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桟橋
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さんばし
ふりがな文庫
“
桟橋
(
さんばし
)” の例文
旧字:
棧橋
桟橋
(
さんばし
)
に
出
(
で
)
て
見
(
み
)
ると、がらんとした
大桟橋
(
だいさんばし
)
の
上屋
(
うはや
)
の
下
(
した
)
に、三つ四つ
卓子
(
テーブル
)
を
列
(
なら
)
べて、
税関
(
ぜいくわん
)
の
役人
(
やくにん
)
が
蝋燭
(
らふそく
)
の
光
(
ひかり
)
で
手荷物
(
てにもつ
)
の
検査
(
けんさ
)
をして
居
(
ゐ
)
る。
検疫と荷物検査
(新字旧仮名)
/
杉村楚人冠
(著)
一艘
(
いっそう
)
繋
(
つな
)
いであって、船首の方が明いていて、友之助が手招ぎをするから、お村はヤレ嬉しと
桟橋
(
さんばし
)
から船首の方へズーッと
這入
(
はい
)
ると
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
まさか——と舟辰は
多寡
(
たか
)
をくくっていたが、老先生があまりにくやむので、あわてて、
草履
(
ぞうり
)
を突ッかけて、河岸の
桟橋
(
さんばし
)
へ駈け出してみた。
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
夜船へ帰って、甲板でリモナーデを飲みながら
桟橋
(
さんばし
)
を見ていると、そこに立っているアーク燈が妙なチラチラした青い光と煙を出している。
旅日記から
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
港には、数十人の裸女の背を合せた、異様の
桟橋
(
さんばし
)
がうねっていた。客は、その
毛氈
(
もうせん
)
よりも柔く、暖かき桟橋を踏んで上陸した。
地獄風景
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
▼ もっと見る
その努力は
艀
(
はしけ
)
から
桟橋
(
さんばし
)
へ移る程楽ではなかった。食い違った断面の甲に
迷付
(
まごつ
)
いているものが、急に乙に移るべく余儀なくされた様であった。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
かん高に叫んでいた
桃
(
もも
)
われの娘。
桟橋
(
さんばし
)
前「しまや」という
看板
(
かんばん
)
をおぼえてかえり、手紙を出してみたが、返事はこなかった。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
ひたひたと漕ぎつけて来て、
桟橋
(
さんばし
)
の際へ素気なく乗りつけると共に、乗組の者が、バラバラと岸へ飛び移ったことの
体
(
てい
)
が尋常ではありません。
大菩薩峠:37 恐山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
キャラコさんは、むずかしい顔をして、遊覧船の
桟橋
(
さんばし
)
で、釣りをするのを眺めている。すこしばかり機嫌が悪いのである。
キャラコさん:03 蘆と木笛
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
或
(
あるひ
)
は夫婦づれの、或は独身者らしい
脛
(
すね
)
一本の労働者が、青服の着流しで、手荷物を振分に背負つて、ぼつ/\
桟橋
(
さんばし
)
から上陸して来るのを見ると
煤煙の匂ひ
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
折から貸ボート屋の
桟橋
(
さんばし
)
には
舷
(
ふなばた
)
に数知れず
提燈
(
ちょうちん
)
を下げた
涼船
(
すずみぶね
)
が間もなく
纜
(
ともづな
)
を解いて出ようとするところらしく、客を呼込む女の声が一層
甲高
(
かんだか
)
に
吾妻橋
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
建網
(
たてあみ
)
に損じの有る無し、網をおろす場所の海底の模様、
大釜
(
おおがま
)
を
据
(
す
)
えるべき位置、
桟橋
(
さんばし
)
の改造、
薪炭
(
しんたん
)
の買い入れ、米塩の運搬、仲買い人との契約
生まれいずる悩み
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
船舶といえば、むかしは、
桟橋
(
さんばし
)
についたり、沖合に錨をおろしたものであるが、目下わが国では、それを禁じてある。碇泊は、すべて禁止である。
地球要塞
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
老女は聞きも
畢
(
おわ
)
らず、窓の戸を開け放ちたるままにて、
桟橋
(
さんばし
)
の
畔
(
ほとり
)
に
馳出
(
はせい
)
で、泣く泣く巨勢を
扶
(
たす
)
けて、少女を抱きいれぬ。
うたかたの記
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
汽車が門司につくと、女房は一人おぶって二人を両手にひき、鷲尾は三つも四つもあるこまかい手荷物を赤帽のようにかついで
桟橋
(
さんばし
)
を渡っていった。
冬枯れ
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
淡
(
たん
)
の
輪
(
わ
)
がよいの船であろう、「紀淡丸」と記した汽船が
桟橋
(
さんばし
)
を離れて行くのだが、四五百
噸
(
トン
)
にも足らないほどの船体がぐるりと船首を向き変えるとき
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
そこで消防組員が起こされ、
提灯
(
ちょうちん
)
がつけられ、手分けをして捜しにかかると、蒸気
河岸
(
がし
)
の
桟橋
(
さんばし
)
の端のところに、
揃
(
そろ
)
えてぬぎ捨ててある草履が発見された。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
大川は今のごとく、船宿の
桟橋
(
さんばし
)
に、岸の
青蘆
(
あおあし
)
に、
猪牙船
(
ちょきぶね
)
の船腹にものういささやきをくり返していたのである。
大川の水
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
差配
(
おおや
)
さん
苦笑
(
にがわらい
)
をして、狸爺め、
濁酒
(
どぶろく
)
に
喰
(
くら
)
い酔って、千鳥足で帰って来たとて、
桟橋
(
さんばし
)
を踏外そうという風かい。
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
葛城の姉、お馨さんの長兄夫婦、末の兄、お馨さんによく肖た妹達は、
桟橋
(
さんばし
)
でお馨さんを見送った。粕谷の夫妻も見送り人の中にあった。妹達は涙を流して居た。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
鵬
(
ぼう
)
となる大願発起痴話
熱燗
(
あつかん
)
に骨も肉も
爛
(
ただ
)
れたる俊雄は相手待つ間歌川の二階からふと
瞰下
(
みおろ
)
した隣の
桟橋
(
さんばし
)
に歳十八ばかりの
細
(
ほっ
)
そりとしたるが
矢飛白
(
やがすり
)
の袖夕風に吹き
靡
(
なび
)
かすを
かくれんぼ
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
町の者が船着き場にしている形ばかりの
桟橋
(
さんばし
)
の手前に、何やら倒れている者があったのです。
銭形平次捕物控:139 父の遺書
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
新らしい果物屋、新らしい自動車屋、新らしい
桟橋
(
さんばし
)
、何か昔と違った新鮮な町に変っていた。
田舎がえり
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
桟橋
(
さんばし
)
に近い道端に、
林檎
(
りんご
)
や夏
蜜柑
(
みかん
)
を積み重ねた売子が、人の足元をポカンと坐って見ていた。
工場細胞
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
近所の小屋もみな打ち出したとみえて、世間は洪水のあとのようにひっそりして、川向うの柳橋の
桟橋
(
さんばし
)
で人を呼ぶ
甲走
(
かんばし
)
った女の声が水にひびいて遠く聞えるばかりであった。
両国の秋
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
汽船の上から
桟橋
(
さんばし
)
の上を眺めますと、出立の時に涙をもって送られたところの親友、信者の方々は喜びの涙をもって無言の
裡
(
うち
)
に
真実
(
まこと
)
の情を湛え、
懇
(
ねんご
)
ろに私を迎えてくれました。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
ある日、港の
桟橋
(
さんばし
)
で、ヒーヒー泣き声を出したい気持をこらえて、その代り海に向って
雨
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
分寿々廼家のお神と内箱のお
婆
(
ばあ
)
さんとで、看板をもった車夫を一人つれて、
河縁
(
かわべり
)
を捜しにやって来た時、銀子は
桟橋
(
さんばし
)
にもやってある運送船の
舳
(
みよし
)
にある、機関の
傍
(
そば
)
にじっとしゃがんでいた。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
娘が
桟橋
(
さんばし
)
を渡ッて、いよいよ船へ乗り込もうとして、こちらをふり向いて,
初恋
(新字新仮名)
/
矢崎嵯峨の舎
(著)
行詰
(
ゆきづめ
)
に石垣に寄せて
縁側
(
えんがわ
)
のようにした
一幅
(
ひとはば
)
の
桟橋
(
さんばし
)
がかかっていて、その下には大川の水が物の秘密を包んでいるように
満満
(
まんまん
)
と
湛
(
たた
)
えていた。二人は河の
面
(
おもて
)
を見入った
後
(
のち
)
に黙って顔を見合して
衝立
(
つった
)
った。
水魔
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
桟橋
(
さんばし
)
や暮れては母のふところに入るとごとくに船かへりきぬ
舞姫
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
桟橋
(
さんばし
)
に茶やの女の下駄の音カラコロカラコロ。
藪の鶯
(新字新仮名)
/
三宅花圃
(著)
折
(
をり
)
から
貸
(
かし
)
ボート
屋
(
や
)
の
桟橋
(
さんばし
)
には
舷
(
ふなばた
)
に
数知
(
かずし
)
れず
提燈
(
ちやうちん
)
を
下
(
さ
)
げた
凉船
(
すゞみぶね
)
が
間
(
ま
)
もなく
纜
(
ともづな
)
を
解
(
と
)
いて
出
(
で
)
やうとするところらしく、
客
(
きやく
)
を
呼込
(
よびこ
)
む
女
(
をんな
)
の
声
(
こゑ
)
が一
層
(
そう
)
甲高
(
かんだか
)
に
吾妻橋
(新字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
斧四郎旦那は、お喜代だの、露八だの、この前の時の顔に、
堀
(
ほり
)
の芸妓たちを連れて、浜中屋の裏の
桟橋
(
さんばし
)
へ
屋形船
(
やかた
)
を着けた。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
切符は二等、行先は
下田港
(
しもだこう
)
、行李をかついで、暗い
桟橋
(
さんばし
)
を駈け、
巖乗
(
がんじょう
)
な板の歩みを渡って、ハッチを入るか入らぬに、ボーッと出帆の汽笛でした。
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
こうして二人は、ほんとうに身を以て、裏梯子から、すぐ家の
欄
(
てすり
)
の下の
桟橋
(
さんばし
)
に立って、河原を走ることになりました。
大菩薩峠:31 勿来の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
さうすると
円朝
(
ゑんてう
)
さん、その
死骸
(
しがい
)
が
何
(
ど
)
ういふ
潮時
(
しほどき
)
であつたか知らないが、流れ/\て
塩原
(
しほばら
)
の
前
(
まへ
)
の
桟橋
(
さんばし
)
へ着いたさうだ。
塩原多助旅日記
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
それを
桟橋
(
さんばし
)
の待合所までおくってからのことにした。男先生たちに事情をいって、一人ずつそっとぬけだし、目だたぬよう大通りをすぐ横町にはいった。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
これらの発着するところを「蒸気
河岸
(
がし
)
」と呼び、隣りあっている両
桟橋
(
さんばし
)
の前にそれぞれの切符売り場があった。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
桟橋
(
さんばし
)
へあやしげな小船をこぎよせる者があるから見ていると盛装したシナ婦人が出て来た。白服に着かえた船のボーイが桟橋の上をあちこちと歩いている。
旅日記から
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
リバプールで、
行
(
い
)
き
逢
(
あ
)
ったんですけれど、警官に何かと間違えられて、
桟橋
(
さんばし
)
から飛びこんだところまで、実はあたしが見ていたのよ。でも、可哀そうでしょう。
英本土上陸戦の前夜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
朝の八時頃、神戸行きの船が客を乗せている
桟橋
(
さんばし
)
のところで、要は二人の順礼姿と
袂
(
たもと
)
を分つことになった。
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
僕等はそこから引き返して
川蒸汽
(
かはじようき
)
の客になる為に
横網
(
よこあみ
)
の浮き
桟橋
(
さんばし
)
へおりて行つた。昔はこの川蒸汽も一銭蒸汽と呼んだものである。今はもう賃銭も一銭ではない。
本所両国
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
平潟は名だたる
漁場
(
りょうば
)
である。湾の南方を、町から
当面
(
とうめん
)
の
出島
(
でしま
)
をかけて、
蝦蛄
(
しゃこ
)
の
這
(
は
)
う様にずらり
足杭
(
あしくい
)
を見せた
桟橋
(
さんばし
)
が見ものだ。雨あがりの漁場、唯もう
腥
(
なまぐさ
)
い、腥い。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
この時突然「田川法学
博士
(
はかせ
)
万歳」という大きな声が、
桟橋
(
さんばし
)
からデッキまでどよみ渡って聞こえて来た。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
一方タヌはといえば、これまた
擂菜
(
ピュウレ
)
にするため谷を二つ越え、断崖の危ない
桟橋
(
さんばし
)
を渡って、はるかなる島蔭の灯台の廻りに生えている
車前草
(
おんばこ
)
を採集に出掛けるのであった。
ノンシャラン道中記:01 八人の小悪魔
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
で、一
向
(
かう
)
に
涼
(
すゞ
)
しさなんぞ
寄
(
よ
)
せつけない。……たゞ
桟橋
(
さんばし
)
から、
水際
(
みづぎは
)
から、すぐ
手
(
て
)
で
掬
(
すく
)
へる
小瑕
(
こゑび
)
の
事
(
こと
)
。……はじめ、
羽
(
はね
)
の
薄
(
うす
)
い
薄萠黄
(
うすもえぎ
)
の
蝉
(
せみ
)
が一
疋
(
ぴき
)
、
波
(
なみ
)
の
上
(
うへ
)
に
浮
(
う
)
いて、
動
(
うご
)
いてゐた。
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
この船宿の
桟橋
(
さんばし
)
ばかりに屋根船が五六
艘
(
そう
)
着いている。それへ階上階下から人が出て乗り込む。
百物語
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「見ましたよ、船が
桟橋
(
さんばし
)
を離れる前から、三味線太鼓で、それはもう、大変な騒ぎでした」
銭形平次捕物控:297 花見の留守
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
孰
(
いづ
)
れも
渋々
(
しぶ/\
)
食堂
(
しよくだう
)
に
下
(
お
)
りて、
例
(
れい
)
に
依
(
よ
)
つて
旨
(
うま
)
くも
何
(
なん
)
ともない
晩餐
(
ばんさん
)
の
卓子
(
テーブル
)
に
就
(
つ
)
く。
食事
(
しよくじ
)
がすんで
又
(
また
)
甲板
(
かんぱん
)
に
出
(
で
)
ると、
日
(
ひ
)
は
既
(
すで
)
にとツぷりと
暮
(
く
)
れて、やツとのことで
船
(
ふね
)
は
桟橋
(
さんばし
)
に
横
(
よこ
)
づけになつたらしい。
検疫と荷物検査
(新字旧仮名)
/
杉村楚人冠
(著)
“桟橋”の意味
《名詞》
(さんきょう、さんばし)渓谷に高く架けた橋。
(さんばし)船舶に搭乗、積載のために岸から船舶に架ける設備。
(出典:Wiktionary)
“桟橋”の解説
桟橋(さんばし、en: pier)とは、係留施設の一つ。船舶が着岸するために陸域部から水上へ向けて作った橋状の係留施設である。広義には浮桟橋(floating pier)やポンツーン(pontoon)も桟橋に含むことがある。「桟」がかつての当用漢字に入っていなかったことから、さん橋と表記される場合もある。港湾法における港湾施設の一つ。
(出典:Wikipedia)
桟
常用漢字
中学
部首:⽊
10画
橋
常用漢字
小3
部首:⽊
16画
“桟橋”で始まる語句
桟橋前
桟橋際
桟橋会社