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化
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な
ふりがな文庫
“
化
(
な
)” の例文
斯
(
か
)
くして、三日の
後
(
のち
)
に重蔵は死んだ。人間の運命は不思議なもので、彼は
故郷
(
こきょう
)
の土と
化
(
な
)
るべく、偶然にここへ帰って来たのであった。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
婬乱者が竜と
化
(
な
)
った物語は、『毘奈耶雑事』と『戒因縁経』に出で、話の本人を妙光女とも善光女とも訳し居るが、概要はこうだ。
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
何の
艶
(
つや
)
もない濁った煙色に
化
(
な
)
り、見る/\
天穹
(
てんきゅう
)
を
這
(
は
)
い上り、大軍の散開する様に、東に、西に、天心に、ず、ずうと広がって来た。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
吾妻は
暫
(
し
)
ばし川地の
面
(
おもて
)
ながめ居りしが、
忽如
(
たちまち
)
、
蒼
(
あを
)
く
化
(
な
)
りて声ひそめつ「——ぢや、又た肺病の
黴菌
(
ばいきん
)
でも
呑
(
の
)
まさうと
云
(
いふ
)
んですか——」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
ただ自分の吐く息のみが白く見え、その息もまた、口のまわりの
生
(
う
)
ぶ毛にたかるとすぐ霜に
化
(
な
)
るかと疑われるほど冷たいのである。
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
僕の竹馬の友で、親友で、妻の媒介人で、何かにつけて
兄侍
(
けいじ
)
していた今井は、こうしてただ一片の骨と
化
(
な
)
ってしまった…………。
友人一家の死
(新字新仮名)
/
松崎天民
(著)
「黄金を作る者は地上の悪魔也。彼等の触るる異性は悉く肉慾の奴隷と化し、肉慾の奴隷と化し能わざる異性は悉く血泥と
化
(
な
)
る」
悪魔祈祷書
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
紙は見る間に燃えて行った。捨吉は土蔵の
廂間
(
ひあわい
)
にあった裏の畠を掃く
草箒
(
くさぼうき
)
を手にしたまま、丹精した草稿が灰に
化
(
な
)
って行くのを眺めていた。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
母親は近所の人に向って今頃はどないにか大きくなって、すっかり様子も都風と
化
(
な
)
ってよい丁稚になったでしょうと話した。
蝋人形
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「ああ、急いでね。早乙女のお殿様のお目の前で女に
化
(
な
)
ってお見せ申すのも一興だから、一ツ腕によりをかけて頼みますよ」
旗本退屈男:11 第十一話 千代田城へ乗り込んだ退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
こうして人間の面を
被
(
かぶ
)
っておればこそ、の、
私
(
わし
)
が顔を
暴露
(
むきだ
)
いたら、さて、
一堪
(
ひとたま
)
りものう、
髯
(
ひげ
)
が生えた
玩弄物
(
おもちゃ
)
に
化
(
な
)
ろうが。
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
松浦
(
まつら
)
佐用媛
(
さよひめ
)
は夫に別れた悲しさの余り、そのまゝ石に
化
(
な
)
つてしまつたといふぢやないか、
詰
(
つま
)
り石は生の極致だね。」
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
風もない青空に、黄に
化
(
な
)
りきった
公孫樹
(
いちょう
)
は、静かに影を畳んで休ろうていた。白い化粧煉瓦を張った長い塀が、いかにも澄んだ冬の空気を映していた。
冬の日
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
『では、
未
(
ま
)
だお
前
(
まへ
)
はそれを
知
(
し
)
らないんだわ』と
云
(
い
)
つて
愛
(
あい
)
ちやんは、『でも、お
前
(
まへ
)
が
蛹
(
さなぎ
)
に
化
(
な
)
つてから——
何時
(
いつ
)
かしら
屹度
(
きつと
)
解
(
わか
)
るわ——それから
更
(
ま
)
た
蝶
(
てふ
)
になる
時
(
とき
)
に、 ...
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
亞拉比亞夜話
(
アラビヤンナイト
)
の
曾邊伊傳
(
ソベイデ
)
の
譚
(
はなし
)
や、西洋奇談の魔法使ひや、驢馬に
化
(
な
)
された西藏王子の話を聞かして貰つて
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
針金
(
はりがね
)
のやうな
火
(
ひ
)
をちらりと
持
(
も
)
つた
落葉
(
おちば
)
の
一
(
ひと
)
ひら/\が
煙
(
けぶり
)
と
共
(
とも
)
に
輕
(
かる
)
く
騰
(
のぼ
)
つた。
落葉
(
おちば
)
は
直
(
す
)
ぐに
白
(
しろ
)
い
灰
(
はひ
)
に
化
(
な
)
つて
更
(
さら
)
に
幾
(
いく
)
つかに
分
(
わか
)
れて
與吉
(
よきち
)
の
頭髮
(
かみ
)
から
卯平
(
うへい
)
の
白髮
(
かみ
)
に
散
(
ち
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
燠に
化
(
な
)
つた
榾
(
ほだ
)
の呟き。——わたしの
脊椎
(
せきつゐ
)
を
外
(
はづ
)
しとつてする「
洗骨式
(
せんこつしき
)
」を、……でなければ、肉体の髄を
焙
(
や
)
きつくしてする「
風葬祭
(
ふうさうさい
)
」を、……そんな
末枯
(
うらが
)
れた夢見もするわな。
雪
(新字旧仮名)
/
高祖保
(著)
それからもう一つ、卓一がいうんですが、今までの自分というものに愛想が尽きたので、之を機会に信造に
化
(
な
)
って、無口で真面目な人間に更生しようと考えた、とこういうんです
青服の男
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
ほんにその、天竺のをなごの
化
(
な
)
り変つたのがあの鳥で、み経の名を呼ばはるのかえ。
死者の書:――初稿版――
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
今一つは肥後の阿蘇氏の先祖のことであるが、景行紀によると、天皇が肥後の國に行かれた時に、阿蘇都彦・阿蘇都媛といふ神が、人に
化
(
な
)
つて現れたといふことになつてゐるのである。
女真種族の同源伝説
(旧字旧仮名)
/
内藤湖南
(著)
水戸
(
みなと
)
の神の
孫
(
ひこ
)
櫛八玉
(
くしやたま
)
の神
膳夫
(
かしはで
)
二一
となりて、天つ
御饗
(
みあへ
)
二二
獻る時に、
祷
(
ほ
)
ぎ白して、櫛八玉の神鵜に
化
(
な
)
りて、
海
(
わた
)
の底に入りて、底の
埴
(
はこ
)
を
咋
(
く
)
ひあがり出でて
二三
、天の八十
平瓮
(
びらか
)
二四
を作りて
古事記:02 校註 古事記
(その他)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
今まで現実の我れとして筆
執
(
と
)
りつゝありし我れが、はつと思ふ刹那に忽ち天地の奥なる実在と
化
(
な
)
りたるの意識、我は没して神みづからが現に筆を執りつゝありと感じたる意識とも言ふべき
歟
(
か
)
。
予が見神の実験
(新字旧仮名)
/
綱島梁川
(著)
吉良は、背骨が棒に
化
(
な
)
ったように硬直して、唾を
呑
(
の
)
んでいるだけだった。
元禄十三年
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
海へはいつて蛤に
化
(
な
)
つて了つた親雀は
都会と田園
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
讃頌
(
ほめうた
)
こだまにこたへ、
化
(
な
)
り出でたる
機縁:(友なる画家の画稿に題す)
(新字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
田鼠
(
たねずみ
)
や
化
(
な
)
りおほせても草隱れ
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
石と
化
(
な
)
りぬる楠の橋
花守
(旧字旧仮名)
/
横瀬夜雨
(著)
南米のチピウヤン人信じたは大兎神諸獣を率いて水に浮び大洋底より採った砂粒一つもて大地を造り部下の諸獣を人間に
化
(
な
)
した。
十二支考:02 兎に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
次に、どこかで玄徳の大音声がきこえると、四方の山沢、みな鼓を鳴らし、奔激の渓流、
挙
(
こぞ
)
って
鬨
(
とき
)
をあげ、草木みな兵と
化
(
な
)
ったかと思われた。
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
猟人等は驚いて、
之
(
これ
)
は
恐
(
おそら
)
く山の神であろうと、
後
(
のち
)
の
祟
(
たたり
)
を恐れて捨てて置いたら、自然に腐って骨に
化
(
な
)
って
了
(
しま
)
ったと、
橘南谿
(
たちばななんけい
)
の
西遊記
(
せいゆうき
)
に書いてある。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
幸い持合せの
些
(
ちと
)
泥臭
(
どろくさ
)
いが見かけは立派な
円筒形
(
えんとうけい
)
の大きな
舶来
(
はくらい
)
唐墨
(
とうぼく
)
があったので、
快
(
こころよ
)
く用立てた。今夜見れば
墨痕
(
ぼくこん
)
美わしく「
彰忠
(
しょうちゅう
)
」の二字に
化
(
な
)
って居る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
空は
同一
(
おなじ
)
ほど長方形に屋根を抜いてあるので、雨も雪も
降込
(
ふりこ
)
むし、水が
溜
(
たま
)
つて
濡
(
ぬ
)
れて居るのに、以前
女髪結
(
おんなかみゆい
)
が住んで居て、
取散
(
とりちら
)
かした
元結
(
もっとい
)
が
化
(
な
)
つたといふ
処方秘箋
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
むかし、
支那
(
しな
)
の
莊周
(
さうしう
)
といふ
人
(
ひと
)
は、
夢
(
ゆめ
)
に
胡蝶
(
こてふ
)
と
化
(
な
)
つたと
云
(
い
)
ふ
話
(
はな
)
しがありますが、
夢
(
ゆめ
)
なればこそ、
漫々
(
まん/\
)
たる
大海原
(
おほうなばら
)
を
徒渉
(
かちわた
)
りすることも
出來
(
でき
)
ます、
空飛
(
そらと
)
ぶ
鳥
(
とり
)
の
眞似
(
まね
)
も
出來
(
でき
)
ます。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
と
蠱術
(
まじなひ
)
のやうな事を言つてみたが、ビフテキは別段猫に
化
(
な
)
つて逃げ出さうともしなかつた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
ほんまにその、
天竺
(
てんじく
)
のおなごが、あの鳥に
化
(
な
)
り変って、み経の名を呼ばるるのかえ。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
とお婆さんが木戸口から顔を出した頃は、捨吉の草稿はあらかた灰に
化
(
な
)
っていた。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
何時の間に
貴女
(
あなた
)
は
其様
(
そん
)
な弱き心にお
化
(
な
)
りでした、——先夜始めて新聞社の二階で御面会致した時、貴女と同じ不幸に
陥
(
おちい
)
つてる
女
(
ひと
)
、又陥りかけてる女が何千何万とも
限
(
かぎり
)
ないのであるから
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
若
(
も
)
しその水を飲んで命があるものならどんな重い熱病も
癒
(
なお
)
るが、死ぬものなら身体がやはりどくだみ草の色と
化
(
な
)
って死んでしまうと聞いた——この時、黒い鳥が空を幾羽となく飛んでいた。
不思議な鳥
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
みな
冷
(
ひ
)
やき石の
世
(
よ
)
と
化
(
な
)
りぞゆく、あな
恐怖
(
おそれ
)
より。
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
化
(
な
)
りしすがたも
趁
(
お
)
ふべけれ。
独絃哀歌
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
篤信が引いた『旧事記』は怪しい物となし
措
(
お
)
くも、保食神の頂より牛馬
化
(
な
)
り
出
(
で
)
しと神代巻一書に見え、
天斑馬
(
あまのぶちこま
)
の事と、
日子遅神
(
ひこじのかみ
)
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
その餓鬼に、こうされると思うと、お杉は、郷土の者に対する大義名分ばかりでなく、感情だけでも、このまま土に
化
(
な
)
ることはできなかった。
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
又、彼等の皮膚が
赭土色
(
あかつちいろ
)
に
化
(
な
)
って
了
(
しま
)
ったのは、生れてから死ぬまで岩石や赭土の中に棲んでいる為である。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
宝塔
(
ほうたふ
)
の
如
(
ごと
)
きに
接
(
せつ
)
した
時
(
とき
)
は、
邪気
(
じやき
)
ある
凡夫
(
ぼんぷ
)
は、
手足
(
てあし
)
もすくんでそのまゝに
踞
(
しやが
)
んだ
石猿
(
いしざる
)
に
化
(
な
)
らうかとした。
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
彼は蛇を嫌う権理がないばかりではなく、蛇は恐らく虫に
化
(
な
)
って居る彼自身ではあるまいか。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
「ハア、
貴嬢
(
あなた
)
は
劇
(
にわか
)
に非常なる厭世家にお
化
(
な
)
りでしたネ」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
草も木もかの
誘惑
(
いざなひ
)
に
化
(
な
)
されつる
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
今日もインドで
吝嗇漢
(
しわんぼう
)
嗣子なく、死ねば蛇と
化
(
な
)
って遺財を守るという(エントホヴェン輯『グジャラット
民俗記
(
フォークローアノーツ
)
』一一九頁)。
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
「盆地の襲兵ども、今だぞ、
淵
(
ふち
)
を出て雲と
化
(
な
)
れ! 野をめぐって敵を抱きこみ、みなごろしにして、血の雨を見せよ」
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「あんなものは、今頃何に
化
(
な
)
っているか分りませんよ、よう、ですから、銑さん。」
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“化”の解説
化(か)は、漢姓の一つ。
(出典:Wikipedia)
化
常用漢字
小3
部首:⼔
4画
“化”を含む語句
化粧
変化
道化
變化
教化
化物
孵化
所化
文化
道化師
消化
薄化粧
造化
化学
勧化
化膿
化生
化鳥
道化役
化転
...