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しらは
ふりがな文庫
“
白刃
(
しらは
)” の例文
白刃
(
しらは
)
を
提
(
さ
)
げ、
素槍
(
すやり
)
を
構
(
かま
)
へて
行
(
ゆ
)
くのである。こんなのは、やがて
大叱
(
おほしか
)
られに
叱
(
しか
)
られて、
束
(
たば
)
にしてお
取上
(
とりあ
)
げに
成
(
な
)
つたが……
然
(
さ
)
うであらう。
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
しんとしてさびしい磯の
退潮
(
ひきしお
)
の
痕
(
あと
)
が日に
輝
(
ひか
)
って、小さな波が
水際
(
みぎわ
)
をもてあそんでいるらしく長い
線
(
すじ
)
が
白刃
(
しらは
)
のように光っては消えている。
忘れえぬ人々
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
あまりの猛勢にぜひなく
白刃
(
しらは
)
を抜いて、一刀の下に斬り捨てんと振りかざせば、その刃を飛びくぐって、
跳
(
は
)
ねつき、
唸
(
うな
)
りつける
凄
(
すさ
)
まじさ。
大菩薩峠:06 間の山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
白刃
(
しらは
)
を
植
(
う
)
えたような
稲妻
(
いなづま
)
が
断間
(
たえま
)
なく
雲間
(
あいだ
)
に
閃
(
ひらめ
)
き、それにつれてどっと
降
(
ふ
)
りしきる
大粒
(
おおつぶ
)
の
雨
(
あめ
)
は、さながら
礫
(
つぶて
)
のように
人々
(
ひとびと
)
の
面
(
おもて
)
を
打
(
う
)
ちました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
と、その
後
(
あと
)
から
壮
(
わか
)
い男が血に染まった
白刃
(
しらは
)
を
揮
(
ふ
)
りながら追っかけて来た。謙蔵は恐れて
半町
(
はんちょう
)
ばかりも逃げ走って、やっと
背後
(
うしろ
)
を
揮
(
ふ
)
り向いた。
指環
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
▼ もっと見る
が、できなければどうしようというのだ? もう一日経てば、否でも応でも
白刃
(
しらは
)
と白刃と打合う中へ飛びこまなければならぬ身ではないか。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
降りかかった災難とでもいうならばともかく、われから求めて、追いかけて来てまで、わが子を今、
白刃
(
しらは
)
の前に立たせている。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
侍「
私
(
わし
)
が悪いから何うか免してくれ、酔が
醒
(
さ
)
めて見れば
白刃
(
しらは
)
を
振
(
ふる
)
って町人を
嚇
(
おど
)
かし、土地を騒がしたは私が悪いから謝まる」
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
と片手ながらに
一揮
(
ひとふり
)
揮
(
ふ
)
れば、
鞘
(
さや
)
は
発矢
(
はつし
)
と飛散つて、電光
袂
(
たもと
)
を
廻
(
めぐ
)
る
白刃
(
しらは
)
の影は、
忽
(
たちま
)
ち
飜
(
ひるがへ
)
つて貫一が面上三寸の処に
落来
(
おちきた
)
れり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
相手は存外
卑怯
(
ひきょう
)
な
奴
(
やつ
)
であった。むなぐらを振り放し
科
(
しな
)
に、持っていた
白刃
(
しらは
)
を三右衛門に投げ付けて、廊下へ逃げ出した。
護持院原の敵討
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
合
(
あい
)
の
隔
(
へだ
)
ての襖が一斉に、どちらからともなく
蹴開
(
けひら
)
かれて、敷居越しに
白刃
(
しらは
)
が入り乱れ、遂には二つの大広間をブッ通した大殺陣が展開されて行った。
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
そこでその声がするや否や、前と後と一斉に、ものも云わずに
白刃
(
しらは
)
をかざして、いきなり小屋の中へつきこみました。
邪宗門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
僕から彼の
所行
(
しょぎょう
)
を見ると、強盗が
白刃
(
しらは
)
の抜身を畳に突き立てて良民を
脅迫
(
おびやか
)
しているのと同じような感じになるのです。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼手に一の
白刃
(
しらは
)
を持てり、この物光を
映
(
うつ
)
してつよく我等の方に輝き、我屡〻目を擧ぐれども益なかりき 八二—八四
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
相手の男を柱に縛りつけ、その鼻先の畳の上に
白刃
(
しらは
)
を
突立
(
つった
)
て女に酌をさせながら一人で得意になっている光景を描いた芝居絵を、私は見たことがあった。
武州公秘話:02 跋
(新字新仮名)
/
正宗白鳥
(著)
美しいひとは更にまた、わたしの胸を刺し通す鋭い
白刃
(
しらは
)
のような絶望の顔や、歎願するような顔を見せるのです。
世界怪談名作集:05 クラリモンド
(新字新仮名)
/
テオフィル・ゴーチェ
(著)
ある夜押込みがはいって、
祖父
(
おじいさん
)
の頬っぺたを
白刃
(
しらは
)
で
叩
(
たた
)
いて起した。祖母は小さな声でみんな出してやれといった。
旧聞日本橋:20 西川小りん
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
相手の男を柱に縛りつけ、その鼻先の畳の上に
白刃
(
しらは
)
を
突立
(
つった
)
て女に酌をさせながら一人で得意になっている光景を描いた芝居絵を、私は見たことがあった。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
それを
引分
(
ひきわ
)
けうとて
拔劍
(
ぬ
)
きましたる
途端
(
とたん
)
に、
彼
(
あ
)
のチッバルトの
我武者
(
がむしゃ
)
めが
劍
(
けん
)
を
拔
(
ぬ
)
いて
駈付
(
かけつ
)
け、
鬪戰
(
たゝかひ
)
を
挑
(
いど
)
み、
白刃
(
しらは
)
を
揮𢌞
(
ふりまは
)
し、
徒
(
いたづ
)
らに
虚空
(
こくう
)
をば
斫
(
き
)
りまする
程
(
ほど
)
に
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
そして危険な
白刃
(
しらは
)
踊りを演ぜずにはいられないのだ——恋をしながら踊らずにいられぬという、その屈辱的な矛盾を、一度もすっかり忘れきることなしに……
トニオ・クレエゲル
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
梅の花の一輪二輪と
綻
(
ほころ
)
びるころの朝夕は、空気がまだ本当に冷えびえとしていて、
路傍
(
ろぼう
)
には
白刃
(
しらは
)
のような霜柱が立ち並び、水溜まりには薄い氷がはっています。
季節の植物帳
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
半次郎 これが堅気の瓦屋なら、逃げ隠れもしよう、だがヤクザ
渡世
(
とせい
)
の泥沼へ、足を入れた男としては、奴等と
白刃
(
しらは
)
をブッつけなくちゃ、男じゃあねえと人にいわれる。
瞼の母
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
と言った声は、手の
白刃
(
しらは
)
のように冷たかった。口が乾いて三次はものが言えなかった。
早耳三次捕物聞書:01 霙橋辻斬夜話
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
子分といっても家に居るのはほんの二三人、あとは
老年
(
としより
)
と女ばかり、口は達者でも、七十を越した源太郎、二三十本かけ並べた
白刃
(
しらは
)
の前には、どうすることも出来なかったのです。
銭形平次捕物控:045 御落胤殺し
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
白刃
(
しらは
)
取りの
早若
(
はやわか
)
などの子分がいたが、これらの子分共は千鳥の香炉盗み取りの陰謀の談合のため、折柄南禅寺の山門へ寄っていたので、頭目の石川五右衛門の哀れな試合の一部始終を
猿飛佐助
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
深編笠の侍は、
白刃
(
しらは
)
をダラリと下げたまま、茫然と往来へ立っていた。
柳営秘録かつえ蔵
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
白刃
(
しらは
)
取
(
とり
)
極む
捨身
(
すてみ
)
の入り早し飛鳥の如くその手抑へぬ
黒檜
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
記録
(
きろく
)
は
愼
(
つゝし
)
まなければ
成
(
な
)
らない。——
此
(
こ
)
のあたりで、
白刃
(
しらは
)
の
往來
(
わうらい
)
するを
見
(
み
)
たは
事實
(
じじつ
)
である。……けれども、
敵
(
かたき
)
は
唯
(
たゞ
)
、
宵闇
(
よひやみ
)
の
暗
(
くら
)
さであつた。
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
その脅迫をのがるる由もないお雪は、
強
(
し
)
いて手燭を持たせられて、二人の
白刃
(
しらは
)
の間にハサまれて、この部屋を出ようとする時分
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
夜気にただよう
血腥
(
ちなまぐ
)
さい闇の中に、斬ッて曳いた一角の
白刃
(
しらは
)
と、しめた! という
笑
(
え
)
みに
歪
(
ゆが
)
んだ顔とが、物凄く
泛
(
う
)
いて見えた。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼は
生皮革
(
なまがわ
)
で巻いたマキリの
欛
(
つか
)
をシッカリと握り直した。谷川の石で
荒磨
(
あらとぎ
)
を掛けた
反
(
そり
)
の強い
白刃
(
しらは
)
を、自分の背中に押し廻しながら、左手で静かに扉を押した。
白菊
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
ならば
手柄
(
てがら
)
にその
白刃
(
しらは
)
をふりかざして、法師の
後
(
うしろ
)
に従うた
聖衆
(
しょうじゅ
)
の車馬剣戟と力を競うて見るがよいわ。
邪宗門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
文治は人に頼まれる時は
白刃
(
しらは
)
の中へも飛び込んで双方を
和
(
なだ
)
め、
黒白
(
こくびゃく
)
を付けて
穏便
(
おんびん
)
の
計
(
はから
)
いを致しまする勇気のある者ですが、母に心配をさせぬため喧嘩のけの字も申しませず
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
一昨日
(
おとつい
)
の晩は越前屋の帰り、柳原でいきなり暗闇から
白刃
(
しらは
)
で突っかけられ、
跣足
(
はだし
)
になって逃げ出したし、ゆうべは家へ押込みが入って、すんでの事に寝首を掻かれるところだったし
銭形平次捕物控:149 遺言状
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
朱
(
あけ
)
に染みたる
白刃
(
しらは
)
をば貫一が手に持添へつつ、宮はその
可懐
(
なつかし
)
き
拳
(
こぶし
)
に
頻回
(
あまたたび
)
頬擦
(
ほほずり
)
したり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
モンタギュー
長者
(
ちゃうじゃ
)
白刃
(
しらは
)
を
堤
(
さ
)
げ、
其
(
その
)
妻
(
つま
)
モンタギュー
夫人
(
ふじん
)
それを
止
(
とゞ
)
めつゝ、
出
(
で
)
る。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
その声と共に、伊織の手に
白刃
(
しらは
)
が
閃
(
ひらめ
)
いて、下島は額を一
刀
(
とう
)
切られた。
じいさんばあさん
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
太刀取りの武士が
白刃
(
しらは
)
を提げ、静かに
背後
(
うしろ
)
へ寄り添った。
加利福尼亜の宝島:(お伽冒険談)
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
垣を越える、町を
突切
(
つッき
)
る、川を走る、やがて、山の腹へ
抱
(
だき
)
ついて、のそのそと
這上
(
はいあが
)
るのを、
追縋
(
おいすが
)
りさまに、尻を下から
白刃
(
しらは
)
で縫上げる。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
がんりきは、竜之助の刀を避けて、
楢
(
なら
)
の木の蔭へ隠れる。
白刃
(
しらは
)
を
閃
(
ひら
)
めかした竜之助は、
蹌踉
(
そうろう
)
として、がんりきの隠れた楢の木の方へと歩み寄る。
大菩薩峠:08 白根山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そして彼の手にある
白刃
(
しらは
)
と、その下に斬り仆された友達の死骸を見ると、犬は、どっと
一
(
ひと
)
所へかたまって痩せた脊ぼねを波のようにみな
尖
(
とが
)
らせた。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
伝吉は
後
(
うし
)
ろ手に障子をしめ、「
服部平四郎
(
はっとりへいしろう
)
」と声をかけた。坊主はそれでも驚きもせずに、
不審
(
ふしん
)
そうに客を振り返った。が、
白刃
(
しらは
)
の光りを見ると、
咄嵯
(
とっさ
)
に
法衣
(
ころも
)
の
膝
(
ひざ
)
を起した。
伝吉の敵打ち
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
引き合ふはずみに
鞘走
(
さやはし
)
つて、とう/\、小泉が手に
白刃
(
しらは
)
が残つた。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
泰平
(
たいへい
)
の世には、めったに見られないが、あけくれ血や
白刃
(
しらは
)
になれた戦国武士の悪い者のうちには、町人百姓を
蛆虫
(
うじむし
)
とも思わないで、ややともすると
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
白昼、
白刃
(
しらは
)
の立合は、おそらく凄いものの頂上でありましょう。月にかがやく
刃
(
やいば
)
の色、星にきらめく
兜
(
かぶと
)
の光などは、殺気を包むに充分の景情があります。
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ところが、この倶利伽羅峠は、夢に山の
端
(
は
)
に
白刃
(
しらは
)
を
拭
(
ぬぐ
)
って憩った、まさしくその山の姿だと言う。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
急に向うの
築土
(
ついじ
)
の陰で、怪しい
咳
(
しわぶき
)
の声がするや否や、きらきらと
白刃
(
しらは
)
を月に輝かせて、盗人と覚しい覆面の男が、左右から凡そ六七人、若殿様の車を目がけて、
猛々
(
たけだけ
)
しく襲いかかりました。
邪宗門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
必死となれば大月玄蕃の鋭い
白刃
(
しらは
)
さえかわしたではないか。——と新九郎は、この冒険に向う
欣
(
よろこ
)
びに
顫
(
ふる
)
い立った。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
夢を破られた竜之助、パッと
跳
(
は
)
ね起きてむずと押えたのは
和
(
やわ
)
らかい人の手、その手首には氷のような
白刃
(
しらは
)
が握られてありました。これは夢ではない、たしかに現実。
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
眼鏡を懸けて刀を
選出
(
えりだ
)
し、座を構え、諸肌脱ぎ、
皺腹
(
しわばら
)
に
唾
(
つば
)
をなすり、
白刃
(
しらは
)
を
逆手
(
さかて
)
に大音声、「腹を切る、止めまいぞ、邪魔する奴は
冥土
(
めいど
)
の
道連
(
みちづれ
)
、差違えるぞ、さよう心得ろ。」
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
白
常用漢字
小1
部首:⽩
5画
刃
常用漢字
中学
部首:⼑
3画
“白刃”で始まる語句
白刃組
白刃交
白刃取
白刃林
白刃潜