白い蚊帳しろいかや
なほ子は、従弟の部屋の手摺から、熱心に下の往来の大神楽を見物していた。その大神楽は、朝早くから温泉町を流しているのだが、坂の左右に並んだ温泉町は小さいから、三味線、鉦などの音が町の入口から聞えた。 今、彼等は坂のつき当りの土産屋の前で芸当を …