吹出ふきだ)” の例文
で、たもとから卷莨まきたばこつて、燐寸マツチつた。くちさき𤏋ぱつえた勢付いきほひづいて、わざけむりふかつて、石炭せきたんくさいのをさらつて吹出ふきだす。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そのうちに、あつはひなかまつてかきあなからは、ぷう/\しぶ吹出ふきだしまして、けたかきがそこへ出來上できあがりました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
そういうところをぬけ、つめたい氷のような風の吹出ふきだしている二、三ヶ所の風穴かざあなの前を通ったりして、鬼神きじん谷の上へ出るとそこで元来た旧道にがっする。
雲仙岳 (新字新仮名) / 菊池幽芳(著)
香煎かうせんめんのにや、わらつちやいかねえつちけぞ、おめえかね博勞ばくらうはいつた。先刻さつきからわらくせのついてた女房等にようばうらは一にぷつと吹出ふきだしてこな其處そこらにつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
ズーッと銘々めいめいの前にコップが並んで、その酒を飲む時の有様ありさまを申せば、列座の日本人中で、ずコップに浮いて居るものを口の中に入れてきもつぶして吹出ふきだす者もあれば
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
吸鍔棹ピストンたる器械きかい上下じやうかするにしたがつて、新鮮しんせんなる空氣くうき蒸氣じようきごと一方いつぽう巨管きよくわんから艇内ていない吹出ふきだされ、艇内ていない惡分子あくぶんしは、排氣喞筒はいきぽんぷによつて始終しじゆう艇外ていぐわい排出はいしゆつせられるから
ぼくが可笑おかしがって、吹出ふきだすと、あなたも声を立てて、笑いながら、『土佐の高知の、播磨屋はりまや橋で、ぼうさん、かんざし、買うをみた』とすそをひるがえし、活溌かっぱつに、踊りだしました。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
甲田は吹出ふきだした。中学の三年級だと言つたが、これでは一年級位の学力しかないと思つた。
葉書 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
此時このとき卑濕ひしゆう土地とち一二寸いちにすん地割ぢわれがいくらも出來でき、それが開閉かいへいして土砂どさ吹出ふきだしたといふ。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
さて大声をはりあげて怒号どなった、この時そばで誰か聞いていたら、さぞ吹出ふきだしたろうよ
狸問答 (新字新仮名) / 鈴木鼓村(著)
おいらは痘痕あばたしつつかきは大嫌だいきらひとちかられるに、主人あるじをんな吹出ふきだして、れでもしようさんわたしみせくださるの、伯母おばさんの痘痕あばたえぬかえとわらふに、れでもおまへ年寄としよりだもの
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
馬はせな、腹の皮をゆるめて汗もしとどに流れんばかり、突張つッぱった脚もなよなよとして身震みぶるいをしたが、鼻面はなづらを地につけて一掴ひとつかみ白泡しろあわ吹出ふきだしたと思うと前足を折ろうとする。
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
吹出ふきだしそうに可笑おかしい。又その和尚が正月になると大檀那だいだんなの家に年礼ねんれいに行くそのお供をすれば、坊さんが奥で酒でものんでる供待ともまちあいだに、供の者にも膳を出して雑煮ぞうになどわせる。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
うませなはらかはゆるめてあせもしとゞにながれんばかり、突張つツぱつたあしもなよ/\として身震みぶるひをしたが、鼻面はなづらにつけて、一つかみ白泡しろあは吹出ふきだしたとおもふと前足まへあしらうとする。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
れから懐中の紙を出してその紙の中に吸殻を吹出ふきだして、念を入れてもんで/\火の気のないように捩付ねじつけてたもとに入れて、しばらくして又あとの一服をろうとするその時に、袂からけぶりが出て居る。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
停車場ステーシヨンの一ぱうはしつて、構内こうないはづれのところに、番小屋ばんごやをからくりでせるやうな硝子窓がらすまど小店こみせがあつて、ふう/\しろ湯気ゆげまど吹出ふきだしては、ともしびうす
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
……黙って切ってくれて、ふふふんと笑うと、それまでこらえていたらしい乗客が一斉いっときわっ吹出ふきだしたじゃありませんか。次の停車場へ着くが早いか、真暗三宝まっくらさんぼうです。飛降とびおり同然。
菊あわせ (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
おう/\とこゑをかけつてわづか人種ひとだねきぬのをるばかり、八を八百ねんあめなかこもると九日目こゝのかめ真夜中まよなかから大風たいふう吹出ふきだしてそのかぜいきほひこゝがたうげといふところたちま泥海どろうみ
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
電燈のついたばかりの、町店が、一軒、檐下のきしたのごく端近はしぢかで、大蜃おおはまぐり吹出ふきだしたような、湯気をむらむらと立てると、蒸籠せいろうからへぶちまけました、うまそうな、饅頭と、真黄色な?……
菊あわせ (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
で、なんでもおもしろくツてをかしくツて吹出ふきださずにはられない。
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
透間すきまのぞいてれ/″\に灰色はひいろいき吹出ふきだす。
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
段々だん/\くらくなる、くらむ、かぜ吹出ふきだす。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)