トップ
>
内外
>
うちそと
ふりがな文庫
“
内外
(
うちそと
)” の例文
突き当りに
牡丹
(
ぼたん
)
に
孔雀
(
くじゃく
)
をかいた、
塗縁
(
ぬりぶち
)
の杉戸がある。上草履を脱いで這入って見ると
内外
(
うちそと
)
が障子で、内の障子から明りがさしている。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
加賀近国では、よし、それまでになくても、
内外
(
うちそと
)
能登の浦づたいをしないと、幅が利かなかったらしいのです。今からだと夢のようです。
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それについても定めて
内外
(
うちそと
)
から色々の苦情があったことゝ察しられますが、当人が飽までも遊芸に執着しているのだから仕方がありません。
三浦老人昔話
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
己が
儘
(
まゝ
)
に
掻𢌞
(
かきまは
)
し
我儘
(
わがまゝ
)
氣儘
(
きまゝ
)
に
振舞
(
ふるまひ
)
居
(
ゐ
)
たりしが何時しか町内廻りの
髮結
(
かみゆひ
)
清三郎と
密通
(
みつつう
)
をなし
内外
(
うちそと
)
の目を忍びて物見遊山に
浪費
(
ついえ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「
何處
(
どこ
)
らか
歩
(
ある
)
いて
來
(
き
)
たと
見
(
み
)
えて
足
(
あし
)
埃
(
ほこり
)
だらけだと」二三
人
(
にん
)
の
聲
(
こゑ
)
で
戯談
(
ぜうだん
)
を
返
(
かへ
)
した。
家
(
いへ
)
の
内外
(
うちそと
)
のむつとした
空氣
(
くうき
)
が
益
(
ます/\
)
ざわついた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
▼ もっと見る
皆は家の
内外
(
うちそと
)
を探し廻った。すると一人の女中が彼女を見つけ出した。彼女は庭の隅にぼんやり立っていたそうである。
子を奪う
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
「それから、丹波屋の三軒長屋も
内外
(
うちそと
)
から當つて見ましたが、三軒ともまことに神妙で、少しも變ることはありません」
銭形平次捕物控:316 正月の香り
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
さすれば
内裡
(
だいり
)
の
内外
(
うちそと
)
ばかりうろついて
居
(
お
)
る予などには、思いもよらぬ
逸事
(
いつじ
)
奇聞が、舟にも載せ車にも積むほど、四方から集って参るに相違あるまい。
竜
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
清十郎既に人を殺して勘十郎の見出すところとなり、家の
内外
(
うちそと
)
に
大騒擾
(
おほさうぜう
)
となりたる時にお夏は狂乱したり、其狂乱は次の如き霊妙の筆に描出せらる。
「歌念仏」を読みて
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
女学校で
用
(
つか
)
う手芸用の
箆
(
へら
)
だよ、此奴が裏の塀の根元を掘て手紙を埋めたり掘出したりした奴さ、塀の
内外
(
うちそと
)
は夜なら誰にも知れず一仕事やれるからね
誘拐者
(新字新仮名)
/
山下利三郎
(著)
葬式の出る前は
沸騰
(
にえかえ
)
るようなごたつきであった。家の
内外
(
うちそと
)
には、ぎッしり人が
塞
(
つま
)
って、それが秩序もなく動いていた。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
はばかるように車の
内外
(
うちそと
)
から声がかわされた。
幌
(
ほろ
)
にのしかかって来る風に抵抗しながら車は
闇
(
やみ
)
の中を動き出した。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
翌日
(
あくるひ
)
の午後は、会葬の
男女
(
をとこをんな
)
が番小屋の
内外
(
うちそと
)
に集つた。牧場の持主を始め、日頃牝牛を預けて置く牛乳屋なぞも、其と聞伝へたかぎりは弔ひにやつて来た。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
町の恰度
中央
(
なかほど
)
の大きい
造酒家
(
さかや
)
の前には、往来に盛んに
篝火
(
かがり
)
を焚いて、其
周囲
(
めぐり
)
、
街道
(
みち
)
なりに楕円形な輪を作つて、踊が初まつてゐる。輪の
内外
(
うちそと
)
には沢山の見物。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
小用
(
こよう
)
に行きたいから是非出してくれ、もし出さなければ倉の中で用を足すが好いかといって、網戸の
内外
(
うちそと
)
で母と論判をした話はいまだに健三の耳に残っていた。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そして駿介は、その間もぢつとしては居ず、治つてからは一層、家の
内外
(
うちそと
)
の仕事に忙しかつた。
生活の探求
(旧字旧仮名)
/
島木健作
(著)
人さえいなければそういって
溜息
(
ためいき
)
をつくのは夜ごと日ごとのことである。さりとてよそ目に見たおとよは、元気よく
内外
(
うちそと
)
の人と世間話もする。人が笑えば共に笑いもする。
春の潮
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
良介は、部屋の中に幾つも棚をつくつたり、運動と称して朝夕
内外
(
うちそと
)
を猛烈な勢ひで掃除した。彼の家が、この頃のやうにキレイに片づき掃除の行きとゞいたのは初めてだつた。
秋晴れの日
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
平生
(
しよつちゆう
)
参りたいツて言ふんで御座いますよ、けれども
御存知
(
ごぞんじ
)
下ださいます通り家の
内外
(
うちそと
)
、忙しいもンですから、思ふばかりで
一寸
(
ちつと
)
も出られないので御座いますから、
嬢等
(
むすめども
)
にもネ
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
そのふるえた、どこか臆病げな
声色
(
こわいろ
)
は、外に立っている黙った尼さんのような木立にも聞えるように、窓の
内外
(
うちそと
)
には、厭らしい沈黙の他にこの様子を見守っているものがなかった。
夜の喜び
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
するとそれが愛子であつた。新橋ならまだしも、上野では一寸珍らしい出迎へだ。改札口の
内外
(
うちそと
)
に人だかりがしてどの目もどの目も愛子に注がれて居る。俺は心に怯れが出て来た。
畜生道
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
風の音にも心をおく身、魯達が窓から下をさし
覗
(
のぞ
)
くと、手に手に棍棒などを持った若者二、三十人をひき連れて、馬に乗った
長者
(
ちょうじゃ
)
風の一人物が、しきりと妾宅の
内外
(
うちそと
)
を
窺
(
うかが
)
っている。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
かくのごとく、天使の手より立昇りてふたゝび
内外
(
うちそと
)
に降れる花の雲の中に 二八—三〇
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
一〇、コルシカ人の急所は
大鍋
(
おおなべ
)
の中に。翌日の午後、コン吉はコルテの町からさまざまな買物を
騾馬
(
ろば
)
の背に満載して帰って来た。それと同時に『極楽荘』の
内外
(
うちそと
)
には大改革が行なわれた。
ノンシャラン道中記:05 タラノ音頭 ――コルシカ島の巻――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
雨のしとしとと降る晩など、ふけるにつれて、ちょいとちょいとの声も途絶えがちになると、家の
内外
(
うちそと
)
に
群
(
むらが
)
り鳴く蚊の声が耳立って、いかにも場末の裏町らしい
侘
(
わび
)
しさが感じられて来る。
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
蒲団
(
ふとん
)
は
藻抜
(
もぬ
)
けの
空
(
から
)
になっているし、台所の戸口が一パイに開け放されて月あかりが
映
(
さ
)
しているので、どこに行ったのか知らんと家の
内外
(
うちそと
)
を見まわったが、出て行ったあとで又、雪が降ったらしく
復讐
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
譬
(
たと
)
えば封建の世に大名の家来は表向きみな忠臣のつもりにて、その形を見れば君臣上下の名分を正し、辞儀をするにも
敷居
(
しきい
)
一筋の
内外
(
うちそと
)
を争い、亡君の
逮夜
(
たいや
)
には
精進
(
しょうじん
)
を守り、若殿の誕生には
上下
(
かみしも
)
を着し
学問のすすめ
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
馬車の窓に輝きし夕日は落ちて、氷川町の
邸
(
やしき
)
に着けば、
黄昏
(
たそがれ
)
ほのかに
栗
(
くり
)
の花の
香
(
か
)
を浮かべつ。門の
内外
(
うちそと
)
には荷車釣り台など見えて、
脇
(
わき
)
玄関にランプの
火光
(
あかり
)
さし、人の声す。物など運び入れしさまなり。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
私は
内外
(
うちそと
)
に気兼ねをしながら見ていました。
幕末維新懐古談:17 猫と鼠のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
薬が
内外
(
うちそと
)
一面に染みるように
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
根を掘上げたばかりと思う、見事な蓮根が
柵
(
さく
)
の
内外
(
うちそと
)
、浄土の
逆茂木
(
さかもぎ
)
。勿体ないが、
五百羅漢
(
ごひゃくらかん
)
の
御腕
(
おんうで
)
を、組違えて揃う中に、
大笊
(
おおざる
)
に
慈姑
(
くわい
)
が二杯。
古狢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
尋
(
たづね
)
て
能々
(
よく/\
)
相談
(
さうだん
)
なし給へと
勸
(
すゝ
)
めるに付彦三郎は
御深切
(
ごしんせつ
)
の
御詞
(
おことば
)
忝
(
かたじ
)
けなしと
打悦
(
うちよろこ
)
び
内外
(
うちそと
)
の
事共
(
ことども
)
諜合
(
しめしあは
)
せ橋本町へぞ急ぎける
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
これから
半刻
(
はんとき
)
ばかり以前の事である。
藤判官
(
とうほうがん
)
の屋敷を、表から襲った
偸盗
(
ちゅうとう
)
の一群は、中門の右左、車宿りの
内外
(
うちそと
)
から、思いもかけず射出した矢に、まず肝を破られた。
偸盗
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
固
(
もと
)
より
壁
(
かべ
)
を
塗
(
ぬ
)
る
暇
(
ひま
)
はない。そこらこゝらの
林
(
はやし
)
の
間
(
あひだ
)
に
刈
(
か
)
り
残
(
のこ
)
された
萱
(
かや
)
や
篠
(
しの
)
を
刈
(
か
)
つて
來
(
き
)
て、
乏
(
とぼ
)
しい
藁
(
わら
)
と
交
(
ま
)
ぜて
垣根
(
かきね
)
でも
結
(
ゆ
)
ふやうにそれを
内外
(
うちそと
)
から
裂
(
さ
)
いた
竹
(
たけ
)
を
當
(
あ
)
てゝぎつと
締
(
し
)
めた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
「これからが大変で、目黒の尼寺の通善が、俗名のお
通
(
つう
)
に
還
(
かえ
)
って根津宮永町の石井依右衛門のところへ入ってザッと一年半、
内外
(
うちそと
)
の評判は此上なし、綺麗で親切で、物柔かくて道心堅固で——」
銭形平次捕物控:241 人違い殺人
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
男もので手さえ通せばそこから着て
行
(
ゆ
)
かれるまでにして、正札が品により、二分から三両
内外
(
うちそと
)
まで、膝の
周囲
(
まわり
)
にばらりと
捌
(
さば
)
いて、
主人
(
あるじ
)
はと見れば、
上下縞
(
うえしたしま
)
に折目あり。
露肆
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
だから
柘榴口
(
ざくろぐち
)
の
内外
(
うちそと
)
は、すべてがまるで戦場のように騒々しい。そこへ
暖簾
(
のれん
)
をくぐって、
商人
(
あきうど
)
が来る。
物貰
(
ものもら
)
いが来る。客の出入りはもちろんあった。その混雑の中に——
戯作三昧
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
贔屓
(
ひいき
)
し御用も追々多くなり今は
利兵衞方
(
りへゑかた
)
にても吉兵衞なくては
叶
(
かな
)
はぬ樣に相成けり
然共
(
されども
)
吉兵衞は少も
高
(
たか
)
ぶらず
傍輩
(
はうばい
)
中
(
なか
)
も
睦
(
むつま
)
しく
古參
(
こさん
)
の者へは
別
(
べつ
)
して
親
(
したし
)
みける故
内外
(
うちそと
)
共に
評判
(
ひやうばん
)
よく利兵衞が
喜
(
よろこ
)
び大方ならず
無二者
(
またなきもの
)
と思ひけり
然
(
しかる
)
に吉兵衞は
熟々
(
つら/\
)
思案
(
しあん
)
するに
最早
(
もはや
)
紀州を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
第一詰め所に坐ったまま、門の
内外
(
うちそと
)
五六間の距離へ絶えず目を
注
(
そそ
)
いでいる。だから保吉の影が見えると、まだその前へ来ない内に、ちゃんともう敬礼の姿勢をしている。
保吉の手帳から
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
十番はどっちへあたるか、二の橋の方は、と思うと、すぐ前を通るらしい豆府屋の声も間遠に聞え、窓の障子に、日が
映
(
さ
)
すともなく、
翳
(
かげ
)
るともなく、
漠
(
ぼう
)
として、妙に
内外
(
うちそと
)
が
寂然
(
ひっそり
)
する。
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
殆
(
ほとん
)
ど、
五分
(
ごふん
)
置
(
お
)
き
六分
(
ろつぷん
)
置
(
お
)
きに
搖返
(
ゆりかへ
)
す
地震
(
ぢしん
)
を
恐
(
おそ
)
れ、また
火
(
ひ
)
を
避
(
さ
)
け、はかなく
燒出
(
やけだ
)
された
人々
(
ひと/″\
)
などが、おもひおもひに、
急難
(
きふなん
)
、
危厄
(
きやく
)
を
逃
(
に
)
げのびた、
四谷見附
(
よつやみつけ
)
そと、
新公園
(
しんこうゑん
)
の
内外
(
うちそと
)
、
幾千萬
(
いくせんまん
)
の
群集
(
ぐんしふ
)
は
露宿
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
殊に春さき、——庭の
内外
(
うちそと
)
の木々の梢に、一度に若芽の
萌
(
も
)
え立つ頃には、この
明媚
(
めいび
)
な人工の景色の背後に、何か人間を不安にする、野蛮な力の迫つて来た事が、一層露骨に感ぜられるのだつた。
庭
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
“内外”の意味
《名詞》
内外(ないがい)
内と外。
国内と国外。
(出典:Wiktionary)
内
常用漢字
小2
部首:⼌
4画
外
常用漢字
小2
部首:⼣
5画
“内外”で始まる語句
内外套
内外儲
内外典
内外宮
内外詣
内外明鑑