トップ
>
濡
>
ぬれ
ふりがな文庫
“
濡
(
ぬれ
)” の例文
年齢
(
としのころ
)
三十あまりと見ゆる女白く青ざめたる㒵に
黒髪
(
くろかみ
)
をみだしかけ、今水よりいでたりとおもふばかり
濡
(
ぬれ
)
たる袖をかきあはせて
立
(
たて
)
り。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
甚「ヘエ傘の無いのでびしょ
濡
(
ぬれ
)
になりました、
何
(
ど
)
うも悪い
日和
(
ひより
)
で、日和癖で時々だしぬけに降出して困ります…エヽお
母様
(
っかさん
)
御機嫌よう」
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
ずぶ
濡
(
ぬれ
)
の、
一所
(
いつしよ
)
に
包
(
つゝ
)
んだ
草
(
くさ
)
の
葉
(
は
)
に、
弱々
(
よわ/\
)
と
成
(
な
)
つて、
其
(
そ
)
のまゝ
縋着
(
すがりつ
)
いたのもあつたから、
手巾
(
ハンケチ
)
は
其
(
それ
)
なりに
土手
(
どて
)
に
棄
(
す
)
てて
身
(
み
)
を
起
(
おこ
)
した。
月夜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
力草
(
ちからぐさ
)
漸々
(
やう/\
)
と山へ
這上
(
はひあが
)
りて見ば此は
何
(
いか
)
に山上は
大雪
(
おほゆき
)
にて一面の
銀世界
(
ぎんせかい
)
なり
方角
(
はうがく
)
はます/\見分がたく
衣類
(
いるゐ
)
には
氷柱
(
つらゝ
)
下
(
さが
)
り
汐
(
しほ
)
に
濡
(
ぬれ
)
し上を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
お
吉
(
きち
)
様と呼ばせらるゝ秘蔵の嬢様にやさしげな
濡
(
ぬれ
)
を仕掛け、
鉋屑
(
かんなくず
)
に墨さし
思
(
おもい
)
を
云
(
い
)
わせでもしたるか、とう/\そゝのかしてとんでもなき穴掘り仕事
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
▼ もっと見る
漸
(
やうや
)
く
雪解
(
ゆきどけ
)
がすんだばかりなので、ところどころでちよろ/\
小流
(
こながれ
)
が出来てゐた。掘返へしても掘返へしても、かなり下の方まで土がぢく/\
濡
(
ぬれ
)
れてゐた。
新らしき祖先
(新字旧仮名)
/
相馬泰三
(著)
暗い砂山の下のその小屋についた時は、一郎さえ
呼吸
(
いき
)
がはずんで口がきけなかった
位
(
くらい
)
だから、翠子は頭から裾までずぶ
濡
(
ぬれ
)
で、苦しい息づかいをしながら
九月一日
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
中の巻の発端に「かゝる親には似ぬ娘、お夏は深き
濡
(
ぬれ
)
ゆゑに、菩提
心
(
ごゝろ
)
と意地ばりて、嫁入も
背
(
せい
)
ものび/\の」………と
書出
(
かきいだ
)
して、お夏に既に恋ある事を示せり
「歌念仏」を読みて
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
何處
(
どこ
)
の
梢
(
こずゑ
)
も
白
(
しろ
)
い
物
(
もの
)
を
止
(
とゞ
)
めないで
疲
(
つか
)
れたやうに
濡
(
ぬれ
)
て
居
(
ゐ
)
た。
雪
(
ゆき
)
は
悉
(
こと/″\
)
く
土
(
つち
)
に
落
(
おち
)
ついて
畢
(
しま
)
つた。
其
(
その
)
落
(
おち
)
ついた
雪
(
ゆき
)
を
突
(
つ
)
き
扛
(
あ
)
げて
何處
(
どこ
)
の
屋根
(
やね
)
でも
白
(
しろ
)
い
大
(
おほ
)
きな
塊
(
かたまり
)
のやうに
見
(
み
)
えた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
水に
濡
(
ぬれ
)
たとは云え、ゴム底は収縮しませんから、ちゃんと元の形が分ります。僕は試みにその
文数
(
もんすう
)
を計って見ましたが、十文の足袋と同じ大きさでした。ところがね
何者
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
馬丁の吹き鳴らす
喇叭
(
らっぱ
)
の音が起る。薄い
蓙
(
ござ
)
を掛けた馬の
身
(
からだ
)
はビッショリと
濡
(
ぬれ
)
て、
粗
(
あら
)
く乱れた
鬣
(
たてがみ
)
からは
雫
(
しずく
)
が
滴
(
したた
)
る。ザクザクと音のする雪の路を、馬車の輪が
滑
(
すべ
)
り始める。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
伊予守忠弘は、ひた泣きに泣き
濡
(
ぬれ
)
る芳江の手を取りながら、敢然としてこういい切るのでした。
奇談クラブ〔戦後版〕:12 乞食志願
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
昨日も一日吹雪の中をあっちこっちと
駈
(
か
)
け廻って歩く
中
(
うち
)
一足
(
いっそく
)
しかない
足駄
(
あしだ
)
の歯を折ってしまった事やら、ズブ
濡
(
ぬれ
)
にした
足袋
(
たび
)
のまだ乾いていようはずもない事なぞを考え出して
雪解
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
それが暗の中に
万竿
(
ばんかん
)
の
青
(
せい
)
をつらねて、重なり合つた葉が寒さうに
濡
(
ぬれ
)
て光つてゐる。
京都日記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
それは、
濡
(
ぬれ
)
た処を走つてゐる時と、壁を這つてわらじむしや蜘蛛等の、きまりどほりの生餌をさがしてゐる時に見る事が出来たのだ。もう一つの方は、大変大きくて蒼みがかつた黄色だ。
科学の不思議
(新字旧仮名)
/
ジャン・アンリ・ファーブル
(著)
ポツリポツリと雨はようやく
濃
(
こま
)
かになる。
傘
(
かさ
)
を持って来なかった、ことによると帰るまでにはずぶ
濡
(
ぬれ
)
になるわいと舌打をしながら空を仰ぐ。雨は闇の底から
蕭々
(
しょうしょう
)
と降る、容易に晴れそうにもない。
琴のそら音
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
また
斃
(
たお
)
れた! パサッ——と、
濡
(
ぬれ
)
手拭をはたくような血の音。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
つかつかと出て、まだ
雫
(
しずく
)
の
止
(
や
)
まぬ、びしょ
濡
(
ぬれ
)
の衣を振返って、
憂慮
(
きづかわし
)
げに土間に下りて、草履を
突
(
つっ
)
かけたが、
立淀
(
たちよど
)
んで、やがて、その手拭を取って
頬被
(
ほおかぶり
)
。
葛飾砂子
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
気づかっていた姉妹が縁側に出迎えた時、二人ともずぶ
濡
(
ぬれ
)
になって着物の吸いつくようにぴったり肌にくっついたままの姿で、せいせい息を切らしていた。
九月一日
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
借
(
かり
)
て
着替
(
きかへ
)
濡
(
ぬれ
)
し
着類
(
きるゐ
)
は
竿
(
さを
)
に掛け再び
圍爐裡
(
ゐろり
)
の
端
(
はた
)
へ來りて
煖
(
あた
)
れば二日二夜の
苦
(
くる
)
しみに
心身
(
しんしん
)
共
(
とも
)
に
勞
(
つか
)
れし上今十分に
食事
(
しよくじ
)
を成して火に
煖
(
あたゝ
)
まりし事なれば
自然
(
しぜん
)
と
眠氣
(
ねふけ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
夏向座敷へ出ます
姿
(
なり
)
は
絽
(
ろ
)
でも
縮緬
(
ちりめん
)
でも
繻袢
(
じゅばん
)
なしの
素肌
(
すはだ
)
へ着まして、汗でビショ
濡
(
ぬれ
)
になりますと、直ぐに脱ぎ、一度
切
(
ぎ
)
りで
後
(
あと
)
は着ないのが見えでございましたと申しますが
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
宗吉は——
煙草
(
たばこ
)
は
喫
(
の
)
まないが——その火鉢の
傍
(
そば
)
へ
引籠
(
ひきこも
)
ろうとして、靴を返しながら、
爪尖
(
つまさき
)
を見れば、ぐしょ
濡
(
ぬれ
)
の土間に、ちらちらとまた
紅
(
くれない
)
の褄が流れる。
売色鴨南蛮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「何時か蟒女史の大嵐の時、びしよ
濡
(
ぬれ
)
にした一張羅を仕立直して貰つた人の話をした事があつたらう……」
大阪の宿
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
ピュウ/\と
筑波下
(
つくばおろ
)
しが吹き、往来はすこし止りましたが、友之助はびしょ
濡
(
ぬれ
)
の泥だらけ、
元結
(
もとゆい
)
ははじけて
散乱髪
(
さんばらがみ
)
、面部は耳の脇から血が流れ、ズル/\した
姿
(
なり
)
で橋の欄干に取付き
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
上り十間の
白扇子
(
しらあふぎ
)
に
麗
(
うら
)
らかなる春の日を
翳
(
かざ
)
し
片身替
(
かたみがは
)
りの
夕時雨
(
ゆふしぐれ
)
に
濡
(
ぬれ
)
にし昔の
相傘
(
あひがさ
)
を思ひ出せし者も有るべし土手八町もうち越して五十
間
(
けん
)
より大門口に來て見れば折しも
仲
(
なか
)
の町の
櫻
(
さくら
)
今
(
いま
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
と、ずぶ
濡
(
ぬれ
)
の
衣
(
きもの
)
を垂れる
雫
(
しずく
)
さえ、
身体
(
からだ
)
から玉がこぼれでもするほどに若え方は喜ばっしゃる。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
悪口
(
わるくち
)
をきいて居る処へ、ガラリと戸を明けて帰って来たが、ずぶ
濡
(
ぬれ
)
で
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
なれども、僧都が身は、こうした墨染の
暗夜
(
やみ
)
こそ
可
(
よ
)
けれ、なまじ緋の
法衣
(
ころも
)
など
絡
(
まと
)
おうなら、ずぶ
濡
(
ぬれ
)
の
提灯
(
ちょうちん
)
じゃ、
戸惑
(
とまどい
)
をした
鱏
(
えい
)
の
魚
(
うお
)
じゃなどと申そう。
圧
(
おし
)
も石も利く事ではない。
海神別荘
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
客「まだ事は切れない、もう少し
此方
(
こちら
)
へ入れてくんな、
濡
(
ぬれ
)
てゝも
宜
(
よ
)
い、大方
然
(
そ
)
うだろうと思ったが全く
死後
(
しにおく
)
れたに違いない、
彌助
(
やすけ
)
お前
其処
(
そこ
)
を
退
(
ど
)
きな、何か薬があったろう、水を吐かせなければならん」
政談月の鏡
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
真白
(
まっしろ
)
な
油紙
(
あぶらっかみ
)
の上へ、見た目も寒い、千六本を
心太
(
ところてん
)
のように
引散
(
ひっち
)
らして、ずぶ
濡
(
ぬれ
)
の露が、途切れ途切れにぽたぽたと足を打って、
溝縁
(
みぞぶち
)
に凍りついた
大根剥
(
だいこんむき
)
の
忰
(
せがれ
)
が、今度は
堪
(
たま
)
らなそうに
露肆
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と言うて起された、が、
身体中
(
からだじゅう
)
疵
(
きず
)
だらけで、夜露にずぶ
濡
(
ぬれ
)
であります。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ずぶ
濡
(
ぬれ
)
の
破褞袍
(
やれぬのこ
)
、
蓋
(
けだ
)
し小児の
尿汁
(
にょうじゅう
)
を洗わずして干したるもの、悪臭鼻を
抉
(
えぐ
)
って
髄
(
ずい
)
に
徹
(
とお
)
る。「やれ情無い、ヘッヘッ。」と
虫唾
(
むしず
)
を吐けば、「や、
膳
(
ぜん
)
の上へ
唾
(
つば
)
を吐くぞ。」と
右手
(
めて
)
なる小屋にて
喚
(
わめ
)
く声せり。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
濡
(
ぬれ
)
しょびれたまま高い押入の中に
突込
(
つッこ
)
まれた。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
濡
漢検準1級
部首:⽔
17画
“濡”を含む語句
全濡
濡手拭
濡々
濡羽
濡雑巾
濡葉
濡地
濡髮
濡萎
濡衣
濡縁
濡鼠
濡色
濡手
濡髪
濡事
濡椽
濡燕
濡藁
濡須
...