きやう)” の例文
きやう山科やましな、近松半二の家。さのみ廣からねど、風雅なる家の作りにて、かみかたに床の間、それに近松門左衞門もんざゑもんの畫像の一軸をかけてあり。
近松半二の死 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
れはうもおまへさんのこと他人たにんのやうにおもはれぬはういふものであらう、おきやうさんおまへおとゝといふをつたこといのかとはれて
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
豫言者ナタン、きやうの僧正クリソストモ、アンセルモ、及び第一の學術に手を下すをいとはざりしドナートあり 一三六—一三八
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
むすめが三人あつて、名をまつきくきやうと云つた。与助の妻は酒をかうぶつて大言する癖があつて、「女が三人あるから、一人五百両と積つても千五百両がものはある」
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
苔寺の苔をも見ずてはたとせをきやうの巷にすぐしけるわれ(嘗て京に住むこと二十余年、今日初めて苔寺を見る)
閉戸閑詠 (新字旧仮名) / 河上肇(著)
進め用金ようきんをばあつめける京都にても五萬五千兩程集まりきやう大坂にて都合十五萬兩餘の大金と成ば最早もはや金子は不足ふそくなし此勢にじようじて江戸へ押下おしくだりいよ/\大事を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
さるきやうの古城址からその渓谷の展開されて行く形を眺めるさまは、かなりすぐれてゐると私は思つてゐる。
あちこちの渓谷 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
次手ついでだからはなさう。これつゐをなすのは淺草あさくさまんちやんである。おきやうさんが、圓髷まるまげあねさんかぶりで、三歳みツつのあかちやんをじふ背中せなか引背負ひつしよひ、たびはだし。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ちひさな土橋どばしひとつ、小川をがは山川やまがはそゝぐところにかゝつてゐた。山川やまがはにははしがなくて、香魚あゆみさうなみづが、きやう鴨川かもがはのやうに、あれとおなじくらゐのはゞで、あさくちよろ/\とながれてゐた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
斯う噂をして居たが、和上に帰依きえして居る信者しんじやなかに、きやう室町錦小路むろまちにしきのこうぢ老舗しにせの呉服屋夫婦がたいした法義者はふぎしやで、十七に成る容色きりやうの好い姉娘あねむすめ是非ぜひ道珍和上どうちんわじやう奥方おくがた差上さしあいと言出いひだした。
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
「おんどきよへ」とは、「今度こんどきやうへ」といふのがなまつたのです。
お月さまいくつ (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
舞姫のかりね姿ようつくしき朝きやうくだる春の川舟
みだれ髪 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
西なるきやうに君はれましき。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
つまどひのきやうをんなしぎ
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
きやう水無月みなづき祇園会ぎをんゑ
哀音 (新字旧仮名) / 末吉安持(著)
きやうの町のやせうめ
どんたく:絵入り小唄集 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
きやうさんれが本當ほんたう乞食こじきならおまへいままでのやうに可愛かあいがつてはれないだらうか、振向ふりむいててはれまいねとふに
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
すこしばかり、女中ぢよちうこゝろづけも出來できましたので、それとなく、およねさんの消息せうそくきますと、蔦屋つたや蔦龍館てうりうくわんつた發展はつてんで、もち女中ぢよちうなどは、きやうからるのださうで
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
いくとせをあづまきやう
おもひで (新字旧仮名) / 末吉安持(著)
今度こんどきやうのぼつて
お月さまいくつ (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
ほんに兩爲りやうだめ御座ござんすほどにと戯言じようだんまじり何時いつとなく心安こゝろやすく、おきやうさんおきやうさんとて入浸いりびたるを職人しよくにんども挑發からかひては帶屋おびや大將たいしやうのあちらこちら
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「あの、汽車きしやが、きやう大阪おほさかとほるのだとすると、のあけるのは何處どこらでせうね。」
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
きやうにては
新頌 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
「いや……ないはうい、ちがふと不可いけないから、そして、はおきやうさんとふんだ……」
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
きやうさん居ますかと窓の戸の外に來て、こと/\と羽目をたゝく音のするに、誰れだえ、もう寐て仕舞つたから明日來てお呉れと嘘を言へば、寐たつて宜いやね、起きて明けてお呉んなさい
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
東枕ひがしまくらも、西枕にしまくらも、まくらしたまゝ何處どこをさしてくのであらう。汽車案内きしやあんない細字さいじを、しかめづらすかすと、わかつた——遙々はる/″\きやう大阪おほさか神戸かうべとほる……越前ゑちぜんではない、備前國びぜんのくに糸崎いとざきである。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
こつさいりんしんかとてしばをかつぎて、あねさんかぶりにしたる村里むらざと女房にようばうむすめの、あさまちづるさまは、きやう花賣はなうり風情ふぜいなるべし。むつなゝきのこすゝききとめて、すさみにてるも風情ふぜいあり。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
おもしろいぞえ、きやうまゐみちは、のぼしうもある下向げこもある。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
きやう金閣寺きんかくじをごらうじましたか、でけんぶつをしたばかり。
鳥影 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「おきやうさま……」
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)