“前簾”の読み方と例文
読み方割合
まえすだれ100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
その男の顔がさっと変ったとき、前簾まえすだれのすき間から月のように匂う生絹の顔をちらと見入った。生絹もその時不幸な一瞥いちべつを合わせたのであった。
荻吹く歌 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
町はずれの住んだ家に来て見れば母屋づくりの立派な一棟ひとむねのなかから、しょう吹く音いろがきこえ、おとなうことすらできなかった。近くの家々の人も、網代車あじろぐるま前簾まえすだれの中の生絹の顔を見ることがなかった。
荻吹く歌 (新字新仮名) / 室生犀星(著)