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促
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うな
ふりがな文庫
“
促
(
うな
)” の例文
「ぢや、
姉
(
ねい
)
さんは
何方
(
どちら
)
が
好
(
すき
)
だと
仰
(
おつ
)
しやるの」と、妹は姉の手を引ツ張りながら、
面
(
かほ
)
顰
(
しか
)
めて
促
(
うな
)
がすを、姉は空の
彼方
(
あなた
)
此方
(
こなた
)
眺
(
なが
)
めやりつゝ
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
初秋
(
はつあき
)
の
日脚
(
ひあし
)
は、うそ寒く、遠い国の方へ
傾
(
かたむ
)
いて、
淋
(
さび
)
しい山里の空気が、心細い夕暮れを
促
(
うな
)
がすなかに、かあんかあんと鉄を打つ音がする。
二百十日
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
うるはしき淑女はたゞ一の
表示
(
しるし
)
をもて我を
促
(
うな
)
がし彼等につゞいてかの
梯子
(
はしご
)
を上らしむ、その力かくわが自然に勝ちたりき 一〇〇—一〇二
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
平次は手を振つてそれを
拒
(
こば
)
みましたが、結局は麻井幸之進の熱意に打ち負かされて、八五郎を
促
(
うな
)
しながら、一應引揚げる外はなかつたのです。
銭形平次捕物控:221 晒し場は招く
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
麓の方で
晩鐘
(
いりあい
)
が鳴り出した。其鐘の
音
(
ね
)
に
促
(
うな
)
がさるゝかの如く、
鴉
(
からす
)
が
唖〻〻
(
あああ
)
と鳴いて、山の暮から野の
黄昏
(
たそがれ
)
へと飛んで行く。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
▼ もっと見る
何
(
いず
)
れにしても
姫
(
ひめ
)
はその
夕
(
ゆうべ
)
、
両親
(
りょうしん
)
に
促
(
うな
)
がされ、
盛装
(
せいそう
)
してお
側
(
そば
)
にまかり
出
(
い
)
で、
御接待
(
ごせったい
)
に
当
(
あた
)
られたのでした。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
と
促
(
うな
)
がすように言いかけられて、ハタと
行詰
(
ゆきつま
)
ったらしく、
杖
(
ステッキ
)
をコツコツと
瞬
(
またたき
)
一
(
ひと
)
ツ、唇を
引緊
(
ひきし
)
めた。
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
三日
(
みつか
)
に
成
(
な
)
りても
音沙汰
(
おとさた
)
の
無
(
な
)
きに
敏
(
さとし
)
こヽろ
悶
(
もだ
)
え、
甚之助
(
じんのすけ
)
を
見
(
み
)
るごとに
夫
(
そ
)
れとなく
促
(
うな
)
がせば、
僕
(
ぼく
)
も
貰
(
もら
)
つて
遣
(
や
)
りたけれど
姉樣
(
ねえさま
)
が
下
(
くだ
)
さらねばと、
哀
(
あは
)
れ
板
(
いた
)
ばさみに
成
(
な
)
りて
困
(
こま
)
り
入
(
い
)
りし
体
(
てい
)
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
すなわち周囲が死を
促
(
うな
)
がす、ゆえに見事に
死
(
し
)
ぬ。しかし長らく
病疾
(
びょうしつ
)
にかかりてなお帰るがごとく
斃
(
たお
)
るるは容易の業ではない。強き人はよく耐える。よく耐える人を強者という。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
それからドドをいれて扉に鍵をおろすと、座間はカークを
促
(
うな
)
がしながら戸外へ出ていった。やがて本土とのあいだが二町ばかりにせまっている、有名なマラガシュの入江に出た。
人外魔境:01 有尾人
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
故
(
ことさ
)
らに父母の死を
促
(
うな
)
がすがごときは、情において
忍
(
しの
)
びざるところなり。
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
やがてグリフォンが
海龜
(
うみがめ
)
に
云
(
い
)
ふには、『もつと
先
(
さ
)
きをサ!
早
(
はや
)
くしないと
日
(
ひ
)
が
暮
(
くれ
)
るよ!』
促
(
うな
)
がされて
漸
(
やうや
)
く
彼
(
かれ
)
は、『
全
(
まつた
)
く、
私
(
わたし
)
どもは
海
(
うみ
)
の
中
(
なか
)
の
學校
(
がくかう
)
へ
行
(
い
)
つたのです、お
前方
(
まへがた
)
が
信
(
しん
)
じないかも
知
(
し
)
れないけど—』
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
致せし
覺
(
おぼ
)
え更に是なしと云に家主はコレサ
此處
(
ここ
)
にて何を云とも
役
(
やく
)
には立ず覺えなければ早く
來
(
き
)
たり御奉行樣の前にて
辯解
(
いひわけ
)
致
(
いた
)
されよと家主は吉五郎を
促
(
うな
)
がして名主の玄關へ同道なせしに
正面
(
しやうめん
)
には大岡殿を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
とまたしても中川の
長広舌
(
ちょうこうぜつ
)
を
促
(
うな
)
がす。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
と、人目を
惧
(
おそ
)
れて
促
(
うな
)
がした。
夕顔の門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、再び
促
(
うな
)
がされたので
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「梅ちやん、松島さんのお
盃
(
さかづき
)
ですよ」と徳利差し出して、お熊の
促
(
うな
)
がすを、梅子は手を
膝
(
ひざ
)
に置きたるまゝ、目を上げて見んとだにせず
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
みんなは話に気を取られて
浴衣
(
ゆかた
)
を着換えるのを忘れていた。兄は立って、
糊
(
のり
)
の強いのを肩へ掛けながら、「どうだい」と自分を
促
(
うな
)
がした。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
徳庵先生は、
鐵拐仙人
(
てつかいせんにん
)
のやうな長い息を吐くのです。
慈姑
(
くわゐ
)
の取手に
山羊髯
(
やぎひげ
)
、それも
胡麻鹽
(
ごましほ
)
になつて、世に古りた姿ですが、昔は斯ういふ醫者が信用されました。平次が默つて後を
促
(
うな
)
がすと
銭形平次捕物控:304 嫁の死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
他の点はこの一源泉より流露するのであるから、この源頭に向って工夫を下せば他はことごとく刃を迎えて向うから解決を
促
(
うな
)
がす訳である。
写生文
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
日露両国の間、風雲
転
(
うた
)
た急を告ぐるに連れて、梅子の頭上には結婚の回答を
促
(
うな
)
がすの声、
愈々
(
いよ/\
)
切迫し来れり
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
平次は靜かに
促
(
うな
)
がしました。
銭形平次捕物控:194 小便組貞女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
こう解釈した時、誰も彼の精神生活を評してつまらないとは云うまい。コムトは
倦怠
(
アンニュイ
)
をもって社会の進歩を
促
(
うな
)
がす原因と見たくらいである。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「さあ、もう
御膳
(
おぜん
)
を下げたら好かろう」と細君を
促
(
うな
)
がして、
先刻
(
さっき
)
の
達磨
(
だるま
)
をまた畳の上から取って、
人指指
(
ひとさしゆび
)
の先へ
載
(
の
)
せながら
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ところへ事務所のものが御仙の傍へ来て、用意が出来ましたからどうぞと
促
(
うな
)
がしたので、千代子は須永を呼びに裏手へ出た。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「恐れ入ります」と小野さんはちょっと笑ったがすぐ眼を
外
(
そら
)
した。
向側
(
むこうがわ
)
の
硝子戸
(
ガラスど
)
のなかに金文字入の洋書が
燦爛
(
さんらん
)
と詩人の注意を
促
(
うな
)
がしている。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「さあ、もう
御膳
(
おぜん
)
を
下
(
さ
)
げたら
好
(
よ
)
からう」と
細君
(
さいくん
)
を
促
(
うな
)
がして、
先刻
(
さつき
)
の
達磨
(
だるま
)
を
又
(
また
)
疊
(
たゝみ
)
の
上
(
うへ
)
から
取
(
と
)
つて、
人指指
(
ひとさしゆび
)
の
先
(
さき
)
へ
載
(
の
)
せながら
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
代助は
黙
(
だま
)
つて椅子へ
腰
(
こし
)
を卸した。果して
詩
(
し
)
の
為
(
ため
)
に
鉢
(
はち
)
の水を呑んだのか、又は生理上の作用に
促
(
うな
)
がされて飲んだのか、追窮する勇気も
出
(
で
)
なかつた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
夫人に対する義理と
気兼
(
きがね
)
も、けっして軽い因子ではなかった。彼は何度も同じ言葉を繰り返して夫人の説明を
促
(
うな
)
がした。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その衝立には
淡彩
(
たんさい
)
の鶴がたった一羽
佇
(
たた
)
ずんでいるだけで、姿見のように細長いその
格好
(
かっこう
)
が、普通の寸法と違っている意味で敬太郎の注意を
促
(
うな
)
がした。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼女はここへ来て急に
口籠
(
くちごも
)
った。不敏な僕はその後へ何が出て来るのか、まだ
覚
(
さと
)
れなかった。「御前に対して」と
半
(
なか
)
ば彼女を
促
(
うな
)
がすように問をかけた。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼はすぐ
袂
(
たもと
)
に入れてあるリチネを取り出して、飲みにくそうに、どろどろした油の色を眺めた。すると、客間でも時計の音に
促
(
うな
)
がされたような叔父の声がした。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
人々
(
にんにん
)
力をここに致すとき、一般の幸福を
促
(
うな
)
がして、社会を真正の文明に導くが故に、悲劇は偉大である。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
代助は、
其当時
(
そのとうじ
)
平岡から、
兄
(
あに
)
の会社に周旋してくれと依頼されたのを、其儘にして、断わりもせず
今日
(
こんにち
)
迄
放
(
ほう
)
つて置いた。ので、其返事を
促
(
うな
)
がされたのだと受取つた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「そろそろ出かけようか。夜の急行は込むから」ととうとう自分の方で三沢を
促
(
うな
)
がすようになった。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
一年ぐらい暇を貰って遊んで来てはどうですと
促
(
うな
)
がして見たら、そりゃ無論やって
貰
(
もら
)
える、けれどもそれは好まない。私がもし日本を離れる事があるとすれば、永久に離れる。
ケーベル先生
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
主人は「嘘をつけ」と腹の中で言ったまま、ぷかぷか
煙草
(
たばこ
)
をふかす。迷亭は天井を見ながら「君、ありゃ
雨洩
(
あまも
)
りか、板の
木目
(
もくめ
)
か、妙な模様が出ているぜ」と暗に主人を
促
(
うな
)
がす。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
余がかくのごとく回想しつつあった時に例の婆さんがどうです下りましょうかと
促
(
うな
)
がす。
カーライル博物館
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
すべての感情が多くの場合において意志を
促
(
うな
)
がすもの、または意志に変化する傾向のあるものとの学説に従えば、この二
範疇
(
はんちゅう
)
はある点においていっしょに出合うものでしょうが
創作家の態度
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
騒動のあった
明
(
あく
)
る朝、何かの必要に
促
(
うな
)
がされて、
肋
(
あばら
)
の左右に横たえた手を、顔の所まで持って
来
(
き
)
ようとすると、急に持主でも変ったように、自分の腕ながらまるで動かなかった。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その決心は多大の努力を彼女に
促
(
うな
)
がした。彼女の努力は幸い徒労に終らなかった。彼女はついに
酬
(
むく
)
いられた。少なくとも今後の見込を立て得るくらいの程度において酬いられた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
惘然
(
もうぜん
)
として煙草の煙を眺めている。恩賜の時計は一秒ごとに約束の履行を
促
(
うな
)
がす。
橇
(
そり
)
の上に力なき身を託したようなものである。手を
拱
(
こま
)
ぬいていれば自然と約束の
淵
(
ふち
)
へ
滑
(
すべ
)
り込む。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
月は正面からおれの五分
刈
(
がり
)
の頭から顋の
辺
(
あた
)
りまで、
会釈
(
えしゃく
)
もなく
照
(
てら
)
す。男はあっと小声に云ったが、急に横を向いて、もう帰ろうと女を
促
(
うな
)
がすが早いか、
温泉
(
ゆ
)
の町の方へ引き返した。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
余の
視
(
み
)
るところにては、彼の青年は美の一字のために、捨つべからざる命を捨てたるものと思う。死そのものは
洵
(
まこと
)
に壮烈である、ただその死を
促
(
うな
)
がすの動機に至っては解しがたい。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ただ自分の書いたものが自分の思う様な体裁で世の中へ出るのは、内容の価値
如何
(
いかん
)
に関らず、自分
丈
(
だけ
)
は
嬉
(
うれ
)
しい感じがする。自分に対しては此事実が出版を
促
(
うな
)
がすに充分な動機である。
『吾輩は猫である』上篇自序
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
寒月君はもう
善
(
い
)
い加減な時分だと思ったものか「どうも好い天気ですな、
御閑
(
おひま
)
ならごいっしょに散歩でもしましょうか、旅順が落ちたので市中は大変な景気ですよ」と
促
(
うな
)
がして見る。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ただ吐いているうちはよかったが君表のどぶへ
金
(
きん
)
とんを掘りに行きましょうと
促
(
うな
)
がすに至っては僕も降参したね。それから
二三日
(
にさんち
)
するとついに豚仙になって巣鴨へ収容されてしまった。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「
御宅
(
おたく
)
からの様です。
灯火
(
あかり
)
を
持
(
も
)
つて
来
(
き
)
ませうか」と
促
(
うな
)
がす如くに注意した。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
向後日清戦役もしくは日露戦争のごとき不規則なる情操の
勃張
(
ぼっちょう
)
を
促
(
うな
)
がす機会なく日本の歴史が平静に進行するときは、情操は久しからずして科学的精神の圧迫を
蒙
(
こうむ
)
る事は明らかでありますから
創作家の態度
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
大学の外国文学科は従来西洋人の担当で、当事者は一切の授業を外国教師に依頼してゐたが、時勢の進歩と多数学生の希望に
促
(
うな
)
がされて、今度
愈
(
いよいよ
)
本邦人の講義も必須課目として認めるに至つた。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
促
常用漢字
中学
部首:⼈
9画
“促”を含む語句
催促
督促
促織
局促
促進
居催促
御催促
促音
促迫
短促
督促使
息促
急催促
貿易促進
促々
急促込
齷促
急促
御促
厳談酷促
...