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土橋
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どばし
ふりがな文庫
“
土橋
(
どばし
)” の例文
私どもの屋敷から行ける所では、まず
金杉
(
かなすぎ
)
の毘沙門とか、
土橋
(
どばし
)
とか、采女原などにあって、土橋では鈴之助という役者が評判であった。
鳴雪自叙伝
(新字新仮名)
/
内藤鳴雪
(著)
で、帰りに、
数寄屋橋
(
すきやばし
)
外から、
土橋
(
どばし
)
大塚間を運転している電車に、乗ることは乗って、神保町へまで来たが、降りる気になれない。
妖影
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
そこへ
往
(
ゆ
)
かんとて
菅笠
(
すげがさ
)
いただき
草鞋
(
わらじ
)
はきて出でたつ。車前草おい重りたる
細径
(
こみち
)
を下りゆきて、
土橋
(
どばし
)
ある処に至る。これ魚栖めりという流なり。
みちの記
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「さあこれなら好いでしょう。
不味
(
まず
)
くって大きなところは
土橋
(
どばし
)
の
大寿司流
(
おおずしりゅう
)
とでも云うのかな。まあ役に立ちさえすればよかろう、我慢なさい」
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「じゃ、先生、車に乗りましょう。」と村岡は早速清岡の袖を引張って、
土橋
(
どばし
)
へ通ずる西銀座の新道路へ出ようとした。
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
▼ もっと見る
柳はくらく花は明るきなかに、
仲町
(
なかちょう
)
、
土橋
(
どばし
)
、表やぐらあたりにはかなり大きな楼も軒をならべて、くだっては裏やぐら、すそつぎ、直助など——。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
濱
(
はま
)
の
方
(
はう
)
へ五六
間
(
けん
)
進
(
すゝ
)
むと、
土橋
(
どばし
)
が
一架
(
ひとつ
)
、
並
(
なみ
)
の
小
(
ちひ
)
さなのだけれども、
滑川
(
なめりがは
)
に
架
(
かゝ
)
つたのだの、
長谷
(
はせ
)
の
行合橋
(
ゆきあひばし
)
だのと、おなじ
名
(
な
)
に
聞
(
きこ
)
えた
亂橋
(
みだればし
)
といふのである。
星あかり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
其の
土橋
(
どばし
)
を渡って
真直
(
まっすぐ
)
においでなせえ、道い悪いから気い付けて往きなさえ、なア安田先生も剣術遣いだから、どうして剣術遣いじゃア
飯
(
まんま
)
ア喰えねえ
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
その上にむかしふうの
土橋
(
どばし
)
がかかっていたりして、まるで、いなかのようなけしきですが、ここは、いなかではなく、東京都
世田谷
(
せたがや
)
区のはずれなのです。
塔上の奇術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
ボンヤリ見ている私は手伝いたくてウズウズしている。小僧さんが
天秤棒
(
てんびんぼう
)
が
撓
(
たわ
)
むほど、
籠
(
かご
)
に一ぱいの大きな
瓜
(
うり
)
を担いで来て、
土橋
(
どばし
)
をギチギチ急いで渡ってた。
旧聞日本橋:12 チンコッきり
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
さ、何も
伺
(
うかが
)
っておりませんが、ただ、おかみさんは先へ行って、
土橋
(
どばし
)
の
梅掌軒
(
ばいしょうけん
)
の
床几
(
しょうぎ
)
で待っているから、あなたを呼んで来てくれと仰っしゃっただけなんで。
春の雁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
其日私共が五六人、其空荷馬車に乘せて貰つて、村端れから三四町の、水車へ行く野川の
土橋
(
どばし
)
まで行つた。
二筋の血
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
手
(
て
)
の
内
(
うち
)
の
宝
(
たから
)
を
奪
(
うば
)
われでもしたように、
藤吉
(
とうきち
)
は
地駄
(
じだ
)
ン
駄
(
だ
)
踏
(
ふ
)
んで、あとから、
土橋
(
どばし
)
をひと
飛
(
と
)
びに
飛
(
と
)
んで
行
(
い
)
った。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
土橋
(
どばし
)
から少し
離
(
はな
)
れて
馬頭観音
(
ばとうかんのん
)
が有り無しの
陽炎
(
かげろう
)
の中に立っている、里の子のわざくれだろう、
蓮華草
(
れんげそう
)
の
小束
(
こたば
)
がそこに
抛
(
ほう
)
り出されている。いいという。なるはど悪くはない。
野道
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
よく、芝口のおはぎ、神明の
太々餅
(
だいだいもち
)
、
土橋
(
どばし
)
の大黒
鮨
(
ずし
)
などがお土産にされたものでありました。
幕末維新懐古談:18 一度家に帰り父に誡められたはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
照して來りける故三五郎は
土橋
(
どばし
)
の口に平伏し
恐
(
おそ
)
れながら願書御取上願ひ奉ると差出すを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
小
(
ちひ
)
さな
土橋
(
どばし
)
が
一
(
ひと
)
つ、
小川
(
をがは
)
が
山川
(
やまがは
)
へ
注
(
そゝ
)
ぐところに
架
(
かゝ
)
つてゐた。
山川
(
やまがは
)
には
橋
(
はし
)
がなくて、
香魚
(
あゆ
)
の
棲
(
す
)
みさうな
水
(
みづ
)
が、
京
(
きやう
)
の
鴨川
(
かもがは
)
のやうに、あれと
同
(
おな
)
じくらゐの
幅
(
はゞ
)
で、
淺
(
あさ
)
くちよろ/\と
流
(
なが
)
れてゐた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
水棹
(
みさを
)
とれ、
土橋
(
どばし
)
くぐれ、鳰鳥の火の
点
(
つ
)
く
頭
(
あたま
)
、いま夕日、それとかかれと、我が仰ぐ
館
(
やかた
)
の
築地
(
ついぢ
)
、濠めぐるここをよろしと、采配やささとかかれと、前うちの金の鍬形、紙鎧、桜縅の大将我は。
夢殿
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
土橋
(
どばし
)
の方角を指して帰って行く道すがらも、まだ捨吉はあの
旧
(
むかし
)
の窓の下に、あの
墨汁
(
すみ
)
やインキで汚したり
小刀
(
ナイフ
)
で
刳
(
えぐ
)
り削ったりした古い机の前に、自分の身を置くような気もしていた。壁がある。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
土橋
(
どばし
)
のところへは、よく、あめ
屋
(
や
)
や、おもちゃ
店
(
みせ
)
が
出
(
で
)
ています。
春の日
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
土橋
(
どばし
)
のたもとにむかしからある
小
(
ちい
)
さい
地蔵
(
じぞう
)
さんだろう。
花のき村と盗人たち
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
土橋
(
どばし
)
に白き
烏瓜
(
からすうり
)
花守
(旧字旧仮名)
/
横瀬夜雨
(著)
最近
(
さいきん
)
は……
尤
(
もつと
)
も
震災前
(
しんさいぜん
)
だが……
土橋
(
どばし
)
のガード
下
(
した
)
を
護謨輪
(
ごむわ
)
で
颯
(
さつ
)
と
言
(
い
)
ふうちに、アツと
思
(
おも
)
ふと
私
(
わたし
)
はポンと
俥
(
くるま
)
の
外
(
そと
)
へ
眞直
(
まつすぐ
)
に
立
(
た
)
つて、
車夫
(
わかいしゆ
)
は
諸膝
(
もろひざ
)
で、のめつて
居
(
ゐ
)
た。
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
小女
(
こむすめ
)
は
土橋
(
どばし
)
を渡って山へあがって往った。山西は上のベンチで話ができると思ったので
悦
(
よろこ
)
んで
跟
(
つ
)
いて往った。
水魔
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
手配
(
てくばり
)
が済んで、坂本は
役宅
(
やくたく
)
に帰つた。そして
火事装束
(
くわじしやうぞく
)
、
草鞋掛
(
わらぢがけ
)
で、
十文目筒
(
じふもんめづゝ
)
を持つて
土橋
(
どばし
)
へ出向いた。
蒲生
(
がまふ
)
と同心三十人とは揃つてゐた。本多はまだ来てゐない。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
駕籠
(
かご
)
を
帰
(
かえ
)
したおせんの
姿
(
すがた
)
は、
小溝
(
こどぶ
)
へ
架
(
か
)
けた
土橋
(
どばし
)
を
渡
(
わた
)
って、
逃
(
のが
)
れるように
枝折戸
(
しおりど
)
の
中
(
なか
)
へ
消
(
き
)
えて
行
(
い
)
った。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
土橋
(
どばし
)
か
難波橋
(
なにわばし
)
かをわたって省線のガードをくぐると、暗い壁の
面
(
おもて
)
に、血盟団を釈放せよなど、不穏な語をつらねたいろいろの紙が貼ってあった。其下にはいつも乞食が寝ている。
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
飾り付けも立派でございまして、庭からずうと見渡すと、
潮入
(
しおい
)
りの
泉水
(
せんすい
)
になって、模様を取って
土橋
(
どばし
)
が
架
(
かゝ
)
り、紅白の萩其の
他
(
た
)
の秋草が盛りで、何とも云えん
好
(
よ
)
い景色でございます。
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
それゆえに手を分けて、毎夜、川すじの怪しい舟をあらためているのじゃが、只今、この
土橋
(
どばし
)
のほとりへまいったところ、下の小舟の
苫
(
とま
)
のうちで、甘やかな、女の
密
(
さざ
)
め
語
(
ごと
)
が洩れる……
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
櫟津
(
いちひづ
)
は大和の
添上
(
そへかみ
)
郡だといふから、
櫟津
(
いちひづ
)
の
檜橋
(
ひばし
)
とつづけると、神田の
龍閑橋
(
りうかんばし
)
とか芝の
土橋
(
どばし
)
とかいふふうに方向まで示してゐるので、その土地に
委
(
くは
)
しくもないくせに、大和生れの娘の顏を見て
春宵戯語
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
休日には郊外電車の駅で待合わせて、よく緑の
武蔵野
(
むさしの
)
を散歩した。こう目をつむると、小川が見えて来る。
土橋
(
どばし
)
が見えて来る。
鎮守
(
ちんじゅ
)
の森とでも云う様な、高い老樹の
樹立
(
こだち
)
や、石垣が見えて来る。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
水の汚い小川に
架
(
かゝ
)
つた
土橋
(
どばし
)
の上に立つて、小池が來た方を振り返へると、お光の姿が見えなくなつてゐたので、
後戻
(
あともど
)
りして探さうとすると、お光は町はづれの
小間物屋
(
こまものや
)
に荒物屋を兼ねたやうな店から
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
うしろ射す夏の朝日にわが渡る
土橋
(
どばし
)
のへりのすかんぽの花
夢殿
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
歩くともなしに
土橋
(
どばし
)
の上まで歩いて往った山西は、ふと橋のむこうから
姝
(
きれい
)
な
小女
(
こむすめ
)
の来るのを見た。それは
友禅
(
ゆうぜん
)
模様の
鮮麗
(
あざやか
)
な羽織を着た十六七の色の白い女であった。
水魔
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
集合の場所は
土橋
(
どばし
)
と極めた。京橋組への伝達には、当番与力
脇
(
わき
)
勝太郎に書附を持たせて出して遣つた。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
土橋
(
どばし
)
寄りだ、と思うが、あの華やかな銀座の裏を返して、黒幕を落したように、バッタリ寂しい。
開扉一妖帖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
蓮の葉の水に影おとすうしろには低き
土橋
(
どばし
)
ありて
榑
(
くれ
)
の橋桁
夢殿
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
そこは草や
雑木
(
ぞうき
)
の生えた
小藪
(
こやぶ
)
になっていて、すぐ右手に箱根八里の街道へ
脱
(
ぬ
)
ける
間道
(
ぬけみち
)
があって、それがだらだらとおりて
土橋
(
どばし
)
を渡り、
前岸
(
ぜんがん
)
の
山裾
(
やますそ
)
を上流に向ってうねうねと通じていた。
山寺の怪
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
土橋
(
どばし
)
を
斜
(
なゝめ
)
に
烏森
(
からすもり
)
、と
町
(
まち
)
もおどろ/\しく、やがて
新橋驛
(
しんばしえき
)
へ
着
(
つ
)
いて、づぶ/\と
其
(
そ
)
の
濡幌
(
ぬれほろ
)
を
疊
(
たゝ
)
んで
出
(
い
)
で、
𤏋
(
ぱつ
)
と
明
(
あかる
)
く
成
(
な
)
つた
處
(
ところ
)
は、
暴風雨
(
あらし
)
の
船
(
ふね
)
に
燈明臺
(
とうみやうだい
)
、
人影
(
ひとかげ
)
黒
(
くろ
)
く、すた/\と
疎
(
まば
)
らに
往來
(
ゆきか
)
ふ。
大阪まで
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
草のにほひする低い
土橋
(
どばし
)
を
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
其
(
それ
)
を
下
(
お
)
り
切
(
き
)
ると
流
(
ながれ
)
が
聞
(
きこ
)
えて、
飛
(
とん
)
だ
処
(
ところ
)
に
長
(
なが
)
さ一
間
(
けん
)
ばかりの
土橋
(
どばし
)
がかゝつて
居
(
ゐ
)
る。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
驚いたのは、其の
土橋
(
どばし
)
が、
危
(
あぶな
)
つかしく
壊
(
こわ
)
れ
壊
(
ごわ
)
れに成つて居た事では無い。
貴婦人
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
土
常用漢字
小1
部首:⼟
3画
橋
常用漢字
小3
部首:⽊
16画
“土橋”で始まる語句
土橋亭