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團子
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だんご
馬方と
馬方が
喧嘩をはじめました。
砂ツぽこりの
大道の
地べたで、
上になつたり
下になつたり、まるであんこ の
中の
團子のやうに。
鐵車は
其樣な
事ではビクともしない、
反對に
獸を
彈飛すと、
百獸の
王樣も
團子のやうに
草の
上を
七顛八倒。
吾等一同はドツと
笑つた。
大分古いのがあるのを
視た、——こゝ
等には
一組ぐらゐありさうな——
草雙紙でない、と
思ひながら、フト
考へたのは
此の
相坂の
團子である。
この
鳥は
食物の
中で
不消化なものがあれば
嗉嚢の
中でまるめて、
口から
吐き
出すから、
巣の
下には、かならず、さうした
團子のような
塊りが
積つてゐます。
消化れない
堅い
團子が
胃に
滯うつてゐる
樣な
不安な
胸を
抱いて、わが
室へ
歸つて
來た。さうして
又線香を
焚いて
坐はり
出した。
其癖夕方迄は
坐り
續けられなかつた。
子には
襤褸を
下げさせ
家とては二
疊一
間の
此樣な
犬小屋、
世間一
體から
馬鹿にされて
別物にされて、よしや
春秋の
彼岸が
來ればとて、
隣近處に
牡丹もち
團子と
配り
歩く
中を
「
燒餅燒くとて
手を
燒いてえ、
其の
手でお
釋迦の
團子捏ねたあ」と
當てつけに
唄うてずん/\
行つて
畢ふ。
後の
群集はそれに
應じて
指を
啣へてぴう/\と
鳴らしながら
勘次の
心を
苛立たせた。
「
拳固……
抓り
餅、……
赤いお
團子。……それが
可厭なら
蝦蛄の
天麩羅。」と、
一ツづゝ
句切つて
憎體らしく
節をつける。
いや
何うも
團子を
喰べさせる
事が
出來ぬとて
一日大立腹であつた、
大分熱心で
調製たものと
見えるから十
分に
喰べて
安心させて
遣つて
呉れ、
餘程甘からうぞと
父親の
滑稽を
入れるに
案ずるに、
團子は
附燒を
以て
美味いとしてある。
鹽煎餅以來、
江戸兒は
餘り
甘いのを
好かぬ。が、
何を
祕さう、
私は
團子は
饀の
方を
得意とする。
晩もお
總菜に
鮭を
退治た、
北海道の
産である。
茶うけに
岡山のきび
團子を
食べた
處で、
咽喉に
詰らせる
法はない。これしかしながら
旅の
心であらう。——
その
月の
出の
正面にかざつて、もと
手のかゝらぬお
團子だけは
堆く、さあ、
成金、
小判を
積んで
較べて
見ろと、
飾るのだけれど、ふすまは
外れる。
障子の
小間はびり/\と
皆破れる。
手際なもので、
煽ぐ
内に、じり/\と
團子の
色づくのを、
十四五本掬ひ
取りに、
一掴み、
小口から
串を
取つて、
傍に
醤油の
丼へ、どぶりと
浸けて、
颯と
捌いて、すらりと
七輪へ
又投げる。
此上何事か
起つたら、
三人とも
團子に
化つてしまつたらう。