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図
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はか
ふりがな文庫
“
図
(
はか
)” の例文
旧字:
圖
都に出た田舎びとが京の六角堂の鬼瓦をしげしげと眺めて、
図
(
はか
)
らずも国もとに措いて来た女房を思い出し、落涙するという筋である。
銷夏漫筆
(新字新仮名)
/
辰野隆
(著)
ここに於て佐志木作右衛門は、千束島の山善左衛門等と
図
(
はか
)
ったが、結局
坐
(
い
)
ながら藩兵に攻められるより兵を挙ぐるに
如
(
し
)
かずとなった。
島原の乱
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
阿波は由来
謎
(
なぞ
)
の国だ。金があって武力が精鋭、そして、秘密を包むに都合のいい国、一朝
淡路
(
あわじ
)
を足がかりとして大阪を
図
(
はか
)
り、京へ根を
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
が、
折角
(
せっかく
)
の
依
(
たの
)
みとあって
見
(
み
)
れば
何
(
なん
)
とか
便宜
(
べんぎ
)
を
図
(
はか
)
って
上
(
あ
)
げずばなるまい。
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
も
母人
(
ははびと
)
を
瀑壺
(
たきつぼ
)
のところへ
連
(
つ
)
れてまいるがよかろう……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
市川の町に来てから折々の散歩に、わたくしは
図
(
はか
)
らず江戸川の水が
国府台
(
こうのだい
)
の麓の水門から導かれて、深く町中に流込んでいるのを見た。
葛飾土産
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
▼ もっと見る
西坂本に故敦忠の山荘の跡を
訪
(
たず
)
ねて、
図
(
はか
)
らずも昔の母にめぐり逢う迄のいきさつを書いた、一篇の物語であると云ってもよいのである。
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
そこに着いて見るとあに
図
(
はか
)
らんや水はすっかり
涸
(
か
)
れて奇麗な白石ばかり残って居る。ちょうどそれが水のように見えて居ったです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
そこを通りかかった時、
図
(
はか
)
らずも寒夜に
咳
(
しわぶ
)
く声を耳にした、それは橋の下あたりに泊っている舟人の咳であった、というのである。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
しかるに何ぞ
図
(
はか
)
らん、今年の一月、余は漸く六つばかりになりたる
己
(
おの
)
が次女を死なせて、かえって君より慰めらるる身となった。
我が子の死
(新字新仮名)
/
西田幾多郎
(著)
それから四、五年のあいだは何事もなかったのですが、
図
(
はか
)
らずも今度のようなことが
出来
(
しゅったい
)
しまして、殿さまも姉もその脇指で殺されました。
半七捕物帳:61 吉良の脇指
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
かの壮士は
図
(
はか
)
らずもその術にひっかかったものです。降りみ降らずみ
五月雨
(
さみだれ
)
の空が、十日も二十日も続く時は、大抵の人が
癇癪
(
かんしゃく
)
を起します。
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
遂
(
つい
)
今迄その感情の満足を
図
(
はか
)
らなかつた男だけに、言ふ許りなき不安が、『男は死ぬまで
孤独
(
ひとりぼつち
)
だ!』といふ
渠
(
かれ
)
の
悲哀
(
かなしみ
)
と共に、胸の中に乱れた。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
その様子に胸先ず安く、
遂
(
つい
)
に調金の事を申し出でしに、
図
(
はか
)
らざりき感嘆の体と見えしは
妾
(
しょう
)
の
胆太
(
きもふと
)
さを
呆
(
あき
)
れたる顔ならんとは。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
僕は、
金色
(
こんじき
)
の背景の前に、悠長な動作を繰返している、藍の
素袍
(
すおう
)
と茶の
半上下
(
はんがみしも
)
とを見て、
図
(
はか
)
らず、この一節を思い出した。
野呂松人形
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
借金の方は予想通り失敗であったが、その時
図
(
はか
)
らずも、あの本物と少しも違わない様な、其時は印刷中であった所の、玩具の札を見たのである。
二銭銅貨
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
図
(
はか
)
らず丑松は敬之進の家族を見たのである。
彼
(
あ
)
の可憐な少年も、お志保も、細君の
真実
(
ほんたう
)
の子では無いといふことが解つた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
衣食さえ出来れば大願成就と
思
(
おもっ
)
て居た処に、
又
(
また
)
図
(
はか
)
らずも王政維新、いよ/\日本国を
開
(
ひらい
)
て本当の開国となったのは
難有
(
ありがた
)
い。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
しかるにその村の者猟をして
五葉山
(
ごようざん
)
の腰のあたりに入りしに、大なる岩の
蔽
(
おお
)
いかかりて岩窟のようになれるところにて、
図
(
はか
)
らずこの女に逢いたり。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
図
(
はか
)
らざる天の一方から急に二十三十の複雑の程度に進んだ開化が現われて
俄然
(
がぜん
)
として我らに打ってかかったのである。
現代日本の開化
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
又
若
(
も
)
し実際将門が謀反を
敢
(
あへ
)
てしようとして居たならば、
不軌
(
ふき
)
を
図
(
はか
)
るほどの者が、打解けて語らつたことも無い興世王や経基の処へわざ/\出掛けて
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
岩次郎が、いよいよ肉体的な恐怖に襲われ、専門の僧になって、その
解脱
(
げだつ
)
を
図
(
はか
)
ろうとしたのは十五歳の時だった。
宝永噴火
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
と鍋焼饂飩と立派な男と連れ立って
往
(
ゆ
)
きます。
此方
(
こなた
)
に
最前
(
さいぜん
)
から
図
(
はか
)
らず立聞きを致しております清次は驚きました。
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
すなわち
法治国
(
ほうちこく
)
においては法を破らぬ範囲内において、自己の利益を最もよく
図
(
はか
)
るものが勝利者となるに至った。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
近頃、奥様の
御容子
(
ごようす
)
が、
何分
(
どうも
)
不審なので御座いますよ、先日旦那様が
御帰京
(
おかへり
)
になりました晩、伊藤侯が
図
(
はか
)
らずも
媒酌人
(
ばいしやくにん
)
に
為
(
な
)
つて下ださるからとのお話で
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
その村には、三十台ぐらいの若い人たちが、二十数名集まって、一つの団体を作り、いつも村のことを研究し、熱心に村生活の調和と革新とを
図
(
はか
)
っている。
次郎物語:03 第三部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
頃日
(
このごろ
)
事実文編を繙閲して、
図
(
はか
)
らずも息軒撰の墓碑銘を発見した。樵山の系は
源融
(
みなもとのとほる
)
の曾孫渡辺綱から出でてゐる。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
技巧の練達は、昔から申しております技神に入るということになるのでありまして、
図
(
はか
)
らずも自分の予想以上の実力が練習の結果として生ずるのであります。
習書要訣:――美の認識について――
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
「いや、有難う、村山君。君の手帖のお蔭で
図
(
はか
)
らずも犯人、いや有力な
嫌疑者
(
けんぎしゃ
)
が判明した。感謝する!」
電気風呂の怪死事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
鉄槌
(
かなづち
)
を以て器械に附着したる氷雪を
打毀
(
うちこ
)
わす等、その他千種
万態
(
ばんたい
)
なる困難辛苦を以て造化の試験を受けてやや整頓の
緒
(
ちょ
)
に就かんとせし所に、
図
(
はか
)
らずも
妻
(
さい
)
登山し
来
(
きた
)
りたり
寒中滞岳記:(十月一日より十二月廿一日に至る八十二日間)
(新字新仮名)
/
野中至
(著)
「さては天上に神さまがいられる」と思いつつ、彼はなおもよく耳をすましていると、
豈
(
あ
)
に
図
(
はか
)
らんや、神の声は高い天上ではなくて、低い地上から聞こえてきたのです。
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
「人間万事
塞翁
(
さいおう
)
の馬。元気を出して、再挙を
図
(
はか
)
るさ。人生七十年、いろいろさまざまの事がある。人情は
飜覆
(
ほんぷく
)
して洞庭湖の
波瀾
(
はらん
)
に似たり。」と
洒落
(
しゃれ
)
た事を言って立ち去る。
竹青
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
図
(
はか
)
らず口から滑り出た一言、ちよいとした、間違つた挙動なぞのやうな、刹那の不用意から生ずる一瑣事が、この不思議に纏まつてゐる総てを打ち崩してしまひはすまいか。
クサンチス
(新字旧仮名)
/
アルベール・サマン
(著)
私のはつしと打ち込んだ熊手が、
図
(
はか
)
らず向ひ合つた人の熊手の長柄に喰ひ込んだ途端、きやアと驚きの叫び声が
挙
(
あが
)
つた。舎生たちが仰天して棒立ちになつた私を取り巻いた。
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
日蔭者自殺を
図
(
はか
)
るなどと同情のある書き方だった。柳吉は葬式があるからと逃げて行き、それきり戻って来なかった。種吉が梅田へ
訊
(
たず
)
ねに行くと、そこにもいないらしかった。
夫婦善哉
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
さて、私の手もとに、『斎藤茂吉全集』の書簡篇に自分の持っている茂吉の手紙と葉書を提出してから
後
(
のち
)
に
図
(
はか
)
らず或る本にはさんであったのを見つけた、二通の茂吉の葉書がある。
茂吉の一面
(新字新仮名)
/
宇野浩二
(著)
それまでは
皆
(
みんな
)
、ぼくを精々、
嫉妬
(
しっと
)
するくらいで、別に
詰問
(
きつもん
)
するだけの
根拠
(
こんきょ
)
はなかったのですが、
図
(
はか
)
らずも、ハワイで買った
紅
(
あか
)
いセエム革の手帳が、それに役立つことになりました。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
入り見れば
蝉
(
せみ
)
の
脱
(
ぬ
)
け
殻
(
がら
)
同様人を見ず、され共古びたる箱類
許多
(
あまた
)
あり、
蓋
(
ふた
)
を
開
(
ひら
)
き見れば皆
空虚
(
くうきよ
)
なり、人夫等曰く多分
猟師小屋
(
れうしこや
)
ならんと、
図
(
はか
)
らず天井を
仰
(
あほ
)
ぎ見れば
蜿蜒
(
えん/\
)
として数尺の大蛇
横
(
よこた
)
はり
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
ところで、
図
(
はか
)
らずも貸主が君と云ふので、
轍鮒
(
てつぷ
)
の水を得たる
想
(
おもひ
)
で我々が中へ入つたのは、営業者の鰐淵として話を為るのではなくて、旧友の
間
(
はざま
)
として、実は無理な頼も聴いてもらひたいのさ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
グヰンは自動車に乗った警官の一行が
旅館
(
ホテル
)
へ入ったのを見て、
所詮
(
しょせん
)
身の
免
(
のが
)
れ得ぬのを知り、五階の窓から飛降りて、自殺を
図
(
はか
)
ったのだというものもあれば、A夫人がグヰンを突落したのであろうと
緑衣の女
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
とは評論全篇の
骨子
(
こっし
)
にして、論者がかかる
推定
(
すいてい
)
より当時もっとも恐るべきの
禍
(
わざわい
)
は外国の
干渉
(
かんしょう
)
に在りとなし、東西
開戦
(
かいせん
)
せば日本国の
存亡
(
そんぼう
)
も
図
(
はか
)
るべからざるごとくに認め、以て勝氏の
行為
(
こうい
)
を
弁護
(
べんご
)
したるは
瘠我慢の説:04 瘠我慢の説に対する評論について
(新字新仮名)
/
石河幹明
(著)
あまり
出抜
(
だしぬ
)
けで、私はその意を
図
(
はか
)
りかねていた。
世間師
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
図
(
はか
)
らずも思ひぞいづる。
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
驚いて、あたりを見廻すと、何ぞ
図
(
はか
)
らん、自分たちより先に、この山上に来て、岩陰にうずくまり、居眠りをしていた男があった。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
亡き殿様の
御首
(
みしるし
)
の前で、
図
(
はか
)
らずもお身達にお会い申すことが出来ましたのは、矢張御佛のお引き合わせだと思われてなりませぬ。
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
去年の暮
巌谷四六
(
いわやしろく
)
君(小波先生令弟)と
図
(
はか
)
らず木曜会忘年会の席上に
邂逅
(
かいこう
)
した時談話はたまたまわが『
日和下駄
(
ひよりげた
)
』の事に及んだ。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
『お
別
(
わか
)
れしてから
随分
(
ずいぶん
)
長
(
なが
)
い
歳月
(
としつき
)
を
経
(
へ
)
ましたが、
図
(
はか
)
らずも
今
(
いま
)
ここでお
目
(
め
)
にかかることができまして、
心
(
こころ
)
から
嬉
(
うれ
)
しうございます。』
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
石を撫でながら、なにげなく石の裏を見ると、そこに、「二十一、
酉
(
とり
)
の女の墓」と小さく刻んであるのが、
図
(
はか
)
らず眼に触れてゾッとしました。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
古井の三氏および今回出資せる
越中
(
えっちゅう
)
富山の米相場師某ら稲垣と共に新町遊廓に豪遊を試み、妾も
図
(
はか
)
らずその席に招かれぬ。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
謝貴
(
しゃき
)
を
以
(
もっ
)
て
都指揮使
(
としきし
)
となし、燕王の動静を察せしめ、
巍国公
(
ぎこくこう
)
徐輝祖
(
じょきそ
)
、
曹国公
(
そうこくそう
)
李景隆
(
りけいりゅう
)
をして、
謀
(
はかりごと
)
を
協
(
あわ
)
せて燕を
図
(
はか
)
らしむ。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
何
(
どう
)
ぞ、篠田さん、
御赦
(
おゆるし
)
下ださいまし——警視庁から
愚父
(
ちゝ
)
へ内密の報知がありましたのを、
図
(
はか
)
らず耳にしたので御座います、お
耻
(
はず
)
しいことで御座いますが
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
図
常用漢字
小2
部首:⼞
7画
“図”を含む語句
不図
図々
企図
合図
図体
画図
下図
設計図
相図
意図
図太
図抜
無図
指図
愚図愚図
一図
図星
愚図
愚図々々
図会
...