六日むいか)” の例文
「いゝえ、あに一緒いつしよですから……でも大雪おほゆきなぞは、まちからみちえますと、こゝにわたし一人ひとりきりで、五日いつか六日むいかくらしますよ。」
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
『來月の六日むいかだすがな。』と、おみつ先刻さつきから昔の祭の日の記憶を辿たどつて、さま/″\の追懷つゐくわいふけつてゐたらしく思はれた。
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
五日いつか六日むいかと日を重ねるに従って、考えるばかりでなく、約束通りあなたに手紙を上げるのが、あるいは必要かも知れないと思うようになりました。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
おとうとは、最初さいしょ、このやまへくるときには、ゆきうえわたって一にきましたけれど、ゆきえてからは、もりや、はやしや、かわがあって、五日いつか六日むいかあるかなければ
白すみれとしいの木 (新字新仮名) / 小川未明(著)
寛永三年九月六日むいか主上しゅじょう二条の御城おんしろへ行幸遊ばされ妙解院殿へかの名香を御所望有之これありすなわちこれをけんぜらるる
興津弥五右衛門の遺書 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
「それなら先ず有金を吐き出して置いて、地所や家作の抵当はあとの事にすればいいじゃあねえか。こっちは急ぎだ。ぐずぐずしていると、六日むいか菖蒲あやめになるぜ」
半七捕物帳:50 正雪の絵馬 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
生れて六日目のことを、六日むいかざりといい、この日赤ん坊の名がきまります。産婆さんをお客にまねき、赤ん坊のためにもはじめてお膳をつくるのがならわしでした。
柿の木のある家 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
六日むいかあいだ何事なにごともありませんでした。七日なのかめの夕方ゆうがたにことことともんをたたくものがありました。
羅生門 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
ゆびくつしてると、吾等われら豫定通よていどうりに印度國インドこくコロンボ附近ふきん降下かうかして、秘密藥品ひみつやくひん買整かひとゝのへ、ふね艤裝ぎさうして橄欖島かんらんたう到着たうちやくはづの二十五にちまでには、最早もはや六日むいかあますのみで。
さて六日むいかには泉山せんざんといふところへお出掛でかけになるについて、わたくしもおともをいたし四条通しでうどほりから五条ごでうわたり、松原通まつばらどほりから泉山せんざんまゐりまするには、かねて話に聞いてりました、ゆめ浮橋うきはしといふのをわたりました
牛車 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
おまけに先月あらいざらい何もかも無くしてしまってからあ、寒蛬こおろぎの悪くきやあがるのに、よじりもじりのその絞衣しぼり一つにしたッぱなしで、小遣銭こづけえぜにも置いて行かずに昨夜ゆうべまで六日むいか七日なのか帰りゃあせず
貧乏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
六日むいか目に同室の婦人は後方うしろ尼様あまさんの様な女の居る室に空席が出来たと云つて移つて行つた。汽車はたまの様な色をした白樺の林の間ばかりを走つて居る。稀には牛や馬の多く放たれた草原くさはらも少しはある。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
神様が、苦しめ給ふた暗い六日むいかのそのあとで!
たった六日むいかだったな。ホッホ
貝の火 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
日はいつ六日むいか
晶子詩篇全集拾遺 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
五日いつか六日むいか
新頌 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
六日むいか。」
正義と微笑 (新字新仮名) / 太宰治(著)
しかし、六日むいかめにもかえってきませんでした。そして、七日なのかめも、八日ようかめも……ついにかえってきませんでした。
黒い人と赤いそり (新字新仮名) / 小川未明(著)
ことあつてのちにして、前兆ぜんてうかたるのは、六日むいか菖蒲あやめだけれども、そこに、あきらめがあり、一種いつしゆのなつかしみがあり、深切しんせつがある。あはれさ、はかなさのじやうふくむ。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
非常ひじやう困難こんなんあひだに、三日みつか※去すぎさつたが、大佐たいさからはなん音沙汰おとさたかつた、また、左樣さう容易たやすくあるべきはづもなく、四日よつかぎ、五日いつかぎ、六日むいかぎ、その七日目なぬかめまでこのおそろしき山中さんちゆう
「よっぽどって、そうさ五日いつか六日むいか来なかったばかりだ。」
雁坂越 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
五日いつか六日むいか
新頌 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
わかひと筑前ちくぜん出生うまれ博多はかた孫一まごいち水主かこでね、十九のとし、……七ねんまへ福岡藩ふくをかはんこめんだ、千六百こく大船たいせんに、乘組のりくみ人數にんず船頭せんどうとも二十にん寶暦はうれきうまとしぐわつ六日むいか
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
五日いつか六日むいかというふうにおなじことがつづきますと、そのにぎやかさが、ただそうぞうしいものになり、また、毎日まいにちごちそうをべることも、これが人間にんげん幸福こうふくであるとは、おもわれなくなりました。
山へ帰りゆく父 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あとの大勢おほぜいつたら、のあくるから、あめかぜなみ吹放ふきはなされて、西にしへ——西にしへ——毎日々々まいにち/\百日ひやくにち六日むいかあひだとりかげひとえない大灘おほなだたゞようて、おこめを二しようみづ薄粥うすがゆ
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
六日むいかめにも、みんなは、海岸かいがんって、おきほうをながめていました。
黒い人と赤いそり (新字新仮名) / 小川未明(著)
此の五日いつか六日むいか心持こころもちわずらはしければとて、客にもはず、二階の一室ひとまに籠りツきり、で、寝起ねおきひまには、裏庭の松のこずえ高き、城のもの見のやうな窓から、雲と水色の空とをながら、徒然つれづれにさしまねいて
印度更紗 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
がつ六日むいか
ある少年の正月の日記 (新字新仮名) / 小川未明(著)
五日いつか六日むいか心持こゝろもちわづらはしければとて、きやくにもはず、二階にかい一室ひとまこもりツきり、で、寢起ねおきひまには、裏庭うらにはまつこずゑたかき、しろのもののやうなまどから、くも水色みづいろそらとをながら、徒然つれ/″\にさしまねいて
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)