)” の例文
新字:
りに幾分痩せたとすれば、僕の前途——未だ確定しない前途に對する心配の爲めです——僕の出發が、絶えずばされて行く爲めです。
しかりに貴方あなたところ眞實しんじつとして、わたくし警察けいさつからまはされたもので、なに貴方あなたことばおさへやうとしてゐるものと假定かていしませう。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
馬の足をらでは不便なり、ぬすみて逃げんと馬をはやめて、二三町ばかり駈けぬくれば、馬士はおどろき追ひ來りて馬盜人よと罵りさわぐ。
佐々木高綱 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
そこで先づ傳六を殺すことを考へ、二年前に此處で生捕られて刑死した泥棒の冠兵衞の名をりて手紙を書き、あの小僧に店へ投げ込ませた。
然らずして、いたづらに聞見をむさぼるのみならば、則ち或はがうちやうじ非をかざらんことを恐る。謂はゆるこうに兵をし、たうりやうするなり、おもんぱかる可し。
りにおれ地位ちゐつたとしてかんがへてても、事柄ことがら如何いかんかゝはらず、毎日まいにち葉書はがきなんのかのとつてられたにや、實際じつさいやりれまいとおもふよ。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
或時は、此の部落の下の湖を泳ぎ廻る鯉がシャクの口をりて、鱗族いろくづ達の生活の哀しさと樂しさとを語つた。
狐憑 (旧字旧仮名) / 中島敦(著)
りにも名人上手とうたはれた者は年をとつてつまらぬ棋譜きふのこすべきでない——と自重を切ぼうしたといふ。これは或る意味いみ悲壯ひそうな、而もはなはあじはふべきことばだ。
わたし大事だいじかたは、小屋こやつくつていらつしやる。がどうも、くさがないので、こまつてゐられるようだ。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
其はりにお房に手をにぎる資格のあるものとして、果してお房が手を握らせて呉れるかどうかといふ氣懸だ。無論むろん臆病おくびやうな氣懸である。雖然彼はながい間此の氣懸に惱まされてゐた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
學院がくゐんつかはして子弟していともなはしむれば、なるがゆゑ同窓どうさうはづかしめらる。さら街西がいせい僧院そうゐんりてひと心靜こゝろしづかにしよましむるに、ることわづかじゆんなるに、和尚をしやうのために狂暴きやうばううつたへらる。
花間文字 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ロミオは言葉ことばおだやかに、この爭端さうたんとるらぬよし反省はんせいさせ、ふたつには殿とののおいかりおもひやれ、と聲色せいしょくやはらげ、ひざげて、さま/″\にまうしましたなれども、中裁ちゅうさいにはみゝしませぬチッバルト
老子らうし隱君子いんくんしなり。老子らうしそうそうしやうり、段干だんかんほうぜらる。そうちうちうきうきう玄孫げんそんかん孝文帝かうぶんていつかふ。しかうしてかい膠西王卬かうせいわうかう(一六)太傅たいふる。
それでなくてさへ隨分ずゐぶん出入でいりものなどをりて、わたしもとまであやしいつかものなどをよこして、ういふ事情じじやうひど難儀なんぎをしてります、此裁判このさいばん判決次第はんけつしだい生死しやうしりますなどゝつて
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
りに二人ふたりだとおもつてることがはなはきだつたからです。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
嚠喨りうりやうたるその明光めいくわうり來るなんぢ寶石はうせき
人里を思ひ出づる歌聲に耳をもさず
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
いまわれりにそのものを
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
破れし花も宿れば
北村透谷詩集 (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
「すると、りに——假りにだよ、土藏の中に曲者がまぎれ込んでゐたとしても、誰も開けてくれる者がなければ、三日も四日も外へ出られないわけだな」
「みんなねむつちやいかん‥‥」と、時時ときどき我我われわれ分隊長ぶんたいちやう高岡軍曹たかをかぐんそう無理作むりづくりのドラごゑげた。が、中根なかねばかりではない、どの兵士達へいしたちももうそれにみみすだけの氣力きりよくはなかつた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
りに人間にんげん滿足まんぞく安心あんしんとが、其身外そのしんぐわいるにらずして、自身じしんうちるとして、またりに苦痛くつう輕蔑けいべつして、何事なにごとにもおどろかぬようになければならぬとして、て、だい貴方あなた自身じしんなんもとづいて
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
ひなとお染が、八五郎と一とかたまりになつて驅け付けたのは、それからほんの三分、——昔の人の言ひやうをりて言へば、物の百も數へる間がありませんでした。
「お紋を殺したのが——りにだよ——建具屋の金次だとしたら、叔母のお常とやらを打つて目を廻させた上、裸體で井戸端へ縛つたのは誰の仕業しわざだ——と市ヶ谷の喜三郎に言ふんだ」