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尚
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なお
ふりがな文庫
“
尚
(
なお
)” の例文
尚
(
なお
)
余力
(
よりょく
)
あるに於ては、長駆カシマ
灘
(
なだ
)
よりトーキョー湾に進撃し、首都トーキョー及びヨコハマの重要地点を攻撃すべし。ブラック提督
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
けれども、いまの私は、その青年と、どこが違うか。同じじゃないか。としをとっているだけに、
尚
(
なお
)
さら不潔だ。いい気なもんだ。
鴎
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「馬鹿な女」「仕様のない
奴
(
やつ
)
だ」と、思えば思うほど
尚
(
なお
)
意地悪くその美しさに誘惑される。これは実に私に取って不幸な事でした。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
私は
尚
(
なお
)
念の為に、彼が
傭
(
やと
)
ったという人力車の宿を聞いて、尋ねて見たところ、送り先が、諸戸の住居のある
池袋
(
いけぶくろ
)
であったことも分った。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
尚
(
なお
)
詳しく言えば、物について物を見ないで、主観の感情によって認識し、
心情
(
ハート
)
の感激や情緒に
融
(
と
)
かして、存在の意味を知ることである。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
▼ もっと見る
尚
(
なお
)
も並木で五割
酒銭
(
さかて
)
は天下の法だとゆする、
仇
(
あだ
)
もなさけも一日限りの、人情は薄き掛け
蒲団
(
ぶとん
)
に
襟首
(
えりくび
)
さむく、
待遇
(
もてなし
)
は
冷
(
ひややか
)
な
平
(
ひら
)
の
内
(
うち
)
に
蒟蒻
(
こんにゃく
)
黒し。
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
酔漢
(
よっぱらい
)
は耳にも懸けず
猛
(
たけ
)
り狂って、
尚
(
なお
)
も中間をなぐり
居
(
お
)
るを、侍はト見れば家来の藤助だから驚きまして、酔漢に
対
(
むか
)
い
会釈
(
えしゃく
)
をなし
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
六十すぎた将軍達が
尚
(
なお
)
生に恋々として法廷にひかれることを思うと、何が人生の魅力であるか、私には皆目分らず、然し恐らく私自身も
堕落論
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
頂戴した
羊羹
(
ようかん
)
の一切れに舌鼓を打ち、二個のカールとカール状の窪地に四方から
抉
(
えぐ
)
り取られた細い国境の山稜を、
尚
(
なお
)
も北東に沿うて進み
朝香宮殿下に侍して南アルプスの旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
結城善也の物語は
尚
(
なお
)
長く続いたのではあったけれど、要するに夫れは料理人の季参に対する反感と取越し苦労とに過ぎなかった。
温室の恋
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
尚
(
なお
)
、
百喩経
(
ひゃくゆきょう
)
は、仏典の比喩経のなかの愚人(仏教語のいわゆる
決定性
(
けつじょうしょう
)
)の
喩
(
たと
)
えばかりを集めた条項からその中の幾千を摘出したものである。
百喩経
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
死因も全く病気という事だし、之以上突つく必要もないと思うが、
尚
(
なお
)
君、念の為、昨日と今日の信造と卓一の足取りを洗って見て
呉
(
く
)
れ給え。
青服の男
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
母の、恐ろしい
呻
(
うな
)
り声が美奈子の魂を
戦
(
おのの
)
かしたが、母の
呻
(
うめ
)
き声を聴いた途端に、悪夢は
断
(
き
)
れた。が、不思議に呻き声のみは、
尚
(
なお
)
続いていた。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
学びし人とも覚えずしかるを
尚
(
なお
)
よく
斯
(
かく
)
の如く
一吐一言
(
いっといちげん
)
文をなして
彼
(
か
)
の
爲永
(
ためなが
)
の
翁
(
おきな
)
を走らせ
彼
(
か
)
の
式亭
(
しきてい
)
の
叟
(
おじ
)
をあざむく此の
好稗史
(
こうはいし
)
を
怪談牡丹灯籠:01 序
(新字新仮名)
/
坪内逍遥
(著)
尚
(
なお
)
、白堊館の下に埋められてあった金は、長谷川家に戻したが、長谷川家からその内半分を龍介の研究費にと贈られたことを
書添
(
かきそ
)
えておこう。
幽霊屋敷の殺人
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
はじめて片手を休めたが、それさへ輪を廻す一方のみ、
左手
(
ゆんで
)
は
尚
(
なお
)
細長い
綿
(
わた
)
から糸を
吐
(
は
)
かせたまゝ、
乳
(
ちち
)
のあたりに捧げて居た。
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
しかし
尚
(
なお
)
最後に、彼等江戸ッ子の衰亡の原因が、こうした精神的方面からばかり来たものでないことを付け加えておきたい。
街頭から見た新東京の裏面
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
ミシンや
裁台
(
たちだい
)
などの据えつけに、それでも
尚
(
なお
)
足りない分を、お島の顔で
漸
(
やっ
)
と工面ができたところで、二人の
渡
(
わた
)
り
職人
(
しょくにん
)
と小僧とを傭い入れると
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
然
(
しか
)
も、この別荘としては、その地下室は不相応に広いらしく、充分の間取りをもって、
尚
(
なお
)
も奥へ続いているようであった。
鱗粉
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
尚
(
なお
)
、上述のもの以外には外傷はなく、しかも、同人が西洋婦人人形を抱きてその室に入りてより、僅々十分足らずのうちに起れる事実なりと云う。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
銀の鈴を鳴らして行く橇に
跳飛
(
はねと
)
ばされて、足に怪我をしながらも、
尚
(
なお
)
娘の前途を祝福して、寂しい家の
燈
(
ともしび
)
の
下
(
もと
)
に泣いている妻を慰めに帰って行く。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
父を捨てた子は、母の死に目にも会いません。私共は
尚
(
なお
)
西へ西へと旅をつづけ、何時しか世界を一周して、大正九年の三月日本に帰って来ました。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
ところで、その中、今も
尚
(
なお
)
記誦
(
きしょう
)
せるものが数十ある。これを我が
為
(
ため
)
に伝録して
戴
(
いただ
)
きたいのだ。何も、これに
仍
(
よ
)
って一人前の詩人
面
(
づら
)
をしたいのではない。
山月記
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
御書
辱
(
かたじけな
)
く拝見仕候。かねて願上候
御認
(
おんしたた
)
めもの、早く拝見いたし度と存じ候へども、今日も
尚
(
なお
)
せき少々出で候まゝ、引き
籠
(
こも
)
り
罷在
(
まかりあり
)
候。熱は既に去り申候。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
尚
(
なお
)
以
(
もって
)
彼の
草稿
(
そうこう
)
は
極秘
(
ごくひ
)
に致し置、今日に至るまで二、三親友の外へは誰れにも見せ
不申候
(
もうさずそうろう
)
。
是亦
(
これまた
)
乍序
(
ついでながら
)
申上候
(
もうしあげそうろう
)
。以上。
瘠我慢の説:03 書簡
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
、
勝海舟
、
榎本武揚
(著)
ビジテリアン諸氏はこれらのことは
充分
(
じゅうぶん
)
ご承知であろうが
尚
(
なお
)
これを以て多くの病弱者や
老衰者
(
ろうすいしゃ
)
並
(
ならび
)
に
嬰児
(
えいじ
)
にまで及ぼそうとするのはどう云うものであろうか。
ビジテリアン大祭
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
清吉は
尚
(
なお
)
も泣き止まないで、受持教師が便所から出て来るのを待って、戸の外に立っていると、他の生徒は
彼処此処
(
あちらこちら
)
の窓や、
階子段
(
はしごだん
)
の陰から覗いて
罵
(
ののし
)
っている。
蝋人形
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
その上、心中には、
尚
(
なお
)
ひそかに、願立てたことがあったが、それは、内深くひめて表には出さないでいた。
現代語訳 平家物語:01 第一巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
尚
(
なお
)
、その程度によっては、ホノルルなり、サンフランシスコなりに、船が着いたら、下船させてしまうぞ。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
焚火
(
たきび
)
のあかりを半顔に受け、
莚敷
(
むしろじ
)
きのゆかの上でなされるこの
慇懃
(
いんぎん
)
な
挨拶
(
あいさつ
)
は、阿賀妻の眼を
湿
(
うる
)
ましていた。子供をひき連れた母親であったから
尚
(
なお
)
いけなかった。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
その肉声のなかには
鵙
(
もず
)
のような啼き工合や、いきなり頬を舐め廻されるような甘い気持や、また、いきなり痒いところを
尚
(
なお
)
痒くえぐるような毒々しさをもっていた。
幻影の都市
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
それでも
尚
(
なお
)
、とにかく何とか返事をしろと言われるのなら、地球が百万年はおろか
僅々
(
きんきん
)
数千年を
出
(
い
)
でずして何かほかの天体と衝突して絶滅することは既定の事実であり
チェーホフ序説:――一つの反措定として――
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
尚
(
なお
)
仕出し御料理その他御弁当御寿司などの御註文は多少にかかわりませず迅速に御届け申上ます。
踊る地平線:03 黄と白の群像
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
私の身辺をそう始終鼠が附いて廻るというのも、一つの不思議ではなかろうか、
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
この事は、自分が十七八の少年時代から、
今日
(
きょう
)
までも
尚
(
なお
)
経験しているのであるから
頭上の響
(新字新仮名)
/
北村四海
(著)
聞く所によれば野蛮人は
赤色
(
せきしょく
)
を愛すると云うが、
我輩
(
わがはい
)
文明人にしても
尚
(
なお
)
野蛮の域に居る所の子供は赤色を好み、段々と大きくなるに従って、色の浅いものを好むようになる
猫と色の嗜好
(新字新仮名)
/
石田孫太郎
(著)
八百屋の店頭に、水色のキャベツが積まれ、赤いトマトオが並べられ、雪のように白い夏大根が飾られる頃になると、私のホームシックは
尚
(
なお
)
一入
(
ひとしお
)
烈しくなるばかりであった。
郷愁
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
働かねば食えぬ苦労を重ねて今日も
尚
(
なお
)
働き続けている互いの生活は派手でなどあろう筈はない。けちんぼはいやだとダメを押されても閑子はびくびくしていたかもしれない。
妻の座
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
何時
(
いつ
)
書きしものか
解
(
わか
)
らねど、ふるえた
手跡
(
しゅせき
)
に鉛筆での走り書きで一通は、師匠の私へ宛てた
今日
(
きょう
)
までの普通の礼を述べた手紙で、
尚
(
なお
)
一通のは
即
(
すなわ
)
ちこの父親に残したものであった
二面の箏
(新字新仮名)
/
鈴木鼓村
(著)
久雨
(
きゅうう
)
尚
(
なお
)
歇
(
や
)
まず軽寒腹痛を催す。夜に入つて風あり燈を吹くも夢成らず。そゞろに
憶
(
おも
)
ふ。雨のふる夜はたゞしん/\と心さびしき
寝屋
(
ねや
)
の内、これ江戸の俗謡なり。一夜不
レ
眠孤客耳。
雨瀟瀟
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
太子ハ深厚ナル哀悼ノ意ヲ直チニ在ヴィルプール王宮並ニ政庁ニ送達、
尚
(
なお
)
御遺骸移送
其
(
そ
)
ノ他ニ際シテハ
万
(
ばん
)
遺漏ナカランガ
為
(
た
)
メ在米英国大使館ハ在桑港総領事ニ電命ノ旨唯今通知ニ接ス。
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
下宿はどっちかと
云
(
い
)
えば、小商人の二階などが良かった。
殊
(
こと
)
にそれが老人夫婦であれば
尚
(
なお
)
よかった。その人たちは私たちの仕事に縁遠いし、二階の人の行動には、その理解に限度がある。
党生活者
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
この二人の話し声であった事はすぐに判ったが、ここに今
尚
(
なお
)
判らぬ事がある。
怪談
(新字新仮名)
/
平山蘆江
(著)
喬介は私にそう告げ終ると、
尚
(
なお
)
も屍体を調べ続けた。顔面はそれ程引き歪められていると言う方ではないが、
只
(
ただ
)
左の顔だけ一面にソバカスの出来ているのが、なんとなく気味悪く思われた。
カンカン虫殺人事件
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
勿論
(
もちろん
)
近代といえども、僧侶殊に禅僧については、
尚
(
なお
)
従来の伝説やら歴史やら挿話などが、くっついているので、わしらも審美的に方外の友に対して一種の興味を有っていることは事実である。
僧堂教育論
(新字新仮名)
/
鈴木大拙
(著)
赤靴を
履
(
は
)
き頭髪を分けをり年頃二十六、七歳位運転手風の好男子なり、男の黒つぽき
外套
(
がいとう
)
のかくしと女のお召コートの
袂
(
たもと
)
には各々遺書一通あり、
尚
(
なお
)
女のコートの袂には
白鞘
(
しろさや
)
の短刀を
蔵
(
かく
)
しあり。
芳川鎌子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
そして
尚
(
なお
)
老僧のいうのには、その場合その人自身の
頭脳
(
あたま
)
に、何か一つ残るものがあって、それは各人に
依
(
よ
)
って
異
(
ことな
)
るが、もしも
愛着心
(
あいじゃくしん
)
の強い人ならば、それが残ろうし、
恨悔
(
くや
)
しい念があったらば
テレパシー
(新字新仮名)
/
水野葉舟
(著)
ざわめく室内をもう一度眺め渡し乍ら蜂屋文太郎は
尚
(
なお
)
も言葉を継ぎます。
古城の真昼
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
尚
(
なお
)
この俳諧散心の会は翌明治四十年一月二十八日に至り四十一回に及ぶ。
五百句
(新字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
彼女は白いブラウスの上に、
真紅
(
あか
)
い目の
醒
(
さ
)
めるようなジャケツを
引
(
ひっ
)
かけていた。それよりも
尚
(
なお
)
泉原の心をひいたのは、心持ち唇をかむようにして、じっと空間を見据えている彼女の横顔であった。
緑衣の女
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
ただ時期が
尚
(
なお
)
早
(
はや
)
いとか手続きがまずいとか言って、反対している者があるだけである。その実現はまったく時の政治がこれを決する。あすが日にもさあ
遣
(
や
)
ってみようということになるかも知れぬ。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
“尚(尚(姓))”の解説
尚(しょう)は、漢姓の一つ。
(出典:Wikipedia)
尚
常用漢字
中学
部首:⼩
8画
“尚”を含む語句
和尚
高尚
尚更
好尚
尚々
大和尚
今尚
和尚様
兵部尚書
尚武
尚書
光尚
布袋和尚
沢庵和尚
尚古
洪川和尚
尚且
尚々書
尚少
尚質
...