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冥途
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めいど
ふりがな文庫
“
冥途
(
めいど
)” の例文
だからもし
冥途
(
めいど
)
から迎えにきたら、八十八を越してからいく。八十八を越してからまた使いがきたら、九十九までは留守と答えよう。
私の履歴書:――放浪の末、段ボールを思いつく
(新字新仮名)
/
井上貞治郎
、
日本経済新聞社
(著)
あの世へ向けて、
冥途
(
めいど
)
の旅の一里塚を一ツ一ツ踏ませてくれる。そのあげく、ばッさりやりゃあ、なんの仕損じることがあるもんか
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
さあ、行こう、何も
冥途
(
めいど
)
へ連れて行くんじゃあないよ。謂わばまあ殿様のお手が着くといったようなものさ。どうして雀部や
私
(
わし
)
を
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「なにもわしが
喋
(
しゃべ
)
ったとて、そう驚くことはないじゃないか、これはせめて貴様たちの
冥途
(
めいど
)
のみやげにと思って、聞かせてやったばかりよ」
怪塔王
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
と馬上にのび上がり、「返せ者ども、おくれて
卑怯者
(
ひきょうもの
)
の汚名をのこすな、元親みずから
冥途
(
めいど
)
の先がけしようぞ、つづけ!」
だんまり伝九
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
▼ もっと見る
それらのことを考えると、お信はしょせん自分の望みは叶わないと覚悟して、叔父の清吉と相談の上で、若殿さまを
冥途
(
めいど
)
の道連れにしたらしい。
半七捕物帳:53 新カチカチ山
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
だから百間氏の小品のやうに、自由な作物にぶつかると、
余計
(
よけい
)
僕には面白いのである。しかし人の話を聞けば、「
冥途
(
めいど
)
」の評判は
好
(
よ
)
くないらしい。
点心
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
先生の再婚の理由として「小供らの教育を
托
(
たく
)
する人を得て
冥途
(
めいど
)
の妻の心を喜ばすために後の妻を
貰
(
もら
)
ったのである」
離婚について
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
今
考
(
かんげ
)
えてもあの時の気持ばっかりはわかりませんがね。多分、
冥途
(
めいど
)
の土産……てえな気持で見ていたんでしょう。
人間腸詰
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
自分はもうこの世に何の思い残すところもない。一刻も早く
冥途
(
めいど
)
に行って、可愛い京子に会い、二人の生涯をかけての大事業の完成を喜び合いたいばかりだ
悪魔の紋章
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
取調べの町人は情けある人とて一夜の
猶予
(
ゆうよ
)
を与えられ候まま、父に手あつく仕えし上、暁け方眠りにつくを待ちて
玉
(
たま
)
の
緒
(
お
)
を
絶
(
た
)
ち、返す刀にて自らも
冥途
(
めいど
)
の旅に上り候。
乳を刺す:黒門町伝七捕物帳
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
死なばもろともさ、乗合が一人残らず一緒に行くんでなけりゃ、
冥途
(
めいど
)
の道が淋しくってたまらないよ
大菩薩峠:18 安房の国の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
遂げさしては、却つて
冥途
(
めいど
)
の障りとやらになるでせう。——その代り私は尼にでもなつて父さんにお詫びします。——若旦那を助けて上げて下さい。お願ひで御座います
銭形平次捕物控:123 矢取娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
冥途
(
めいど
)
の
飛脚
(
ひきゃく
)
」の中で、竹本の
浄瑠璃
(
じょうるり
)
に
謡
(
うた
)
う、あの
傾城
(
けいせい
)
に真実なしと世の人の申せどもそれは皆
僻言
(
ひがごと
)
、わけ知らずの言葉ぞや、……とかく恋路には
虚
(
いつわり
)
もなし、誠もなし
霜凍る宵
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
摺流
(
すりなが
)
す音も
憚
(
はゞか
)
り
卷紙
(
まきがみ
)
へ思ふ事さへ
云々
(
しか/″\
)
と
書
(
かき
)
つゞる身生
命毛
(
いのちげ
)
の筆より先へ切てゆく
冥途
(
めいど
)
の旅と死出の空我身は今ぞ亡き者と覺悟をしても親と子がたゞ二人なる此住居然るを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
手前がまだ瓜作りをやっておりました時分、ふとした浮気心から云い交した娘がございました。と云いましても、名前も顔もはっきりとはとても浮ぶ瀬もない
冥途
(
めいど
)
の河原。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
お言葉は
有難
(
ありがた
)
いが、そのお
情
(
なさけ
)
も
冥途
(
めいど
)
への土産。一両
詮議
(
せんぎ
)
の大事の時、
生憎
(
あいにく
)
と一両ふところに持っているというこの間の悪さ。御一同が疑わずとも、このぶざまは消えませぬ。
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
『そうか。日本なら「
冥途
(
めいど
)
の飛脚」だが、火星じゃ「天上の飛脚」でも
演
(
や
)
るんだろう?』
火星の芝居
(新字新仮名)
/
石川啄木
(著)
ヴォワン・スチヴンス説にセマン人は以前
黒焦
(
くろこげ
)
にせる棒一本を毒蛇また虎の尸の上もしくは口の前に置き、あるいは木炭もて虎の条紋に触れ、
冥途
(
めいど
)
で虎の魂が人の魂に近づくを予防す。
十二支考:01 虎に関する史話と伝説民俗
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
今、此の鼻缺けの、
兎唇
(
みつくち
)
の、片耳のない夫を連れて
冥途
(
めいど
)
へ行けば、それが父への何よりの
土産
(
みやげ
)
になる。生きて此の世に罪を重ね、不義の汚名を流すよりは、その方が
優
(
ま
)
しであろうものを。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
冥途
(
めいど
)
から
來
(
き
)
た
佛
(
ほとけ
)
が
其
(
そ
)
の
火
(
ひ
)
に
宿
(
やど
)
つたしるしだといつて
必
(
かなら
)
ず
提灯
(
ちやうちん
)
が
墓地
(
ぼち
)
から
點
(
つ
)
けられるのである。おつぎは
勘次
(
かんじ
)
の
懷
(
ふところ
)
が
幾
(
いく
)
らか
暖
(
あたゝ
)
かに
成
(
な
)
つたので、
廉物
(
やすもの
)
ではあるが
中形
(
ちうがた
)
の
浴衣地
(
ゆかたぢ
)
も
拵
(
こしら
)
へて
貰
(
もら
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
あの
追放人
(
おひはらはれ
)
の
無頼漢
(
ならずもの
)
が
住
(
す
)
んでゐるマンチュアに
使
(
つかひ
)
を
送
(
おく
)
り、さる
男
(
をとこ
)
に
言
(
い
)
ひ
含
(
ふく
)
めて
尋常
(
よのつね
)
ならぬ
飮物
(
のみもの
)
を
彼奴
(
あいつ
)
めに
飮
(
の
)
ませませう、すれば
即
(
やが
)
てチッバルトが
冥途
(
めいど
)
の
道伴
(
みちづれ
)
。さうなれば
其方
(
そなた
)
の
心
(
こゝろ
)
も
慰
(
なぐさ
)
まう。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
私
(
わたくし
)
が
死
(
し
)
んだものとすれば、ここは
矢張
(
やは
)
り
冥途
(
めいど
)
とやらに
相違
(
そうい
)
ないであろうが
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
はたきする、夏の夜など、遠い/\
冥途
(
めいど
)
から、人を呼びに来るやうな、ボウ、ボウと夢でも見るやうな声が、こんもりした杉の梢から、あたりの空気に沁み透つて、うつゝともなく、幻ともなく
亡びゆく森
(新字旧仮名)
/
小島烏水
(著)
もしくは
浄瑠璃
(
じょうるり
)
の「
冥途
(
めいど
)
の鳥」の、引続き以外の何物でもなかった。
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
あやうく声を立てるところだった。が、次の瞬間には頭から蒲団を被って
掻巻
(
かいまき
)
の襟をしっかり噛み締めていた。身体じゅうの毛穴が一度に開いて、そこから
冥途
(
めいど
)
の風が吹き込むような気持ちだった。
釘抜藤吉捕物覚書:07 怪談抜地獄
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
夫
(
つま
)
も
子
(
こ
)
も
冥途
(
めいど
)
にさきだて
独
(
ひと
)
り
跡
(
あと
)
にのこり、かそけき
烟
(
けふ
)
りさへ立かねたれば、これよりちかき
五十嵐村
(
いがらしむら
)
に
由縁
(
ゆかり
)
の
者
(
もの
)
あるゆゑ
助
(
たす
)
けを
乞
(
こは
)
んとてこの橋をわたりかゝり、あやまちて水に入り
溺死
(
おぼれしゝ
)
たるもの也
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
「こんな品物、何用あって
冥途
(
めいど
)
まで持参するつもりじゃった」
右門捕物帖:09 達磨を好く遊女
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
ヒ、あれをよく見ながら、畜生! おのれ、
冥途
(
めいど
)
へゆけ!
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
ここまで、七町あまり、ニコともしないで、黙々と
尾
(
つ
)
いて来た城太郎であった。一歩一歩が、
冥途
(
めいど
)
とやらへ近くなる気持なのだ。
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
著書「
冥途
(
めいど
)
」一巻、他人の廡下に立たざる特色あり。然れども不幸にも出版後、直に震災に遭へるが為に
普
(
あまね
)
く世に行はれず。僕の遺憾とする所なり。
内田百間氏
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
時に、障子を開けて、そこが何になってしまったか、浜か、山か、一里塚か、
冥途
(
めいど
)
の
路
(
みち
)
か。船虫が飛ぼうも、大きな油虫が
駈
(
か
)
け出そうも料られない。
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それとも、なき娘の幽魂が、
冥途
(
めいど
)
をさまよい出て、夜の暗さにまぎれ、懐しい父に逢いに来たのであろうか。
恐怖王
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
生きている
兎
(
うさぎ
)
だの
鶏
(
にわとり
)
だのには、
冥途
(
めいど
)
ゆきの
赤札
(
あかふだ
)
をぶら下げるだけですが、その
外
(
ほか
)
のは必ず頭のある魚を揃えたり馬肉の目方をはかって適当の大きさに截断し
爬虫館事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「わしは初めからこの白髪首を
賭
(
か
)
けている。この首一つで廻座の幾人かを
冥途
(
めいど
)
へ
掠
(
さら
)
っていければ安いものじゃ。相手の多いほど首の値打も増す訳じゃでの。そうであろう」
三十二刻
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
遂げさしては、かえって
冥途
(
めいど
)
の
障
(
さわ
)
りとやらになるでしょう。——その代り私は尼にでもなって父さんにお
詫
(
わ
)
びします。——若旦那を助けて上げて下さい。お願いでございます
銭形平次捕物控:123 矢取娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
胸の秘密、絶対ひみつのまま、
狡智
(
こうち
)
の極致、誰にも打ちあけずに、そのまま息を静かにひきとれ。やがて
冥途
(
めいど
)
とやらへ行って、いや、そこでもだまって
微笑
(
ほほえ
)
むのみ、誰にも言うな。
二十世紀旗手
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
この十文字でいちいちドテッ腹へ穴をあけて、
冥途
(
めいど
)
へ道連れにしてやるまでのことだよ、断わっておくが、こう見えても、おいらは槍だけは一人前に
遣
(
つか
)
えるんだぜ、見る人が見たらわかるんだろうが
大菩薩峠:20 禹門三級の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
殺したは勘太郎に
違
(
ちが
)
ひないと思つては居れど彦兵衞の
親類
(
しんるゐ
)
でも有るならば
格別
(
かくべつ
)
滅多
(
めつた
)
な人には
咄
(
はなし
)
も出來ず
可愛
(
かあい
)
さうに彦兵衞は
浮
(
うか
)
みも
遣
(
や
)
らず
冥途
(
めいど
)
に
迷
(
まよ
)
つて居るならんと彦三郎が此所に居るとも知らず
噂
(
うはさ
)
して
行過
(
ゆきすぎ
)
るを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「さ、この一太刀で
冥途
(
めいど
)
へ行けっ!」
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
三途まで奈落へ
堕
(
だ
)
して、……といって、自殺をするほどの覚悟も出来ない
卑怯
(
ひきょう
)
ものだから、
冥途
(
めいど
)
へ
捷径
(
ちかみち
)
の焼場人足、
死人焼
(
しびとやき
)
になって、
胆
(
きも
)
を鍛えよう。
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
(われは、閻王
奪魂
(
だっこん
)
の使いなり。一門の弓矢も、金銀珠玉も、
冥途
(
めいど
)
無常の迎えには塵ぞかし。
疾
(
と
)
う疾う立ち候え)
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この頃
内田百間
(
うちだひやくけん
)
氏の「
冥途
(
めいど
)
」(新小説新年号所載)と云ふ小品を読んだ。「冥途」「
山東京伝
(
さんとうきやうでん
)
」「花火」「
件
(
くだん
)
」「
土手
(
どて
)
」「豹」
等
(
とう
)
、
悉
(
ことごとく
)
夢を書いたものである。
点心
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「有難え。庄兵衛どんの血を、おいらの血で洗ったのだ、これで半太郎どんとお信の仲も、さっぱりと浄められるだろう——あとは、
冥途
(
めいど
)
で庄兵衛どんに詑びを云うだけよ」
無頼は討たず
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
あツと顏見合はせる一座の中へ、
月代
(
さかやき
)
も
髯
(
ひげ
)
も伸び放題乍ら清らかな紋服に着換へた林太郎は、細々とした自分の影を踏んで、——
冥途
(
めいど
)
を行く
亡者
(
もうじや
)
のやうに靜かに進み出たのです。
銭形平次捕物控:115 二階の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「ああ、それでは——それでは、やっぱりここは
冥途
(
めいど
)
だったんですか」
火葬国風景
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
冥途
(
めいど
)
にいなさる神祖に対して
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
と
所々
(
ところ/″\
)
で、——
釣臺
(
つりだい
)
に
附
(
つ
)
いてくれました
主人
(
あるじ
)
が
聲
(
こゑ
)
を
掛
(
か
)
けて
教
(
をし
)
へますのを、あゝ、
冥途
(
めいど
)
へ
行
(
ゆ
)
く
路
(
みち
)
も、
矢張
(
やつぱ
)
り、
近所
(
きんじよ
)
だけは
知
(
し
)
つた
町
(
まち
)
を
通
(
とほ
)
るのかと
思
(
おも
)
ひました。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「汝こそ、戸まどいして、これに帰って来る愚を
醒
(
さ
)
ませ。あれみろ、城頭高くひるがえっているのは、蜀の旗か、魏の旗か、
冥途
(
めいど
)
のみやげによく見てゆけ」
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あッと顔見合せる一座の中へ、
月代
(
さかやき
)
も
髯
(
ひげ
)
も伸び放題ながら清らかな紋服に着換えた林太郎は、細々とした自分の影を踏んで、——
冥途
(
めいど
)
を行く
亡者
(
もうじゃ
)
のように静かに進み出たのです。
銭形平次捕物控:115 二階の娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
冥
常用漢字
中学
部首:⼍
10画
途
常用漢字
中学
部首:⾡
10画
“冥”で始まる語句
冥加
冥利
冥土
冥府
冥々
冥福
冥
冥想
冥罰
冥護