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浄
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きよ
ふりがな文庫
“
浄
(
きよ
)” の例文
旧字:
淨
それだのに君は、実に
浄
(
きよ
)
らかな燦かな玲瓏たる紅顔を何時迄も保っている。どうして君に対する忌しい取沙汰なぞを信用出来ようか。
絵姿:The Portrate of Dorian Gray
(新字新仮名)
/
渡辺温
、
オスカー・ワイルド
(著)
現界
(
げんかい
)
の
景色
(
けしき
)
と
比
(
くら
)
べて
別
(
べつ
)
に
格段
(
かくだん
)
の
相違
(
そうい
)
もありませぬが、ただこちらの
景色
(
けしき
)
の
方
(
ほう
)
がどことなく
浄
(
きよ
)
らかで、そして
奥深
(
おくふか
)
い
感
(
かん
)
じが
致
(
いた
)
しました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
(おどろきの変った形として)そのような精神の
浄
(
きよ
)
らかな命は、いつの間にやら失われて、通俗作家以下のものになっているのね。
獄中への手紙:08 一九四一年(昭和十六年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
「
汚水
(
どろみず
)
をくぐりて
浄
(
きよ
)
き蓮の花」と、古人もいっていますが、そうした尊い深い意味を説いているのが、この『法華経』というお経です。
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
彼女の此の内部生活の清浄さに私は幾度
浄
(
きよ
)
められる思をしたか知れない。彼女にくらべると私は実に茫漠として濁っている事を感じた。
智恵子の半生
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
▼ もっと見る
悩み嘆く魂のために安らけき時を与え給え。犯せる罪を
浄
(
きよ
)
めるために浄罪の時を与え給え。——神の怒りは火となりて我らの五体を
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
林太郎と同じ宝物蔵のこれは階下の
唐櫃
(
からびつ
)
の中に入れられていたのを救い出して身を
浄
(
きよ
)
めさせ、
身扮
(
みなり
)
を改めてここへ呼出したのです。
銭形平次捕物控:115 二階の娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
手水鉢
(
ちょうずばち
)
で、
蔽
(
おおい
)
の下を、
柄杓
(
ひしゃく
)
を
捜
(
さぐ
)
りながら、
雫
(
しずく
)
を払うと、さきへ手を
浄
(
きよ
)
めて、
紅
(
べに
)
の口に
啣
(
くわ
)
えつつ待った、
手巾
(
ハンケチ
)
の
真中
(
まんなか
)
をお絹が貸す……
白花の朝顔
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「だからよ。
船員
(
みんな
)
は小僧を
見付
(
みつけ
)
次第タタキ殺して
船霊様
(
ふなだまさま
)
を
浄
(
きよ
)
めるって云ってんだ。
汽鑵
(
かま
)
へブチ込めやあ五分間で灰も残らねえってんだ」
難船小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
悉
(
ことごと
)
くが名なき人々の作である。慾なきこの心が如何に器の美を
浄
(
きよ
)
めているであろう。ほとんど凡ての職工は学もなき人々であった。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
また晴れた心の清朗さ、慰められた心の
和
(
なご
)
やかさは、憂きに閉じた心よりもはるかに高められ
浄
(
きよ
)
められていると見てよいのであろうか。
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
自分はそのとき静かな祈りを感じる。そしてそのときほど自分の心が
浄
(
きよ
)
らかに平和に、またみち足っているのを感じることはない。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
爺達
(
おやぢたち
)
は
箒
(
はうき
)
を持つて一塵も残らないやうに境内を掃き
浄
(
きよ
)
めた。若い女達はさま/″\の色彩を持つた草花を何処からか持つて来て
栽
(
う
)
ゑた。
ある僧の奇蹟
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
そしてその魅力をさらに大ならしむるものは、
浄
(
きよ
)
い
温
(
あたた
)
かい
滑
(
なめ
)
らかな声の惑わしだった。一語一語が美しい和音のように響いていた。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
孔明は前日から
斎戒沐浴
(
さいかいもくよく
)
して身を
浄
(
きよ
)
め、身には白の道服を着、素足のまま壇へのぼって、いよいよ三日三夜の祈りにかかるべく立った。
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この夜は別して身を
浄
(
きよ
)
め、
御燈
(
みあかし
)
の数を
献
(
ささ
)
げて、災難即滅、
怨敵退散
(
おんてきたいさん
)
の祈願を
籠
(
こ
)
めたりしが、
翌日
(
あくるひ
)
の
点燈頃
(
ひともしごろ
)
ともなれば、又来にけり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
その
蒼
(
あお
)
ざめた、
浄
(
きよ
)
めてから間もない清らかな顔も、それから頭布からはみ出ている白い襟布までが何となく、
歓
(
よろこ
)
びに輝いたように見えた。
大ヴォローヂャと小ヴォローヂャ
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
クララはそれが天使ガブリエルである事を知った。「天国に
嫁
(
とつ
)
ぐためにお前は
浄
(
きよ
)
められるのだ」そういう声が聞こえたと思った。
クララの出家
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
不思議な行為である。けれども次女は、此の行為に依ってみずからを
浄
(
きよ
)
くしているつもりなのである。変態のバプテスマである。
ろまん灯籠
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
けれども、フローラの
浄
(
きよ
)
らげな顔は動かず、眼を閉じて、眠っているのか、それとも、
永劫
(
えいごう
)
の休息に入ったのかわからなかった。
紅毛傾城
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
その輪廓の正しい顔は
凄
(
すご
)
いほど澄みわたって、
神々
(
こうごう
)
しいと云ってもいゝような美しさが、勝平の不純な心持ちをさえ、
浄
(
きよ
)
めるようだった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
惜しい夜も
更
(
ふ
)
けた。手を
浄
(
きよ
)
めに出て見ると、樺の
焚火
(
たきび
)
は
燃
(
も
)
え
下
(
さが
)
って、ほの白い
煙
(
けむり
)
を
颺
(
あ
)
げ、真黒な
立木
(
たちき
)
の上には霜夜の星
爛々
(
らんらん
)
と光って居る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
「ジェズスは我々の罪を
浄
(
きよ
)
め、我々の魂を救うために地上へ
御降誕
(
ごこうたん
)
なすったのです。お聞きなさい、御一生の
御艱難辛苦
(
ごかんなんしんく
)
を!」
おしの
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
階下の台所に近い井戸のそばで
水垢離
(
みずごり
)
を取り身を
浄
(
きよ
)
めることは、上京以来ずっと欠かさずに続けている彼が日課の一つである。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「サヤケク」は
浄
(
きよ
)
いという意味でありますから、これでよさそうでありますが、この「
奚
(
ケ
)
」は「さやけく」の「け」とは仮名の類が違います。
古代国語の音韻に就いて
(新字新仮名)
/
橋本進吉
(著)
すがすがしい朝を前触れる
浄
(
きよ
)
めの嵐なのではあるまいかと、わたくしごとの境涯を離れて広々と世を見はるかす
健気
(
けなげ
)
な覚悟も
湧
(
わ
)
いて参ります。
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
雨によって十分に
浄
(
きよ
)
められ元気づけられたように、より明るく、より緑に、そしてよりまっ直ぐに、より生き生きと見えた。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
次第に
璞
(
あらたま
)
から玉が出来るように、記憶の中で
浄
(
きよ
)
められて、周囲から浮き上がって、光の強い、力の大きいものになっている。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
かの女は水の
浄
(
きよ
)
らかな美しい河の
畔
(
ほとり
)
でをとめとなつた女である。
其
(
そ
)
の川の水源は
甲斐
(
かい
)
か
秩父
(
ちちぶ
)
か、地理に
晦
(
くら
)
いをとめの頃のかの女は知らなかつた。
川
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
五日ばかりで身が
浄
(
きよ
)
まったので、また私は御堂に上った。ずっと来ていて下すった伯母もその日お帰りになって往かれた。
かげろうの日記
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
私はその時からひたすらに、
如何
(
いか
)
にもして自分の汚れた血を、人間の血に
浄
(
きよ
)
めもどしたいと思った。然し、医者でない私に何の施しようがあろう。
犬神
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
殊に平一郎があの美しい少年の深井を愛している
浄
(
きよ
)
い少年らしい情操を発見して、「文学者K」はひそかに微笑せずにはいられなかったのである。
地上:地に潜むもの
(新字新仮名)
/
島田清次郎
(著)
おッとッと、そう
一人
(
ひとり
)
で
急
(
いそ
)
いじゃいけねえ。まず
御手洗
(
みたらし
)
で
手
(
て
)
を
浄
(
きよ
)
めての。
肝腎
(
かんじん
)
のお
稲荷
(
いなり
)
さんへ
参詣
(
さんけい
)
しねえことにゃ、
罰
(
ばち
)
が
当
(
あた
)
って
眼
(
め
)
がつぶれやしょう
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
ここではあらゆる
望
(
のぞ
)
みがみんな
浄
(
きよ
)
められている。
願
(
ねが
)
いの数はみな
寂
(
しず
)
められている。
重力
(
じゅうりょく
)
は
互
(
たがい
)
に
打
(
う
)
ち
消
(
け
)
され
冷
(
つめ
)
たいまるめろの
匂
(
にお
)
いが
浮動
(
ふどう
)
するばかりだ。
インドラの網
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
一家
戒慎
(
かいしん
)
して室を
浄
(
きよ
)
め、
叨
(
みだ
)
りに人を近づけず、しかも出入
坐臥
(
ざが
)
飲食ともに、音もなく目にも触れなかったことは、他の多くの尊い神々も同じであった。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
やっと娘になったばかりの、色気にはまだまだよほど間の遠いかんじではあるが、しかし、それだけに、あどけない眼には夢みるような
浄
(
きよ
)
らかさがあった。
本所松坂町
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
あるいはこれに反して我が身に一点の醜を包蔵せんか、満天下に無限の醜を放つものあるも、その醜は以て我が醜を
浄
(
きよ
)
むるに足らず、また
恕
(
じょ
)
するに足らず。
日本男子論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
雑念のない顔を見ると、
恐
(
こわ
)
いことも忘れられて、すうっとした、洗い
浄
(
きよ
)
められたような感情に
惹
(
ひ
)
き入れられた。
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
この絵姿の若衆の顔はやさしく晴々しく邪気なく、この若衆が手にした
白躑躅
(
しろつつじ
)
のそれよりも
浄
(
きよ
)
い浄い姿でした。
艶容万年若衆
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
その彫像はにわかに生気が出てきた! 蒼ざめた大理石の
面
(
おも
)
ざし、膨らんだ大理石の胸、
浄
(
きよ
)
らかな大理石の足が、突然、一面に抑えきれぬ紅潮を呈してくる。
しめしあわせ
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
彼は
浄
(
きよ
)
い室内に壇をしつらえさせ、何かの符を自分で書いて供えた。それから三日の後、いよいよ絵具や紙や筆を取り揃え、茘裳に礼拝させて立ち去らせた。
中国怪奇小説集:15 池北偶談(清)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
諸農の仏事供養の時汝壇を
浄
(
きよ
)
めるの職にあれば供養の品々を受用して
好
(
よ
)
からずやと
宣
(
のたも
)
うなどその事もっぱら家猪に係り、猪八戒は豕で野猪でないと証明する。
十二支考:10 猪に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
白昼、花々
匂
(
にお
)
う小路をさまよい、勝手な空想にふけっていれば、あなたはいつもぼくの身近く、
浄
(
きよ
)
らかな童女のような
相貌
(
そうぼう
)
で、ぼくにつき
纏
(
まと
)
っていたのです。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
ぼろぼろに乾いたそこらの土は、
土塊
(
つちくれ
)
は、その香気のために絶えず
焚
(
た
)
き籠められ、いぶし
浄
(
きよ
)
められている。
水仙の幻想
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
そこで正助爺さんは掃溜の中から犬の死骸を拾つて、
綺麗
(
きれい
)
に洗ひ
浄
(
きよ
)
め、それを
土竈
(
どがま
)
のさきへ埋めました。
竜宮の犬
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
そして
一月
(
ひとつき
)
に三
度
(
ど
)
ずつ、お
湯
(
ゆ
)
に
入
(
はい
)
って
体
(
からだ
)
を
浄
(
きよ
)
めて、そこへお
籠
(
こも
)
りになり、
仏
(
ほとけ
)
の
道
(
みち
)
の
修行
(
しゅぎょう
)
をなさいました。
夢殿
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
長い間の自分の
怨
(
うら
)
みも憤りも悲しみもすべて洗い
浄
(
きよ
)
められて、深い暗い失望のどん底から、すっと軽い、好い心地で高く持ち上げられているような気がしてきた。
霜凍る宵
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
職務のためのこととはいいながら、前夜来のあだがましかった青まゆの女との不潔な酒のやりとりに、濁ったからだを
浄
(
きよ
)
め
潔
(
きよ
)
めるように、ばらばらとふりかけました。
右門捕物帖:04 青眉の女
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
その花びらが、幾つにも分けて見せる隈、仏の花の
青蓮華
(
しょうれんげ
)
と言うものであろうか。郎女の目には、何とも知れぬ
浄
(
きよ
)
らかな花が、車輪のように、宙にぱっと開いている。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
それは死の影によって更に
浄
(
きよ
)
められ、さらに神聖になっていたとはいえ、世に在りし時よりも更に肉感的になって、誰が見てもただ睡っているとしか思われないのでした。
世界怪談名作集:05 クラリモンド
(新字新仮名)
/
テオフィル・ゴーチェ
(著)
浄
常用漢字
中学
部首:⽔
9画
“浄”を含む語句
清浄
浄瑠璃
浄土
浄衣
清浄無垢
浄人
身浄
不浄
浄玻璃
浄瑠璃寺
清浄潔白
清浄身
浄明
浄瑠璃語
浄見
浄行
浄飯王
浄穢
浄書
浄財
...