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警
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いまし
ふりがな文庫
“
警
(
いまし
)” の例文
近習
(
きんじゅ
)
の者は、皆この鬢をむしるのを、彼の逆上した
索引
(
さくいん
)
にした。そう云う時には、互に
警
(
いまし
)
め合って、誰も彼の側へ近づくものがない。
忠義
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
其を考へる度に、亡くなつた父が丑松の胸中に
復活
(
いきかへ
)
るのである。急に其時、心の底の方で声がして、丑松を呼び
警
(
いまし
)
めるやうに聞えた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
尚
(
な
)
おその上に、この賤しむべき男が酒に
酔
(
よっ
)
て酔狂でもすれば自から
警
(
いまし
)
めると云うこともあろうが、大酒の癖に酒の上が決して悪くない。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
幸い夜を
警
(
いまし
)
める
羅卒
(
らそつ
)
にも逢わず、
漸
(
ようや
)
く阿部川町の家に辿り着いた綾麿は、綿の如く疲れて居りました。格子を開けて
轉
(
ころ
)
げ込むと
奇談クラブ〔戦後版〕:07 観音様の頬
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
と一足出てまた
呟
(
つぶや
)
いたが、フト今度は、反対に、人を
警
(
いまし
)
むる山伏の声に聞えた。
勿
(
なか
)
れ、彼は鬼なり、我に与えし予言にあらずや。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
少時前
(
いまのさき
)
報
(
う
)
ッたのは、
角海老
(
かどえび
)
の大時計の十二時である。京町には
素見客
(
ひやかし
)
の影も跡を絶ち、
角町
(
すみちょう
)
には夜を
警
(
いまし
)
めの
鉄棒
(
かなぼう
)
の音も聞える。
今戸心中
(新字新仮名)
/
広津柳浪
(著)
少時前
(
いまのさき
)
報
(
う
)
ツたのは、
角海老
(
かどえび
)
の大時計の十二時である。京町には
素見客
(
ひやかし
)
の影も跡を絶ち、
角町
(
すみちやう
)
には
夜
(
よ
)
を
警
(
いまし
)
めの
鉄棒
(
かなぼう
)
の音も聞える。
里の今昔
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
私が今日ここにお話しいたしましたデンマークとダルガスとにかんする事柄は大いに
軽佻浮薄
(
けいちょうふはく
)
の経世家を
警
(
いまし
)
むべきであります。
デンマルク国の話:信仰と樹木とをもって国を救いし話
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
例の支那人が口癖に誇った忠君愛国などもこの伝で、毎々他国へ売却されて他国の用を
做
(
な
)
したと見える。
警
(
いまし
)
めざるべけんやだ。
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
恐ろしい境界に臨んでいるのだと幾度も自分を
警
(
いまし
)
めながら、君は平気な気持ちでとてつもないのんきな事を考えたりしていた。
生まれいずる悩み
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
老いを忘れる為に思ひ出に
耽
(
ふけ
)
るとは
卑怯
(
ひきょう
)
な振舞ひとして、秋成はかねがね自分を
警
(
いまし
)
めてゐた。過ぐ世をも顧りみない、行く末も気にかけない。
上田秋成の晩年
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
そして彼女の愛情は、クリストフが押えかねてる情熱の激発にたいして、
洞察
(
どうさつ
)
的な微笑を浮かべながらみずから
警
(
いまし
)
めていた。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
彼
(
かれ
)
は
林
(
はやし
)
の
持主
(
もちぬし
)
に
請
(
こ
)
うて
掘
(
ほ
)
つたのである。それでも
餘
(
あま
)
りに
人
(
ひと
)
の
口
(
くち
)
が
八釜敷
(
やかましい
)
ので
主人
(
しゆじん
)
は
只
(
たゞ
)
幾分
(
いくぶん
)
でも
將來
(
しやうらい
)
の
警
(
いまし
)
めをしようと
思
(
おも
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
吾人
(
ごじん
)
は実にこの点において、彼らが
太甚
(
はなは
)
だ相類するを認め、而して後の志士たる者、これについて
自
(
みずか
)
ら
警
(
いまし
)
むる所あらんことを
冀
(
ねが
)
わざるを得ず。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
ところで、今、河岸に沿うて歩きながら、珍しくも、三造の中にいる貧弱な常識家が、彼自身のこうした馬鹿馬鹿しい非常識を
哂
(
わら
)
い、
警
(
いまし
)
めている。
狼疾記
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
それにつけても思うのは、このごろ江戸に起った貧窮組、浅ましいようでもあるし、おかしいようでもあるが、あれもまた時世を
警
(
いまし
)
むる一つの
徴候
(
しるし
)
大菩薩峠:11 駒井能登守の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
最も名高いのは加藤清正
毒饅頭
(
どくまんじゅう
)
一件だが、それ等の談は皆虚誕であるとしても、各自が他を疑い且つ自ら
警
(
いまし
)
め備えたことは
普
(
あまね
)
く存した事実であった。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
理性なくして一片の感情に
奔
(
はし
)
る青春の人々は、くれぐれも
妾
(
しょう
)
に
観
(
み
)
て、
警
(
いまし
)
むる所あれかし、と願うもまた
端
(
はし
)
たなしや。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
館の中での乱痴気さわぎも、ここらあたりへまでは聞こえて来ず、厩舎で馬が地を蹴る音や、非常を
警
(
いまし
)
める
巡視
(
みまわり
)
の卒の、
撃柝
(
げきたく
)
の音ばかりが聞こえて来た。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「われを
警
(
いまし
)
めたもうは、天、われを
扶
(
たす
)
くるのである。怠ってはなるまい。九陣にわかれ、八面に兵を
埋伏
(
まいふく
)
し、各〻、英気をふくんで、夜陰を待ちかまえろ」
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
かくて薄暗き
燈火
(
ともしび
)
は、これと親む
媒
(
なかだち
)
となるものなりと云ひぬ。紳士の詞は未だ
畢
(
をは
)
らぬに、傍より
叱々
(
しつ/\
)
と
警
(
いまし
)
むる聲す。そは
開場
(
ウヱルチユウル
)
の曲の始まれるが爲めなりき。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
夜が更けるに従って、雪が
凍
(
こご
)
って堅かったが、各自が
警
(
いまし
)
め合って雪の上を踏んで行くと、
脛
(
すね
)
を切るように抜け落ちるのである。
折々
(
おりおり
)
木枯が激しく吹き荒んだ。
北の冬
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
蜂の毒の恐ろしい事を学んだ長子等は何も知らない幼い子にいろんな事を云って
警
(
いまし
)
めたりおどしたりした。
小さな出来事
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
その不見識とやらを
嫌
(
きら
)
ふよりは、別に嫌ふべく、
懼
(
おそ
)
るべく、
警
(
いまし
)
むべき事あらずや、と母は
私
(
ひそか
)
に
慮
(
おもひはか
)
れるなり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
渚から七八間離れた所に仕合の場をしつらえて、足軽小者を小半町も四方へ出して見物人を
警
(
いまし
)
めている。
巌流島
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
貧に暮した時を忘れず、
傲
(
おご
)
りを
警
(
いまし
)
めて、かなり店が手広くなってからでも、窮乏した昔を忘れなかった。
大橋須磨子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
宵に母親に
警
(
いまし
)
め責められた房吉は、隠居がじりじりして
業
(
ごう
)
を
煮
(
にや
)
せば煮すほど、その事には冷淡であった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
この時戛々と靴音も高く、こなたに近づき来たる一個の人物あり、これぞ夜を
警
(
いまし
)
める警察官であった。
魔都
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
マドレーヌさんがいかなることをなそうとも、彼はいつもそれに敵意を持ち、あたかも一種の乱し動かすを得ない本能によってさまされ
警
(
いまし
)
められてるがようだった。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
蓋原文は
言語
(
ことば
)
に近く訳文は
言語
(
ことば
)
に遠ければなり、又本多作左が旅中家に送りし文に曰く「一
筆
(
ぴつ
)
申
(
もう
)
す火の
用心
(
ようじん
)
、
阿仙
(
おせん
)
泣
(
なか
)
すな、
馬
(
うま
)
肥
(
こや
)
せ」と火を
警
(
いまし
)
むるは家を
護
(
まも
)
る第一
緊要的
(
きんようてき
)
の事
松の操美人の生埋:01 序
(新字新仮名)
/
宇田川文海
(著)
源氏も心の中で、こう人の
噂
(
うわさ
)
する筋書きどおりのあやまった道は踏むまいとみずから
警
(
いまし
)
めた。
源氏物語:30 藤袴
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
水脈
(
みお
)
を
警
(
いまし
)
める赤いランターンは
朦朧
(
ぼんやり
)
とあたりの靄に映って、また油のような水に落ちている。
駅夫日記
(新字新仮名)
/
白柳秀湖
(著)
尤
(
もっと
)
も、己の心に
斯
(
こ
)
う云う自覚が生じたのは、つい近頃の事なのだ。
此
(
こ
)
の間まで、己は自分の詩人的傾向を、
寧
(
むし
)
ろ
忌
(
い
)
まわしい缺点だと信じて、
私
(
ひそ
)
かに
警
(
いまし
)
めたり嘆いたりして居た。
小僧の夢
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
土間の広い仕事場、
框
(
かまち
)
の高い店、それから奥の居間から小座敷と、たがいに不意の襲撃を
警
(
いまし
)
めあいながら一巡りしたが、仕事場も住居家も綺麗に片づいて人のいる様子もない。
釘抜藤吉捕物覚書:06 巷説蒲鉾供養
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
軽々に妄信することを
警
(
いまし
)
める先生の気持が、この草稿の全体を通じて浸みわたっている。
救われた稀本:——寺田寅彦著『物理学序説』
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
しかして我を
警
(
いまし
)
め、我を守り、我を誤らんとするものある時は必らずこれを警戒する、もし彼に
反
(
そむ
)
けば彼大に我を責める、従って苦めるものなりと説いている。昔陽明学者の歌に
自由の真髄
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
この注意は学問の共同態において青年たちが
殉情
(
じゅんじょう
)
的な結合に
奔
(
はし
)
ることを
警
(
いまし
)
めたのである。
孔子
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
そしてその定明の声は、自分で何をするか分らない
警
(
いまし
)
めを、自らにも、経之にも叫びあうようなものだった。やがてそれは同様な兄経之の
昂
(
たかぶ
)
った気持と、少しの
渝
(
かわ
)
りのないものだ。
野に臥す者
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
ダンテの生涯はその最もよき手本である。私は純潔なる青年に、何よりもこの問題に対して重々しい感情を保たんことを勧めたい。女に対して早くよりずるくなることを
警
(
いまし
)
めたい。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
ハイ——と
警
(
いまし
)
むる
御者
(
ぎよしや
)
の掛声勇ましく、今しも一
輌
(
りやう
)
の馬車は、揚々として
霞門
(
かすみもん
)
より日比谷公園へぞ入り
来
(
きた
)
る、ドツかと
反
(
そ
)
り返へりたる車上の主公は、
年歯
(
ねんし
)
疾
(
と
)
くに六十を越えたれども
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
「婆鬼は盗業を
警
(
いまし
)
めて両手の指を折り、翁鬼は無義を
悪
(
にく
)
んで
頭足
(
ずそく
)
を一所に
逼
(
せば
)
む」
日本の伝説
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
諸君は今に自分のやうな苦い悔いばかりを味はねばならないであらうと云つて、若い人を
警
(
いまし
)
める心よりは、単純であり得た自己の青春を限りも無くなつがしがつて居る歌だと私は見て居る。
註釈与謝野寛全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
私も今でこそ今日のハイカラ達を
譏
(
そし
)
りもし
警
(
いまし
)
めもするが、以前の私のハイカラは今日の人々よりも数倍のハイカラで、このハイカラ熱からいえば今の若い人々はまだまだ沈着しているのだ。
鳴雪自叙伝
(新字新仮名)
/
内藤鳴雪
(著)
或時決して見ることはならぬと
警
(
いまし
)
めて、一間に籠ったのを、母親が怪んで
窃
(
ひそか
)
に覗き見ると、
盥
(
たらい
)
の中でお産をして、三疋の竜の子を生んで居たそうである。それから娘はパッタリ来なくなった。
黒部川を遡る
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
また「
晋
(
しん
)
刑法志」に「五帝象を画いて民禁を知る」とあるなどは、皆刑罰の絵を宮門の
双闕
(
そうけつ
)
その他の場所に掲げて人民を
警
(
いまし
)
めたことを指すもので、これに依っても古聖王が法を朦昧の人民に布き
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
高手小手に
警
(
いまし
)
めて
妻子
(
さいし
)
の
泣
(
なく
)
をも
構
(
かま
)
はゞこそ四方を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
警
(
いまし
)
めて
門
(
かど
)
より我身を押し出だしし12055
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
祕密の
鸚鵡
(
あうむ
)
警
(
いまし
)
めぬ、——
有明集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
時下秋冷の
候
(
こう
)
に
候
(
そろ
)
処貴家益々御隆盛の段
奉賀上候
(
がしあげたてまつりそろ
)
陳
(
のぶ
)
れば本校儀も御承知の通り一昨々年以来二三野心家の為めに妨げられ一時其極に達し
候得共
(
そうらえども
)
是れ皆
不肖針作
(
ふしょうしんさく
)
が足らざる所に起因すと存じ深く
自
(
みずか
)
ら
警
(
いまし
)
むる所あり
臥薪甞胆
(
がしんしょうたん
)
其の
苦辛
(
くしん
)
の結果
漸
(
ようや
)
く
茲
(
ここ
)
に独力以て我が理想に適するだけの校舎新築費を
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
丁度下宿の前まで来ると、あたりを
警
(
いまし
)
める人足の声も聞えて、
提灯
(
ちやうちん
)
の光に宵闇の道を照し乍ら、一
挺
(
ちやう
)
の籠が舁がれて出るところであつた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
警
常用漢字
小6
部首:⾔
19画
“警”を含む語句
警察
警笛
警視庁
警鐘
警戒
警告
警鈴
警官
警固
警吏
警護
警察署長
警策
警報
警察署
ロンドン警視庁
警察医
警驆
相警
警蹕
...