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鮭
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さけ
ふりがな文庫
“
鮭
(
さけ
)” の例文
その晩もお菜に鹽つ辛い
鮭
(
さけ
)
をつけると、——こんなお菜は飯が要つて
叶
(
かな
)
はない——つて、下女のお留に大小言を食はせたんですつて。
銭形平次捕物控:102 金蔵の行方
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
土地
(
とち
)
にて、いなだは
生魚
(
なまうを
)
にあらず、
鰤
(
ぶり
)
を
開
(
ひら
)
きたる
乾
(
ひ
)
ものなり。
夏中
(
なつぢう
)
の
好
(
いゝ
)
下物
(
さかな
)
、
盆
(
ぼん
)
の
贈答
(
ぞうたふ
)
に
用
(
もち
)
ふる
事
(
こと
)
、
東京
(
とうきやう
)
に
於
(
お
)
けるお
歳暮
(
せいぼ
)
の
鮭
(
さけ
)
の
如
(
ごと
)
し。
寸情風土記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
瀬の清い、流れの早い川に鮎がいることは不思議でもなんでもない——この名取川には、特有の
鮭
(
さけ
)
の子もいるということを聞いた。
大菩薩峠:34 白雲の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
開けひろげてある庭の入口を通して、直ぐ向ふに肴屋の
店頭
(
みせさき
)
が見える。
鮭
(
さけ
)
などが吊るしてある乾いた町へは急に夏らしい雨が来た。
出発
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
魚でも
鮭
(
さけ
)
と
鱒
(
ます
)
と大きな
鯇
(
やまめ
)
と
渓間
(
たにま
)
の鯉は蛇を食べますから鮭や鱒を食べると三年過ぎた
古疵
(
ふるきず
)
が再発すると申す位で腫物や疵には大毒です。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
▼ もっと見る
たしかに河の出口にある古びた街であったけれども、
仔細
(
しさい
)
に見れば海からは少からず逆のぼって、
鮭
(
さけ
)
や
鱒
(
ます
)
の漁場から川上になっていた。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
葉書を出しに行く
途
(
みち
)
で
鮭
(
さけ
)
の切身をひと切れ買って、まちがえてその鮭のほうを郵便函へほうり込んでしまったこともありました。
初看板
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
燻
(
いぶ
)
し
鮭
(
さけ
)
の小皿と一しょに、新蔵の膳に載って居るコップがもう泡の消えた黒麦酒をなみなみと湛えたまま、口もつけずに置いてあります。
妖婆
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
○新撰字鏡
魚
(
うを
)
の
部
(
ぶ
)
に鮭(
佐介
(
さけ
)
)とあり、和名抄には本字は
鮏
(
さけ
)
俗
(
ぞく
)
に
鮭
(
さけ
)
の字を用ふるは
非
(
ひ
)
也といへり。されば鮭の字を用ひしも
古
(
ふる
)
し。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
タネリが
指
(
ゆび
)
をくわいてはだしで
小屋
(
こや
)
を出たときタネリのおっかさんは前の草はらで
乾
(
かわ
)
かした
鮭
(
さけ
)
の
皮
(
かわ
)
を
継
(
つ
)
ぎ合せて
上着
(
うわぎ
)
をこさえていたのです。
サガレンと八月
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
「どっかへフッ飛んじゃったい。
船長
(
おやじ
)
は
晩香坡
(
バンクーバ
)
から
鮭
(
さけ
)
と
蟹
(
かに
)
を積んで
桑港
(
シスコ
)
から
布哇
(
ハワイ
)
へ廻わって帰るんだってニコニコしてるぜ」
難船小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
そんなだから、たとえば
鮭
(
さけ
)
のおかずといっても切身は買わず、一ト山いくらで滅法安い鮭のあらをよく買ったものである。
舌のすさび
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
少し話して行けと云うたら、また
近所
(
きんじょ
)
に
鮭
(
さけ
)
が出来たからと云うて、急いで帰った。鮭とは、ぶら下がるの謎で、
首縊
(
くびくく
)
りがあったと云うのである。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
それに、もし胃腸がうけつけたら鉄とカルシューム補給のため、バタと
鰯
(
いわし
)
、
鮭
(
さけ
)
の類、カン油なども是非あがった方がよい。私はいろいろ考えてね。
獄中への手紙:03 一九三六年(昭和十一年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
まだ
海豹島
(
かいひょうとう
)
へ行って
膃肭臍
(
おっとせい
)
は打っていないようであるが、北海道のどこかで
鮭
(
さけ
)
を
漁
(
と
)
って
儲
(
もう
)
けた事はたしかであるらしい。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「やあ、
鮭
(
さけ
)
の燻製でもいいから、ありつきたいものじゃな。うちの冷蔵庫の隅に尻尾ぐらいは残っていそうなものだ」
時限爆弾奇譚:――金博士シリーズ・8――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
たまらなく
侘
(
わ
)
びしくなって、いそいで食堂へ行き、罐詰の
鮭
(
さけ
)
を冷たいごはんにのせて食べたら、ぽろぽろと涙が出た。
斜陽
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
なぜなら、どちらもそれを煮る時
一塊
(
いっかい
)
の砂糖すら入れられはしないのだから。部落で食べる魚といえば飛び上るほど塩辛い
鮭
(
さけ
)
、ただそれだけであった。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
とかくして涙ながら三戸につきぬ。
床
(
とこ
)
の
間
(
ま
)
に
刀掛
(
かたなかけ
)
を置けるは何のためなるにや、家づくりいとふるびて興あり。この日はじめて
鮭
(
さけ
)
を食うにその味美なり。
突貫紀行
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
漁夫
(
ぎよふ
)
は
鮭
(
さけ
)
が
深夜
(
しんや
)
に
網
(
あみ
)
に
懸
(
かゝ
)
るのを
待
(
ま
)
ちつゝ、
假令
(
たとひ
)
連夜
(
れんや
)
に
渡
(
わた
)
つてそれが
空
(
むな
)
しからうともぽつちりとさへ
眠
(
ねむ
)
ることなく
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
魚銀からは塩引の
鮭
(
さけ
)
を二尾と
干物
(
ひもの
)
を十枚、干物は風に当てれば十日は大丈夫だって云いました、それから八百久では青物のほかに漬菜と
沢庵
(
たくあん
)
を一と樽ずつに
あだこ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そして、どんどん運び出されて、
鮭
(
さけ
)
か
鱒
(
ます
)
の
菰包
(
こもづつ
)
みのように無雑作に、船尾につけてある発動機に積み込まれた。
蟹工船
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
それであるから、兄が十五になつて、若者仲間に入つてから間もなく、大雪が降つてそれの固まつた或る晩に、
鮭
(
さけ
)
の頭に爆発する
為掛
(
しかけ
)
をして、
狐
(
きつね
)
六
疋
(
ぴき
)
を殺した。
念珠集
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
お昼の弁当も
美味
(
うま
)
し、
鮭
(
さけ
)
のパン粉で揚げたのや、いんげんの青いの、ずいきのひたし、
丹塗
(
にぬ
)
りの箱を両手にかかえて、私は遠いお母さんの事を思い出していた。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
やがて、
鮭
(
さけ
)
の焼いたので貧しい
膳立
(
ぜんだ
)
てをした父親が、それ丈けが楽しみの
晩酌
(
ばんしゃく
)
にと取りかかるのである。
夢遊病者の死
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
物を食うにも
鮭
(
さけ
)
でも
鰌
(
どじょう
)
でもよい、
沢庵
(
たくあん
)
でも
菜葉
(
なっぱ
)
でもよく、また
味噌汁
(
みそしる
)
の実にしても
芋
(
いも
)
でも大根でもよい。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
その時分はまだ北海道には日本人が一人もいなくて、山には
熊
(
くま
)
、川には
鮭
(
さけ
)
、そして人間といえばアイヌ人ばかりでした。だからコロボックンクルはアイヌ人の神様でした。
蕗の下の神様
(新字新仮名)
/
宇野浩二
(著)
鮭
(
さけ
)
の耳石の環状構造にしても、一年の間に存するたくさんの第二次週期の意味がわかりにくい。
自然界の縞模様
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
鮭
(
さけ
)
や
鱒
(
ます
)
にも以前はこの貯蔵方法が盛んであったらしく、今もアラマキという語が知られている。
食料名彙
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
大寒
(
だいかん
)
の
盛
(
さかり
)
にこの貸二階の半分西を向いた窓に日がさせば、そろそろ近所の家から
鮭
(
さけ
)
か
干物
(
ひもの
)
を焼く
匂
(
におい
)
のして来る
時分
(
じぶん
)
だという事は、丁度去年の今時分初めてここの二階を借りた当時
雪解
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
命じ置きたる
鮭
(
さけ
)
のカン詰を持ち帰る。こはなるべく歯に
障
(
さわ
)
らぬ者をとて択びたるなり。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
鮭
(
さけ
)
の
燻製
(
くんせい
)
、アンチョビーの塩漬、
鰮
(
いわし
)
の油漬、ハム、チーズ、クラッカー、肉パイ、幾種類ものパン、等々がまるで魔術のように一時に出現して置き切れぬ程に並べられた光景を見ると
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
ぢや
然
(
さ
)
うお
為
(
し
)
。
其
(
それ
)
から阿母さんは今一枚洗つて、
今日
(
けふ
)
は
大原
(
おほはら
)
まで
兄
(
にい
)
さん達の
白衣
(
はくえ
)
を届けて来るからね、よく留守番を
為
(
し
)
てお呉れ。
御飯
(
ごはん
)
には
鮭
(
さけ
)
が戸棚にあるから火をおこして焼いてお
食
(
た
)
べ。
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
荒れ果てた畑に見切りをつけて
鮭
(
さけ
)
の漁場にでも移って行ってしまったのだろう。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
波の絶頂に上がった時に、一方の鉤だけをはずすならば次の瞬間には、そのサンパンは
鮭
(
さけ
)
のようにつるされているだろう。それが、波の最低部にまでおろされることは、不可能であった。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
夜食に大抵
古沢庵
(
ふるたくあん
)
の二
片
(
きれ
)
か三片で、昼も、たまに
小猫
(
こねこ
)
の食べるほどの
鮭
(
さけ
)
の切身の半分もつけば
奢
(
おご
)
った方で、朝の味噌汁の冷え残りか、生揚げの一ひらで済ますという切り詰め方であった。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
隆鼻術では実際南部の
鮭
(
さけ
)
のように鼻の曲ってしまった人がありますよ。巧く行って高くなったところで美的効果はありません。鼻が高いという印象を与えるのは調和を欠いている証拠です。
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
トニオ・クレエゲルは、水浴と足早な散歩のあとの快い疲れを覚えながら、椅子に背をもたせて、燻製の
鮭
(
さけ
)
をのせた焼パンを食べていた。——ベランダと海のほうへ向いて坐っていたのである。
トニオ・クレエゲル
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
のぞきたるアイヌの家にいたましく
鮭
(
さけ
)
の
半身
(
はんみ
)
のつるされしかな
小熊秀雄全集-01:短歌集
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
から
鮭
(
さけ
)
も
空也
(
くうや
)
の
痩
(
やせ
)
も
寒
(
かん
)
の
内
(
うち
)
郷愁の詩人 与謝蕪村
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
その晩もお菜に塩っ辛い
鮭
(
さけ
)
をつけると、——こんなお菜は飯が要ってかなわない——って、下女のお留に大小言を食わせたんですって。
銭形平次捕物控:102 金蔵の行方
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
然
(
さ
)
うだらう。
日本橋
(
にほんばし
)
の
砂糖問屋
(
さたうどんや
)
の
令孃
(
れいぢやう
)
が、
圓髷
(
まるまげ
)
に
結
(
ゆ
)
つて、あなたや……
鰺
(
あぢ
)
の
新
(
しん
)
ぎれと、
夜行
(
やかう
)
の
鮭
(
さけ
)
を
教
(
をし
)
へたのである。
糠鰊
(
こぬかにしん
)
がうまいものか。
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
初茸
(
はつたけ
)
の四寸、
鮭
(
さけ
)
のはらら子、
生椎茸
(
なましいたけ
)
、
茄子
(
なす
)
、胡麻味噌などを取りそろえて、老尼がお給仕に立つと、侵入者が言いました
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
その柱のようになった水は見えなくなり大きな
鮭
(
さけ
)
や
鱒
(
ます
)
がきらっきらっと白く腹を光らせて空中に
抛
(
ほう
)
り出されて円い輪を描いてまた水に落ちました。
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
新撰字鏡に鮭の字を
出
(
いだ
)
しゝは
鮏
(
せい
)
と
鮭
(
けい
)
と字の
相
(
あひ
)
似
(
に
)
たるを以て
伝写
(
でんしや
)
の
誤
(
あやま
)
りを
伝
(
つた
)
へしもしるべからず。
鮭
(
けい
)
は
河豚
(
ふぐ
)
の事なるをや。
下学集
(
かがくしふ
)
にも
鮭
(
さけ
)
干鮭
(
からさけ
)
と
並
(
なら
)
べ
出
(
いだ
)
せり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
イシカリの河畔に点在するという
鮭
(
さけ
)
場所の話は彼も聞いていた。どこでもよろしい、早ければ早いほどよろしい——と、そういう阿賀妻の心も
判
(
わか
)
っていた。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
猫の命日には、妻がきっと
一切
(
ひとき
)
れの
鮭
(
さけ
)
と、
鰹節
(
かつぶし
)
をかけた一杯の飯を墓の前に供える。今でも忘れた事がない。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「では何を……。あ、そうそう、カムチャッカでやっとります
燻製
(
くんせい
)
の
鰊
(
にしん
)
に燻製の
鮭
(
さけ
)
は、いかがさまで……」
地軸作戦:――金博士シリーズ・9――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
それをみつけて捕るのだから、字義どおり「拾う」のであって、私もしばしば、
鮭
(
さけ
)
くらいの大きさの鱸を、肩にひっかけて帰る労務者を見かけたことがあった。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そこへ僕等の興奮とは全然つり合わない顔をした、頭の白い給仕が一人、静に
鮭
(
さけ
)
の皿を運んで来た。……
カルメン
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
“鮭”の意味
《名詞》
(さけ): 魚の一種。さけを参照。サーモンともいう。
(出典:Wiktionary)
“鮭(サケ)”の解説
サケ(鮭、石桂魚、鮏、年魚、Oncorhynchus keta)は、サケ目サケ科サケ属の魚。狭義には種としてのO. keta の標準和名であるが、広義にはサケ類一般を指すことが多い。
ここでは種としての「サケ」、通称「シロザケ」について解説する。
(出典:Wikipedia)
鮭
漢検準1級
部首:⿂
17画
“鮭”を含む語句
塩鮭
乾鮭
生鮭
干鮭
紅鮭
鹽鮭
鮭時
鮭鱒
鮭捕船
初鮭
鮭鮓
鮭船
鮭肉色
鮭皮靴
塩引干鮭
鮭探
小鮭川
鮭川
銀鮭
塩引鮭
...