“一棟:ひとむね” の例文
“一棟:ひとむね”を含む作品の著者(上位)作品数
泉鏡花12
吉川英治6
夏目漱石3
永井荷風2
泉鏡太郎2
“一棟:ひとむね”を含む作品のジャンル比率
文学 > 日本文学 > 小説 物語0.6%
文学 > 日本文学 > 日記 書簡 紀行0.5%
文学 > 日本文学 > 小説 物語(児童)0.3%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
それから結婚十四年目の明治四十年に初めて一反五畝の土と一棟ひとむねのあばら家を買うて夫妻此粕谷に引越して来ました。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
西洋館に続いて日本建にほんだて一棟ひとむね付いていたこの屋敷には、家族の外に五人の下女げじょと二人の書生が住んでいた。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それは昔のままだったが、一棟ひとむね、西洋館が別に立ち、帳場も卓子テエブルを置いた受附になって、蔦屋の様子はかわっていました。
雪霊記事 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
おそろしい、はしッこさで、かれがねらってきたのは鉄砲火薬てっぽうかやくをつめこんである一棟ひとむねだった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
で、目的もくてきは? やはりかせぎにくるのである。そしてその一棟ひとむね一棟ひとむねで、みな職業がちがっているのもおもしろい。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もとより山寺である。大吉寺は大吉堂ともいい、一宇いちうの堂と、れはてた僧房一棟ひとむねしかない。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おくの西に、木につつまれた一棟ひとむねがある。昼寝でもするつもりか、大股に、つとそこへ這入ると、
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
町はずれの住んだ家に来て見れば母屋づくりの立派な一棟ひとむねのなかから、しょう吹く音いろがきこえ、おとなうことすらできなかった。
荻吹く歌 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
——で、まあ、退屈まぎれに、セコンドを合わせながら、湯宿やどの二階の、つらつらと長いまわえん——一方の、廊下一つ隔てた一棟ひとむね
菊あわせ (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
差し向いたる梅屋の一棟ひとむねは、山を後に水を前に、心をめたる建てようのいと優なり。
書記官 (新字新仮名) / 川上眉山(著)
そこにはもう赤錆あかさびのふいた亜鉛葺とたんぶき納屋なや一棟ひとむねあった。
悠々荘 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
往来を隔てて向うを見ると、ホテルよりは広い赤煉瓦あかれんがの家が一棟ひとむねある。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
門をはいると左手に瓦葺の一棟ひとむねがあって其縁先に陶器絵葉書のたぐいが並べてある。
百花園 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
郁次郎は奉行所内の遥か奥に隔っている藪牢やぶろうにはいっていた。そこにある厳重な一棟ひとむねは、明和めいわの大獄以来使ったことのない番外牢であった。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
私の部屋の窓からは、いまにもくずれそうな生墻いけがきを透かして、一棟ひとむねの貧しげな長屋の裏側と、それに附属した一つの古い井戸とがながめられた。
三つの挿話 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
私は母方の親戚しんせきがN侯の側近を勤めてゐたわづかの関係が縁で本邸をめぐる家来長屋の一棟ひとむね寄寓きぐうし、少しの間、神田の学校へ通つたことがある。
老残 (新字旧仮名) / 宮地嘉六(著)
ことに彼にそういう気持を起こさせたのは、一棟ひとむねの長屋の窓であった。
ある崖上の感情 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
三人は橋の手前にある一棟ひとむね煉瓦造れんがづくりに這入はいった。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
明治四十二年の春に買った一棟ひとむねなぞは、萱沢山かやたくさんの厚さ二尺程にも屋根をいて、一生大丈夫の気で居ましたら、何時しか木蔭から腐って、骨が出ました。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
下から見上げた外部の様子によって考えると、がけの上は幾坪かの平地ひらちで、その平地を前に控えた一棟ひとむねの建物が、風呂場の方を向いて建てられているらしく思われた。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そこは建築したばかりの大工場で、この一棟ひとむねへはいった。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
掘立小屋ほったてごやというていなのが一棟ひとむねある。
茸の舞姫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
もうひとつが三光社前さんくわうしやまへ一棟ひとむね
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
嘉吉と丸田は或る一棟ひとむねの倉庫の入口に消えて行つた。
煤煙の匂ひ (新字旧仮名) / 宮地嘉六(著)
秀吉は、席を換え、橋廊下をこえた一棟ひとむねへ入った。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
建物たてもの取𢌞とりまはした一棟ひとむね其池そのいけのあるうへばかり大屋根おほやね長方形ちやうはうけい切開きりひらいてあるから雨水あまみづたまつてる。
怪談女の輪 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
それはむかしのまゝだつたが、一棟ひとむね西洋館せいやうくわんべつち、帳場ちやうば卓子テエブルいた受附うけつけつて、蔦屋つたや樣子やうすはかはつてました。
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
——ここで一寸ちょっと念のために申しますが、この旅籠屋も、昨年の震災をまぬかれなかったのに、しかも一棟ひとむねけて、人死ひとじにさえ二三人あったのです——蚊帳は火の粉をかぶったか、また、山を荒して
甲乙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その石の古びた色とまた石垣の積み方とはおのずと大名屋敷の立っていた昔を思起させるが、それと共に私はまたかすみせきの坂に面した一方に今だに一棟ひとむねか二棟ほど荒れたまま立っている平家ひらやの煉瓦造を望むと
佐々木小次郎が江戸の住居は、細川藩の重臣で岩間角兵衛が邸内の一棟ひとむね——その岩間の私宅というのは、高輪たかなわ街道の伊皿子いさらご坂の中腹、俗に「月のみさき」ともいう地名のある高台で、門は赤く塗ってある。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さみしい、しんとした中に手拍子てびょうしそろって、コツコツコツコツと、鉄槌かなづちの音のするのは、この小屋に並んだ、一棟ひとむね同一おなじ材木納屋なやの中で、三個さんこの石屋が、石をるのである。
三尺角 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
御身の茲に來られしみちすがら、溪川たにがはのあるあたりより、山の方にわびしげなる一棟ひとむねの僧庵を見給ひしならん。其庵の側に一つのさゝやかなる新塚あり、主が名は言はで、此の里人は只〻戀塚こひづか々々と呼びなせり。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
おのずから肩の嬌態しな、引合せた袖をふらふらと、台所穿ばきをはずませながら、傍見わきみらしく顔を横にして、小走りに駆出したが、帰りがけの四辻を、河岸の方へ突切ろうとする角に、自働電話と、一棟ひとむね火の番小屋とが並んでいる。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
石の門柱が立っており、足場のわるいだらだらした坂を登ると、ちょうど東京の場末の下宿屋のような、木造の一棟ひとむねがあり、周囲まわりに若いひのきかえでや桜が、枝葉をしげらせ、憂鬱ゆううつそうな硝子窓ガラスまどかすめていた。
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
真中に一棟ひとむね、小さき屋根の、あたか朝凪あさなぎの海に難破船のおもかげのやう、つ破れ且つ傾いて見ゆるのは、広野ひろのを、久しい以前汽車が横切よこぎつた、時分じぶん停車場ステエション名残なごりである。
二世の契 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
さみしい、しんとしたなか手拍子てびやうしそろつて、コツ/\コツ/\と、鐵槌かなづちおとのするのは、この小屋こやならんだ、一棟ひとむね同一おなじ材木納屋ざいもくなやなかで、三石屋いしやが、いしるのである。
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
銀行ぎんかうよこにして、片側かたがははら正面しやうめんに、野中のなか一軒家いつけんやごとく、長方形ちやうはうけいつた假普請かりぶしん洋館やうくわん一棟ひとむねのきへぶつつけがきの(かは)のおほきくえた。
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
貸間とは云うものの、母屋おもやから独立した平家建ての一棟ひとむねで、八畳と四畳半の座敷の外に、玄関と湯殿と台所があり、出入口も別になっていて、庭からぐと往来へ出ることが出来、植木屋の家族とも顔を合わせる必要はなく、これなら成る程、二人が此処ここで新世帯を構えたようなものでした。
痴人の愛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「で、戻路もどりにはせめてもと存じまして、長屋の位置を見がてら、その家紋を読んでまいりましたが、だいたい表通りに向った一棟ひとむねと、南側に添うた一棟と、総長屋は二棟に別れておりまして、戸前の数は三十あまり四十戸前もございましょうか。そのほかに家老小林の住宅すまいは、別に一軒建ちになっておりました」
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)