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前垂
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まへだれ
ふりがな文庫
“
前垂
(
まへだれ
)” の例文
赤
前垂
(
まへだれ
)
の赤
襷
(
だすき
)
、それを片はづしに、
貫入
(
くわんにふ
)
の入つたやうな厚化粧、此處を先途と、地獄の三丁目まで屆きさうな嬌聲を發するのです。
銭形平次捕物控:314 美少年国
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
さういふ
伴侶
(
なかま
)
の
殊
(
こと
)
に
女
(
をんな
)
は
人目
(
ひとめ
)
の
少
(
すくな
)
い
黄昏
(
たそがれ
)
の
小徑
(
こみち
)
につやゝかな
青物
(
あをもの
)
を
見
(
み
)
ると
遂
(
つひ
)
した
料簡
(
れうけん
)
からそれを
拗切
(
ちぎ
)
つて
前垂
(
まへだれ
)
に
隱
(
かく
)
して
來
(
く
)
ることがある。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
羽織、半纏、或は
前垂
(
まへだれ
)
、
被布
(
ひふ
)
なんどいふものの此外になほ多けれどいづれも本式のものにあらず、別に
項
(
かう
)
を分ちて以て礼服とともに
詳記
(
しやうき
)
すべし。
当世女装一斑
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
言寄
(
いひよ
)
る
語
(
ことば
)
に
圍
(
かこ
)
まれても、
戀
(
こひ
)
する
眼
(
まなこ
)
に
襲
(
おそ
)
はれても、いっかな
心
(
こゝろ
)
を
動
(
うご
)
かさぬ、
賢人
(
けんじん
)
を
墮落
(
だらく
)
さする
黄金
(
こがね
)
にも
前垂
(
まへだれ
)
をば
擴
(
ひろ
)
げぬ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
白い汚れた
前垂
(
まへだれ
)
を掛けたボーイは私の前に
肉差
(
にくさし
)
や
匙
(
さじ
)
を置いて、暗い
暖簾
(
のれん
)
の掛つた方から
牡蠣
(
かき
)
のスウプを運んで来た。
犬
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
惣兵衛ちやんは矢を削つてしまふと、
前垂
(
まへだれ
)
から
緑
(
あを
)
い削り
屑
(
くづ
)
を、はらひ落しながら、ふと紙鳶に眼をとめた。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
その
御隱居
(
ごいんきよ
)
さま
寸白
(
すばく
)
のお
起
(
おこ
)
りなされてお
苦
(
くる
)
しみの
有
(
あり
)
しに、
夜
(
よ
)
を
徹
(
とほ
)
してお
腰
(
こし
)
をもみたれば、
前垂
(
まへだれ
)
でも
買
(
か
)
へとて
下
(
くだ
)
された、それや、これや、お
家
(
うち
)
は
堅
(
かた
)
けれど
他處
(
よそ
)
よりのお
方
(
かた
)
が
贔負
(
ひいき
)
になされて
大つごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
縞
(
しま
)
の
羽織
(
はおり
)
の
筒袖
(
つゝそで
)
を
細
(
ほそ
)
く
着
(
き
)
た、
脇
(
わき
)
あけの
口
(
くち
)
へ、
腕
(
かひな
)
を
曲
(
ま
)
げて、
些
(
ちつ
)
と
寒
(
さむ
)
いと
云
(
い
)
つた
體
(
てい
)
に、
兩手
(
りやうて
)
を
突込
(
つツこ
)
み、ふりの
明
(
あ
)
いた
處
(
ところ
)
から、
赤
(
あか
)
い
前垂
(
まへだれ
)
の
紐
(
ひも
)
が
見
(
み
)
える。
松の葉
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
おつぎは
手桶
(
てをけ
)
の
底
(
そこ
)
の
凍
(
こほ
)
つた
握飯
(
にぎりめし
)
を
燒趾
(
やけあと
)
の
炭
(
すみ
)
に
火
(
ひ
)
を
起
(
おこ
)
して
狐色
(
きつねいろ
)
に
燒
(
や
)
いてそれを二つ三つ
前垂
(
まへだれ
)
にくるんで
行
(
い
)
つて
見
(
み
)
た。おつぎはこつそりと
覗
(
のぞ
)
くやうにして
見
(
み
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
あとに残された栄蔵は、
閾
(
しきゐ
)
の外に
乞食
(
こじき
)
の子のやうに、もぞもぞして、
前垂
(
まへだれ
)
の端をひつぱつてゐた。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
この脇差の
柄
(
つか
)
を縛つた
前垂
(
まへだれ
)
を何處へ隱した。先刻まで、少し血が付いて居るのに氣が付かずに、其處へ放つて置いたらう、——俺はそれを隱させる積りで此處を明けてやつたんだ。
銭形平次捕物控:023 血潮と糠
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
少
(
すこ
)
し
御新造
(
ごしんぞ
)
は
機嫌
(
きげん
)
かいなれど、
目色
(
めいろ
)
顏色
(
かほいろ
)
を
呑
(
の
)
みこんで
仕舞
(
しま
)
へば
大
(
たい
)
した
事
(
こと
)
もなく、
結句
(
けつく
)
おだてに
乘
(
の
)
る
質
(
たち
)
なれば、
御前
(
おまへ
)
の
出樣
(
でやう
)
一つで
半襟
(
はんゑり
)
半
(
はん
)
がけ
前垂
(
まへだれ
)
の
紐
(
ひも
)
にも
事
(
こと
)
は
欠
(
か
)
くまじ、
御身代
(
ごしんだい
)
は
町内
(
てうない
)
第
(
だい
)
一にて
大つごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
前垂
(
まへだれ
)
がけの
半纏着
(
はんてんぎ
)
、
跣足
(
はだし
)
に
駒下駄
(
こまげた
)
を
穿
(
は
)
かむとして、
階下
(
かいか
)
につい
居
(
ゐ
)
る
下足番
(
げそくばん
)
の
親仁
(
おやぢ
)
の
伸
(
のび
)
をする
手
(
て
)
に、
一寸
(
ちよつと
)
握
(
にぎ
)
らせ
行
(
ゆ
)
く。
親仁
(
おやぢ
)
は
高々
(
たか/″\
)
と
押戴
(
おしいたゞ
)
き、
毎度
(
まいど
)
何
(
ど
)
うも、といふ。
弥次行
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
おつぎは
勘次
(
かんじ
)
が
漸
(
やうや
)
くにして
求
(
もと
)
めた
僅
(
わづか
)
な
米
(
こめ
)
を
竊
(
そつ
)
と
前垂
(
まへだれ
)
に
隱
(
かく
)
して
持
(
も
)
つて
行
(
い
)
つた。
米
(
こめ
)
には
挽割麥
(
ひきわり
)
が
交
(
まじ
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
しもやけのまだすつかり
癒
(
なほ
)
らない小さい手は、することがないので
前垂
(
まへだれ
)
の下へ入れて。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
少し
御新造
(
ごしんぞ
)
は機嫌かいなれど、目色
顔色
(
かほいろ
)
を
呑
(
の
)
みこんでしまへば大した事もなく、結句おだてに乗る
質
(
たち
)
なれば、
御前
(
おまへ
)
の出様一つで
半襟
(
はんゑり
)
半がけ
前垂
(
まへだれ
)
の
紐
(
ひも
)
にも事は欠くまじ、御身代は町内第一にて
大つごもり
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
……
幾干
(
いくら
)
か
小遣
(
こづかひ
)
があると
見
(
み
)
えて、
時々
(
とき/″\
)
前垂
(
まへだれ
)
の
隙間
(
すきま
)
から、
懷中
(
くわいちう
)
を
覗込
(
のぞきこ
)
んで、ニヤリと
遣
(
や
)
る。
松の葉
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
誰
(
たれ
)
か
拵
(
こしら
)
へるものが
居
(
ゐ
)
て、
直
(
す
)
ぐ
其
(
それ
)
を
売
(
う
)
るらしい。
破莚
(
やれむしろ
)
の
上
(
うへ
)
は、
藍
(
あゐ
)
の
絵具
(
ゑのぐ
)
や、
紅殻
(
べにがら
)
だらけ——
婆
(
ばあ
)
さんの
前垂
(
まへだれ
)
にも、ちら/\
霜
(
しも
)
のやうに
胡粉
(
ごふん
)
がかゝつた。
其
(
そ
)
の
他
(
た
)
角細工
(
つのざいく
)
も
種々
(
いろ/\
)
ある。……
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
襟
(
えり
)
からの
前垂
(
まへだれ
)
幅廣
(
はゞびろ
)
な
奴
(
やつ
)
を、
遣放
(
やりぱな
)
しに
尻下
(
しりさが
)
りに
緊
(
し
)
めた、あとのめりに
日和下駄
(
ひよりげた
)
で
土間
(
どま
)
に
突立
(
つツた
)
ち、
新
(
あたら
)
しいのを
當
(
あて
)
がつても
半日
(
はんにち
)
で
駈破
(
かけやぶ
)
る、
繼
(
つぎ
)
だらけの
紺足袋
(
こんたび
)
、
膝
(
ひざ
)
ツきり
草色
(
くさいろ
)
よれ/\の
股引
(
もゝひき
)
で
松の葉
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
座
(
ざ
)
にあるもの
二言
(
にごん
)
と
無
(
な
)
い。
喜
(
よろこ
)
び
勇
(
いさ
)
んで、
煙管
(
きせる
)
を
筒
(
つゝ
)
にしまふやら、
前垂
(
まへだれ
)
を
拂
(
はた
)
くやら。
画の裡
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
お
品
(
しな
)
は
受取
(
うけと
)
つて、
青
(
あを
)
い
状袋
(
じやうぶくろ
)
の
上書
(
うはがき
)
をじつと
見
(
み
)
ながら、
片手
(
かたて
)
を
垂
(
た
)
れて
前垂
(
まへだれ
)
のさきを
抓
(
つま
)
むで
上
(
あ
)
げつゝ、
素足
(
すあし
)
に
穿
(
は
)
いた
黒緒
(
くろを
)
の
下駄
(
げた
)
を
揃
(
そろ
)
へて
立
(
た
)
つてたが、
一寸
(
ちよつと
)
飜
(
かへ
)
して、
裏
(
うら
)
の
名
(
な
)
を
讀
(
よ
)
むと、
顏
(
かほ
)
の
色
(
いろ
)
が
動
(
うご
)
いて
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
髯
(
ひげ
)
やら
前垂
(
まへだれ
)
やら
判然
(
はんぜん
)
と
區別
(
くべつ
)
が
着
(
つ
)
かぬ。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
“前垂(前垂れ)”の解説
前垂れ(まえだれ、江戸方言では「まえだら」とも)もしくは帆前掛(ほまえかけ)は、商家にはたらく人や女中などが衣服に汚れがつかないよう、帯から下に掛ける布のこと。単に前掛けと呼ぶこともある。
(出典:Wikipedia)
前
常用漢字
小2
部首:⼑
9画
垂
常用漢字
小6
部首:⼟
8画
“前垂”で始まる語句
前垂掛
前垂姿
前垂帶
前垂形
前垂懸