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鉦
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かね
ふりがな文庫
“
鉦
(
かね
)” の例文
「下座は一人休んで、半助とお百といふ夫婦が忙がしく働いてゐる。綱渡りが始まると、女房の三味線に亭主の
鉦
(
かね
)
で傍見もできない」
銭形平次捕物控:118 吹矢の紅
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
こうなんでございます、まるでお経ではございませんか、合の手にはチーンとか、カーンとかお
鉦
(
かね
)
を入れたくなるではございませんか
大菩薩峠:06 間の山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
庵主
(
あんじゅ
)
さんは、よそゆきの
茶色
(
ちゃいろ
)
のけさを
着
(
き
)
て、
鐘
(
かね
)
のまえに
立
(
た
)
つと、
手
(
て
)
にもっている
小
(
ちい
)
さい
鉦
(
かね
)
をちーんとたたいて、お
経
(
きょう
)
を
読
(
よ
)
みはじめた。
ごんごろ鐘
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
一の宮に特殊な神事という
鶏毛打
(
とりげうち
)
の古楽にはどのくらいの氏子が出て、どんな
衣裳
(
いしょう
)
をつけて、どんな
鉦
(
かね
)
と太鼓を打ち鳴らすかの
類
(
たぐい
)
だ。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
心経寺の宿へかかった頃、行手から
鉦
(
かね
)
の音が聞こえて来た。つづいてご
詠歌
(
えいか
)
の声がした。と一群の行列が、辻を廻わって現われた。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
▼ もっと見る
毎朝、夜の明けないうちからする
勤行
(
ごんぎょう
)
の
鉦
(
かね
)
が、
回向院
(
えこういん
)
裏まで聞えて来る頃、いつもそれを時刻に、雨戸を開ける豆腐屋の夫婦であった。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
中に一軒お寺があつて切りに
鉦
(
かね
)
が鳴つてゐた。風のせゐか、此処の漁師も沖を休んで居るらしく、其処此処に集つて遊んでゐた。
岬の端
(新字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
そして空也上人の門流はその
鉦
(
かね
)
に代うるに瓢箪を以ってしていたに過ぎないのである。されば通じては「
叩
(
たた
)
き」と呼ばれたものであろう。
間人考
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
夫
(
それ
)
では
引導
(
いんだう
)
を
渡
(
わた
)
して
上
(
あ
)
げよう。グワン/\と
鉦
(
かね
)
を
打鳴
(
うちなら
)
し、和「
南無喝囉怛那
(
なむからたんの
)
、
哆羅夜耶
(
とらやや
)
、
南無阿唎耶
(
なむおりや
)
、
婆慮羯諦爍鉢羅耶
(
ばりよぎやていしふふらや
)
、
菩提薩※婆耶
(
ふちさとばや
)
。 ...
黄金餅
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
三人は並んで山門を出ると人も無い郊外の田圃道を後になり先になり列を作って
鉦
(
かね
)
をたたいた。半泣きの曇り声を張上げて念仏を初めた。
名娼満月
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
その中に夫婦づれの
飴
(
あめ
)
売りがいて、女が
鉦
(
かね
)
と太鼓を叩き、男がみだらな唄をうたい、往来のはげしい通りを稲妻形に、踊りあるいていた。
さぶ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「それはもう
御隠居様
(
ごいんきょさま
)
。
滅法
(
めっぽう
)
名代
(
なだい
)
の
土平
(
どへい
)
でござんす。これ
程
(
ほど
)
のいい
声
(
こえ
)
は、
鉦
(
かね
)
と
太鼓
(
たいこ
)
で
探
(
さが
)
しても、
滅多
(
めった
)
にあるものではござんせぬ」
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
その大神楽は、朝早くから温泉町を流しているのだが、坂の左右に並んだ温泉町は小さいから、三味線、
鉦
(
かね
)
などの音が町の入口から聞えた。
白い蚊帳
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
人々は旗見たいなものを造つたり、古いほら貝を持出したり、寺の
鉦
(
かね
)
を借りて来たりして、そして山から山をさがして歩いた。
田舎からの手紙
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
本堂の方では経を読む声、
鉦
(
かね
)
を打つ音もしている。道子は今年もいつか盆の十三日になったのだと初めて気がついた時である。
吾妻橋
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
正太の手はすぐ
鉦
(
かね
)
の
在所
(
ありか
)
を見つけた。骸骨のあらわれないうちに鉦をさっさと鳴らして、ここを出ていってしまおうと思った。
骸骨館
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
平手
(
ひらて
)
で板を叩くような
皷
(
つづみ
)
の音をさせて、鳥打帽子を
被
(
かぶ
)
った
万歳
(
まんざい
)
が
幾人
(
いくにん
)
も来ます。
鉦
(
かね
)
や
太皷
(
たいこ
)
を鳴らすばかりで何にも芸のない獅子舞も来ます。
二階から
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
例えば越中から越後の平野にかけて、お寺の本堂の大きな
鐃鉢
(
にょうばち
)
をガンモモ、家々の仏壇の小さな
鉦
(
かね
)
を、チンモモというのは普通の語である。
野草雑記・野鳥雑記:01 野草雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
まずその死骸の布片を取って巌の上に置く。で坊さんがこちらで太鼓を
敲
(
たた
)
き
鉦
(
かね
)
を鳴らして御経を読みかけると一人の男が大いなる刀を持って
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
法願
(
ほうぐわん
)
は
凍
(
こほ
)
り
相
(
さう
)
な
手
(
て
)
に
鉦
(
かね
)
を
提
(
さ
)
げてちらほらと
大
(
おほき
)
な
塊
(
かたまり
)
のやうな
姿
(
すがた
)
が
動
(
うご
)
いて
來
(
く
)
るまでは
力
(
ちから
)
の
限
(
かぎ
)
り
辻
(
つじ
)
に
立
(
た
)
つてかん/\と
叩
(
たゝ
)
くのである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
すると、その時仏間の方でちイんと言う
鉦
(
かね
)
の音がしました。私はぞっとして思わず良人にしがみつきましたが、良人はもう眠っておりました。
母の変死
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
全軍一斉に銃射を開始し、
喊声
(
かんせい
)
を
響
(
とどろ
)
かし、
旗幟
(
きし
)
を振って進撃の気勢を示した。水軍も亦船列を整えて
鉦
(
かね
)
、太鼓を鳴らして陸上に迫らんとした。
小田原陣
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
土手の道哲の
地内
(
じない
)
に、腰衣で土に坐り、カンカンと片手で
鉦
(
かね
)
を、
敲
(
たた
)
き、たたき、なんまいだなんまいだなんまいだ、片手は
上下
(
うえした
)
に振っている。
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
折角、人が心で何か純真に求めかけると、俗物共は寄って
蝟
(
たか
)
って祭の踊子のように、
傍
(
はた
)
から
鉦
(
かね
)
や太鼓で
囃
(
はや
)
し立てる、
団扇
(
うちわ
)
で
煽
(
あお
)
いで褒めそやす。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
又あるときは
頭
(
かしら
)
よりただ一枚と思わるる真白の
上衣
(
うわぎ
)
被
(
かぶ
)
りて、眼口も手足も
確
(
しか
)
と分ちかねたるが、けたたましげに
鉦
(
かね
)
打ち鳴らして過ぎるも見ゆる。
薤露行
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
身をのごはずきるものをあらため雪ふらずとも
簑笠
(
みのかさ
)
也、あるひはいかなる
雪荒
(
ゆきあれ
)
にもいとふ事なく
鉦
(
かね
)
うちならしつゝゆく。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
夜が
更
(
ふ
)
けるにつれ、
夜伽
(
よとぎ
)
の人々も、
寝気
(
ねむけ
)
を
催
(
もよお
)
したものか、
鉦
(
かね
)
の音も
漸々
(
ようよう
)
に、遠く消えて行くように、
折々
(
おりおり
)
一人二人の叩くのが
聞
(
きこ
)
えるばかりになった。
子供の霊
(新字新仮名)
/
岡崎雪声
(著)
酒が三、四まわると
笙歌
(
しょうか
)
が下から聞えて来たが、
鉦
(
かね
)
や
鼓
(
つづみ
)
は鳴らさなかった。その笙歌の声も小さくかすかであった。やや暫くして王は左右を顧みて
蓮花公主
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
それを都会の半可通がめくら判をおして、土佐のかつおのたたきとしきりに
鉦
(
かね
)
や太鼓を叩きたがるから始末に困る。
鮎の名所
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
くろんぼが
笛
(
ふえ
)
や、らっぱを
吹
(
ふ
)
き、
鉦
(
かね
)
などをたたくと、
白
(
しろ
)
いくまが、
赤
(
あか
)
と
緑
(
みどり
)
のまじった
布
(
きれ
)
を
腹
(
はら
)
に
巻
(
ま
)
いて
紅
(
あか
)
い
日
(
ひ
)
がさを
差
(
さ
)
しながらダンスをはじめたのです。
白いくま
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
だから、おばあさんは毎日々々ほとけ様の前に坐って、
鉦
(
かね
)
ばかり
叩
(
たた
)
いていました。きっとこのおばあさんにも、以前は子や孫があったのかも知れません。
でたらめ経
(新字新仮名)
/
宇野浩二
(著)
彼女が船室へ戻って見ると、別れの言葉を交しながら夫人も泣き、母も泣いていた。そして間もなく、彼女達は合図の
鉦
(
かね
)
の音に追い立てられて下船した。
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
和尚の長い読経の透ほる声と、折々鳴らす
鉦
(
かね
)
の音とが女達のすゝり泣きの間を縫ふて悲しく打ち震ふて聞えた。
若芽
(新字旧仮名)
/
島田清次郎
(著)
ともかくもこの事と、
鸚鵡石
(
おうむいし
)
で
鉦
(
かね
)
や鈴や調子の高い笛の音の反響しないという記事とは相照応する点がある。
化け物の進化
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
または
鉦
(
かね
)
たたきなどいう類で縁日でも高級品に属する方、カンタンなどは一匹二十銭以上、それがフンダンに鳴く、
笊
(
ざる
)
を草の葉に押しあて、上からたたくと
明治世相百話
(新字新仮名)
/
山本笑月
(著)
御者のののしる声、らっぱの響き、電車の
鉦
(
かね
)
の音が、耳を
聾
(
ろう
)
するばかりの
喧騒
(
けんそう
)
をなしていた。その音響、その動乱、その臭気に、クリストフはつかみ取られた。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
と、折しも本堂では、老僧の声で物も哀れに
普門品
(
ふもんぼん
)
を読誦しつつ、
勤行
(
ごんぎょう
)
の
鉦
(
かね
)
の
音
(
ね
)
が寂しくきこえて来ます。
艶容万年若衆
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
丁髷鬘
(
ちょんまげかずら
)
の
赤陣羽織
(
あかじんばおり
)
に
裁付袴
(
たっつけばかま
)
の
爺
(
おやじ
)
どもが拍子木に
鉦
(
かね
)
や太鼓でライン
酒
(
しゅ
)
とかの
広告
(
ひろめ
)
の
口上
(
こうじょう
)
をまくし立てる。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
おたがいですから。海員組合が仲仕ストのスキャップになるわけにもいかんです。三時になったら、
鉦
(
かね
)
をたたきますから、どうぞ、それを合図に、引きあげて下さい
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
念仏衆の打ちならす小、中、大の
鉦
(
かね
)
の音が静かに、
哀
(
かな
)
しげに、そして、いかにも退屈さうに響いた。
野の哄笑
(新字旧仮名)
/
相馬泰三
(著)
鈴でなし、
鉦
(
かね
)
でなし、よくほうぼうのほこらやお堂の軒先につりさがっているじゃござんせんか。
右門捕物帖:24 のろいのわら人形
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
縁側に立っていると、隣家から赤子の
回向
(
えこう
)
の
鉦
(
かね
)
の音が聞えて来た。初秋の涼しい夜だ。すると
御身
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
註 満洲では、お嫁さんにゆくとき鈴をつけた馬車に乗つて、
鉦
(
かね
)
や太鼓でおくられてゆきます。
未刊童謡
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
そして大きな百貨店で、首の動く
張子
(
はりこ
)
の
虎
(
とら
)
だとか、くちばしで
鉦
(
かね
)
をたたく
山雀
(
やまがら
)
だとか、いろんなめずらしいものを買い集めて、持っていたお給金を
大方
(
おおかた
)
つかいはたしました。
海からきた卵
(新字新仮名)
/
塚原健二郎
(著)
村の衛生係が草鞋ばきの巡査さんと
溷
(
どぶ
)
、
掃溜
(
はきだめ
)
を見てあるく。其巡査さんの細君が赤痢になったと云う評判が立つ。
鉦
(
かね
)
や太鼓で
念仏
(
ねんぶつ
)
唱
(
とな
)
えてねりあるき、
厄病禳
(
やくびょうばら
)
いする村もある。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
町の中ほどには
紅勘
(
べにかん
)
(小間物屋)があってこれも有名でした。紅勘で思い出すが、その頃、
鉦
(
かね
)
と
三味線
(
さみせん
)
で
長唄
(
ながうた
)
を歌って流して歩いた紅勘というものがあって評判でありました。
幕末維新懐古談:12 名高かった店などの印象
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
こゝへ來た當座、肴町の寺で
鉦
(
かね
)
を叩くと、心細くて溜まらないと云つたのと同じ事だ。
半日
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
「ちっ、ふざけっこなしに願いますぜ。ねえ、あんたは悪気はなかろうが、こちとらあ頼まれて
鉦
(
かね
)
や太鼓で捜してるんだ。こうっ、返してやんなよ。え? いい功徳になるぜおい」
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
漱石氏が『坊ちゃん』に用いた「
鉦
(
かね
)
や太鼓でねえ、迷子の迷子の三太郎と、どんどこどんのちゃんちきりん……」という
唄
(
うた
)
なども、やはりこの迷子さがしを
踏
(
ふま
)
えているようだから
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
伊庭は
籐椅子
(
とういす
)
に腰をおろした。昔の小学校の作法室といつた感じである。教主は、机上の
鉦
(
かね
)
を鳴らして、口のなかで何かぶつぶつつぶやいてゐたが、
暫
(
しばら
)
くして、机上の紙をひろげた。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
“鉦(
鉦鼓
)”の解説
鉦鼓(しょうこ)とは、雅楽で使われる打楽器の一つ。仏教で使用される場合は鉦(かね・しょう)とも称される。
(出典:Wikipedia)
鉦
漢検準1級
部首:⾦
13画
“鉦”を含む語句
鉦鼓
陣鉦
鉦叩
叩鉦
鉦太鼓
早鉦
鉦打
訪鉦
摺鉦
笊鉦
鉦紐
鉦打聖
鉦扣
鉦板
鉦次郎
鉦皷
鉦磬
退鉦
鉦鼓淵
陣鼓戦鉦
...