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幾人
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いくたり
ふりがな文庫
“
幾人
(
いくたり
)” の例文
途中に
幾人
(
いくたり
)
もいたじゃありませんか。松の木のてっぺんにもいたし峠の
躑躅
(
つつじ
)
の繁みの中にもいました。みな鉄砲を持っていましたよ。
ノンシャラン道中記:05 タラノ音頭 ――コルシカ島の巻――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
中指を切られた者が既に
幾人
(
いくたり
)
有ったか知れん、誠に何とも、ハヤ面目次第もない、權六
其方
(
そなた
)
が無ければ末世末代東山の家名は
素
(
もと
)
より
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「加うるに君が居ても差支えない。諸君のような人ばかりなら、
幾人
(
いくたり
)
居たって私は心配も
何
(
なんに
)
もしないが。」と梓は
愁然
(
しゅうぜん
)
として
差俯向
(
さしうつむ
)
く。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
彼が自分の家まで歩いて行く間には、
幾人
(
いくたり
)
となく田舎風な挨拶をする人に行き逢った。長い
鬚
(
ひげ
)
を
生
(
はや
)
した人はそこにもここにも居た。
岩石の間
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
他に
幾人
(
いくたり
)
もない身の上だったのであるが、自分として頼もしい女性と思われぬのはどうしたことであろう、僧のような父宮に育てられ
源氏物語:54 蜻蛉
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
▼ もっと見る
振乱す幽霊の毛のように打なびく柳の
蔭
(
かげ
)
からまたしても怪し気なる女の姿が
幾人
(
いくたり
)
と知れず
彷徨
(
さまよ
)
い
出
(
い
)
で、何ともいえぬ
物哀
(
ものあわれ
)
な泣声を立て
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
と、守人は、すでに
幾人
(
いくたり
)
かの生血を知っている
水心子正秀
(
すいしんしまさひで
)
の作、
帰雁
(
きがん
)
の一刀を腰にぶち込んで、忍びやかに方来居を立ちいでようとした。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
この蕭白の
言草
(
いひぐさ
)
に従つたら、今の京都画家に、ほんとの
画
(
ゑ
)
かきが
幾人
(
いくたり
)
あるかわからなくなるが、兎に角京都には絵をかく人がたんとゐる。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
随分
沢山
(
たくさん
)
あるんですが、みんなお
頭
(
つむ
)
の毛の白いのや、禿げたのばかりで、あなたのような若々しい方は
幾人
(
いくたり
)
もありはしません。
焔の中に歌う
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
おおかたどこで、どんな人に、
幾人
(
いくたり
)
逢
(
あ
)
おうとも、
版行
(
はんこう
)
で押したような口調で御前さん働く気はないかねを根気よく繰返し得る男なんだろう。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
わが腰を休めたる石の
彼方
(
かなた
)
には、山より集り落つる清水の
筧
(
かけひ
)
ありて、わが久しく物を思へる間、
幾人
(
いくたり
)
の
少女
(
をとめ
)
來りて、その水を汲みては歸りし。
秋の岐蘇路
(旧字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
「城内から、お市の方様、また小さい和子様たち、お
幾人
(
いくたり
)
も背にしばって、浅井家の
傅人
(
もりびと
)
三、四名の衆とごいっしょに……」
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
これ迄も私は
幾人
(
いくたり
)
かの人に聞いて貰ったのでございますがね、聞いて
了
(
しま
)
うと其人達は、馬鹿にしたような顔をして、大きな声で笑うのでごわす。
死の航海
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
それには同気相求めて友が
幾人
(
いくたり
)
も出来た。同県人で予備門から
後
(
のち
)
文科へ
入
(
い
)
った男が有ったが、私は殊に其感化を受けた。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
首卷
(
くびまき
)
のはんけち
俄
(
にわ
)
かに
影
(
かげ
)
を
消
(
け
)
して、
途上
(
とじよう
)
の
默禮
(
もくれい
)
とも千
歳
(
ざい
)
の
名譽
(
めいよ
)
とうれしがられ、
娘
(
むすめ
)
もつ
親
(
おや
)
幾人
(
いくたり
)
に
仇敵
(
あだがたき
)
の
思
(
おも
)
ひをさせて
我
(
わ
)
が
聟
(
むこ
)
がねにと
夫
(
そ
)
れも
道理
(
だうり
)
なり
経つくゑ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
少しはなれて彼の足音を聞くと、
幾人
(
いくたり
)
かの人が来るのにちがいないという気がするのも、決して無理はありません。
ワンダ・ブック――少年・少女のために――
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
(間)私はもう
幾人
(
いくたり
)
愛する人に死なれたか知れない。慈悲深い
法然
(
ほうねん
)
様や貞淑な玉日や、かいがいしいお兼さんや——
出家とその弟子
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
奇麗な女は
幾人
(
いくたり
)
も見たが、なんだか
大々
(
だいだい
)
してみえたのだ。色の浅黒い大きな顔で、鼻がすっと高くってしおのある眼だった。
剃
(
そ
)
った
眉毛
(
まゆげ
)
がまっ青だった。
旧聞日本橋:18 神田附木店
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
山を負うた小学校の門の前をば、村端れの水汲場に水汲みに行く大きい桶を担いだ農家の女が
幾人
(
いくたり
)
も
幾人
(
いくたり
)
も、霧の中から現れて来て霧の中へ隠れて行つた。
道
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
山河月色
(
さんかげっしょく
)
、昔のままである。昔の知人の
幾人
(
いくたり
)
かはこの墓地に眠っている。豊吉はこの時つくづくわが生涯の流れももはや限りなき
大海
(
だいかい
)
近く流れ来たのを感じた。
河霧
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
「さあ、数がどのくらいだと仰っしゃいますんで?
幾人
(
いくたり
)
死んだか、そいつあちょっくら分りかねますだよ。誰もそんなもの、
勘定
(
かんじょう
)
したことがありましねえだから。」
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
額髪
(
ぬかがみ
)
の幼な
女童
(
めわらは
)
、そのごとく今も囲むに、早や老いて
含
(
ふふ
)
むものなし。子をなして
幾人
(
いくたり
)
の親、死なしめて
後
(
あと
)
のこる妻、
姦
(
かし
)
ましと世にいふ
際
(
きは
)
か、さて寄りて我にかくいふ。
夢殿
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
いかなる際と云ふとも、この部屋に
夜
(
よ
)
も昼も
籠
(
こも
)
れる女の
一人
(
ひとり
)
を忘れ給はぬ人の
幾人
(
いくたり
)
かはあるべし。溜息つくうちに、私は
斯
(
か
)
く思ひ申し
候
(
さふらふ
)
。ボオイの松本の顔の
現
(
あら
)
はれ
候
(
さふらふ
)
。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
あなたが他に
幾人
(
いくたり
)
女をお持ちなさろうと、幾人子供をお拵えなさろうと、それは初めから承知の上のことですから、何とも思ってやしませんし、あなたの本当の妻として
人間繁栄
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
兄と共に、一年前に文科大学を
卒
(
を
)
へた者や、未だ文科の学生である
幾人
(
いくたり
)
かが、このごろ毎晩のやうに兄の部屋に集つて、文学の同人雑誌を発行する相談で夜を更してゐた。
海路
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
しかも
幾人
(
いくたり
)
の女を抱いても、幾多の歡樂を盡しても、彼の求めてゐる女は一人であり、彼の願ふ歡樂は唯一つであるやうに、私はそのものを求めて歩いてゐるのであらう。
霧の旅
(旧字旧仮名)
/
吉江喬松
(著)
これまで寺僧のうちで
幾人
(
いくたり
)
もぬけ出した者はあるのだが、一人として麓へ行きついた者はない。
道成寺(一幕劇)
(新字新仮名)
/
郡虎彦
(著)
十年や二十年に
幾人
(
いくたり
)
と現われるものでなかろう、よき師匠をとり得てお仕合せに存じまする
大菩薩峠:04 三輪の神杉の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
まゐらんとする時はかならず水を
浴
(
あ
)
ぶ。寒中の夜は
幾人
(
いくたり
)
も西東へはせありくとかたれり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
朧気
(
おぼろげ
)
ながら
逢瀬
(
おうせ
)
うれしき
通路
(
かよいじ
)
を
堰
(
せ
)
く
鶏
(
とり
)
めを夢の名残の
本意
(
ほい
)
なさに憎らしゅう存じ
候
(
そろ
)
など
書
(
かい
)
てまだ足らず、
再書
(
かえすがき
)
濃々
(
こまごま
)
と、色好み深き都の
若佼
(
わこうど
)
を
幾人
(
いくたり
)
か迷わせ玉うらん
御標致
(
ごきりょう
)
の美しさ
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
これは当時三十一歳であった枳園には、もう
幾人
(
いくたり
)
かの門人があって、その
中
(
うち
)
に相模の人がいたのをたよって逃げたのである。この
落魄
(
らくたく
)
中の
精
(
くわ
)
しい経歴は、わたくしにはわからない。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
リイズの、あの、御立派な方たちをお
幾人
(
いくたり
)
お連れになるか存じませんが。一等いゝ寢臺全部を用意して、お書齋もお客間も、ちやんと取片づけて、綺麗にするようにとのお
指圖
(
さしづ
)
です。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
この男子壮年に及びて
子宝
(
こだから
)
幾人
(
いくたり
)
を設けし
後
(
のち
)
、又も妻女の早世に
遭
(
あ
)
ふとひとしく乱心仕りて
相果
(
あいは
)
て候。その後代々の男子の中に、折にふれ、事に
障
(
さわ
)
りて狂気仕るもの、一人二人と
有之
(
これあり
)
。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
あるいは
幾人
(
いくたり
)
か
集
(
あつま
)
って遠い処に行っている一人を思ったり、あるいは
誰
(
たれ
)
か一人に憂き事があるというと、
皆
(
みんな
)
が寄って慰めるのだ。しかし己は慰めという事を、ついぞ経験した事がない。
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
兎に角斯う種々様々の傷の有る所を見れば、
好
(
よい
)
かえ
能
(
よ
)
く
聞
(
きゝ
)
たまえ、一人で殺した者では無い大勢で寄て
襲
(
たか
)
ッて殺した者だ(大)成る程—(谷)シテ見れば先ず曲者は
幾人
(
いくたり
)
も有るのだが
無惨
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
「宮ちゃん。君には、もう好い
情人
(
ひと
)
が
幾人
(
いくたり
)
もあるんだろう。」と言って見た。
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
その杯を座中の誰でも
宜
(
よろ
)
しい、
足下
(
そくか
)
の一番好いてる者へさすが
宜
(
よ
)
かろうと云うのは、実は
其処
(
そこ
)
に美人が
幾人
(
いくたり
)
も居る、私はその杯を美人にさしても
可笑
(
おか
)
しい、
態
(
わざ
)
と避けてさゝなくても可笑しい
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
奧の
詰
(
つめ
)
なる室には、少年紳士等打寄りて
撞球戲
(
たまつき
)
をなせり。婦人も
幾人
(
いくたり
)
か立ち
雜
(
まじ
)
りたるに、紳士中には上衣を脱ぎたるあり。われは初め此社會の風儀のかくまで亂れたるをば想ひ
測
(
はか
)
らざりしなり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
今日までにこれでしくじつたが
幾人
(
いくたり
)
と指折りかくるに、瘠せぎすなお針女はこれを抑へて、こんなことは、奉公人の我等の搆ふた事ではなけれど、腹立たしきはお艶めが、奉公人の
咽喉
(
のんど
)
をしめて
野路の菊
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
幾人
(
いくたり
)
も
幾人
(
いくたり
)
も、細い悲しげな声を合せて、呼んでいるように為吉の耳に聞えました。何だか聞き覚えのある声のようにも思われました。一カ月
前
(
まえ
)
に難船して死んだ村の人達の声のような気もしました。
少年と海
(新字新仮名)
/
加能作次郎
(著)
「両刀横へていかめし作りの胸毛男を、
幾人
(
いくたり
)
も
随伴
(
とも
)
に引連れ」
「伽羅枕」及び「新葉末集」
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
「こちらのお寺はお
幾人
(
いくたり
)
でございます」と、半七は訊いた。
半七捕物帳:66 地蔵は踊る
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
長壽花
(
きずゐせん
)
、
金髮
(
きんぱつ
)
のをとめ、
幾人
(
いくたり
)
もの清い
睫
(
まつげ
)
はこれで出來る。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
一、 妻にもと
幾人
(
いくたり
)
思ふ花見かな
破笠
(
はりつ
)
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
そんな者と話の合いようが無かろうじゃないか。
噫
(
ああ
)
、年
甲斐
(
がい
)
もない、
妻
(
さい
)
というものは
幾人
(
いくたり
)
でも取替えられる位の了見でいたのが大間違。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
そのうち自然に
放縦
(
ほうしょう
)
にもなって、
幾人
(
いくたり
)
もの恋人を持ちましたが、その中で
可憐
(
かれん
)
で可憐でならなく思われた女としてその人が思い出される。
源氏物語:22 玉鬘
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
京都大学の講師富岡謙蔵氏は、長らく病気で
臥
(
ふ
)
せつてゐる。
幾人
(
いくたり
)
かその道の博士を
聘
(
たの
)
んで診ては貰つたが、一向に
快
(
よ
)
くならない。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
肉付のいゝ若い女が
幾人
(
いくたり
)
も、赤い
潰髷
(
つぶし
)
の
結綿
(
ゆひわた
)
にもう
華美
(
はで
)
な
中形
(
ちゆうがた
)
の
浴衣
(
ゆかた
)
を着て
引掛
(
ひつか
)
け帶もだらしなく、歩む度に白い足の裏を見せながら行く。
歓楽
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
ここにも、
幾人
(
いくたり
)
かの警固はいたであろうに、それ等のすべての者が逃げ失せてしまった後まで、何うして、こんな所に、一人で潜んでいたのか?
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
百「婆さま、お
前
(
めえ
)
はまアえらく孫が
幾人
(
いくたり
)
も有るなア……然うだ、
己
(
おら
)
アもう忘れたが、アんたア云う通りの名前だっけ、あんたア宜く知ってるなア」
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
幾
常用漢字
中学
部首:⼳
12画
人
常用漢字
小1
部首:⼈
2画
“幾”で始まる語句
幾度
幾
幾何
幾歳
幾日
幾許
幾個
幾年
幾干
幾分