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紐
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ひも
ふりがな文庫
“
紐
(
ひも
)” の例文
友染
(
いうぜん
)
の
切
(
きれ
)
に、
白羽二重
(
しろはぶたへ
)
の
裏
(
うら
)
をかさねて、
紫
(
むらさき
)
の
紐
(
ひも
)
で
口
(
くち
)
を
縷
(
かゞ
)
つた、
衣絵
(
きぬゑ
)
さんが
手縫
(
てぬい
)
の
服紗袋
(
ふくさぶくろ
)
に
包
(
つゝ
)
んで、
園
(
その
)
に
贈
(
おく
)
つた、
白
(
しろ
)
く
輝
(
かゞや
)
く
小鍋
(
こなべ
)
である。
銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
室内に張られた
紐
(
ひも
)
には簡単着の類が乱雑に掛けられ(島民は衣類をしまわないで、ありったけだらしなく
干物
(
ほしもの
)
のように引掛けておく)
環礁:――ミクロネシヤ巡島記抄――
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
ネネムのすぐ前に三本の
竿
(
さお
)
が立ってその上に細長い
紐
(
ひも
)
のようなぼろ切れが
沢山
(
たくさん
)
結び付けられ、風にパタパタパタパタ鳴っていました。
ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
紐
(
ひも
)
も、紙鳶に
相応
(
ふさは
)
しい太い
緒
(
いと
)
だし、それが
捲
(
ま
)
かれてある
枠
(
わく
)
も、子供では両手で抱へてゐなければならぬ程、大きな立派なものである。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
羽織の
紐
(
ひも
)
の長きをはづし、
結
(
ゆわ
)
ひつけにくるくると見とむなき間に合せをして、これならばと
踏試
(
ふみこころむ
)
るに、歩きにくき事言ふばかりなく
たけくらべ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
▼ もっと見る
その太鼓を、梁にかけた
下締
(
したじめ
)
の下へ置いて、そうして
身繕
(
みづくろ
)
いをして、その
紐
(
ひも
)
へ両手をかけた時には、なにかしら涙が
溢
(
あふ
)
れて来ました。
大菩薩峠:07 東海道の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
甲斐の唇が一本の
紐
(
ひも
)
のようにひき緊り、額に深く皺が刻まれた。甲斐はそれを
披
(
ひら
)
き、書かれてある文言と、二人の署名を入念に見た。
樅ノ木は残った:03 第三部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
本堂は
傍
(
そば
)
に五重の塔を控えて、普通ありふれた仏閣よりも
寂
(
さび
)
があった。
廂
(
ひさし
)
の
最中
(
まんなか
)
から
下
(
さが
)
っている白い
紐
(
ひも
)
などはいかにも閑静に見えた。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
女等
(
をんなら
)
は
皆
(
みな
)
少時
(
しばし
)
の
休憩時間
(
きうけいじかん
)
にも
汗
(
あせ
)
を
拭
(
ぬぐ
)
ふには
笠
(
かさ
)
をとつて
地上
(
ちじやう
)
に
置
(
お
)
く。
一
(
ひと
)
つには
紐
(
ひも
)
の
汚
(
よご
)
れるのを
厭
(
いと
)
うて
屹度
(
きつと
)
倒
(
さかさ
)
にして
裏
(
うら
)
を
見
(
み
)
せるのである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
窓の
紐
(
ひも
)
を引いて厚い
黒繻子
(
くろしゅす
)
のカーテンを閉め、部屋を暗室にすると、幻燈内の電燈を点火し、靴箆を器械に挿入して、ピントを合せた。
悪魔の紋章
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そのために、結び
紐
(
ひも
)
がとけ、紙片が飛び散り、従僕たちはすべてをふたたび整理するために大いに骨を折らなければならなかった。
城
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
御客様は茶の
平打
(
ひらうち
)
の
紐
(
ひも
)
を結んで、火鉢の前にべたりと坐って御覧なさいました。急に、ついと立ってまたその御羽織を脱ぎ捨てながら
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
とあやしまれたがのちによく見れば、
独楽
(
こま
)
の
金輪
(
かなわ
)
の一
端
(
たん
)
に、ほそい
金環
(
きんかん
)
がついていて、その金環から
数丈
(
すうじょう
)
の
紐
(
ひも
)
が
心棒
(
しんぼう
)
にまいてあるのだ。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
不在のときには、きわめて巧妙に、細枝でつくった
紐
(
ひも
)
でしっかりとドアの取っ手をしばりつけ、
鎧戸
(
よろいど
)
には心張棒がかってあった。
スリーピー・ホローの伝説:故ディードリッヒ・ニッカボッカーの遺稿より
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
ただ
藁
(
わら
)
製のツグラだけにしか残っていないが、以前は
埴土
(
はにつち
)
の
紐
(
ひも
)
をぐるぐると輪に重ねて行って、すべての円い器物を造っていた。
和州地名談
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
ただその式で姫君が袴の
紐
(
ひも
)
を互いちがいに
襷形
(
たすきがた
)
に胸へ掛けて結んだ姿がいっそうかわいく見えたことを言っておかねばならない。
源氏物語:19 薄雲
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
と、今まで気が
注
(
つ
)
かなかった天井から垂れている青いワナになった
紐
(
ひも
)
が、ちらと眼に
注
(
つ
)
くとともにそれがふわりと首に
纏
(
まつ
)
わった。
青い紐
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
なおも部屋の中を探した平次は、机の
抽斗
(
ひきだし
)
から、綺麗に重ねて半紙に包んで、
紐
(
ひも
)
までかけた手紙を二十四本も見つけ出しました。
銭形平次捕物控:244 凧の糸目
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
その一つを拾った万平は、向うの壁に干してある、誰かの
越中褌
(
えっちゅうふんどし
)
で包んでシッカリと
紐
(
ひも
)
で
結
(
ゆわ
)
えて、大切そうに袖の間へシッカリと抱えた。
芝居狂冒険
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
おやそさんが、
漬物桶
(
つけものおけ
)
と同居して死んだ時、十本の指に十本、手首にも結びつけていた
紐
(
ひも
)
がある。その紐はみんな寐床の下から出ていた。
旧聞日本橋:07 テンコツさん一家
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
インディアンは屋根にうがった穴の上にかけられ
紐
(
ひも
)
で動かすことのできる筵によって風の具合を調節する程度まで進歩していた。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
多少
垢
(
あか
)
になった
薩摩絣
(
さつまがすり
)
の着物を着て、
観世撚
(
かんぜより
)
の羽織
紐
(
ひも
)
にも、きちんとはいた
袴
(
はかま
)
にも、その人の気質が明らかに書き
記
(
しる
)
してあるようだった。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
彼は、一枚二枚脱いでいって、そいつを
丁寧
(
ていねい
)
に草の上でたたむ。靴の
紐
(
ひも
)
を結び合わせ、それをまた、いつまでもかかってほどく。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
斯くて鳥の地に落ちたる時は、捕鳥者は直ちに其塲に
駈
(
か
)
け
付
(
つ
)
け獲物を
抑
(
おさ
)
へ
紐
(
ひも
)
を
解
(
と
)
くなり。石鏃と
違
(
ちが
)
ひて此道具は幾度にても用ゐる事を得。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
無論
(
むろん
)
斯
(
こ
)
うして
紐
(
ひも
)
で
繋
(
つな
)
がれているのは、まだ
絶息
(
ぜっそく
)
し
切
(
き
)
らない
時
(
とき
)
で、
最後
(
さいご
)
の
紐
(
ひも
)
が
切
(
き
)
れた
時
(
とき
)
が、それがいよいよその
人
(
ひと
)
の
死
(
し
)
んだ
時
(
とき
)
でございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
急いで自分の
室
(
へや
)
に上がって行き、旅行用のフロックと首にかけていた黒い
紐
(
ひも
)
とを脱ぐが早いか、すぐに水泳場へ出かけて行った。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
黒い
袴
(
はかま
)
に白い
上衣
(
うわぎ
)
をきて、
紐
(
ひも
)
を大きく胸のあたりにむすんだのが、歩くたびにゆらりゆらりとゆれる。右腕に古びた
壺
(
つぼ
)
を一つ抱えている。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
ところが、片足が凧の
紐
(
ひも
)
にひっかかっていました。凧の
四隅
(
よすみ
)
や中程についてる紐が一つにまとめてあるその真中に、足をふみこんだのです。
椎の木
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
使ってたよ。そうすると昼のように明るかった。こっちでもそうするといい。一つで家じゅう明るくならあ。そして長い
紐
(
ひも
)
で八方へ引張るさ
入江のほとり
(新字新仮名)
/
正宗白鳥
(著)
上州
(
じょうしゅう
)
伊香保千明
(
いかほちぎら
)
の三階の
障子
(
しょうじ
)
開きて、
夕景色
(
ゆうげしき
)
をながむる婦人。年は十八九。品よき
丸髷
(
まげ
)
に結いて、草色の
紐
(
ひも
)
つけし
小紋縮緬
(
こもんちりめん
)
の
被布
(
ひふ
)
を着たり。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
つまり佐渡ヶ島は、「工」の字を
倒
(
さか
)
さにしたような形で、二つの並行した山脈地帯を低い平野が
紐
(
ひも
)
で細く結んでいるような状態なのである。
佐渡
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
画きたい画きたいと、一度は三脚の
紐
(
ひも
)
を解いたが、帰り道の崖崩れを思うと、何となく急き立てられるようで、終に筆を採らずにしまった。
白峰の麓
(新字新仮名)
/
大下藤次郎
(著)
と、挨拶すると、老人は、信祝が合図の
紐
(
ひも
)
を引いて、鈴を鳴らすのも待たないで、
襖
(
ふすま
)
をあけた。
一間
(
ひとま
)
へだたった所にいた侍が、
周章
(
あわて
)
て立つと
大岡越前の独立
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
間もなく私は瀬戸物屋を暇取って、
道修
(
どしょう
)
町の薬種問屋に奉公しました。瀬戸物町では白い
紐
(
ひも
)
の前掛けだったが、道修町では茶色の紐でした。
アド・バルーン
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
岸の叢の中には、それを着ものの
紐
(
ひも
)
につけると物を忘れることができるという
萱草
(
わすれぐさ
)
も生えていたが、翁はそれも摘まなかった。
富士
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
庸三は少しうとうとしかけたところだったが、目をあげて見ると、彼女は青いペイパアにくるんで
紐
(
ひも
)
で結わえた
函
(
はこ
)
を
枕元
(
まくらもと
)
へ持ち込んで来て
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
K横町のとっつきの片隅に、夫婦づれの町人がテーブルを二つ並べ、糸だの、
紐
(
ひも
)
だの、
更紗
(
さらさ
)
の
頭巾
(
ずきん
)
だの、そういった風の雑貨を商っていた。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
蒲団が重たさうだと思へば軽い蒲団に替へてやるとか、あるいは蒲団に
紐
(
ひも
)
をつけて上へ釣り上げるとかいふやうなことをする。
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
その頃お兄様は絵をお書きになったので、その笠には墨で蘭が画いてありました。赤い切で縫った太い
紐
(
ひも
)
が附いていて、
顎
(
あご
)
で結ぶのでした。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
明
(
あけ
)
て内より
白木
(
しらき
)
の
箱
(
はこ
)
と
黒塗
(
くろぬり
)
の箱とを取出し伊賀亮が
前
(
まへ
)
へ差出す時に伊賀亮は天一坊に
默禮
(
もくれい
)
し
恭
(
うや/\
)
しく
件
(
くだん
)
の
箱
(
はこ
)
の
紐
(
ひも
)
を
解
(
とき
)
中より
御墨附
(
おんすみつき
)
と御
短刀
(
たんたう
)
とを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
おのが至高の職をも緇衣の分をもおもはず、また帶ぶるものいたく瘠するを常とせし
紐
(
ひも
)
のわが身にあるをも思はず 九一—九三
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
それから
枕許
(
まくらもと
)
から
携帯電灯
(
けいたいでんとう
)
と水兵ナイフをとって、ナイフは、その
紐
(
ひも
)
を首にかけた。そして足ばやにこの部屋をでていった。
恐竜島
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「あの、電車の切符を置いてってくださいな」靴の
紐
(
ひも
)
を結び終わった夫に帽子を渡しながら、信子は弱よわしい声を出した。
雪後
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
顔じゅうの
紐
(
ひも
)
をといて、あけっぱなしで笑っているのがその証拠だが、このポスターは、いまでは見たくないものの一つだ。
あなたも私も
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
しばらく
紐
(
ひも
)
でつないでおこうかと言っていたが、連れて来た人がそれはかわいそうだからどうか縛らないでくれというのでよしたそうである。
ねずみと猫
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
小さい
錘
(
おもり
)
のついた
紐
(
ひも
)
が、この島からおろされると、下にいる人民は、それに手紙をくゝりつけます。そして、紐はすぐまた
吊
(
つ
)
り上げられます。
ガリバー旅行記
(新字新仮名)
/
ジョナサン・スウィフト
(著)
秋の小鳥の中でも百舌が高音を張り上げて鋭い声で鳴く、その声は堪忍袋の
紐
(
ひも
)
をきらしたような鳴きようだというのである。
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
しかしその
後
(
うしろ
)
に立てた
六枚屏風
(
ろくまいびょうぶ
)
の
裾
(
すそ
)
からは、
紐
(
ひも
)
で
束
(
たば
)
ねた西洋の新聞か雑誌のようなものの
片端
(
かたはし
)
が見えたので、私はそっと首を延して
差覗
(
さしのぞ
)
くと
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
彰義隊はきっと直立して両手をはかまの
紐
(
ひも
)
の間にはさみ、おそろしく大きな声でどなった。会衆はわっとわらいだしたがすぐしずかになった。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
そしてかごの上に結んである
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
のくけ
紐
(
ひも
)
をひねくりながら、「こんな
紐
(
ひも
)
なぞつけて来るからなおいけない、露見のもとだ、何よりの証拠だ」
あの時分
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
“紐”の解説
紐(ひも、twine)は、繊維を中程度の太さに束ねて細長くした加工品。またはそれを切り取った断片。
(出典:Wikipedia)
紐
漢検準1級
部首:⽷
10画
“紐”を含む語句
紐育
紐帯
細紐
飾紐
紐線
革紐
打紐
帯紐
絹紐
紐釦
常紐天
皮紐
髪紐
真田紐
眞田紐
腰紐
組紐
附紐
靴紐
頤紐
...