“膃肭臍”のいろいろな読み方と例文
読み方(ふりがな)割合
おっとせい64.3%
おつとせい28.6%
をつとせい7.1%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
女は両眼をクワッと開いて、彼の方に、動物園の膃肭臍おっとせいのように身悶えした。眉を青々と剃りおとした女の眼は、提灯のように大きかった。
棺桶の花嫁 (新字新仮名) / 海野十三(著)
まだ海豹島かいひょうとうへ行って膃肭臍おっとせいは打っていないようであるが、北海道のどこかでさけってもうけた事はたしかであるらしい。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
湿深しつぶかそうなあぶらぎったちょんぼり目を膃肭臍おっとせい、毛並の色で赤熊とも人呼んで、いわゆるお孝の兄さんである。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
しかも、全く千鶴子の云ったように一度見たら忘れられない下向きの、温良極りない大きな膃肭臍おっとせい髭がついている。
築地河岸 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
さながら水に濡れた海豹あざらし膃肭臍おっとせいのようにヌラヌラした感があり、それが狒々バブーンのような顔をしてヨタヨタと老人臭いガニ股の歩みをしているに至っては
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)
貴重海獸の漁獲のみに力めて、保護に力めなかつた結果は、我が邦沿海に、臘虎らつこ膃肭臍おつとせいの乏少を來したでは無いか。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
円々まるまると肥えた顔に細い目がいてゐるので、いつも膃肭臍おつとせいのやうだとばかし思つてゐたが、今見ると何とかいつた芝へんの女医者によくてゐる。
膃肭臍おつとせい、海なるぬし。
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
懸賞小説を書いたり政治家の尻馬に乗るより余程よつぽど気楽に儲けることが出来る。斯ういふ商売だ。牛込や神田には向かんが本所、下谷、小石川の場末、千住せんじゆ、板橋あたりで滅法売れる、ひゞあかぎれ霜傷しもやけの妙薬鶴の脂、膃肭臍おつとせいの脂、此奴こいつが馬鹿に儲かるんだ。
貧書生 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
「ほんに、なア」と、氷峰もぐツたりした聲で、「田村君が女に離れては——雪の屋先生も同じぢやが——水を出た膃肭臍をつとせいの樣なものぢや。勢ひがなくなる。」
泡鳴五部作:05 憑き物 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)