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かみだな
ふりがな文庫
“
神棚
(
かみだな
)” の例文
長造が席につくと、
神棚
(
かみだな
)
にパッと
灯明
(
とうみょう
)
がついて、皆が「お
芽出
(
めで
)
とうございます」「お父さん、お芽出とう」と、四方から声が懸った。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
母親はその金をさも
尊
(
とおと
)
そうに押しいただくまねをして、立って
神棚
(
かみだな
)
に
供
(
そな
)
えた。神棚には
躑躅
(
つつじ
)
と山吹とが小さい花瓶に生けて上げられてあった。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
丁子などというと、われわれの連想はとかく
神棚
(
かみだな
)
の
御燈明
(
おとうみょう
)
に行きがちであるが、こういう油火が一般の燈火であったことに留意しなければならぬ。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
お
初穂
(
はつほ
)
はまず家の
神棚
(
かみだな
)
に上げるほかに、必ず田の水口の簡略なる祭壇に、木の葉などを敷いて供えるのが常の例である。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
心着
(
こころづ
)
けば、正面
神棚
(
かみだな
)
の下には、我が姿、
昨夜
(
ゆうべ
)
も扮した、劇中
女主人公
(
ヒロイン
)
の王妃なる、玉の
鳳凰
(
ほうおう
)
の如きが掲げてあつた。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
「來るがいゝ。俺には漸く曲者の正體が解つたよ。——
神棚
(
かみだな
)
の繪圖面を僞物と置き變へた人間の、顏を見せてやる」
銭形平次捕物控:062 城の絵図面
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
そうして朝晩に一度ずつ
神棚
(
かみだな
)
の前に礼拝し、はるかに皇城の空を伏しおがまないと気の済まない人であった。
自由画稿
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
三人の客がわざわざ山吹村からさげて来てくれた祭典記念の
神酒
(
みき
)
と菓子の
折
(
おり
)
とがそのあとに残った。彼はそれを家の
神棚
(
かみだな
)
に供えて置いて、そばへ来る妻に言った。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
加藤の家へも
梅干飴
(
うめぼしあめ
)
を持って帰ってやると、
老人
(
じいさん
)
に
老婆
(
ばあさん
)
は
大悦
(
おおよろこ
)
びで、そこの家でも
神棚
(
かみだな
)
に総燈明をあげて、大きな長火鉢を置いた座敷が
綺麗
(
きれい
)
に取りかたづけられて
うつり香
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
神棚
(
かみだな
)
へは
藁
(
わら
)
で
太
(
ふと
)
く
綯
(
な
)
つた
蝦
(
えび
)
の
形
(
かたち
)
を
横
(
よこ
)
に
飾
(
かざ
)
つて
其處
(
そこ
)
にも
松
(
まつ
)
の
短
(
みじか
)
い
枝
(
えだ
)
をつけた。
藁
(
わら
)
の
蝦
(
えび
)
は
卯平
(
うへい
)
が
造
(
つく
)
つた。
彼
(
かれ
)
はむつゝりとしながらも
軟
(
やはら
)
かに
藁
(
わら
)
を
打
(
う
)
つて
熱心
(
ねつしん
)
に
手
(
て
)
を
動
(
うご
)
かした。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
障子に畳にお
神棚
(
かみだな
)
に漂って、小さなつむじ風であろう、往来の白い土と乾いた
馬糞
(
ばふん
)
とがおもしろいようにキリキリと舞いあがって消えるのが、格子戸ごしに眺められる。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
その祭礼は十一月で、一年に一度
神職
(
かんぬし
)
をよんで、
神棚
(
かみだな
)
に
七五三
(
しめ
)
繩を張り、
御
(
お
)
燈明をつけて、
祝詞
(
のりと
)
をあげて
貰
(
もら
)
ひます。そして親類の者や、近所の人達を呼んで
御馳走
(
ごちそう
)
を致します。
蛇いちご
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
老教授は、無知な百姓が、
神棚
(
かみだな
)
に向って物を祈願する時のような口ぶりでこうたずねた。
予審調書
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
庄屋の長左衛門も初めて事情が解ったので、早速太郎右衛門のところへ行って、
神棚
(
かみだな
)
に入れて置いた
書物
(
かきもの
)
を出させ、太郎右衛門と朝太郎を同道して、代官様の前に表われました。
三人の百姓
(新字新仮名)
/
秋田雨雀
(著)
爺さんの行ったあとで、お島はその金を
神棚
(
かみだな
)
へあげて拝みながら、小野田に
私語
(
ささや
)
いた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「疑ってるでしょ、むろん。あたしはまたわざと
疑
(
うたぐ
)
らせてやるのよ。このコンタスだってこちらから見せてやったことがあるわ。あんまりしつこく
神棚
(
かみだな
)
の奥をのぞいたりなんかするから。」
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
夫は出でて
未
(
いま
)
だ帰らざれば、今日
若
(
も
)
し
罵
(
ののし
)
り
噪
(
さわ
)
ぎて、内に
躍入
(
をどりい
)
ることもやあらば
如何
(
いかに
)
せんと、前後の
別
(
わかれ
)
知らぬばかりに
動顛
(
どうてん
)
して、取次には婢を
出
(
いだ
)
し
遣
(
や
)
り、
躬
(
みづから
)
は
神棚
(
かみだな
)
の前に
駈着
(
かけつ
)
け、
顫声
(
ふるひごゑ
)
を
打揚
(
うちあ
)
げ
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
正面には家に較べて立派な
神棚
(
かみだな
)
があツて、傍の方に小さな
佛壇
(
ぶつだん
)
もあツた。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
抱
(
かゝ
)
へ
主
(
ぬし
)
は
神棚
(
かみだな
)
へさゝげて
置
(
お
)
いても
宜
(
い
)
いとて
軒並
(
のきなら
)
びの
羨
(
うら
)
やみ
種
(
ぐさ
)
になりぬ。
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
ここに百両あります、これをもとでに千両かせいでごらんなさい、と差し出せば、またひとりの顔役は、もっともらしい顔をして桝を
神棚
(
かみだな
)
にあげ、ぱんぱんと
拍手
(
かしわで
)
を打ち、えびす大黒にお願い申す
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
取し男にて其頃の噂にも
朝
(
あさ
)
起出
(
おきいで
)
て
神棚
(
かみだな
)
に向ひ先我が
身
(
み
)
安泰
(
あんたい
)
家内
(
かない
)
安全
(
あんぜん
)
町内
大變
(
たいへん
)
と
祈
(
いの
)
りしと云ふ程の心底故か御番所の
腰掛
(
こしかけ
)
にて
喰
(
くふ
)
辨當
(
べんたう
)
は何が
無
(
なく
)
ても
別段
(
べつだん
)
甘
(
うま
)
しと言しとかや何故に町内
大變々々
(
たいへん/\
)
と言かと思ふに支配内に變が
無
(
なけ
)
れば家主は
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
早苗饗や
神棚
(
かみだな
)
遠く
灯
(
ひ
)
ともりぬ
六百五十句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
その間に父親は燈明を
神棚
(
かみだな
)
と台所と便所とにつけて、火鉢には火をかっかっと起こしておいた。やがて年越しの
膳
(
ぜん
)
はできる。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
縁側
(
えんがわ
)
に小さき
泥
(
どろ
)
の
足跡
(
あしあと
)
あまたありて、だんだんに座敷に入り、オクナイサマの
神棚
(
かみだな
)
のところに
止
(
とどま
)
りてありしかば、さてはと思いてその
扉
(
とびら
)
を開き見れば
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
一度
(
いちど
)
内
(
うち
)
へ
入
(
はひ
)
つて、
神棚
(
かみだな
)
と、せめて、
一間
(
ひとま
)
だけもと、
玄關
(
げんくわん
)
の
三疊
(
さんでふ
)
の
土
(
つち
)
を
拂
(
はら
)
つた
家内
(
かない
)
が、
又
(
また
)
此
(
こ
)
の
野天
(
のでん
)
へ
逃戻
(
にげもど
)
つた。
私
(
わたし
)
たちばかりでない。——
皆
(
みな
)
もう
半
(
なか
)
ば
自棄
(
やけ
)
に
成
(
な
)
つた。
露宿
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
京大坂の方面から街道を下って来る旅人の話も
戸
(
こ
)
ごとに
神棚
(
かみだな
)
をこしらえ、拾ったお札を祭り
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
〆飾
(
しめかざ
)
りや根松を買って来たり、
神棚
(
かみだな
)
に供えるコマコマした器などを買って来てくれた。帳場の側に八寸ばかりの紅白の
鏡餅
(
かがみもち
)
を据えて、それに
鎌倉蝦魚
(
かまくらえび
)
や、御幣を飾ってくれたのもお国である。
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「さうだつけな、ほんに」
亭主
(
ていしゆ
)
はいきなり一
本
(
ぽん
)
の
徳利
(
とくり
)
を
手
(
て
)
にして
土間
(
どま
)
へおりた。
竈
(
かまど
)
の
上
(
うへ
)
の
煤
(
すゝ
)
けた
小
(
ちひ
)
さな
神棚
(
かみだな
)
へは
田
(
た
)
から
提
(
さ
)
げて
來
(
き
)
た一
把
(
は
)
の
苗
(
なへ
)
が
載
(
の
)
せてあつた。
彼
(
かれ
)
は
其
(
その
)
苗束
(
なへたば
)
へ
徳利
(
とくり
)
から
少
(
すこ
)
し
酒
(
さけ
)
を
注
(
つ
)
いだ。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
正月の三日をベロベロの
歳取
(
としと
)
りと称して、小枝でそういう鉤をこしらえて
三方折敷
(
さんぼうおしき
)
に載せて
神棚
(
かみだな
)
に上げておく家もあり、またはもう、そういうものは作らずに
こども風土記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
其
(
そ
)
の
喜
(
よろこ
)
びを
告
(
まを
)
さむため、
神棚
(
かみだな
)
に
燈火
(
みあかし
)
を
點
(
てん
)
じようとして
立
(
た
)
つた
父
(
ちゝ
)
が、
其
(
そ
)
のまゝ
色
(
いろ
)
をかへて
立窘
(
たちすく
)
んだ。
霰ふる
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
此
(
これ
)
が、もつと
奧
(
おく
)
へ
詰
(
つ
)
めて
張
(
は
)
つてあれば、
絹一重
(
きぬひとへ
)
の
裡
(
うち
)
は、すぐに、
御廚子
(
みづし
)
、
神棚
(
かみだな
)
と
云
(
い
)
ふのでせうから、
誓
(
ちか
)
つて、
私
(
わたし
)
は、
覗
(
のぞ
)
くのではなかつたのです。が、
堂
(
だう
)
の
内
(
うち
)
の、
寧
(
むし
)
ろ
格子
(
かうし
)
へ
寄
(
よ
)
つた
方
(
はう
)
に
掛
(
かゝ
)
つて
居
(
ゐ
)
ました。
人魚の祠
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
“神棚”の解説
神棚(かみだな)は、主に神道において、家や事務所などにおいて(一般的には神札を納めて)神を祀るために設ける棚。
(出典:Wikipedia)
神
常用漢字
小3
部首:⽰
9画
棚
常用漢字
中学
部首:⽊
12画
“神”で始まる語句
神
神々
神輿
神楽
神田
神酒
神戸
神楽坂
神仏
神主