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願
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がん
ふりがな文庫
“
願
(
がん
)” の例文
と和尚さんが有難く説きつけるから、新吉は是から
願
(
がん
)
に掛けて、法蔵寺へ行っては無縁の墓を掃除して水を上げ香花を手向けまする。
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
これを見ても彼のお
父
(
とっ
)
つあんが彼を十分に可愛がっていることはわかるのだが、彼が死なないようにというので、神や仏に
願
(
がん
)
をかけて
故郷
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
あの女がまだ娘の時分に、この
清水
(
きよみず
)
の観音様へ、
願
(
がん
)
をかけた事がございました。どうぞ一生安楽に暮せますようにと申しましてな。
運
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「
夫婦
(
ふたり
)
して
長谷
(
はせ
)
へお礼詣りに行って
参籠
(
さんろう
)
したせつ、いただいて来た命名とやら。何ぞ長谷へ
願
(
がん
)
を結んでいたことがあったのかもしれませぬ」
私本太平記:11 筑紫帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それらの
願
(
がん
)
掛けのためか、あるいは他に子細があるのか知らないが、お照は正月の七草ごろから弁天さまへ日参をはじめた。
鴛鴦鏡
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
▼ もっと見る
康頼 神を
疑
(
うたが
)
ってはいけません。
熊野権現
(
くまのごんげん
)
は
霊験
(
れいげん
)
あらたかな神でございます。これまでかけた
願
(
がん
)
の一つとして
成就
(
じょうじゅ
)
しなかったのはありません。
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
夫
(
そ
)
れを昼の
中
(
うち
)
に見て置て、夜になるとその封書や髻のあるのを
引
(
ひっ
)
さらえて塾に
持
(
もっ
)
て帰て開封して見ると、
種々
(
しゅじゅ
)
様々の
願
(
がん
)
が掛けてあるから面白い。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
彼女
(
かのじょ
)
は、その
日
(
ひ
)
から
毎日
(
まいにち
)
、
神
(
かみ
)
に
願
(
がん
)
をかけて、「どうか
死
(
し
)
んだ
子供
(
こども
)
が、もう一
度
(
ど
)
帰
(
かえ
)
ってきますように。」と、
宮
(
みや
)
や、
寺
(
てら
)
へいって
祈
(
いの
)
ったのであります。
星の子
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
人間なみになりたいと遠くからでも聖者に
願
(
がん
)
かけをしたらよさそうなものを、そうはしないで、自分がかたわ者に生まれついたのをいいことにして
かたわ者
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
母の考えでは、夫が
侍
(
さむらい
)
であるから、弓矢の神の
八幡
(
はちまん
)
へ、こうやって是非ない
願
(
がん
)
をかけたら、よもや
聴
(
き
)
かれぬ道理はなかろうと
一図
(
いちず
)
に思いつめている。
夢十夜
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
この秋に源氏は
住吉詣
(
すみよしもう
)
でをした。
須磨
(
すま
)
、
明石
(
あかし
)
で立てた
願
(
がん
)
を神へ果たすためであって、非常な大がかりな旅になった。廷臣たちが我も我もと随行を望んだ。
源氏物語:14 澪標
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
何
(
な
)
んでもその社には錆びた二つ三つの
鋏
(
はさみ
)
を置き、その
願
(
がん
)
ほどきに切ったらしい、女の黒髪の束にしたのを
数多
(
たくさん
)
かねの
緒
(
お
)
に結びつけてあったのを憶えている。
宇賀長者物語
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
千人斬ろうと思い立ったのだそうである。抽斎はこの事を聞くに及んで、歎息して
已
(
や
)
まなかった。そして自分は医薬を以て千人を救おうという
願
(
がん
)
を
発
(
おこ
)
した。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
予をして
謬
(
あやま
)
たざらしめば、首尾好く
願
(
がん
)
の満ちたるより、二十日以来
張詰
(
はりつ
)
めし気の一時に
弛
(
ゆる
)
みたるにやあらん。
黒壁
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
若い女の人で三輪大明神を拝みに来る人は、たいてい帰りに、楼門の右の
脇
(
わき
)
の「
門杉
(
かどすぎ
)
」に
願
(
がん
)
をかけて行く。
大菩薩峠:04 三輪の神杉の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
おっ母さんが子授けの
願
(
がん
)
を掛けたとき私を生ませるくらいなら、生まれてから後も少しは責任があるはずだ、私がこんな躯になったのに知らん顔をするばかりか
艶妖記:忍術千一夜 第一話
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
茗荷
(
みょうが
)
をとりて信心にいのり、一生茗荷を食すまじき
願
(
がん
)
をたつれば、奇妙にしるしあること神のごとし。
妖怪学
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
「新刀試し
胆
(
きも
)
だめしならば一、二度ですむはず……きょうで七、八日もこの辻斬りがつづくというのは、何百人斬りの
願
(
がん
)
でも立てたものであろうと思われるが——」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
そのために、世界じゅうの海という海を渡って、神様を
願
(
がん
)
をかけるやら、お寺に
巡礼
(
じゅんれい
)
をするやらで、いろいろに
信心
(
しんじん
)
をささげてみましたが、みんな、それはむだでした。
眠る森のお姫さま
(新字新仮名)
/
シャルル・ペロー
(著)
その癖生駒に
願
(
がん
)
掛けて酒を断ち、なお朋輩に二十銭、三十銭の小銭を貸すと、必ず利子を取った。
わが町
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
従って彼らは、痛みを覚えた幼児が泣き叫んで母を求めるように、病めば必ず熱心に
願
(
がん
)
をかける。
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
願
(
がん
)
にかけておせんの
茶屋
(
ちゃや
)
へ
通
(
かよ
)
う
客
(
きゃく
)
は
山程
(
やまほど
)
あっても、
爪
(
つめ
)
を
切
(
き
)
るおせんのかたちを、一
度
(
ど
)
だって
見
(
み
)
た
男
(
おとこ
)
は、おそらく
一人
(
ひとり
)
もなかろうじゃねえか。——そこから
生
(
うま
)
れたこの
爪
(
つめ
)
だ
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
神や仏に
願
(
がん
)
をかけたり、新聞に広告までして
誓
(
ちかい
)
を立てても悪い癖が止められないのは取りも直さず、自分の頭が、自分の自由にならない事を実地に証明しているのではないか。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
石磴
(
せきとう
)
を登らむとする時その麓なる井のほとりに老婆の石像あるを見、これは何かと
僕
(
しもべ
)
に問へば
咳嗽
(
せき
)
のばばさまとて、せきを病むもの
願
(
がん
)
を掛け病
癒
(
いゆ
)
れば甘酒を供ふるなりといへり。
礫川徜徉記
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
「なんじゃ、光三さんか。びっくりしたよ。折角の
願
(
がん
)
かけが、中途半端になるやないか」
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
貞婦
良人
(
おっと
)
の病を苦慮し東天いまだ白まざる前に社壇に
願
(
がん
)
を込むる処これ神の教会ならずや、余世の誤解する所となり攻撃四方に起る時友人あり独り
立
(
たっ
)
て余を弁ずる時これ神の教会ならずや
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
知礼は問書を得て一閲して嘆賞し、東方に
是
(
かく
)
の如き
深解
(
じんげ
)
の人あるか、と感じた。そこで答釈を作ることになった。これより先に永観元年、東大寺の僧
奝然
(
ちょうねん
)
、
入宋
(
にっそう
)
渡天の
願
(
がん
)
を立てて
彼地
(
かのち
)
へ到った。
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
母親が子供の病気平癒の
願
(
がん
)
がけをするのだという。
処女の木とアブ・サルガ
(新字新仮名)
/
野上豊一郎
(著)
よろずの仏の
願
(
がん
)
よりも
千手
(
せんじゅ
)
の
誓
(
ちかい
)
ぞ頼もしき。
現代語訳 平家物語:02 第二巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
わが「
願
(
がん
)
」の
通夜
(
つや
)
を思へば。
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
画工一代の悲願と、腕みがきのため、
御山
(
みやま
)
の
金天聖廟
(
きんてんせいびょう
)
の壁画を描くべく娘の
玉嬌枝
(
ぎょっきょうし
)
を連れて、数日間、
願
(
がん
)
がけの
参籠
(
さんろう
)
をしていたものだった。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
なんの
願
(
がん
)
があるか知らないが、早朝に熊野さまへ参詣に出てゆくと、御熊野横町、即ち
彼
(
か
)
の羅生門横町で人間の片腕を見付けたと云うのである。
半七捕物帳:54 唐人飴
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
弁天へ行って
然
(
そ
)
う云って来い、願掛けは致したが、親の勧めだからお
願
(
がん
)
を破ると云って来い、それで
罰
(
ばち
)
を当てれば至極分らぬ弁天と申すものだ
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「いつぞやは、ありがとうございました。その
後
(
ご
)
、おいなりさまに
願
(
がん
)
をかけますと、うみが
出
(
で
)
まして、いまではこうして
働
(
はたら
)
けるようになりました。」
きつねをおがんだ人たち
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
に自分の
願
(
がん
)
に掛けて居たその願が、天の恵み、祖先の余徳に
由
(
よっ
)
て首尾
能
(
よ
)
く叶うたことなれば、私の
為
(
た
)
めには第二の大願成就と
云
(
い
)
わねばならぬ。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
それをきっかけに
願
(
がん
)
でもほどけたように今までからく持ちこたえていた自制は根こそぎくずされてしまった。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
「これというのも、わたしが湯島の天神様へ
願
(
がん
)
がけをして上げたのと、それから道庵先生のおかげだよ」
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
また自分自身も前生の罪の深いものであろうと不安がりもした。以前から自身の
願
(
がん
)
果たしのために書かせてあった千部の
法華
(
ほけ
)
経の供養を夫人はこの際することとした。
源氏物語:41 御法
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
そうして今度はお栄にもわかるように、この
黒檀
(
こくたん
)
の麻利耶観音へ、こんな
願
(
がん
)
をかけ始めました。
黒衣聖母
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
昨夜
(
ゆうべ
)
の
八時
(
いつつ
)
すぎから一睡もせずにお
願
(
がん
)
をこめたから、其の方たちにはもうおかまいがない
海神に祈る
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「あたしもいちどおめにかかりたいって、
願
(
がん
)
がかなったわけだね、ちいちゃん」
風流太平記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
三日前
(
みっかまえ
)
の
夜
(
よる
)
の四つ
頃
(
ごろ
)
、
浜町
(
はまちょう
)
からの
使
(
つか
)
いといって、十六七の
男
(
おとこ
)
の
子
(
こ
)
が、
駕籠
(
かご
)
に
乗
(
の
)
った
女
(
おんな
)
を
送
(
おく
)
って
来
(
き
)
たその
晩
(
ばん
)
以来
(
いらい
)
、お
岸
(
きし
)
はおせんの
口
(
くち
)
から、
観音様
(
かんのんさま
)
への
願
(
がん
)
かけゆえ、
向
(
むこ
)
う三十
日
(
にち
)
の
間
(
あいだ
)
何事
(
なにごと
)
があっても
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
願
(
がん
)
の泉はとめたるか。
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
「その若いおかみさんというのはどこの人で、どんな
願
(
がん
)
を掛けているのかしら」と、半七も同情するように訊いた。
半七捕物帳:10 広重と河獺
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「どうも長いご無沙汰をしちまいましたが、
願
(
がん
)
がかなって、やっとこんど
東京
(
とうけい
)
へ出て参りましたので、今日はこれをお届けにあがりましたようなわけで」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかしこういう事があるたびごとに倉地の心の動きかたをもきっと推察した。そしてはいつでも
願
(
がん
)
をかけるようにそんな事は夢にも思い出すまいと心に誓った。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
それから驚いて
毘沙門
(
びしゃもん
)
様に
願
(
がん
)
がけをしたり、
占者
(
うらないしゃ
)
に見て貰うと、これは
内々
(
うち/\
)
の者が取ったに違いないと申しましたから、
皆
(
みんな
)
の文庫や
葛籠
(
つゞら
)
を検めようと思って居ります
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
康頼は何でも
願
(
がん
)
さえかければ、
天神地神
(
てんじんちじん
)
諸仏菩薩
(
しょぶつぼさつ
)
、ことごとくあの男の云うなり次第に、
利益
(
りやく
)
を垂れると思うている。つまり康頼の考えでは、神仏も商人と同じなのじゃ。
俊寛
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
昔
(
むかし
)
から、その
島
(
しま
)
へいってみたいばかりに、
神
(
かみ
)
に
願
(
がん
)
をかけて
貝
(
かい
)
となったり、三
年
(
ねん
)
の
間
(
あいだ
)
海
(
うみ
)
の
中
(
なか
)
で
修業
(
しゅぎょう
)
をして、さらに
白鳥
(
はくちょう
)
となったり、それまでにして、この
島
(
しま
)
に
憧
(
あこが
)
れて
飛
(
と
)
んでゆくのであった。
明るき世界へ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
源氏は
浪速
(
なにわ
)
に船を着けて、そこで
祓
(
はら
)
いをした。
住吉
(
すみよし
)
の神へも無事に
帰洛
(
きらく
)
の日の来た報告をして、幾つかの
願
(
がん
)
を実行しようと思う意志のあることも使いに言わせた。自身は
参詣
(
さんけい
)
しなかった。
源氏物語:13 明石
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
願
常用漢字
小4
部首:⾴
19画
“願”を含む語句
御願
願望
願掛
祈願
願書
願人
心願
立願
誓願
大願成就
大願
哀願
発願
嘆願
願人坊主
請願
念願
追願
願度
懇願
...