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生垣
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いけがき
ふりがな文庫
“
生垣
(
いけがき
)” の例文
広い庭を囲っている
槿
(
むくげ
)
の
生垣
(
いけがき
)
を越して、向うには畑を隔てた小家が二、三軒つづいている筈であるが、その灯も今夜は見えなかった。
半七捕物帳:33 旅絵師
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
わたしの光は、古いプラタナスの葉が、ちょうどカメの
甲
(
こう
)
のように
盛
(
も
)
りあがって、
茂
(
しげ
)
っている
生垣
(
いけがき
)
の中に、さしこもうとしていました。
絵のない絵本:01 絵のない絵本
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
乘
(
の
)
るのがうまいと
言
(
い
)
ふ
下
(
した
)
から、
落
(
お
)
ちることもよく
落
(
お
)
ちた。
本郷
(
ほんがう
)
の
菊坂
(
きくざか
)
の
途中
(
とちう
)
で
徐々
(
やは/\
)
と
横
(
よこ
)
に
落
(
お
)
ちたが
寺
(
てら
)
の
生垣
(
いけがき
)
に
引掛
(
ひつかゝ
)
つた、
怪我
(
けが
)
なし。
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
『そううまくは
行
(
ゆ
)
かないサ、ハハハハ、イヤそんなら行って来ようか、ご苦労な話だ、』と江藤が立ち上がろうとする時、
生垣
(
いけがき
)
の外で
郊外
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
宇佐川鉄馬は小さい身体を
跳
(
おど
)
らせると、苦もなく
生垣
(
いけがき
)
を越えて、四角な顔を醜く
歪
(
ゆが
)
めたまま、逃げ腰ながら一刀の
鯉口
(
こいぐち
)
を切ります。
銭形平次捕物控:109 二人浜路
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
と、永いからたちの
生垣
(
いけがき
)
の外を、可愛らしいぽっくりの鈴が忍びやかに歩いて鳴った。トムが歩む方へ、その鈴の音が
尾
(
つ
)
いて来た。
かんかん虫は唄う
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
生垣
(
いけがき
)
の上の方を
透
(
すか
)
すと、石碑の頭が一種の光を持って見えていた。
主翁
(
ていしゅ
)
の心は暗くなった。彼は書生とぴったりならんで歩いた。
黄灯
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
だらしのない春ののどかさとは違う。三四郎は左右の
生垣
(
いけがき
)
をながめながら、生まれてはじめての東京の秋をかぎつつやって来た。
三四郎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
窓を開いて助けを求めようにも、両側はうち続く並木と
生垣
(
いけがき
)
ばかり、まれに人家が見えても、みな
燈火
(
ともしび
)
を消して寝静まっている。
妖虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そのままじっとしてないで、縁先の下駄を
突
(
つっ
)
かけて、飛石づたいに菖蒲畑の傍まで来ましたら、
生垣
(
いけがき
)
を
潜
(
くぐ
)
って大きい犬が近寄って来ました。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
門をはいってすぐ右にゆき、
生垣
(
いけがき
)
についてまわると、材木を置く木小屋があり、そのさきに、車井戸を挾んで小さな家士住宅が並んでいた。
花も刀も
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
丹治の逃げるを追いかける了簡もなく、火を消す方へのみかゝり、ワイ/\騒いでいる
中
(
うち
)
に、丹治おかめの両人は
生垣
(
いけがき
)
を破り逃げ出しました。
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
駅を出て二十分ほども雑木林の中を歩くともう病院の
生垣
(
いけがき
)
が見え始めるが、それでもその間には谷のように低まった処や
いのちの初夜
(新字新仮名)
/
北条民雄
(著)
大地から蒸発する肉情的な
蘊気
(
うんき
)
の不思議な交錯の中に
漂渺
(
ひょうびょう
)
とした気持ちになつて、いくつか
生垣
(
いけがき
)
について角を折れ曲つた。
夏の夜の夢
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
散らばつた新築の借家が、板目に残りの日をうけて赤々と
映
(
は
)
えてゐる。それを取り囲んで方々の
生垣
(
いけがき
)
の
檜葉
(
ひば
)
が、地味な浅緑で
凝
(
じ
)
つと
塊
(
かたま
)
つてゐる。
姉弟と新聞配達
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
家の南側のまばらな
生垣
(
いけがき
)
のうちが、土をたたき固めた広場になっていて、その上に一面に
蓆
(
むしろ
)
が敷いてある。蓆には刈り取った
粟
(
あわ
)
の穂が干してある。
山椒大夫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
拙宅の庭の
生垣
(
いけがき
)
の陰に井戸が在る。裏の二軒の家が共同で使っている。裏の二軒は、いずれも産業戦士のお家である。
作家の手帖
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
粗末な
生垣
(
いけがき
)
で囲まれた二坪ほどの小庭には、彼が子供の頃
見憶
(
みおぼ
)
えて久しく眼にしなかった草花が一めんに
蔓
(
はびこ
)
っていた。
苦しく美しき夏
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
下水と
溝川
(
みぞかは
)
はその上に
架
(
かゝ
)
つた
汚
(
きたな
)
い
木橋
(
きばし
)
や、崩れた寺の塀、枯れかゝつた
生垣
(
いけがき
)
、または貧しい人家の
様
(
さま
)
と相対して、
屡
(
しば/\
)
憂鬱なる裏町の光景を組織する。
水 附渡船
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
良寛さんが沿つてゆく
生垣
(
いけがき
)
には、今夜そこに宿をもとめる
雀
(
すずめ
)
達が、まだ落着かなくて、ばたばたと羽音を立ててゐた。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
原を出ると大根畑があって、その向うに
生垣
(
いけがき
)
があって、そこでギーッと
刎釣瓶
(
はねつるべ
)
の音がします。米友は、畑の中の道を突切って行って見ると百姓家です。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
その男が
生垣
(
いけがき
)
や溝を跳び越えてぴょんぴょん跳びながら私を追っかけて来るのは、中でも一番怖しい悪夢であった。
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
彼はこの藤蔓には手をやいて、たうとうそれぎりにして置くより外はなかつた。さうして今度は
生垣
(
いけがき
)
を刈り初めた。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
樫
(
かし
)
の高い
生垣
(
いけがき
)
で家を囲んだ豪家もあれば、
青苔
(
あおごけ
)
が汚なく
生
(
は
)
えた
溝
(
みぞ
)
を前にした荒壁の崩れかけた家もあった。鶏の声がところどころにのどかに聞こえる。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
もう
家
(
うち
)
へは二、三丁だ。背の高い
珊瑚樹
(
さんごじゅ
)
の
生垣
(
いけがき
)
の外は、桑畑が繁りきって、背戸の木戸口も見えないほどである。
紅黄録
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
愛
(
あい
)
ちやんは
野原
(
のはら
)
を
横斷
(
よこぎ
)
つて
其後
(
そのあと
)
を
追蒐
(
おツか
)
けて
行
(
い
)
つて、
丁度
(
ちやうど
)
それが
生垣
(
いけがき
)
の
下
(
した
)
の
大
(
おほ
)
きな
兎穴
(
うさぎあな
)
に
跳
(
と
)
び
下
(
お
)
りるのを
見
(
み
)
ました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
もうその
辺
(
へん
)
は
塀
(
へい
)
が
生垣
(
いけがき
)
になっておりましたので父は生垣のすこしまばらになっている
隙間
(
すきま
)
から中をのぞいてどういうわけか身うごきもせずにそのままそこを
蘆刈
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
彼方
(
かなた
)
の狐も一生懸命、
畠
(
はた
)
の作物を
蹴散
(
けち
)
らして、里の
方
(
かた
)
へ走りしが、
只
(
と
)
ある人家の
外面
(
そとべ
)
に、結ひ
繞
(
めぐ
)
らしたる
生垣
(
いけがき
)
を、
閃
(
ひらり
)
と
跳
(
おど
)
り越え、家の
中
(
うち
)
に逃げ入りしにぞ。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
季節はよほど進んではいたが、なおそこここの
生垣
(
いけがき
)
のうちにはおくれ咲きの花が残っていて、通りすがりにそのかおりが、彼に幼時のことを思い出さした。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
「
籬落
(
りらく
)
」という題がつけてある。
生垣
(
いけがき
)
で囲われた
藁
(
わら
)
屋根の家が、閑雅に散在している郊外村落の昼景である。
郷愁の詩人 与謝蕪村
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
彼は、うんと幅の広い
経木
(
きょうぎ
)
の帽子をかぶると、
浴衣
(
ゆかた
)
に下駄をつっかけて、サナトリウムの門を抜け、ゆっくり、
日蔭
(
ひかげ
)
の多い
生垣
(
いけがき
)
の道を海岸の方に歩いて行った。
鱗粉
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
路に隣った麦畑はだんだん
生垣
(
いけがき
)
に変り出した。保吉は「
朝日
(
あさひ
)
」を一本つけ、前よりも気楽に歩いて行った。
寒さ
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
裏口の
生垣
(
いけがき
)
に
咲
(
さ
)
いているこでまりの白い花の
泡
(
あわ
)
が、
洗濯物
(
せんたくもの
)
のように、風に吹かれていた。千穂子は走って、台所へ行き、釜の下をのぞいた。火が燃えきっていた。
河沙魚
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
みんなが、わあわあいっていると、すぐあちらの
家
(
いえ
)
のおばさんが、
生垣
(
いけがき
)
の
間
(
あいだ
)
から、こちらをのぞいて
芽は伸びる
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
そのカフェーも、ウィーンの目抜き通りにあるカフェーがそうであるように、通りに向って低く苅りこんだ常緑樹の
生垣
(
いけがき
)
の奥に白と赤の縞の日覆いをふり出している。
道標
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
ふりかえると、年よりは茶店の横の日だまりに
塵
(
ちり
)
をよけてまっていた。日あたりのよい
生垣
(
いけがき
)
の一か所に
蕾
(
つぼみ
)
をつけた
山吹
(
やまぶき
)
がむらがり、細い枝は
蕾
(
つぼみ
)
の重さでしなっている。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
「これからまた、八、九
町
(
ちょう
)
もあるいてね、森のおくのおくで、大きなかしの木が、三ぼん立っている下のおうちよ。おうちのまわりに、くるみの
生垣
(
いけがき
)
があるから、すぐわかるわ。」
赤ずきんちゃん
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
天秤棒をキシませながら、ふれ声をあげて、フト屋敷の角をまがると、私と同じ学帽をかぶった同級生たちが四五人、
生垣
(
いけがき
)
のそばで、
独楽
(
こま
)
などをまわして遊んでいるのがめっかる。
こんにゃく売り
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
小半時あまりも
時刻
(
とき
)
を経た時、
槇
(
まき
)
の
生垣
(
いけがき
)
に取り巻かれ、広い庭に厚く植え込みが繁り、その中に萱葺きの屋根などを持った、三棟ほどの風雅の家が、ひっそりと立っているという
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「もうね、歌だけじゃない。私にはあの人のすべてがわかるようです。……あの人はね、
生垣
(
いけがき
)
のある家に住んでいます。生垣は椿ですな。あの人は、白い椿がとても好きなんです」
軍国歌謡集
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
親父
(
おやじ
)
が死んでから春木町を去って小石川の
富坂
(
とみざか
)
へ別居した。この富坂上の家というは
満天星
(
どうだん
)
の
生垣
(
いけがき
)
を
繞
(
めぐ
)
らした
頗
(
すこぶ
)
る風雅な構えで、
手狭
(
てぜま
)
であったが
木口
(
きぐち
)
を選んだ凝った
普請
(
ふしん
)
であった。
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
さうして、途ばたの
生垣
(
いけがき
)
の下に、もつと美しい花が咲いてゐるのを見つけるのだつた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
其中
(
そのなか
)
に
別
(
わ
)
けて
苦勞性
(
くろうせう
)
のあるお
人
(
ひと
)
しのびやかに
跡
(
あと
)
をやつけ
給
(
たま
)
ひし、
探
(
さ
)
ぐりに
探
(
さ
)
ぐれば
扨
(
さて
)
も
燈臺
(
とうだい
)
のもと
暗
(
く
)
らさよ、
本郷
(
ほんごう
)
の
森川町
(
もりかはちよう
)
とかや
神社
(
じんじや
)
のうしろ
新坂通
(
しんざかどほ
)
りに
幾搆
(
いくかま
)
への
生垣
(
いけがき
)
ゆひ
廻
(
まわ
)
せし
中
(
なか
)
経つくゑ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
隣に親たちがいるので、彼もそれ以上戸を叩かず、すごすご帰って行くのだったが、いつもそれでは済まず、
木槿
(
もくげ
)
の咲いている
生垣
(
いけがき
)
を乗りこえ、庭へおりて縁の板戸を叩くこともあった。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「だれがもうこんなわがままな人の所に来てやるものか」そう思いながら、
生垣
(
いけがき
)
の多い、
家並
(
やな
)
みのまばらな、
轍
(
わだち
)
の跡のめいりこんだ
小石川
(
こいしかわ
)
の往来を歩き歩き、憤怒の歯ぎしりを止めかねた。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
調子づいてうたいまくっていると、地境の
生垣
(
いけがき
)
の間から大きな目が
覗
(
のぞ
)
いた。
あなたも私も
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
まがりくねった道を進み、
生垣
(
いけがき
)
をぬけ、みぞを通って歩いていきます。すると、そのあとから、ネズミたちがゾロゾロついていくのです。チビさんは、
一時
(
いっとき
)
も休まず
笛
(
ふえ
)
を吹きつづけています。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
私は散歩の途中、偶然この家の前を通りかかって、軒さきに「貸間あり」の札がさがっているのを見かけ、
檜葉
(
ひば
)
の
生垣
(
いけがき
)
にかこわれているこの家のたたずまいになんとなく気を
惹
(
ひ
)
かれたのである。
犬の生活
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
青木さんは井戸の方のこんもりした
生垣
(
いけがき
)
の外から覗いてお出でになる。
桑の実
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
守人が
唾
(
つば
)
を吐きかけると、影はころぶように
生垣
(
いけがき
)
の闇黒に消えた。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
“生垣(
垣根
)”の解説
垣根(かきね)とは、敷地や庭などの区画として設ける囲い。竹で編んだり組んだりした竹垣や、木を植えた生垣などがある。また、金網を利用した金網垣もあり、洋風庭園などではバラを金網に絡ませたバラ垣などが用いられる。
(出典:Wikipedia)
生
常用漢字
小1
部首:⽣
5画
垣
常用漢字
中学
部首:⼟
9画
“生”で始まる語句
生
生命
生憎
生活
生涯
生々
生物
生温
生死
生計