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桑
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くわ
ふりがな文庫
“
桑
(
くわ
)” の例文
濁酒に限らず、イチゴ酒でも、
桑
(
くわ
)
の実酒でも、
野葡萄
(
のぶどう
)
の酒でも、リンゴの酒でも、いろいろ
工夫
(
くふう
)
して、酔い心地のよい上等品を作る。
母
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
誠
(
せい
)
一は、
勇気
(
ゆうき
)
を
出
(
だ
)
して、
草
(
くさ
)
を
分
(
わ
)
けてはいっていきました。
桑
(
くわ
)
の
枝
(
えだ
)
を
折
(
お
)
ろうとすると、
熟
(
じゅく
)
しきった
赤
(
あか
)
い
実
(
み
)
が、ぽとぽとと
落
(
お
)
ちました。
芽は伸びる
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
けれども今日は、こんなにそらがまっ
青
(
さお
)
で、見ているとまるでわくわくするよう、かれくさも
桑
(
くわ
)
ばやしの黄いろの
脚
(
あし
)
もまばゆいくらいです。
イーハトーボ農学校の春
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
茶
(
ちゃ
)
と
桑
(
くわ
)
と二方を
劃
(
しき
)
った畑の一部を無遠慮に踏み固めて、
棕櫚縄
(
しゅろなわ
)
素縄
(
すなわ
)
で
丸太
(
まるた
)
をからげ組み立てた十数間の
高櫓
(
たかやぐら
)
に人は居なかった。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
出店は、諸国の
桑
(
くわ
)
ある所、住居は、繭の中とでもいいましょうか、いやもう、のん気な風来商売で、歩いてばかりおりまする
無宿人国記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
愛之助が床に這入って、仰向きになって煙草を吸っていると、その枕下の
桑
(
くわ
)
の
角火鉢
(
かくひばち
)
によりかかる様にして、芳江は何かと話しかけるのであった。
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
休む暇といったら
桑
(
くわ
)
の実とか野生の
梨
(
なし
)
とか、または、口がしびれ、唇が白くなり、そして
喉
(
のど
)
の渇きをとめるうつぼ
草
(
そう
)
の実とかをちぎる時だけである。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
庭の畑に出ていた祖父も、裏側の自分達の部屋で
蚕
(
かいこ
)
に
桑
(
くわ
)
をやっていた祖母も、私の声をききつけて駆け出して来た。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
この棒の材料は
桑
(
くわ
)
の木で、上端を削って眼鼻口を描いたのが、我々の問題にしているオシラサマとよく似ている。
こども風土記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
すると
路
(
みち
)
の
傍
(
そば
)
ではあるが、川の方へ「なだれ」になっているところ一体に
桑
(
くわ
)
が
仕付
(
しつ
)
けてあるその
遥
(
はるか
)
に下の方の低いところで、いずれも十三四という女の児が
雁坂越
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
小六
(
ころく
)
はともかくも都合しだい下宿を引き払って兄の家へ移る事に相談が
調
(
ととの
)
った。
御米
(
およね
)
は六畳に置きつけた
桑
(
くわ
)
の鏡台を
眺
(
なが
)
めて、ちょっと残り惜しい顔をしたが
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
新赤壁
(
しんせきへき
)
の裾を幾折れして、岩屋観音にかかる。漢画風の山水である。トンネルがあり、橋がある。
路
(
みち
)
はやや沿岸を離れて
桑
(
くわ
)
畑と
雌松
(
めまつ
)
の林間に
入
(
い
)
る。農家がある。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
桑
(
くわ
)
が
丈
(
たけ
)
高く伸びているので、遠くから望むと、旧家らしい
茅葺
(
かやぶ
)
きの
台棟
(
だいむね
)
と
瓦葺
(
かわらぶ
)
きの
庇
(
ひさし
)
だけが、桑の葉の上に、海中の島のごとく
浮
(
う
)
いて見えるのがいかにも
床
(
ゆか
)
しい。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
荒れた
厩
(
うまや
)
のようになって、落葉に
埋
(
う
)
もれた、一帯、
脇本陣
(
わきほんじん
)
とでも言いそうな旧家が、いつか世が成金とか言った時代の景気につれて、
桑
(
くわ
)
も
蚕
(
かいこ
)
も当たったであろう
眉かくしの霊
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
コノエさんはもう朝畑をして戻ってきたらしく、
桑
(
くわ
)
の束を井戸の中へ
吊
(
つる
)
していた。クニ子とは小学校から同級生でお互にあけすけなものいいのできる間柄であった。
暦
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
手炙
(
てあぶ
)
り、卓、
茶棚
(
ちゃだな
)
など
桑
(
くわ
)
や
桐
(
きり
)
で
指
(
さ
)
された凝った好みの道具がそこにぎっしり詰まっていた。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
桑
(
くわ
)
の
実
(
み
)
八四・七一 九・一九 一・八六 〇・三九 二・〇三 〇・五七 一・二五
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
南洋に産する「
木
(
こ
)
の
葉
(
は
)
蝶
(
ちょう
)
」、内地いたるところに産する「
桑
(
くわ
)
の
枝
(
えだ
)
尺取
(
しゃくと
)
り」などはその最も知られた例であるが、「木の葉蝶」は
翅
(
はね
)
の表面のあざやかなるに似ず、その裏面は全く枯葉のとおりで
自然界の虚偽
(新字新仮名)
/
丘浅次郎
(著)
母はだだ
広
(
びろ
)
い次の
間
(
ま
)
に
蚕
(
かいこ
)
の
桑
(
くわ
)
を
刻
(
きざ
)
み刻み、二三度良平へ声をかけた。
百合
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
入口の
間
(
ま
)
には
桑
(
くわ
)
の鏡台をおいて、
束髪
(
そくはつ
)
の
芳子
(
よしこ
)
(その当時の養女、もと新橋芸者の
寿福
(
じゅふく
)
——後に
蒲田
(
かまた
)
の映画女優となった川田芳子)が
女番頭
(
おんなばんとう
)
に帯をしめてもらって、帰り仕度をしているところであった。
マダム貞奴
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
そこは耕されて、
桑
(
くわ
)
などが植付けてある。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
すると、一
本
(
ぽん
)
、
桑
(
くわ
)
の
枝
(
えだ
)
が
目
(
め
)
にはいりました。もし、この
枝
(
えだ
)
を
根
(
ね
)
もとのところから
切
(
き
)
ったら、じつにいいつえが
造
(
つく
)
られたからです。
脊の低いとがった男
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
春から夏にかけて主として
養蚕
(
ようさん
)
で、畑には少しばかりの麦と
桑
(
くわ
)
と自家用の野菜と、そして砂地にはわさびを植えることで、冬は、男は山に登って炭を焼き
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
炉には
樫
(
かし
)
、
櫟
(
くぬぎ
)
、
桑
(
くわ
)
などをくべたが、桑が一番火の
保
(
も
)
ちがよく、熱も
柔
(
やわら
)
かだと云うので、その切り株を
夥
(
おびただ
)
しく燃やして、とても都会では思い及ばぬ
贅沢
(
ぜいたく
)
さに
驚
(
おどろ
)
かされたこと。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
そっと自分のからだを
崖
(
がけ
)
のふちまで移動させて、
兵古帯
(
へこおび
)
をほどき、首に巻きつけ、その端を
桑
(
くわ
)
に似た幹にしばり、眠ると同時に崖から滑り落ちて、そうしてくびれて死ぬる
姥捨
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
私たちは
桑
(
くわ
)
畑と松林の間を木曾川の左岸に出た。また松林があった。テントと投水台と。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
四月三日 今日はいい
付
(
つ
)
けられて一日古い
桑
(
くわ
)
の
根掘
(
ねほ
)
りをしたので大へんつかれた。
或る農学生の日誌
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
ごく細い
篠竹
(
しのだけ
)
、紙を製するところでは
楮
(
こうぞ
)
の小枝、
養蚕
(
ようさん
)
のさかんな土地で
桑
(
くわ
)
の枝、または
笹
(
ささ
)
の葉で葺いている例もわたしは知っているが、そういうのは全国いっぱんということができないであろう。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
米も
粟
(
あわ
)
も
収
(
と
)
れないから、やむを得ず
桑
(
くわ
)
を植えて
蚕
(
かいこ
)
を飼うんだそうであるが、よほど貧しい所と見えて、柱時計を持っている家が一軒だけで、高等小学へ通う小供が三人しかないという話であった。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
余等が帝劇のハムレットに
喜憂
(
きゆう
)
を
注
(
そそ
)
いで居る間に、
北多摩
(
きたたま
)
では地が真白になる程雹が降った。余が畑の
小麦
(
こむぎ
)
も大分こぼれた。
隣字
(
となりあざ
)
では、麦は
種
(
たね
)
がなくなり、
桑
(
くわ
)
も
蔬菜
(
そさい
)
も青い物
全滅
(
ぜんめつ
)
の
惨状
(
さんじょう
)
に
会
(
あ
)
うた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
「
桑
(
くわ
)
の
葉
(
は
)
なら、
僕
(
ぼく
)
、
明日
(
あした
)
学校
(
がっこう
)
へ
持
(
も
)
ってきてあげる。びんの
中
(
なか
)
へ
水
(
みず
)
を
入
(
い
)
れてさしておきたまえ。」と、
泉
(
いずみ
)
が、
教
(
おし
)
えました。
芽は伸びる
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
柳橋
(
やなぎばし
)
駅から犬山橋までの電車の沿線には
桑
(
くわ
)
が肥え、梨が実り、青い水田のところどころには、ほのかな
紅
(
あか
)
い
蓮
(
はす
)
の花が、「朝」の「八月」の
香
(
にお
)
いを
爽
(
さわや
)
かな空気と日光との中に漂わしていた。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
冬が近くて、天山はもうまっ白になり、
桑
(
くわ
)
の
葉
(
は
)
が黄いろに
枯
(
か
)
れてカサカサ
落
(
お
)
ちました
頃
(
ころ
)
、ある日のこと、童子が
俄
(
にわ
)
かに帰っておいでです。母さまが
窓
(
まど
)
から
目敏
(
めざと
)
く
見付
(
みつ
)
けて出て行かれました。
雁の童子
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
一四
部落
(
ぶらく
)
には必ず一戸の旧家ありて、オクナイサマという神を
祀
(
まつ
)
る。その家をば
大同
(
だいどう
)
という。この神の
像
(
ぞう
)
は
桑
(
くわ
)
の木を
削
(
けず
)
りて
顔
(
かお
)
を
描
(
えが
)
き、四角なる
布
(
ぬの
)
の
真中
(
まんなか
)
に穴を
明
(
あ
)
け、これを
上
(
うえ
)
より
通
(
とお
)
して
衣裳
(
いしょう
)
とす。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
太郎
(
たろう
)
は、
桑
(
くわ
)
の
枝
(
えだ
)
を
切
(
き
)
るどころでありませんでした。
急
(
きゅう
)
に、
歩
(
ある
)
き
出
(
だ
)
しますと、その
男
(
おとこ
)
も
太郎
(
たろう
)
について
歩
(
ある
)
いてきました。
脊の低いとがった男
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
誠
(
せい
)
一は、
先生
(
せんせい
)
が、
大
(
おお
)
きな
桑
(
くわ
)
の
葉
(
は
)
の
上
(
うえ
)
へ、かいこを七
匹
(
ひき
)
ばかり、のせて
渡
(
わた
)
してくだされたのをありがたくいただきました。さあこれをどうして
持
(
も
)
って
帰
(
かえ
)
ったらいいだろう。
芽は伸びる
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
いつも、ぼくはさびしい
子
(
こ
)
どもだった。ある
日
(
ひ
)
、
桑畑
(
くわばたけ
)
で、いくたりかの
女
(
おんな
)
が
桑
(
くわ
)
の
葉
(
は
)
をつんでいるのを
見
(
み
)
た。なんでもその
葉
(
は
)
はどこかの
養蚕地
(
ようさんち
)
へおくられるというのだった。
はたらく二少年
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
ぼくは、こんなようなおかあさんがおればいいになあと、なんとなく、したわしい
気
(
き
)
がして、そのそばへいって、
桑
(
くわ
)
をつむてつだいをした。おばさんは、ぼくの
頭
(
あたま
)
をなでてくれた。
はたらく二少年
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
うさぎは、
山
(
やま
)
に
餌
(
え
)
がなくなったから、からすの
口車
(
くちぐるま
)
に
乗
(
の
)
って、
原
(
はら
)
へ
大根
(
だいこん
)
の
残
(
のこ
)
りや、
桑
(
くわ
)
の
枝
(
えだ
)
を
食
(
た
)
べにくる
気
(
き
)
になるかもしれない。だが、りこうなうさぎだ、あのからすめ、うまく
誘
(
さそ
)
い
出
(
だ
)
せるかなあ。
からすとうさぎ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
“桑”の意味
《名詞》
(くわ)蚕の餌として古来重要な作物であり、また果樹としても利用されるクワ科に属する落葉樹。 (花:春の季語, 実:夏の季語)
(出典:Wiktionary)
“桑(クワ)”の解説
クワ(桑)は、クワ科クワ属の総称。ヤマグワ、シマグワなど品種が多い。カイコの餌として古来重要な作物であり、また果樹としても利用される。土留色はこの植物の実の色を指すこともある。
(出典:Wikipedia)
桑
常用漢字
中学
部首:⽊
10画
“桑”を含む語句
桑港
桑田
桑園
桑畑
桑門
桑原
桑圃
扶桑略記
扶桑
真桑瓜
桑名
桑畠
桑折
仏桑華
山桑
桑摘
桑実寺
桑楡
桑山
桑名屋
...