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簑
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みの
ふりがな文庫
“
簑
(
みの
)” の例文
其処
(
そこ
)
へ
懸
(
か
)
けては
我等
(
わしら
)
が
鮒
(
ふな
)
ぢや。
案山子
(
かゝし
)
が
簑
(
みの
)
を
捌
(
さば
)
いて
捕
(
と
)
らうとするなら、ぴち/\
刎
(
は
)
ねる、
見事
(
みごと
)
に
泳
(
およ
)
ぐぞ。
老爺
(
ぢい
)
が
広言
(
くわうげん
)
を
吐
(
は
)
くではねえ。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
己
(
おのれ
)
一人ひろゝ
簑
(
みの
)
を
頭
(
かしら
)
より
被
(
かぶり
)
り(ひろゝは山にある艸の名也、みのに作れば稿よりかろし、猟師常にこれを用ふ)穴にそろ/\と
這
(
はひ
)
入り
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
家鶏
(
にわとり
)
などが飼ってあり、壁には
簑
(
みの
)
、笠、合羽、
草鞋
(
わらじ
)
、そんなものが掛けてあり、隅には鋤だの鍬だのの、道具が寄せて立てかけてあった。
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
甚だしいのになると、雨晴れて
簑
(
みの
)
を脱ぎ、水尽きて舟を棄つるような気分で女に別れて、ああせいせいしたなどと
洒落
(
しゃれ
)
れているのである。
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
竹はまた「暮春には春服已に成る」と云った様に
譬
(
たと
)
え様もない
鮮
(
あざ
)
やかな明るい緑の
簑
(
みの
)
をふっさりとかぶって、何れを見ても眼の
喜
(
よろこび
)
である。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
▼ もっと見る
乘
(
のせ
)
明日
(
みやうにち
)
巳刻迄
(
よつどきまで
)
に當所の御
代官
(
だいくわん
)
簑
(
みの
)
笠
(
かさ
)
之助殿御
役宅
(
やくたく
)
へ召連て罷り出べしと
急度
(
きつと
)
申渡し村役人共より預り
書面
(
しよめん
)
を
請取
(
うけとり
)
小猿の中田甚太夫は我手の者共を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「
簑
(
みの
)
と傘とがもの語り行く」道のほとりに、或は「人住みて煙壁を漏る」
陋屋
(
ろうおく
)
の内に、「春雨や暮れなんとしてけふもあり」という情景も床しく
雨の日
(新字新仮名)
/
辰野隆
(著)
やがてそこへ
簑
(
みの
)
を着た漁人が来て、巖上に立った。間もなく梅雨がいたるのであろう、緑の山に灰色の雲が低く動く。
香魚の讃
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
と、妹の
幹子
(
みきこ
)
に援けられながら、雪の中へ歩いて来た。肩を丸くつつんでいる
簑
(
みの
)
の厚さにも、雪の冷えを胎児に及ぼすまいとする心づかいが見えていた。
日本名婦伝:谷干城夫人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
われのみ
簑
(
みの
)
を着して船頭ならびに
爾余
(
じよ
)
の者とは自らかたち分明の心得わすれぬ八十歳ちかき青年、××翁の救われぬ臭癖見たか、けれども、あれでよいのだ。
二十世紀旗手
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
水に洗われ、風に吹きはらわれた原野の気温は、ぞくぞくするほど下っていた。
簑
(
みの
)
を出して手早く着たけれども、鳥肌だつ冷気は一層強まるばかりであった。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
身の毛を
簑
(
みの
)
のようによだてて立ち上った瞬間を最初に認めたのは、清澄の茂太郎ひとりでしたけれども、その
凄気
(
せいき
)
に襲われたのは船の人すべてでありました。
大菩薩峠:34 白雲の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
頭には雪帽を、身体には
簑
(
みの
)
を、脚には長い雪ぐつをはき、かんじきをつけた。そして二人の背中には、食料品と燃料と水と酒とが、しっかりくくりつけられた。
雪魔
(新字新仮名)
/
海野十三
、
丘丘十郎
(著)
簑
(
みの
)
を着て通りかゝる人が笑って云ひました。その杉には
鳶
(
とび
)
色の実がなり立派な緑の枝さきからはすきとほったつめたい雨のしづくがポタリポタリと垂れました。
虔十公園林
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
それを恋人の三谷青年が、
機智
(
きち
)
を働かせて、棺桶という絶好の
隠
(
かく
)
れ
簑
(
みの
)
で、邸から逃がしてやった。
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
あるものは
簑
(
みの
)
に似た青い
衣
(
きぬ
)
をばらばらに着て、同じ青い色の
笠
(
かさ
)
を腰に下げていた。——すべてが夢のようであった。われわれの祖先が残して行った遠い
記念
(
かたみ
)
の
匂
(
にお
)
いがした。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
雨催
(
あまもよい
)
の空濁江に映りて、堤下の杭に
漣漪
(
れんい
)
寄するも、
蘆荻
(
ろてき
)
の声静かなりし昔の様尋ぬるに由なく、
渡番小屋
(
わたしばんごや
)
にペンキ塗の広告看板かゝりては
簑
(
みの
)
打ち払う風流も似合うべくもあらず。
半日ある記
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
やみのなかで、男はすばやく若菜に
簑
(
みの
)
をきせ笠をかぶらせると
伝四郎兄妹
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
春の雨橋をわたらむ朝ならば君は
金糸
(
きんし
)
の
簑
(
みの
)
して行けな
舞姫
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
浜までは
海女
(
あま
)
も
簑
(
みの
)
きる
時雨
(
しぐれ
)
かな
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
作「樽の上に
簑
(
みの
)
が掛けてある」
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
十郎の
簑
(
みの
)
にや編まん青薄
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
わづらひの
簑
(
みの
)
おびえに
信姫
(新字旧仮名)
/
末吉安持
(著)
簑
(
みの
)
着て来い
蝙蝠
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
此
(
こ
)
の
親仁
(
おやぢ
)
、
破
(
やぶ
)
れ
簑
(
みの
)
の
毛
(
け
)
を
垂
(
た
)
らして、しよぼりとした
躰
(
てい
)
で、ひよこひよこと
動
(
うご
)
いて
来
(
き
)
て、よたりと
松
(
まつ
)
の
幹
(
みき
)
へ
凭
(
より
)
かゝつて、と
其処
(
そこ
)
へ
立
(
た
)
つて
留
(
と
)
まる。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
月代
(
さかやき
)
は
簑
(
みの
)
のやうにのび
面
(
つら
)
は狐のやうに
痩
(
やせ
)
たり、幽灵とて立さわぎしものちは笑となりて、両親はさら也人々もよろこび
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
尻の方に緑色の海藻がついて
簑
(
みの
)
のやうに見え、この大亀を一層神秘的に、また荘重に見せるのである。鴨居の漁師たちは決してこの大亀に手出しはしない。
東京湾怪物譚
(新字旧仮名)
/
佐藤垢石
(著)
簑
(
みの
)
を着て通りかかる人が笑って云いました。その杉には
鳶色
(
とびいろ
)
の実がなり立派な緑の枝さきからはすきとおったつめたい雨のしずくがポタリポタリと垂れました。
虔十公園林
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
八年前余は
独歩
(
どっぽ
)
嵐山から高尾に来た時、
時雨
(
しぐれ
)
に降られて、梅が畑の
唯有
(
とあ
)
る百姓家に
跑
(
か
)
け込んで
簑
(
みの
)
を借りた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
燃え残りの木に土をかぶせ、
簑
(
みの
)
や笠の緒をしめた彼らはまた出発するのであった。谷川の水はひどく
殖
(
ふ
)
えていた。せっかく乾した足ごしらえも長くは保てなかった。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
あれほど厳重に見張っていたにも拘らず、犯人は隠れ
簑
(
みの
)
でも身につけているかのように、全く人目に触れないで、博士の寝室に忍び込み、設計室の金庫の書類を盗み去った。
偉大なる夢
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
薄筵
(
うすむしろ
)
の一端を寄せ
束
(
つか
)
ねたのを笠にも
簑
(
みの
)
にも代えて、頭上から三角なりに
被
(
かぶ
)
って来たが、今しも
天
(
そら
)
を仰いで三四歩ゆるりと歩いた後に、いよいよ雪は断れるナと判じたのだろう
雪たたき
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
厭
(
いと
)
はず朝はしらむを待て起き
霧
(
きり
)
に
簑
(
みの
)
着
(
き
)
て
山稼
(
やまかせ
)
ぎ人は
戻
(
もど
)
れど
黄昏
(
たそがれ
)
過
(
すぎ
)
月の
無
(
なき
)
夜
(
よ
)
は
星影
(
ほしかげ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
許褚
(
きょちょ
)
は満身に矢を負うこと、
簑
(
みの
)
を着たようであったが、人々の介抱を拒んで
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
簑
(
みの
)
着て来い
蝙蝠
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
や、
其
(
そ
)
の
笑顔
(
ゑがほ
)
を
思
(
おも
)
ふては、
地韜
(
ぢだんだ
)
踏
(
ふ
)
んで
堪
(
こら
)
へても
小家
(
こや
)
へは
寐
(
ね
)
られぬ。
雨
(
あめ
)
が
降
(
ふ
)
れば
簑
(
みの
)
を
着
(
き
)
て、
月
(
つき
)
の
良
(
い
)
い
夜
(
よ
)
は
頬被
(
ほゝかぶ
)
り。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
びっくりして見上げましたら、それは古い
白縞
(
しろじま
)
の
単物
(
ひとえ
)
に、へんな
簑
(
みの
)
のようなものを着た、顔の骨ばって赤い男で、向うも
愕
(
おどろ
)
いたように亮二を見おろしていました。
祭の晩
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
ぱしゃりと雪水にうたれて彼は目をさます。立ちあがる。
簑
(
みの
)
が破れた。凍りついていた。こんどはびっくりするほどあたりが静かになっていた。風の勢いはずっと落ちていた。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
どんな
賑
(
にぎ
)
やかな大通りをも、雑踏をも、全く無関心な気持で、
隠
(
かく
)
れ
簑
(
みの
)
を着た仙人の様に、通行することが出来る。僕みたいな男にとっては、何と理想的な散歩法ではあるまいか。
虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
夫
(
をつと
)
は
蓑笠
(
みのかさ
)
稿脚衣
(
わらはゞき
)
すんべを
穿
(
はき
)
(
晴天
(
せいてん
)
にも
簑
(
みの
)
を
着
(
きる
)
は雪中
農夫
(
のうふ
)
の常也)
土産物
(
みやげもの
)
を
軽荷
(
かるきに
)
に
担
(
にな
)
ひ、
両親
(
ふたおや
)
に
暇乞
(
いとまごひ
)
をなし
夫婦
(
ふうふ
)
袂
(
たもと
)
をつらね
喜躍
(
よろこびいさみ
)
て
立出
(
たちいで
)
けり。
正是
(
これぞ
)
親子
(
おやこ
)
が
一世
(
いつせ
)
の
別
(
わか
)
れ、
後
(
のち
)
の
悲歎
(
なげき
)
とはなりけり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
假
(
かり
)
の隱れ
簑
(
みの
)
頭巾
(
づきん
)
の上に
網代笠
(
あじろがさ
)
深
(
ふか
)
くも忍ぶ大門口
相※
(
あひづ
)
の
咳
(
せき
)
に重五郎其所へ御座るは
花魁
(
おいらん
)
かと言れて白妙
回顧
(
ふりむき
)
オヽ重さんか安さんはへ其安さんは
最
(
もう
)
疾
(
とく
)
に
鞠子
(
まりこ
)
へ行て待てゞ在ば
暫時
(
ちつと
)
も早くと
打連立
(
うちつれだち
)
彌勒
(
みろく
)
町を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
みんなは
傘
(
かさ
)
をさしたり小さな
簑
(
みの
)
からすきとおるつめたい
雫
(
しずく
)
をぽたぽた落したりして学校に来ました。
風野又三郎
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
そこで一見無謀に見える賊の手品興行も、実は安全至極な一種の
隠
(
かく
)
れ
簑
(
みの
)
に過ぎなかった。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
二階の
欄干
(
てすり
)
、小窓などから、下界を
覗
(
のぞ
)
いて——野郎めが、「ああ降ったる雪かな、あの二人のもの、
簑
(
みの
)
を着れば景色になるのに。」——
婦
(
おんな
)
めが、「なぜまた
蜆
(
しじみ
)
を売らないだろう。」と
置炬燵
(
おきごたつ
)
で
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
次に来たのは
鳶
(
とび
)
色と白との粘土で顔をすっかり
隈取
(
くまど
)
って、口が耳まで
裂
(
さ
)
けて、胸や足ははだかで、
腰
(
こし
)
に厚い
簑
(
みの
)
のようなものを巻いたばけものでした。一人の判事が書類を読みあげました。
ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
「そうです。我々は錯覚に陥っていたのです。一人の人物が我々の盲点に隠れていたのです。彼は不思議な
隠
(
かく
)
れ
簑
(
みの
)
——被害者の親友で事件の最初の発見者という隠れ簑に隠れていたのです」
何者
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
簑
(
みの
)
を絞って棄てました、お道さんが手を添えながら、顔を見ながら、
搦
(
から
)
んで、
縺
(
もつ
)
れて、うっかりしたように手伝う姿は、かえって、あの、紫の片袖に魂が入って、革鞄を抜けたように見えました。
唄立山心中一曲
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
海士
(
あま
)
も
簑
(
みの
)
きる時雨かな、潮の
※
(
しぶき
)
は浴びながら、夜露や
厭
(
いと
)
う、ともの優しく、よろけた松に小綱を控え、
女男
(
めお
)
の波の姿に拡げて、すらすらと乾した網を敷寝に、
舳
(
みよし
)
の口がすやすやと、見果てぬ夢の岩枕。
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
まもなく嘉助は小さい
簑
(
みの
)
を着て出て来ました。
風の又三郎
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
簑
漢検1級
部首:⽵
16画
“簑”を含む語句
簑笠
腰簑
簑虫
猿簑
一簑一笠
田簑橋
笹簑
簑七
簑作
簑田平七正元
簑笠姿
簑箱
簑蟲
簑鞘
背簑