膃肭臍おつとせい)” の例文
円々まるまると肥えた顔に細い目がいてゐるので、いつも膃肭臍おつとせいのやうだとばかし思つてゐたが、今見ると何とかいつた芝へんの女医者によくてゐる。
斯ういふ商売だ。牛込や神田には向かんが本所、下谷、小石川の場末、千住せんじゆ、板橋あたりで滅法売れる、ひゞあかぎれ霜傷しもやけの妙薬鶴の脂、膃肭臍おつとせいの脂、此奴こいつが馬鹿に儲かるんだ。
貧書生 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
水産業は何樣どうである。貴重海獸の漁獲のみに力めて、保護に力めなかつた結果は、我が邦沿海に、臘虎らつこ膃肭臍おつとせいの乏少を來したでは無いか。即ち惜福の工夫無きために福を竭して終つたのである。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
膃肭臍おつとせい、海なるぬし。
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)