしいあかいろほしは、そこでもられたのであります。
木に上った子供 (新字新仮名) / 小川未明(著)
またおとうとは、松葉まつばをくべたりてつびんをかけたりして、夕飯ゆうはんのしたくをしていました。おかあさんがかぜをひいてねていられたので、いいつけられた用事ようじをしているのでした。
ペスときょうだい (新字新仮名) / 小川未明(著)
かたむくと、そとよりは、いえうちから、だんだん肌寒はだざむくなりました。母親ははおやとさきは、いつしかちゃって、夕飯ゆうはん支度したくにかかり、令二れいじだけが、まだ縁側えんがわのこっていました。
金歯 (新字新仮名) / 小川未明(著)
先生せんせいのおかあさんらしいひとが、夕飯ゆうはん仕度したくをしていられたらしいのがてこられました。
青い星の国へ (新字新仮名) / 小川未明(著)
あるのこと、たっちゃんは、夕飯ゆうはんのときになにかおもしてくすくすとわらいました。
二少年の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
毎朝まいあさちちは、この時計とけい出勤しゅっきんしたし、またははは、この時計とけいて、夕飯ゆうはんのしたくをしたのでした。そして、時計とけいは、やすみなく、くるいなく、忠実ちゅうじつに、そのつとめをはたしたのです。
時計と窓の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
このせい一は、おじいさんのいったように、わずかにちいさなふなを二ひきと、えびを三びきったばかりでした。夕飯ゆうはんのとき、おかあさんが、おじいさんの、今日きょうはなしをおきかせなされると
窓の内と外 (新字新仮名) / 小川未明(著)
次郎じろうは、夕飯ゆうはんべるとじきにとこなかはいりました。そして、いつのまにかぐっすりとねむってしまいました。ちょうど、夜中時分よなかじぶんでありました。そばにねていられたおばあさんが、いつものように
雪だるま (新字新仮名) / 小川未明(著)
まごたちに夕飯ゆうはんのおかずをってゆくどころでありませんでした。
千代紙の春 (新字新仮名) / 小川未明(著)