われ)” の例文
「おつぎみんなでもめさせろ、さうしてわれめつちめえ、おとつゝあかせえでたから汝等わつられからよかんべえ」卯平うへいはいつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
圓次どんが見兼て引いてくれたら青が歩くから、おれ馬を引いてやんべいから、われ荷担いでけえれと云って、圓次どんは先へけえりやしたよ
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「こんな所で、立話はできぬ。……だが、七内殿も意地悪な。何のためかも知らず、うろついていたりしたら、われ生命いのちも危ない」
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そうれまんだきもべ焼けるか。こう可愛めんこがられても肝べ焼けるか。可愛めんこ獣物けだものぞいわれは。見ずに。いんまになら汝に絹の衣装べ着せてこすぞ。
カインの末裔 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
「ぬかしてよ。われや汝で、何ぜ俺とこを母屋やなんてたれるのや。どこで聞いて来た。他家ひとんとこへ来るなら来るで、ちゃんとして来い。」
南北 (新字新仮名) / 横光利一(著)
つとをりますといへば越前守殿夫れは知れたこと又われは文右衞門が宅へ何時いつゆきたるやと尋ねらるゝに久兵衞私しは文右衞門が拔身ぬきみ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「まあ、いい。手前てめえの口を出すことじゃねえのだ。われあただ、言われたとおり、こっそりこの裏ぐちからしのび出てナ、自身番へ駈けつけて——」
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
おまけに奈良茂ならもがそのあとから、「かうなるとわれおれとはかたき同志や。今が今でも命のやりとりしてこまそ」つて、笑つたと云ふんだから機会きつかけが悪い。
南瓜 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
「まあだ解らんけえ。おいアノヨの吉公。チョットここへ来て呼んでやらんけえ。われうちだぞオオオ……イヨオオオイ……イイ……という風にナ……」
斜坑 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
われは、いつかこのまちへきた乞食こじき子供こどもじゃないか、ふといやつだ。どこからそんな品物しなものぬすんできた。さあ白状はくじょうしてしまえ。みなその品物しなものをここへおいてゆけ。
黒い旗物語 (新字新仮名) / 小川未明(著)
わりゃ、天王寺境内に太鼓たたいていて、ちょこんと猿負背おんぶで、小屋へ帰りがけに、太夫どのに餅買うて、われも食いおった、行帰りから、その娘は馴染なじみじゃげな。
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「手白、われぁ困りもんのことをしてくれたなあ、いまにおとっさんが帰ってらば、どんないによまアれる(叱られる)か知れんから、さアちゃっと山へ逃げろ」
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
もっとも、二三人は、一緒に行って貰いてえとも思うのだが、今日が日まで、同じ辛苦をしたお前達みんなの中から、われは行け汝は来るなと云う区別は付けたくねえのだ。
入れ札 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
われ、いいようにすべし。われ仕でかしたこたア、われの手で仕末すべし。だが金アびた一文でも出すことはなんねえから——間抜けたつらアいつまでもつん出していたとてラチはあくめえぞ。」
鰊漁場 (新字新仮名) / 島木健作(著)
「また寝そべつたか、困るだなア、われ、余りひど虐使こきつかふでねえか」
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
「まあ待ってくれ、富士甚内! われアおれを殺す気だな!」
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
蚕豆がわれか、さういふ俺ちが蚕豆か
畑の祭 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
「うう、われの知ったことかい」
地上:地に潜むもの (新字新仮名) / 島田清次郎(著)
そこでわれあみごもつたんだ
ふく姿すがた高下かうげなくこゝろへだてなくかきにせめぐ同胞はらからはづかしきまでおもへばおもはるゝみづうをきみさまくはなんとせんイヤわれこそは大事だいじなれとたのみにしつたのまれつまつこずゑふぢ花房はなぶさかゝる主從しゆうじうなかまたとりや梨本なしもと何某なにがしといふ富家ふうかむすめ優子いうこばるゝ容貌きりやうよし色白いろじろほそおもてにしてまゆかすみ遠山とほやまがたはなといはゞと比喩たとへ
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
母「アヽ痛い、あゝあのお医者様から貰ったお薬は小さえ手包の中へ入れて置いたが、彼処あすけえ上げて置いたが、あれわれ持って来たか」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「どじめ。寝呆ねぼけたような返辞をして何処をまごついていたのだ。われ一名が見えぬため、皆で心配していたところじゃねえか」
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
んでえわれがまた、牡馬をんま牝馬めんまだけの血統證けつとうしようだんべ、そんなものなんるもんぢやねえ、らねえとおもつて、白河しらかはいちいてらあ
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
わり乞食ほいと盗賊ぬすっとか畜生か。よくもわれが餓鬼どもさ教唆しかけて他人ひとの畑こと踏み荒したな。ちのめしてくれずに。
カインの末裔 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
つけまわすか知らなかったが、してみるとわれも、柳生の埋宝をねらう一人か。細民にほどこしをいたすなどと、口はばったいことを看板に……イヤ、壺を
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
偖又雲助共は再び一所に集合あつまり己れはすねを拂はれわれは腰を打れたりと皆々疵所きずしよさすり又は手拭てぬぐひなどさいて卷くもあり是では渡世が六ヶ敷と詢言々々つぶやき/\八九人の雲助共怪我を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
一県二三ヶ国を代表して大博覧会へ出品をしようという、おれの作に向って、われの銘を入れる法があるか。退しされ、推参な、無礼千万。これ、悪く取れば仕事を盗む、盗賊どろぼうも同然だぞ。
「知るも知らんもあるものか。われ大きゅうなったやないか。」
南北 (新字新仮名) / 横光利一(著)
「なに正気? むうそうか。それじゃわれアあの獲物を……」
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
われ、やかましいそげなものくなよ。
管笛 (新字新仮名) / 小川未明(著)
やれ、われも尻拭け、お時婆ときばば
畑の祭 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
さあこれからはわれの番だ
此の色目で男をなやましたかとお村をズタ/\に斬り、われは此の口で文治郎に悪口をいたかと嬲殺なぶりごろしにして、其の儘脇差をほうり出し
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
今朝けさはたべたかねえかんな、われかまあねえで出來できたらたべたはうがえゝぞ」おしなはいつた。またこほつためし雜炊ざふすゐられた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
われの主人信長は、この蜂須賀村も、領土の内と心得ておるかしらぬが、蜂須賀村はおろか、海東郡のあらましは、小六正勝の手で治まっているのだ。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
われ先ず親方にべなって見べし。ここのがよりも欲にかかるべえに。……芸もねえこん可愛めんこくもねえつらつんだすなてば
カインの末裔 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
して來りしぞ尋常に云て仕舞へどうわれいのち無者なきものいくら隱してものがれるわけにはゆかないぞコリヤ町役人油屋五兵衞を呼出すべしと云ければかしこまり候と町役人走り行き油屋のおもて
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「やいっ、われアもう死んでるんだぞ。手前てめえの斬られたのを知らなけれア世話アねえや」
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
(もし、御寮人様、)とじっと顔を見て、(どうしましたらよろしいのでございましょう、)とすがるようにして言ったか言わぬに、(猿曳さるひきめ、われゃ、おんなに、……畜生、)とわめくがはやいか、伸掛のしかかって
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「よう云うな! われや自分の棟の下で飯が食っていけるのは、誰のお蔭やと思うてる。此のしぶったれの伯母が有ってこそやぞ。それも知りさらさんとからに、渋ったれ渋ったれって一寸は人の恩も考えてから云いや!」
南北 (新字新仮名) / 横光利一(著)
われがにたっだ一言臨終いまわに言い残す事があるから此処こけえ呼んだんだが、おかめも此処こけう、多助も此処こけう、おえいも五八も皆呼んでくれ
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「よし。手下にしてやってもいい。——だが、それはわれあかしを立ててからだぞ。さあ、前に云ったことのわけをいえ」
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
われあ何か、湯島妻恋坂上のお旗下、饗庭亮三郎様のお屋敷てえのを知っているか」
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
見ろやい、取っても着けねえ処に、銀の鱗さ、ぴかぴかと月に光るちッて、われがを、(と鯉をじろじろ)ばけものか蛇体と想うて、手を出さずば、うまい酒にもありつけぬ処だったちゅうものだ。
夜叉ヶ池 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
家は取毀とりこわして仕舞ったのだ、するとおらア友達が羽生村に居て、此方こっちへ来たときに貰っただアが、われ使って見ねえかく切れるだが
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「そうじゃ、わしの旅舎やどはすぐそこの三年坂の下、いつも京都に来ればそこにめてある。われには、用もないから、何処へなと、帰るなら帰るがええ」
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「何をッ! われが好きなことなら、人の迷惑になってもかまわねえと言うのかッ」
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
われというものは、老夫おやじ、大それた、これ、ものも積って程に見ろ。
永「此奴こいつ此間こないだ三両貸せてえから貸したが返さぬで、袈裟文庫、なんじゃえ、出家の身の上で十両などと、われが身に何で金がる」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「やい、どいつか、おれの肩をすこしんでくれ。蜘蛛六くもろくわれでもいい。うんと力を入れて……そうだその辺を」
茶漬三略 (新字新仮名) / 吉川英治(著)