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丑
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うし
ふりがな文庫
“
丑
(
うし
)” の例文
光秀の方は、
丑
(
うし
)
の中刻で、秀吉の方は丑の上刻であったと云う。丑の上刻と云えば二時半で、中刻は三時だから、三十分違いである。
山崎合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
丑
(
うし
)
の時参りの一味徒党もおろそかな人数じゃあるめえし、そいつらののど笛をねらっているやつも並みたいていのくせ者じゃねえよ。
右門捕物帖:24 のろいのわら人形
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
今度は鬼女、般若の面のかわりに、そのおかめの面を被せい、
丑
(
うし
)
の
刻参
(
ときまいり
)
の
装束
(
しょうぞく
)
を
剥
(
は
)
ぎ、
素裸
(
すはだか
)
にして、踊らせろ。陰を陽に翻すのじゃ。
多神教
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
二十八日の夜
丑
(
うし
)
の刻に、抽斎は遂に絶息した。即ち二十九日午前二時である。年は五十四歳であった。
遺骸
(
いがい
)
は
谷中
(
やなか
)
感応寺に葬られた。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
十二支というのは、子、
丑
(
うし
)
、
寅
(
とら
)
、卯、
辰
(
たつ
)
、
巳
(
み
)
、
午
(
うま
)
、
未
(
ひつじ
)
、
申
(
さる
)
、
酉
(
とり
)
、
戌
(
いぬ
)
、
亥
(
い
)
の十二で、午の年とか酉の年とかいうあの呼び方なのです。
大金塊
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
▼ もっと見る
やがて、彼の影は、
薬師
(
やくし
)
ヶ
谷
(
やつ
)
東光寺の裏へ、獣の這うように這い寄っていた。時はもう
丑
(
うし
)
の
刻
(
こく
)
ごろ。
谷
(
やつ
)
の内は灯一つ見えなかった。
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
丹七はあさ子の失恋に同情するよりも、「
丑
(
うし
)
の
刻
(
とき
)
参り」の真似をするわが子の心の怖ろしさに戦慄を禁ずることが出来なかった。
血の盃
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
ところが武田家の家例として楯無しの鎧はその夜の中に——しかも深夜
丑
(
うし
)
の刻に信玄親しく附き添って宝蔵へ納めなければならなかった。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
一昨日、十七日の夜の
丑
(
うし
)
の
刻
(
こく
)
のころ、自分は五、六発の砲声を
枕
(
まくら
)
の上で聞いた。寄せ太鼓の音をも聞いた。それが東の方から聞こえて来た。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「京子、何してるのや。……
丑
(
うし
)
の時參りか。」と、力を込めた聲で言ふとともに、道臣は躍りかゝつて、金槌を持つた京子の腕を引つ
攫
(
つか
)
んだ。
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
一同は今夜
丑
(
うし
)
の上刻までに、この宿と、本所三つ目杉野十兵次どのの借宅と、前原神崎両人の店と、この三箇所へ集合することになっている。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
上半身に十二支の内、
子
(
ね
)
、
丑
(
うし
)
、
寅
(
とら
)
、
卯
(
う
)
、
辰
(
たつ
)
、
巳
(
み
)
、
午
(
うま
)
、の七つまで、墨と朱の二色で、いとも鮮やかに彫ってあるのでした。
銭形平次捕物控:007 お珊文身調べ
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
そして昼夜の差別もなく灯明が絶えなかつた。老主婦のたいは、百五十の石段を算えて、裏山の摩利支天堂に「
丑
(
うし
)
の
刻
(
とき
)
参り」の祈願をこめてゐた。
サクラの花びら
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
六月三日が、
土用
(
どよう
)
の
丑
(
うし
)
の日。この日、桃の葉でたてた風呂へ入ると、暑気をはらい、
汗疹
(
あせも
)
をとめるといって、江戸じゅうの銭湯で
桃葉湯
(
もものはゆ
)
をたてる。
顎十郎捕物帳:08 氷献上
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「今日の
丑
(
うし
)
の
刻
(
こく
)
、あの寺の正門からずかずか入って往け、それにはここの祠の中を開けると、お前の着て往く物がある、それ、これを持って往け」
赤い土の壺
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
開墾者の側からは年期終りの検注を縄を受けるという。何年縄とか
丑
(
うし
)
年縄受などという大字の名は、この事実をもってただちに地名にしたものである。
地名の研究
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
寢
(
ね
)
かし
置
(
おき
)
其夜
(
そのよ
)
丑
(
うし
)
の
刻
(
こく
)
とも思しき頃
豫
(
かね
)
て
研澄
(
とぎすま
)
したる
出刄庖丁
(
でばばうちやう
)
を
懷中
(
くわいちう
)
なし
頬冠
(
ほゝかぶ
)
りして忍び
出
(
いで
)
頓
(
やが
)
て質屋の前へ行き
四邊
(
あたり
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
もう
丑
(
うし
)
の
刻
(
こく
)
、あんまり
行
(
ゆ
)
く
末
(
すえ
)
来
(
こ
)
し
方
(
かた
)
のことが思われて、七兵衛待遠しさに眠れないので、お松は、かねて朋輩衆から聞いた
引帯
(
ひきおび
)
の
禁厭
(
まじない
)
のことを思い出した。
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「桐生で名高き
入山書上
(
いりやまかきあげ
)
の番頭さんの女房に成って見たいと
丑
(
うし
)
の時参りをして見たけれども未だに添われぬ」
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
丑
(
うし
)
の時参りの陰森なる灯の色を思う。さてはあの釣鐘にとぐろを捲きたる蛇の執着を思わずにはいられない。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
さて、翌年が慶応元年の
丑
(
うし
)
、私の十四の時ですが、押し迫った
師走
(
しわす
)
の……あれは幾日のことであったか……浅草に大火があって、それは実に大変でありました。
幕末維新懐古談:09 甲子年の大黒のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
藩士は、夜半の
丑
(
うし
)
刻に勢揃いして、竿を担いで釣り場へ駆足訓練をした。もちろん、藩公が先導であった。
姫柚子の讃
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
誰だか知らないが白い衣を著たへんな人が
丑
(
うし
)
の
刻
(
こく
)
参りをして、私に
象
(
かたど
)
った
人形
(
ひとがた
)
に呪いと共に
瞋恚
(
しんい
)
の釘を打ち込んでいるのではあるまいかという妄想に襲われたりした。
西隣塾記
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
よく熱病になった時土用の
丑
(
うし
)
の日に
採
(
とっ
)
て
乾
(
ほし
)
て置いたどくだみ草を煎ずるとこういうような色になる。
不思議な鳥
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
ところが講談では大高源吾が
神崎
(
かんざき
)
与
(
よ
)
五
郎
(
ろう
)
、
国蔵
(
くにぞう
)
が
馬食
(
うまくら
)
いの
丑
(
うし
)
五
郎
(
ろう
)
、場所も遠州浜松となっています
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
子
(
ね
)
、
丑
(
うし
)
、
寅
(
とら
)
、
卯
(
う
)
、
辰
(
たつ
)
、
巳
(
み
)
、——と、
客
(
きゃく
)
のない
上
(
あが
)
りかまちに
腰
(
こし
)
をかけて、
独
(
ひと
)
り十二
支
(
し
)
を
順
(
じゅん
)
に
指折
(
ゆびお
)
り
数
(
かぞ
)
えていた、
仮名床
(
かなどこ
)
の
亭主
(
ていしゅ
)
伝吉
(
でんきち
)
は、いきなり、
息
(
いき
)
がつまるくらい
荒
(
あら
)
ッぽく
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
破
(
やぶ
)
れかぶれに
暴
(
あば
)
れて
暴
(
あば
)
れて、
正太郎
(
しようたらう
)
が
面
(
つら
)
に
疵
(
きず
)
一つ、
我
(
わ
)
れも
片眼
(
かため
)
片足
(
かたあし
)
なきものと
思
(
おも
)
へば
爲
(
し
)
やすし、
加擔人
(
かたうど
)
は
車屋
(
くるまや
)
の
丑
(
うし
)
に
元結
(
もとゆひ
)
よりの
文
(
ぶん
)
、
手遊屋
(
おもちやゝ
)
の
彌助
(
やすけ
)
などあらば
引
(
ひ
)
けは
取
(
と
)
るまじ
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「来年は
丑
(
うし
)
だそうですが、何か牛に
因
(
ちな
)
んだようなお話はありませんか。」と、青年は訊く。
牛
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
従ってうなぎ談義が
随所
(
ずいしょ
)
に花を咲かせる。うなぎ屋もこの時とばかり「土用の
丑
(
うし
)
の日にうなぎを食べれば健康になる」とか「夏やせが防げる」とかいって、宣伝にいとまがない。
鰻の話
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
前夜、十四日の真夜中、
丑
(
うし
)
の下刻とあるから八つ半、いまで言う午前三時ごろだった。
釘抜藤吉捕物覚書:13 宙に浮く屍骸
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
八つ
丑
(
うし
)
の刻ぐらいでもございましたでしょうか? ハテふしぎな! こんな真夜中にだれがいったい話をしているのだろうか? と不審に思いまして耳をすませておりましたところ
亡霊怪猫屋敷
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
一時は婦人小間物は白牡丹でなくてはならぬとまでいわれたもので、土用の
丑
(
うし
)
の日べにを売り、買った人には、土製の粗末ながらへんに感じのいい黒い牛の玩具をくれたものであった。
新古細句銀座通
(新字新仮名)
/
岸田劉生
(著)
猛犬にあいたるとき、右手の
拇指
(
おやゆび
)
より、
子
(
ね
)
、
丑
(
うし
)
、
寅
(
とら
)
、
卯
(
う
)
と唱えつつ順次に指を屈し、小指を口にてかみ、「寅の尾を踏んだ」と言うときは、いかなる猛犬も尾を巻きて
遁走
(
とんそう
)
するという。
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
あたかもこれ天地も眠る
丑
(
うし
)
時にして、独り天上の星、地上の海波これを知るのみ。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
顳顬
(
こめかみ
)
に
即功紙
(
そっこうし
)
張りて茶碗酒引かける流儀は
小唄
(
こうた
)
の一ツも知らねば出来ぬことなるべく、
藁人形
(
わらにんぎょう
)
に釘打つ
丑
(
うし
)
の
時
(
とき
)
参
(
まいり
)
は
白無垢
(
しろむく
)
の衣裳に三枚歯の
足駄
(
あしだ
)
なんぞ
物費
(
ものいり
)
を惜しまぬ心掛すでに
大時代
(
おおじだい
)
なり。
桑中喜語
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
無法に住して放逸
無慚
(
むざん
)
無理無体に暴れ立て暴れ立て進め進め、神とも戦え仏をも
擲
(
たた
)
け、道理を
壊
(
やぶ
)
って壊りすてなば天下は我らがものなるぞと、
叱咜
(
しった
)
するたび土石を飛ばして
丑
(
うし
)
の刻より
寅
(
とら
)
の刻
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
其で思い合せられるのは、此頃ちょくちょく、
子
(
ね
)
から
丑
(
うし
)
の間に、里から見えるこのあたりの
峰
(
お
)
の
上
(
え
)
に、光り物がしたり、時ならぬ
一時颪
(
いっときおろし
)
の凄い
唸
(
うな
)
りが、聞えたりする。今までついに聞かぬこと。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
こんな事するよりか
丑
(
うし
)
の時参りでもした方がよっぽど気がきいてるぜ!
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
平気で読経し居ると、
丑
(
うし
)
三つ頃、表の戸を
敲
(
たた
)
きデンデンコロリ様はお内にかという者あり。中より誰ぞと問う声に応じ、東山の馬骨と答え、今晩は至極好い
肴
(
さかな
)
あるそうで結構でござると挨拶して通る。
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
五十鈴
(
いすず
)
川口のはぜ(薬といふ
丑
(
うし
)
の日に
釣
(
つ
)
る) 六
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
「あなたは
丑
(
うし
)
の
刻
(
こく
)
参りの
藁
(
わら
)
人形よ」
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
「おや、
丑
(
うし
)
さんだね?」
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
丑
(
うし
)
年の事だから、と私が唄を聞きたさに、尋ねた時分……今から何年前だろう、と叔母が指を折りましたっけ……
多年
(
しばらく
)
になりますが。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
わけて
屋
(
や
)
の
棟
(
むね
)
も下がるという
丑
(
うし
)
ノ
刻
(
こく
)
をすぎると、山里のつねでもあるが、五月というのに冬のような気温の急下に肌もこごえそうだった。
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
アッハッハッいってみれば、狐と狸のばけくらべで、ただ残念には
丑
(
うし
)
みつでない、昼も日中午前ときた。いやまたこいつが新しくてよろしい。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
毎夜のことなので、石工たちも警戒の目を緩めたと見え、
丑
(
うし
)
に近い頃に
何人
(
なんびと
)
もいぎたない眠りに入っていた。実之助は、今宵こそと思い立った。
恩讐の彼方に
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
東津軽の駒込村などでいうことは、弘法大師は十二年に一度ずつ
丑
(
うし
)
の年に村を巡って
擂鉢
(
すりばち
)
に目を打って行かれる。
年中行事覚書
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
あそこは
丑
(
うし
)
の
刻
(
とき
)
参りをするところだとかなんだとか気味のわるいことをいっておりますが、どうしたことか
右門捕物帖:24 のろいのわら人形
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「
丑
(
うし
)
の
刻
(
とき
)
詣
(
まい
)
りじゃないでしょうか。丑の刻詣りの人に道で行逢うと、祟りがあるっていいますから——」
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
祗園
(
ぎおん
)
の祭には
青簾
(
あおすだれ
)
を懸けては
下
(
はず
)
し、土用の
丑
(
うし
)
の
鰻
(
うなぎ
)
も盆の勘定となって、地獄の釜の
蓋
(
ふた
)
の開くかと思えば、
直
(
じき
)
に仏の花も捨て、それに赤痢の流行で芝居の太鼓も廻りません。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
“丑”の解説
丑(うし、ちゅう)は、十二支のひとつ。通常、十二支の順では第2番目に数えられる。
前年は子(ね)、次年は寅(とら)である。
(出典:Wikipedia)
丑
漢検準1級
部首:⼀
4画
“丑”を含む語句
丑刻
丑満
己丑
乙丑
丑満時
丑三
癸丑
丑満刻
丑刻半
丑時
丑刻過
丁丑
辛丑
丑刻頃
丑滿頃
丑寅
丑松
丑年
丑三時
丑之助
...