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八幡
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はちまん
ふりがな文庫
“
八幡
(
はちまん
)” の例文
へやは広からずといえども器具調度は相当にちんまりとまとまった二十騎町からは目と鼻の
市
(
いち
)
ガ
谷
(
や
)
八幡
(
はちまん
)
境内に隣する一軒でありました。
右門捕物帖:04 青眉の女
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
八幡
(
はちまん
)
さまのマツよ。あれの三倍も、太かったぜ。そんでね、そのマツに指が五本はえてただ。一本の指が、お寺のはしらくれえ、あったぜ。
天空の魔人
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
八幡
(
はちまん
)
、これに
極
(
きま
)
った、と鬼神が
教
(
おしえ
)
を
給
(
たも
)
うた存念。且つはまた、老人が、工夫、
辛労
(
しんろう
)
、日頃の
思
(
おもい
)
が、影となって
顕
(
あらわ
)
れた、これでこそと、なあ。
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ムチ打って先にまいったわけでござりまする。
八幡
(
はちまん
)
、天の御加護もありましょう。今明中には、御使の一舟が、沖へ見えるに相違ございません
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
母の考えでは、夫が
侍
(
さむらい
)
であるから、弓矢の神の
八幡
(
はちまん
)
へ、こうやって是非ない
願
(
がん
)
をかけたら、よもや
聴
(
き
)
かれぬ道理はなかろうと
一図
(
いちず
)
に思いつめている。
夢十夜
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
困苦をともにした友に危難の
迫
(
せま
)
った場合、
無慈悲
(
むじひ
)
に見捨て去るとは、実に見下げた人だ。
八幡
(
はちまん
)
のたたりを恐れられい。
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
狐は
稲荷
(
いなり
)
の使わしめとなっているが、「使わしめ」というものはすべて
初
(
はじめ
)
は「
聯想
(
れんそう
)
」から生じた優美な感情の
寓奇
(
ぐうき
)
であって、鳩は
八幡
(
はちまん
)
の「はた」から
魔法修行者
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
また横道へ入ったと言われて、もう気を落してしまって、それからは足が動かず、ちょうど見つけたのが
八幡
(
はちまん
)
の森。
大菩薩峠:07 東海道の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ふたりが
八幡
(
はちまん
)
さまの石鳥居の前を通りかかると、そこで、こまを持って、ひとりでしょぼんとしていたけん
坊
(
ぼう
)
が
いぼ
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
清岡は小づくりの女が京葉だということは、いつぞや
市
(
いち
)
ヶ
谷
(
や
)
八幡
(
はちまん
)
の境内から
窃
(
ひそか
)
に君江の跡をつけた晩、一生涯忘れるはずのないほどはっきり見覚えている。
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
その流言に対して
会津
(
あいづ
)
方からでも出たものか、
八幡
(
はちまん
)
の行幸に不吉な事のあるやも測りがたいとは実に
苦々
(
にがにが
)
しいことだが、万一それが事実であったら、武士はもちろん
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
季節は
何時
(
いつ
)
であったか聞きもらしたが、
市
(
いち
)
ヶ
谷
(
や
)
八幡
(
はちまん
)
の
境内
(
けいだい
)
で、
壮
(
わか
)
い男と女が話していた。話しながら女の方は、見るともなしに顔をあげて、頭の上になった
銀杏
(
いちょう
)
の枝葉を見た。
男の顔
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
みんなはあの三
人
(
にん
)
のおじいさんは、
住吉
(
すみよし
)
の
明神
(
みょうじん
)
さまと、
熊野
(
くまの
)
の
権現
(
ごんげん
)
さまと、
男山
(
おとこやま
)
の
八幡
(
はちまん
)
さまが
仮
(
かり
)
に
姿
(
すがた
)
をお
現
(
あらわ
)
しになったものであることをはじめて
知
(
し
)
って、
不思議
(
ふしぎ
)
に
思
(
おも
)
いながら
大江山
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
然
(
しか
)
り、彼らが
八幡
(
はちまん
)
の旗は、
翩々
(
へんぺん
)
として貿易風に
翻
(
ひるがえ
)
り、その軽舟は、黒潮の暖流に乗じて、台湾、
呂宋
(
ルソン
)
より、
安南
(
アンナン
)
に及び、さらにスマタラ海峡を突過して、
印度
(
インド
)
洋に迫らんとす。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
という
八幡
(
はちまん
)
太郎と
貞任
(
さだとう
)
との連歌のごときも、考えてみればただ単なる言葉のしゃれで、とうてい弓に
箭
(
や
)
つがえて
馳
(
は
)
せまわる勇士の頭の中に、浮かんでくるような文句ではない。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
「信長は岡崎まで御出馬あるぞ、城之介殿は
八幡
(
はちまん
)
まで、家康信長は野田へ移らせ給いてあり、城堅固に持ちたまえ、三日の
裡
(
うち
)
運を開かせ給うべし」と叫んで、
礫
(
はりつけ
)
にせられたのは
長篠合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
馬の
脊
(
せ
)
の様な狭い山の上のやゝ
平凹
(
ひらくぼ
)
になった
鞍部
(
あんぶ
)
、
八幡
(
はちまん
)
太郎
(
たろう
)
弓かけの松、鞍かけの松、など云う
老大
(
ろうだい
)
な赤松黒松が十四五本、太平洋の風に吹かれて、
翠
(
みどり
)
の
梢
(
こずえ
)
に
颯々
(
さっさつ
)
の音を立てゝ居る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
観音
(
かんのん
)
、
釈迦
(
しゃか
)
八幡
(
はちまん
)
、
天神
(
てんじん
)
、——あなたがたの
崇
(
あが
)
めるのは皆木や石の
偶像
(
ぐうぞう
)
です。まことの神、まことの
天主
(
てんしゅ
)
はただ一人しか居られません。お子さんを殺すのも助けるのもデウスの
御思召
(
おんおぼしめ
)
し一つです。
おしの
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
石川博士など実地に深山を歩きまわって調べてみて、その結果、岐阜の奥の
郡上
(
ぐじょう
)
郡に
八幡
(
はちまん
)
というところがありまして、その八幡が、まあ、東の境になっていて、その以東には山椒魚は見当らぬ
黄村先生言行録
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
大生の
八幡
(
はちまん
)
へも行ったことアなえという田舎
気質
(
かたぎ
)
の母様だから、一々気に障る
事
(
こた
)
アあるだろうが、実はこういう事があって気色が悪いとか、あゝいう事をいわれてはならぬという事があるなら
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
軒がくずれ掛ったような古い薬局が角にある
三
(
み
)
ツ
寺
(
でら
)
筋を越え、昼夜銀行の洋館が角にある
八幡
(
はちまん
)
筋を越え、玉の井湯の赤い暖簾が左手に見える周防町筋を越えて半町行くと夜更けの
清水
(
しみず
)
町筋に出た。
世相
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
それから一町ばかりのあいだを、スッカリ失望した気持ちになって、小急ぎに歩いた私は、
八幡
(
はちまん
)
前の賑やかな通りへ出る四五軒手前の荒物屋の前まで来ると、フト立ち止ってその店の中へ這入った。
空を飛ぶパラソル
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
雨は煙のようで、遠くもない
八幡
(
はちまん
)
の森や
衣笠山
(
きぬがさやま
)
もぼんやりにじんだ墨絵の中に、薄く
萌黄
(
もえぎ
)
をぼかした稲田には、草取る人の
簑笠
(
みのかさ
)
が黄色い点を打っている。ゆるい調子の、眠そうな草取り歌が聞こえる。
竜舌蘭
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
鎌倉でも
八幡
(
はちまん
)
の森ではよく時鳥が鳴くそうであります。
俳句の作りよう
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
八幡
(
はちまん
)
地獄
おさんだいしよさま
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
これは、常談だ。だが、黒川君、今度は、真面目な、話だが、僕は、
昨夜
(
ゆうべ
)
、非常に遅く、十二時頃だった。この裏の、
八幡
(
はちまん
)
さまの、森の中を
悪霊
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そこで同じように
売卜者
(
ばいぼくしゃ
)
を見つけて、また三本ばかりふところにおまじないを施させておくと、さらに駆けつけさせたところは問題の深川
八幡
(
はちまん
)
で
右門捕物帖:06 なぞの八卦見
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「ただしわしが今夜言ってきかせたことだけは以後踏みはずすな。
八幡
(
はちまん
)
、尊氏がこよいの言に偽りは持たぬ。何事もその辺を考えてやってくれい」
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
晃 山沢、何にもない
孤児
(
みなしご
)
なんだ。鎮守の
八幡
(
はちまん
)
の宮の
神官
(
かんぬし
)
の一人娘で、その神官の
父親
(
おとっ
)
さんも亡くなった。叔父があって、それが今、神官の代理をしている。
夜叉ヶ池
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
道を
枉
(
ま
)
げて胆吹山へ侵入した道庵が、どうして、いつのまに、ここまで来着したか、順路を彦根、
八幡
(
はちまん
)
、
安土
(
あづち
)
、草津と経て、相当の乗物によって乗りつけたか
大菩薩峠:38 農奴の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
俊寛 あの時成親殿は
八幡
(
はちまん
)
の
甲良大明神
(
こうらだいみょうじん
)
に百人の僧をこもらせて、
大般若
(
だいはんにゃ
)
を
七夜
(
ななよ
)
の間
行
(
ぎょう
)
じさせました。
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
粋
(
すい
)
ほど迷う道多くて自分ながら思い分たず、うろ/\する
内
(
うち
)
日は
消
(
たち
)
て
愈〻
(
いよいよ
)
となり、
義経袴
(
よしつねばかま
)
に
男山
(
おとこやま
)
八幡
(
はちまん
)
の守りくけ込んで
愚
(
おろか
)
なと
笑
(
わらい
)
片頬
(
かたほ
)
に
叱
(
しか
)
られし
昨日
(
きのう
)
の声はまだ耳に残るに、今
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
土地の
八幡
(
はちまん
)
神社の御神体になっているといった人もあれば、海岸の岡の上に今でもあって、もう三尺余りになっているという人もありました。(
太宰
(
だざい
)
管内志。福岡県糸島郡深江村)
日本の伝説
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
午後万歳の声を聞いて、
遽
(
あわ
)
てゝ
八幡
(
はちまん
)
に往って見る。
最早
(
もう
)
楽隊
(
がくたい
)
を先頭に行列が出かける処だ。岩公は黒紋付の羽織、袴、靴、
茶
(
ちゃ
)
の
中折帽
(
なかおれぼう
)
と云う
装
(
なり
)
で、
神酒
(
みき
)
の
所為
(
せい
)
もあろう桜色になって居る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
七つの
年
(
とし
)
に
石清水
(
いわしみず
)
八幡
(
はちまん
)
のお
宮
(
みや
)
で
元服
(
げんぷく
)
して、
八幡太郎
(
はちまんたろう
)
義家
(
よしいえ
)
と
名
(
な
)
のりました。
八幡太郎
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
市ヶ谷
八幡
(
はちまん
)
の桜早くも散って、
茶
(
ちゃ
)
の
木
(
き
)
稲荷
(
いなり
)
の茶の木の
生垣
(
いけがき
)
伸び茂る頃、
濠端
(
ほりばた
)
づたいの道すがら、
行手
(
ゆくて
)
に望む牛込小石川の高台かけて、
緑
(
みどり
)
滴
(
したた
)
る新樹の
梢
(
こずえ
)
に、ゆらゆらと
初夏
(
しょか
)
の雲凉し
気
(
げ
)
に動く空を見る時
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
八幡
(
はちまん
)
様の
十五夜お月さん
(旧字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
「お蔦と手を切ること。次に、以後必ず行状相改むべきこと。右二箇条、
八幡
(
はちまん
)
御照覧、違背申すまじく
候
(
そうろう
)
——でいい」
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
江戸三
社祭
(
じゃまつ
)
りと称せられている年中行事のうちの一つで、すなわち深川
八幡
(
はちまん
)
の八月十五日、神田明神の九月十五日、それから六月十五日のこの山王祭りを合わせて
右門捕物帖:05 笛の秘密
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「ほら、
八幡
(
はちまん
)
さまの石がき……。あの石がきの石が、一つだけ、ぬけるようになっているんだ。きみはその石のうしろに、からの紙入れを、たくさん、かくしたじゃないか。」
超人ニコラ
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
武将だから
毘沙門
(
びしゃもん
)
とか、
八幡
(
はちまん
)
とかへ願えばまだしも
宜
(
い
)
いものを、愛宕山大権現へ願った。
魔法修行者
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
一体堀割の土手
続
(
つづき
)
で、これから
八幡
(
はちまん
)
前へ出る蛇の
蜿
(
うね
)
った形の
一条
(
ひとすじ
)
道ですがね、
洲崎
(
すさき
)
へ無理
情死
(
しんじゅう
)
でもしに行こうッて奴より外、夜分は人通のない処で、場所柄とはいいながら、その火事にさえ
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
二時間の後、
用達
(
ようたし
)
に上高井戸に出かけた。
八幡
(
はちまん
)
の阪で、誰やら
脹脛
(
ふくらはぎ
)
を後から
窃
(
そ
)
と押す者がある。ふっと見ると、
烏山
(
からすやま
)
の
天狗犬
(
てんぐいぬ
)
が、前足を
挙
(
あ
)
げて彼の
脛
(
はぎ
)
を窃と
撫
(
な
)
でて彼の注意を
牽
(
ひ
)
いたのである。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
関東などで一番多くいうのは、
八幡
(
はちまん
)
太郎
義家
(
よしいえ
)
であります。
軍
(
いくさ
)
の
半
(
なかば
)
に水が得られないので、神に念じ、弓をもって岩に突き、また矢を土の上にさすと、それから泉が流れて士卒ことごとく渇を
癒
(
い
)
やした。
日本の伝説
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
八幡
(
はちまん
)
さまの
境内
(
けいだい
)
に
今日
(
けふ
)
は朝から
初午
(
はつうま
)
の
太鼓
(
たいこ
)
が
聞
(
きこ
)
える。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
もう半年ほどまえから深川
八幡
(
はちまん
)
裏に継母と三人暮らしのわび住まいをしていたのだそうですが、十日ほど以前のある晩、父親が突然不思議な死に方をしたというのです。
右門捕物帖:06 なぞの八卦見
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
又
後
(
うしろ
)
ふり向きし
其
(
その
)
あわれさ、
八幡
(
はちまん
)
命かけて堪忍ならずと珠運七と
呼留
(
よびと
)
め、百両物の見事に投出して、亭主お辰の
驚
(
おどろく
)
にも
関
(
かま
)
わず、
手続
(
てつづき
)
油断なく
此
(
この
)
悪人と
善女
(
ぜんにょ
)
の縁を切りてめでたし/\
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
その
八幡
(
はちまん
)
の
玉垣
(
たまがき
)
の前へならんでいた夜店の
燈籠売
(
とうろうう
)
りがとなりの者へはなしかけた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
場所は東京の
世田谷
(
せたがや
)
区の、ある屋敷町です。広いおうちのならんだ、屋敷町に、むかしながらに森のある
八幡
(
はちまん
)
さまのお
社
(
やしろ
)
がのこっていて、その前に野球のできるような広っぱがあるのです。
虎の牙
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
ツクツクボウシ
近江
(
おうみ
)
八幡
(
はちまん
)
等
野草雑記・野鳥雑記:01 野草雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
八
常用漢字
小1
部首:⼋
2画
幡
漢検準1級
部首:⼱
15画
“八幡”で始まる語句
八幡宮
八幡様
八幡船
八幡大菩薩
八幡太郎
八幡鐘
八幡山
八幡浜
八幡黒
八幡屋