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何卒
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なにとぞ
ふりがな文庫
“
何卒
(
なにとぞ
)” の例文
『——伝右どの、お気持は有難くいただいた。然し、公儀の断罪を待つ私共……身に余りまする。
何卒
(
なにとぞ
)
、お火鉢はお
退
(
さ
)
げ置き下さい』
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
読者よ、
何卒
(
なにとぞ
)
茲に見られる私の執拗を咎めないで下さい。お咎めになるまでもなく、私自身かういふ点では十分に罰せられてゐる。
亡弟
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
「よろこんでお待ちいたしまする。
何卒
(
なにとぞ
)
この後はお心置きなく——では、師の坊までまいる途中、今日はこれで失礼いたしまする」
艶容万年若衆
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
何卒
(
なにとぞ
)
私が目をつぶりますまででよろしゅうございますから、死の
天使
(
アンジョ
)
の
御剣
(
おんつるぎ
)
が茂作の体に触れませんよう、御慈悲を御垂れ下さいまし。
黒衣聖母
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
はじめて、手紙を差上げる無礼、
何卒
(
なにとぞ
)
お許し下さい。お蔭様で、私たちの雑誌、『春服』も第八号をまた出せるようになりました。
虚構の春
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
▼ もっと見る
竜神
何卒
(
なにとぞ
)
好
(
よ
)
き
檀越
(
だんおつ
)
に一度逢わせてくださいと頼むと、数日後果して貴人より召され、夥しく供養されたという(『宋高僧伝』七)。
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
最後にくれぐれもお願い申し上げたいことは、僕がこんな手紙を差上げたことを
何卒
(
なにとぞ
)
こいさんに秘密にしておいて戴きたいのです。
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
そのゴタゴタもあって、咲枝はあなたにさし上げる夜具をまちがえて送ってしまいましたが、あとでとりかえますから、
何卒
(
なにとぞ
)
あしからず。
獄中への手紙:03 一九三六年(昭和十一年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
牢舍
(
らうしや
)
さするやと尋ねられければお菊は
何卒
(
なにとぞ
)
父利兵衞吉三郎ともに
御免
(
おんゆる
)
し下され其代りに私しを
牢
(
らう
)
へ
御入下
(
おんいれくだ
)
さるゝ
樣
(
やう
)
にと涙ながらに申立るを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
これが
妾
(
わたし
)
の最後の我儘ですから、
何卒
(
なにとぞ
)
おゆるし下さい。……妾は貴方を
欺
(
だま
)
すまいとした妾のまごころを、欺し得ないで貴方と結婚しました。
キチガイ地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
何卒
(
なにとぞ
)
神様
(
かみさま
)
のお
力
(
ちから
)
で
子供
(
こども
)
を
一人
(
ひとり
)
お
授
(
さず
)
け
下
(
くだ
)
さいませ。それが
男
(
おとこ
)
の
子
(
こ
)
であろうと、
女
(
おんな
)
の
子
(
こ
)
であろうと、
決
(
けっ
)
して
勝手
(
かって
)
は
申
(
もう
)
しませぬ……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
此の
度
(
たび
)
お聞きに入れまするは、業平文治漂流奇談と
名題
(
なだい
)
を置きました古いお
馴染
(
なじみ
)
のお話でございますが、
何卒
(
なにとぞ
)
相変らず
御贔屓
(
ごひいき
)
を願い上げます。
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
何卒
(
なにとぞ
)
御一答承りたく、
態
(
わざ
)
と金六を遣わし候。御答出来かね候わば、
爾後
(
じご
)
は使い差出さず候に付き、左様
抑聞
(
おおせき
)
け下さるべく候。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
「明日のオペラ座の切符手に入り候に付、主人同道お誘いに参り
可申
(
もうすべく
)
候、
何卒
(
なにとぞ
)
御待受
被下度
(
くだされたく
)
候。母上様」と云うのでした。
最終の午後
(新字新仮名)
/
フェレンツ・モルナール
(著)
老いたる親に思いもよらぬ
煩
(
わずらい
)
をかけて先だつ身さえ不幸なるに、死しての
後
(
のち
)
までかかる御手数をかけるは、何とも心苦しいが、
何卒
(
なにとぞ
)
この金を
以
(
もっ
)
て
二面の箏
(新字新仮名)
/
鈴木鼓村
(著)
『
何卒
(
なにとぞ
)
お
宥
(
ゆる
)
し
下
(
くだ
)
さい、
陛下
(
へいか
)
よ』
二點
(
ツウ
)
は
極
(
きは
)
めて
謙遜
(
けんそん
)
した
調子
(
てうし
)
で
云
(
い
)
つて
片膝
(
かたひざ
)
をつき、『
私
(
わたし
)
どもの
爲
(
し
)
て
居
(
を
)
りましたことは——』
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
うけたらよろしかろうとの仰せにて止むなくおひきうけいたしたる次第、
何卒
(
なにとぞ
)
若年の拙者をお引き廻し願いとう存ずる
本所松坂町
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
今更申上候迄にも御座候はねば、
何卒
(
なにとぞ
)
宜
(
よろし
)
く
御判
(
おんはん
)
じ
被遊度
(
あそばされたく
)
、
夜一夜
(
よひとよ
)
其事のみ思続け候て、毎夜寝もせず明しまゐらせ候。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
これを
養育
(
はぐく
)
むこと
叶
(
かな
)
はず、折角頼みし仇討ちも、仇になりなん口惜しさ、推量なして給はらば、
何卒
(
なにとぞ
)
この児を
阿姐
(
あねご
)
の児となし、阿姐が
乳
(
ち
)
もて育てあげ。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
妾
(
わたくし
)
めは
吉
(
きち
)
と申す
不束
(
ふつつか
)
な田舎者、
仕合
(
しあわ
)
せに御縁の端に
続
(
つな
)
がりました上は
何卒
(
なにとぞ
)
末長く
御眼
(
おめ
)
かけられて
御不勝
(
ごふしょう
)
ながら
真実
(
しんみ
)
の妹とも
思
(
おぼ
)
しめされて下さりませと
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
沒する程の所あり
何卒
(
なにとぞ
)
小山の上を少しの間歩き玉ひてと車夫の乞ふに心得たりと下りては見たれどなまじ車に足を
縮
(
すく
)
めたる爲め痛み強くわづかに
蝙蝠傘
(
かうもりがさ
)
を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
綱もすなわち
幽霊
(
れこ
)
には恐れる。といわれて得右衛門大きに弱り、このまま帰らんは余り
腑甲斐
(
ふがい
)
無し、
何卒
(
なにとぞ
)
して引張り行かん。はて好い工夫はおっとある。
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「手前滝沢
清左衛門
(
せいざえもん
)
、
不束者
(
ふつつかもの
)
にござりまするが
何卒
(
なにとぞ
)
今後お見知り置かれ、別してご懇意にあずかりたく……」
戯作者
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
何卒
(
なにとぞ
)
平生の心事御了解被成下大納言様御手筋を以乍恐朝廷へ御取成寛大の御汰沙
只管奉歎願誠恐誠惶
(
ひたすらせいきょうせいこうたんがんたてまつる
)
謹言
乱世
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
何卒
(
なにとぞ
)
右の儀、高等二学年修了以上の方々及び其父兄へ御懇話の上、一人にても二人にてもお
遣
(
つかわ
)
し
被下
(
くださら
)
ば、
邦家
(
ほうか
)
中等教育の為め、光栄これに
如
(
し
)
くもの
無之候
(
これなくそうろう
)
、
頓首再拝
(
とんしゅさいはい
)
凡人伝
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
何卒
(
なにとぞ
)
此際厳重に
撲滅策
(
ぼくめつさく
)
を
執
(
と
)
らるゝ様、閣下より一言、政府へ御指図下ださる義を懇願致しますので——
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
(そして相当の長さに
亘
(
わた
)
つて信教に関する力強い訓戒が語られ、最後は次の様に結んである)では、もう一度
左様
(
さよう
)
なら、愛しい妹よ、そして
何卒
(
なにとぞ
)
あなたを救ふ唯一者
ジェイン・グレイ遺文
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
此辺之処閣下御洞察に而、御病中ながら
何卒
(
なにとぞ
)
御処置被遊候御儀、
単
(
ひとへ
)
に奉願候也。正月二十一日薫子。
津下四郎左衛門
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
まことにまことに申上かね候え共、少々お目もじの上申上たき事御ざ候間、
何卒
(
なにとぞ
)
御都合なし下されて、あなた様のよろしき折御立より下されたく幾重にも
御
(
おん
)
待申上候。
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
猶
(
なほ
)
又
(
また
)
たとひあなたが私の国語を
御
(
ご
)
承知に成りませんとしても
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
此
(
この
)
手紙の内容を
御会得
(
ごゑとく
)
下さる事を私は希望致します。夫人よ、
此
(
この
)
希望を
何卒
(
なにとぞ
)
此
(
この
)
差出人にお許し下さい。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
目下弁護事務にて
頗
(
すこぶ
)
る有望の事件を担当し居り、
此
(
この
)
事件にして
成就
(
じやうじゆ
)
せば、
数万
(
すまん
)
の
報酬
(
はうしう
)
を得んこと容易なれば、
其上
(
そのうへ
)
にて
総
(
すべ
)
て花々しく処断すべし、
何卒
(
なにとぞ
)
暫しの苦悶を忍びて
母となる
(新字旧仮名)
/
福田英子
(著)
何卒
(
なにとぞ
)
御示下され度希上候。土山の下の終に、深山に
佗
(
わび
)
しくくらし居り候老僧にかしづきゐる婦人の京の客の帰り行くをたゝずみて
遥
(
はるか
)
に見送る心情、いかにも思ひやられ候。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
得ば本会の面目
不過之
(
これにすぎず
)
と存
候
(
そろ
)
間
何卒
(
なにとぞ
)
御賛成
奮
(
ふる
)
って
義捐
(
ぎえん
)
あらんことを
只管
(
ひたすら
)
希望の至に
堪
(
た
)
えず
候
(
そろ
)
敬具
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼の言葉は、「ファアモレモレ(
何卒
(
なにとぞ
)
)」が繰返される外、「家の者が呼んでいる」とも言っているらしい。その
中
(
うち
)
にアリック少年とラファエレとサヴェアとがやって来た。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
遣
(
つか
)
はさるべきお
約束
(
やくそく
)
とや、
夫
(
それ
)
までのお
留守居
(
るすゐ
)
、
又
(
また
)
は
父樣
(
とうさま
)
折
(
をり
)
ふしのお
出遊
(
いで
)
に、
人任
(
ひとま
)
かせ
成
(
な
)
らずは
御不自由
(
ごふじいう
)
も
少
(
すく
)
なかるべく、
何卒
(
なにとぞ
)
其處
(
そこ
)
に
住
(
す
)
まはせて、
世
(
よ
)
を
白波
(
しらなみ
)
に
浦風
(
うらかぜ
)
おもしろく
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
何卒
(
なにとぞ
)
令弟の死を超えて一日も早く涙の底より起ち上られますよう、願わくばこの苦き盃を速やかに御身の御家庭より離ちたまわんことをひたすらに上帝に祈願して已みませぬ。
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
庭のコスモス咲き出で候はば、私帰るまであまりお
摘
(
つ
)
みなされずにお残し下されたく、軒の朝顔かれ/″\の見ぐるしきも、
何卒
(
なにとぞ
)
帰る日まで
苅
(
か
)
りとらせずにお置きねがひあげ候。
ひらきぶみ
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
私儀感ずるところ
有之
(
これあり
)
、今回教会員としての籍を退きたく、
何卒
(
なにとぞ
)
御除名下されたく
候
(
そうろう
)
。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
日頃一面識も無き閣下に突然
斯様
(
このよう
)
な無礼な手紙を差し上げる段
何卒
(
なにとぞ
)
お許し下さい。
陳情書
(新字新仮名)
/
西尾正
(著)
何卒
(
なにとぞ
)
、御用お命じ下さいますなら、私ども幸いと存じるものでございます。当ホテルを本日訪問いたしますれば、あなたさまの御来訪を教えられましたにつきまして、出張いたしました。
罌粟の中
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
背骨も曲つてしまひます。
何卒
(
なにとぞ
)
これでお暇を願ひ、郷里に帰りたうございます。
北守将軍と三人兄弟の医者
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
貴兄御困難のことも大方推量致し居候えども
何卒
(
なにとぞ
)
出来るだけの御奮発願上候。
子規居士と余
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
当局の御本人に
於
(
おい
)
て
云々
(
しかじか
)
の御説もあらば
拝承
(
はいしょう
)
致
(
いた
)
し
度
(
たく
)
、
何卒
(
なにとぞ
)
御漏
(
おんもら
)
し
奉願候
(
ねがいたてまつりそうろう
)
。
瘠我慢の説:03 書簡
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
、
勝海舟
、
榎本武揚
(著)
何卒
(
なにとぞ
)
々々お出で下され
度
(
たく
)
、太陽と月を同時に仰ぎつつ待ち居ります。
春:――二つの連作――
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
小生も追々衰弱に赴き候に
付
(
つき
)
二十句の
佳什
(
かじゅう
)
を得るために千句以上を検閲せざるべからずとありては到底病脳の堪ふる所に非ず候。
何卒
(
なにとぞ
)
御自身
御選択
(
ごせんたく
)
の上御寄稿
被下候様
(
くだされそうろうよう
)
希望候。以上。(二月十二日)
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
彼御所持の無銘の了戒二尺三寸斗の御刀、
何卒
(
なにとぞ
)
拝領相願度、其かわり何ぞ御求
被
レ
成度
(なされたく)
、西洋もの有
レ
之候得ハ御申聞奉
レ
願候。先ハ今持合候時計一面さし出し申候。御笑納奉
レ
願候。
手紙:086 慶応三年八月八日 坂本権平あて
(新字旧仮名)
/
坂本竜馬
(著)
段々酒酔ノ上、恐レ入ッタトテ、殊更相支配ユエニ、
何卒
(
なにとぞ
)
御支配ヘハ話ヲシテクレルナトテ、和ボクヲシタ、ソレカラ酒ガ又出テ、大竹が云ウニハ一パイ飲メトイウカラ、酒ハ一向呑メヌトイッタラ
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
肩身の広き思い致候、此上とも
何卒
(
なにとぞ
)
御用心被遊候様御願申上候
仙人掌の花
(新字新仮名)
/
山本禾太郎
(著)
「成程これは無調法……十年前なら
其方
(
そなた
)
はまだ子供でござったろう——やあ、思わぬ罪を作るところ
何卒
(
なにとぞ
)
平
(
ひら
)
にゆるして下され人違いじゃ」
艶容万年若衆
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
願
(
ねが
)
はれ
何卒
(
なにとぞ
)
私
(
わたく
)
し
儀
(
ぎ
)
御役
御免下
(
ごめんくだ
)
さるべしと
云
(
いは
)
れしかば何故
退役
(
たいやく
)
を
願
(
ねが
)
はるゝやと申さるゝに大岡殿
此度
(
このたび
)
煙草屋
(
たばこや
)
喜八
裁許
(
さいきよ
)
違
(
ちが
)
ひ
科
(
とが
)
なき者を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
何
常用漢字
小2
部首:⼈
7画
卒
常用漢字
小4
部首:⼗
8画
“何卒”で始まる語句
何卒々々