小聲こごゑ)” の例文
新字:小声
をんなでさへその意氣いきだ。男子だんしはたらかなければならない。——こゝで少々せう/\小聲こごゑになるが、おたがひかせがなければかない。……
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「どうしてつちつたつて、らがにやわかんねえよ」おつぎはうらめしさうしかしながら周圍しうゐはゞかやうにして小聲こごゑでいつた。たもとかほおほうたまゝである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
さつしやるな小聲こごゑでもわかります先當時の役頭やくがしらを盜賊よばはたしかな證據なくては云れぬ事段々だん/\きくに九助が親類と私等わしらが名を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
其所そこ小聲こごゑ説明せつめいをして、品物しなものわたすと、仲働なかばたらきはそれを受取うけとつたなり、一寸ちよつと宗助そうすけはうたがすぐおくはひつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
はいはうから病人びやうにんなのですがな。』とハヾトフは小聲こごゑふた。『や、わたし聽診器ちやうしんきわすれてた、つてますから、ちよつ貴方あなた此處こゝでおください。』
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
そして、そんなとき何時いつものくせで、Sのうたなんかを小聲こごゑうたした。何分なんぷんかがさうしてぎた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
形勢けいせいはなは不穩ふおんなので、かくも、望蜀生ぼうしよくせいんで、小聲こごゑで。
屹度きつとくるま今少いますこしの御辛防ごしんばうかるゝこほりつくやうなりうれしやとちかづいてればさてもやぶぐるまモシとこゑはかけしが後退あとじさりするおくりの女中ぢよちゆうソツとおたか袖引そでひきてもうすこまゐりませうあまりといへばとあと小聲こごゑなりをりしもふりしきるゆきにおたか洋傘かうもり
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「おつうとそれ、返辭へんじするもんだ」小聲こごゑでいつてかすかわらつた。勘次かんじ怪訝けげん容子ようすをしてはしらかげ凝然ぢつしかめた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
見て扨は渠等かれら色事いろごとならん究竟くつきやうの事なりと彼の開戸ひらきどの處へゆきそとよりほと/\たゝきけるに中にはおたけ庭に下立おりたち何かお忘れ物に候やと小聲こごゑひながら何心なく戸を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
二人ふたり小聲こごゑはなしながら、おほきな部屋へやにぎつしりつまつたひとあたま見回みまはした。そのあたまのうちで、高座かうざちかまへはうは、烟草たばこけむりかすんでゐるやうにぼんやりえた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
なんでえ、なんでえ‥‥」と、小聲こごゑでいぶかる兵士へいしもあつた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
不穩ふおんです。げませう』と望生ぼうせい小聲こごゑふ。
一寸いつすん猶豫ゆうよもならぬとそれは/\にもかゝれぬだんじやうおまへにも料簡れうけんあることゝやうやうに言延いひのべてかへりますまでたのんではいたれどマアどうしたらからうか思案しあんしててくだされと小聲こごゑながらもおろ/\なみだあんじなされますなうにかなります今夜こんや大分だいぶけましたから明日あした早々さう/\出向でむきまして談合はなしあひを
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ぢいてえだな、おとつゝあ」と小聲こごゑげた。それから勘次かんじのぞいて、かぎはづして這入はひつた。與吉よきち見識みしらぬぢいさんがるのではにかんでおつぎのうしろかくれた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「おい、し」とすぐ蒲團ふとんうへなほつた。御米およね小聲こごゑ先刻さつきからの樣子やうすはなした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
金二分に賣てくれろと小聲こごゑで相談し貴殿が仕組しくんだ所業だはね最早もうをつとを殺されたからはかくさず云が其仕事しごとは權現堂の土手どてで穀屋平兵衞を殺し金迄取て其翌日わたしの方へ來てお前は狼狽うろたへまはり幸手宿を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
と、をつとなにむねつものをかんじながら小聲こごゑこたへた。
画家とセリセリス (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)