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細工
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さいく
ふりがな文庫
“
細工
(
さいく
)” の例文
……
一体
(
いつたい
)
が、
天上界
(
てんじやうかい
)
の
遊山船
(
ゆさんぶね
)
に
擬
(
なぞ
)
らへて、
丹精
(
たんせい
)
籠
(
こ
)
めました
細工
(
さいく
)
にござるで、
御斉眉
(
おかしづき
)
の
中
(
なか
)
から
天人
(
てんにん
)
のやうな
上﨟
(
じやうらう
)
御一方
(
おひとかた
)
、と
望
(
のぞ
)
んだげな。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
玩具
(
おもちゃ
)
といっても、木の幹を
小刀
(
ナイフ
)
一本で
削
(
けず
)
って、どうやら舟の形に似せたもので、土人の
細工
(
さいく
)
物のように不器用な、小さな
独木舟
(
まるきぶね
)
だった。
チャアリイは何処にいる
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
ところがだん/\
進歩
(
しんぽ
)
するに
從
(
したが
)
つて
石塊
(
いしころ
)
に
多少
(
たしよう
)
の
細工
(
さいく
)
を
加
(
くは
)
へ、
手
(
て
)
に
握
(
にぎ
)
つて
物
(
もの
)
を
打
(
う
)
ち
壞
(
こわ
)
すに
便利
(
べんり
)
な
形
(
かたち
)
にこしらへるようになりました。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
木は何の木か知らぬが
細工
(
さいく
)
はただ無器用で素朴であるというほかに何らの特色もない。その上に身を横えた人の身の上も思い合わさるる。
カーライル博物館
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「飛んでもない、親分。戸締りはやかましい上、人の目が多いから、外からノコノコ入つて來て、そんな
細工
(
さいく
)
の出來るわけはありません」
銭形平次捕物控:220 猿蟹合戦
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
「
細工
(
さいく
)
は
流々
(
りゅうりゅう
)
、
仕上
(
しあげ
)
を
御覧
(
ごらん
)
」というが、
物件
(
ぶっけん
)
ならば、できた仕事で用にたつが、人間はそうはいかぬ。
細工
(
さいく
)
する間の心持ちが
大切
(
たいせつ
)
である。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
「まだ、
金
(
きん
)
の
値
(
ね
)
が
上
(
あ
)
がらなかったときで、それに
造
(
つく
)
った
歯医者
(
はいしゃ
)
が、
学校
(
がっこう
)
を
出
(
で
)
たばかりで
細工
(
さいく
)
がうまくなかったのですね。」
金歯
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
そう言ってお爺さんは、五十センチほどの長さに切った竹筒に、しきりと
細工
(
さいく
)
をしていましたが、やがてにっこり笑い
怪塔王
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「細かい松じゃな。うむ、どこからどこまで、いい
細工
(
さいく
)
だて——これで、松の数は、三万三千三百三十三あるのか。」
元禄十三年
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
天然
(
てんねん
)
の
細工
(
さいく
)
は
流々
(
りゅうりゅう
)
、まことに
巧妙
(
こうみょう
)
というべきではないか。こうなると他家結婚ができ、したがって強力な種子が生じ、
子孫繁殖
(
しそんはんしょく
)
には最も有利である。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
春吉君たちは、六時間めの
手工
(
しゅこう
)
をしていた。その日の手工は、かわら屋の森一君がバケツ一ぱい持ってきたねんどで、思い思いの
細工
(
さいく
)
をするのである。
屁
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
それからヨハネスは、まえかけのなかに金で
細工
(
さいく
)
したいろいろの
品物
(
しなもの
)
をつつんで、
陸
(
りく
)
にあがりました。そして、まっすぐ王女のお
城
(
しろ
)
へむかっていきました。
忠義者のヨハネス
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
此所
(
ここ
)
に
列擧
(
れつきよ
)
したる製造用の
道具
(
どうぐ
)
は皆發見物中に在り。石槍、石鏃、石錐、石匕の如く
細工
(
さいく
)
の精巧なるものは
打製
(
だせい
)
石斧よりは更に
注意
(
ちうい
)
して作り上げしならん。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
そして彼らは聖武天皇の御代に於いて、立派に解放されて平民になっている筈です。穢多の事を古く或いは「
細工
(
さいく
)
」と言ったのは、皮細工人ということです。
特殊部落の成立沿革を略叙してその解放に及ぶ
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
ばらばらッと追いかけて、蛾次郎の
襟
(
えり
)
がみをひっつかみ、足をはやめて、人無村の
細工
(
さいく
)
小屋へかえってきた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
細工
(
さいく
)
の大きい男は、それだけ、人一倍の修業が必要のようである。自分では、人生の片隅に、つつましく控えているつもりなのに、人は、なかなかそれを認めてくれない。
服装に就いて
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
バグリオーニは精巧な
細工
(
さいく
)
をほどこした小さい銀の花瓶を、テーブルの上に置いて出て行った。彼は自分の言ったことが青年の心の上にいい効果をあたえることを望んだ。
世界怪談名作集:08 ラッパチーニの娘 アウペパンの作から
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
翁
(
おきな
)
も
姫
(
ひめ
)
もその
細工
(
さいく
)
の
立派
(
りつぱ
)
なのに
驚
(
をどろ
)
いてゐますと、そこへ
運
(
うん
)
わるく
玉職人
(
たましよくにん
)
の
親方
(
おやかた
)
がやつて
來
(
き
)
て、
千日
(
せんにち
)
あまりも
骨折
(
ほねを
)
つて
作
(
つく
)
つたのに、まだ
細工賃
(
さいくちん
)
を
下
(
くだ
)
さるといふ
御沙汰
(
ごさた
)
がないと
竹取物語
(旧字旧仮名)
/
和田万吉
(著)
三成にことさら反乱を起させてまとめて平げようなどという利いた風な
細工
(
さいく
)
が自信満々でっちあげられるものではないので、家康には
利
(
き
)
いた風な見透しなどというものはなかった。
家康
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
イヤサ何も彼も己に
任
(
まか
)
せて一
所
(
しよ
)
に來い
細工
(
さいく
)
は
流々
(
りう/\
)
仕上
(
しあげ
)
を見やれサア/\早く支度してと云にお節も一
生懸命
(
しやうけんめい
)
村役人へ
預
(
あづけ
)
の身なれど跡は野となれ山坂を足に任せて走り行相良の城下を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
親
(
おや
)
なれば
褒
(
ほ
)
めるでは
無
(
な
)
けれど
細工
(
さいく
)
は
誠
(
まこと
)
に
名人
(
めいじん
)
と
言
(
い
)
ふても
宜
(
よ
)
い
人
(
ひと
)
で
御座
(
ござ
)
んした、なれども
名人
(
めいじん
)
だとて
上手
(
じやうづ
)
だとて
私等
(
わたしら
)
が
家
(
うち
)
のやうに
生
(
うま
)
れついたは
何
(
な
)
にもなる
事
(
こと
)
は
出來
(
でき
)
ないので
御座
(
ござ
)
んせう
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
第一これは顔を除いて、他はことごとく
黒檀
(
こくたん
)
を刻んだ、一尺ばかりの立像である。のみならず
頸
(
くび
)
のまわりへ懸けた
十字架形
(
じゅうじかがた
)
の
瓔珞
(
ようらく
)
も、金と青貝とを
象嵌
(
ぞうがん
)
した、極めて精巧な
細工
(
さいく
)
らしい。
黒衣聖母
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そうして広東の三水県へ来て、その狂言中に幽霊が出たといい、またその幽霊が墓のありかを教えたといい、
細工
(
さいく
)
は
流々
(
りゅうりゅう
)
、この狂言は大当りに当って、予想以上の好結果を得たというわけだ。
女侠伝
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
その
襞
(
ひだ
)
の付いた襟や、レースや、帯どめの
細工
(
さいく
)
をこらした旧式の美しい服装が、それを着ている死人のような男と不思議の対照をなして、いかにも奇怪に、むしろ怖ろしいようにも見られた。
世界怪談名作集:02 貸家
(新字新仮名)
/
エドワード・ジョージ・アール・ブルワー・リットン
(著)
併
(
しか
)
し、写真のトリックがこんなにうまく行く筈はありません。盛装した女の胴体に、お嬢さんの顔丈けを貼りつけたのかと思って、よく調べて見ましたが、そんな
細工
(
さいく
)
のあとは少しもないのです。
恐怖王
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「頭の毛が引っ込んで溜まるものか。これには
細工
(
さいく
)
があるんだ」
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
こんな
細工
(
さいく
)
をしましたのよ、わたしの頭の上の
仕掛
(
しかけ
)
を
大菩薩峠:09 女子と小人の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
はんなりと
細工
(
さいく
)
に染まる
紅
(
べに
)
うこん
桃隣
(
とうりん
)
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
「どうだい
細工
(
さいく
)
は?」
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
さア、伊三郎、この竹は何處から持出したか、
細工
(
さいく
)
は誰がしたか、皆んなに訊けば直ぐわかることだ。恐れ入つてお慈悲を願へツ
銭形平次捕物控:308 秋祭りの夜
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
左甚五郎
(
ひだりじんごろう
)
は恐らく仕上ばかりに苦心したのでなく、
細工
(
さいく
)
しているあいだも精神を
籠
(
こ
)
めたればこそ、その
霊魂
(
たましい
)
が
彫刻物
(
ちょうこくぶつ
)
にも移ったのであろう。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
田舎
(
いなか
)
から、
町
(
まち
)
へ
出
(
で
)
て、
縫
(
ぬ
)
い
箔屋
(
はくや
)
へ
弟子入
(
でしい
)
りをして、そして、
習
(
なら
)
った
細工
(
さいく
)
は、すべて
魂
(
たましい
)
の
入
(
はい
)
らない、ごまかしものだった。
心の芽
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
更
(
さら
)
にまたその
石
(
いし
)
を
磨
(
みが
)
いて
美
(
うつく
)
しい
形
(
かたち
)
の
器物
(
きぶつ
)
を
造
(
つく
)
るようになり、あるひは
自分
(
じぶん
)
の
食
(
く
)
つた
動物
(
どうぶつ
)
の
骨
(
ほね
)
に
細工
(
さいく
)
を
加
(
くは
)
へて、それを
道具
(
どうぐ
)
にしたりしたのでありますが
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
けれども本来が
性質
(
たち
)
のいい運動だから、三四郎もだいたいのうえにおいて賛成の意を表した。ただその方法が少しく
細工
(
さいく
)
に落ちておもしろくないと言った。
三四郎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
けっして別種の水仙ではない。こんな球根への
細工
(
さいく
)
は、その方法をもってすれば日本ででもできる。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
かれは、教室で、いちばんうしろに、ひとりでふたり分のつくえをあたえられていたが、授業中にあまり授業に注意しなかった。たいていは、ナイフで鉛筆に
細工
(
さいく
)
していた。
屁
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
昔の諺に、「
土
(
ところ
)
得
(
え
)
ぬ
玉造
(
たまつくり
)
」ということがありまして、玉造は土地を持たなかった。また今の京都の
天部
(
あまべ
)
部落は、もと四条河原に居まして、これを「四条河原の
細工
(
さいく
)
」ともあります。
特殊部落の成立沿革を略叙してその解放に及ぶ
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
さア、おもしろいのはここの
細工
(
さいく
)
で、そのさきにわれわれが浜松城へまいって、なにかのことを教えてやったら、あのずるい家康も、眼をほそめて、うれしがるにきまッております
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「お礼なんか、どうだっていいんですよ。だれかに見つかるといけませんから、ちょっと
細工
(
さいく
)
をしておきましょう。どうせばれるにはちがいありませんが、一分でも時をかせいだ方が有利ですからね」
超人間X号
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「お内儀を引っ叩きゃあ
細工
(
さいく
)
は解る。勘、呼んだら来いよ。」
釘抜藤吉捕物覚書:03 三つの足跡
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
琉球赤木
(
りゅうきゅうあかぎ
)
とかの
細工
(
さいく
)
だそうです。
俊寛
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「珍らしい
細工
(
さいく
)
だよ。この紙入には、もう一つ物を入れる場所があつたんだ。裏が疊み込みになつて居て、それを開くとそれ」
銭形平次捕物控:307 掏られた遺書
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
その
店
(
みせ
)
には、ガラス
戸
(
ど
)
の
内側
(
うちがわ
)
に、
宝石
(
ほうせき
)
の
入
(
はい
)
った
指輪
(
ゆびわ
)
や、
金時計
(
きんどけい
)
や、
銀
(
ぎん
)
の
細工
(
さいく
)
をしたえり
飾
(
かざ
)
りや、
寒暖計
(
かんだんけい
)
や、いろいろなものが
並
(
なら
)
べてありましたが、
中
(
なか
)
にも
角笛吹く子
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
それならば
物
(
もの
)
を
叩
(
たゝ
)
く
槌
(
つち
)
に
使
(
つか
)
ふものかといふに、それには
餘
(
あま
)
り
細工
(
さいく
)
が
過
(
す
)
ぎてゐるようにも
思
(
おも
)
はれるので、
果
(
はた
)
して
何
(
なに
)
に
使
(
つか
)
はれたものか
頗
(
すこぶ
)
る
疑
(
うたが
)
はしいくらゐです。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
金で
細工
(
さいく
)
をした妙な形の台である。これを蝋燭立と見たのは三四郎の
臆断
(
おくだん
)
で、じつはなんだかわからない。この不可思議の蝋燭立のうしろに明らかな鏡がある。
三四郎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
丈
(
たけ
)
の長いおどろしき黒髪が軒ばに手招きしている
小間物店
(
こまものみせ
)
は、そこのうす暗い奥に、とろけそうなたいまい、
鼈甲
(
べっこう
)
、金銀青貝の
細工
(
さいく
)
の
類
(
るい
)
が、お花畑ほど群落していようとも、男にとっては
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
若狭の三方郡
細工
(
さいく
)
村は、もとエタ村として認められていた。
エタ源流考
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
「空家に久吉がゐたといふから、話がわからなくなつたのさ。空家に代りを入れて、自分は外で
細工
(
さいく
)
をする手のあることを忘れてゐたんだ」
銭形平次捕物控:133 井戸の茶碗
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
そのあとは、卜斎も寝入り、
細工
(
さいく
)
小屋の
槌音
(
つちおと
)
もやんでシーンと真夜中の静けさにかえったが、半助だけは、うすい
蒲団
(
ふとん
)
をかぶって横になりながらも、まだ寝もやらず目をパチパチとさせていた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「空家に久吉がいたというから、話がわからなくなったのさ。空家に代りを入れて、自分は外で
細工
(
さいく
)
をする手のあることを忘れていたんだ」
銭形平次捕物控:133 井戸の茶碗
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
細
常用漢字
小2
部首:⽷
11画
工
常用漢字
小2
部首:⼯
3画
“細工”で始まる語句
細工場
細工物
細工人
細工邸
細工師
細工事
細工台
細工刀
細工蜂
細工盤