頬杖ほゝづゑ)” の例文
先哲せんてついはく……君子くんしはあやふきにちかよらず、いや頬杖ほゝづゑむにかぎる。……かきはな、さみだれの、ふるのきにおとづれて……か。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あるものは机に倚凭よりかゝつて頬杖ほゝづゑを突いたり、あるものは又たぐる/\室内を歩き廻つたりして、いづれも熱心に聞耳を立てゝ居る様子。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
二人ふたりだまる。厨房くりやからダリユシカがにぶかぬかほて、片手かたて頬杖ほゝづゑて、はなしかうと戸口とぐち立留たちどまつてゐる。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
しかねえさんはあいちやんがつてしまつても、頬杖ほゝづゑついてしづみゆく夕日ゆふひながら、可愛かあいあいちやんのことから、またその種々しゆ/″\不思議ふしぎ冐險談ばうけんだんかんがへながら
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
今日私が机に頬杖ほゝづゑついてぢつとしてゐると、あの子が傍へ来て、私の顔を覗きこんで、姉さんでも何か心配があるかと訊くのよ。それあ私だつて心配があるわよ。
チビの魂 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
お靜のわだかまりない調子に、八五郎はいつものやうにヌツと入つて長火鉢の前に頬杖ほゝづゑを突きました。
女は火鉢に頬杖ほゝづゑをつき、ひざを崩して、炬燵に右手をさし込んでゐた。富岡は、何気なく、女の膝に胡坐あぐらを組んだ自分の足の先をきつくあててみた。女は知らん顔をしてゐる。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
役所やくしよではようかなかつた。ふでつて頬杖ほゝづゑいたまゝなにかんがへた。時々とき/″\不必要ふひつえうすみみだりにろした。烟草たばこ無暗むやみんだ。さうしては、おもしたやう窓硝子まどがらすとほしてそとながめた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
小机こづくゑに、茫乎ぼんやり頬杖ほゝづゑいて、待人まちびとあてもなし、ことござなく、と煙草たばこをふかりとかすと
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
錢形平次は縁側に寢そべつたまゝ、冬の日向ひなたを樂んで居りましたが、ガラツ八のもつともらしい顏を見ると、惡戯いたづらがコミ上げて來る樣子で、頬杖ほゝづゑを突いた顏を此方へねぢ向けました。
患者くわんじやおほいのに時間じかんすくない、で、いつ簡單かんたん質問しつもんと、塗藥ぬりぐすりか、※麻子油位ひましあぶらぐらゐくすりわたしてるのにとゞまつてゐる。院長ゐんちやう片手かたて頬杖ほゝづゑきながら考込かんがへこんで、たゞ機械的きかいてき質問しつもんけるのみである。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
富岡は、窓に頬杖ほゝづゑをついたまゝ
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
で、頬杖ほゝづゑをつく民也たみやつては、寢床ねどこからいたは、遙々はる/″\としたものであつた。
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
つかうへ趺坐ふざして打傾うちかたむいて頬杖ほゝづゑをした、如意輪によいりん石像せきざうがあつた。とのたよりのない土器色かはらけいろつきは、ぶらりとさがつて、ほとけほゝ片々かた/\らして、木蓮もくれんはな手向たむけたやうなかげした。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「そいつは可笑をかしい。一寸ちよつと使つかへるな。」と火鉢ひばち頬杖ほゝづゑをつかれたのをおぼえてる。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
旅費りよひすくないから、旦那だんな脇息けふそくとあるところを、兄哥あにいつて、猫板ねこいた頬杖ほゝづゑつくと、またうれしいのは、摺上川すりかみがはへだてたむか土手どてはら街道かいだうを、やまについて往來ゆききする人通ひとどほりが、もののいろ姿容なりかたち
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
和田わださんがまだ學校がくかうがよひをして、本郷ほんがう彌生町やよひちやうの、ある下宿げしゆくとき初夏しよかゆふべ不忍しのばずはすおもはず、りとて數寄屋町すきやまち婀娜あだおもはず、下階した部屋へや小窓こまど頬杖ほゝづゑをついてると、まへには
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
……極暑ごくしよみぎりても咽喉のどかわきさうな鹽辛蜻蛉しほからとんぼ炎天えんてん屋根瓦やねがはらにこびりついたのさへ、さはるとあつまど敷居しきゐ頬杖ほゝづゑしてながめるほど、にはのないいへには、どの蜻蛉とんぼおとづれることすくないのに——よくたな
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)