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泣
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なき
ふりがな文庫
“
泣
(
なき
)” の例文
お雪さん、捨てられたの何のって
泣
(
なき
)
っ
面
(
つら
)
をしながら、
敵
(
かたき
)
を討って下さいなんて、飛んでもないところへ泣きつくなんぞは、女の
面汚
(
つらよご
)
し。
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
〽一日逢わねば、千日の思いにわたしゃ煩うて、針や薬のしるしさえ、
泣
(
なき
)
の涙に紙濡らし、枕を結ぶ夢さめて、いとど思いのますかがみ。
湯島の境内
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
私はまだ
泣
(
なき
)
ながらフト頭を挙げて見升と、父が気の毒さうな顔をして
側
(
そば
)
に立つて居升たから、なにやら恥しい気がして、口早に
黄金機会
(新字旧仮名)
/
若松賤子
(著)
しかし何の物音も聽えず、
啜
(
すゝ
)
り
泣
(
なき
)
の聲もしなかつた。この上五分間も、あの死のやうな沈默が續いたなら、私は盜人のやうに
錠前
(
ぢやうまへ
)
をこぢ開けたに違ひない。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
「さいなあ、お
鶴
(
つる
)
の
母御
(
はヽご
)
は、その
手紙
(
てがみ
)
をお
鶴
(
つる
)
の
懐
(
ふところ
)
からとりだして
読
(
よ
)
みながらよみながらお
泣
(
なき
)
やつたといのう」
桜さく島:見知らぬ世界
(新字旧仮名)
/
竹久夢二
(著)
▼ もっと見る
此上のねがひには此くろかみを
剃
(
そり
)
こぼして玉はれかし、あな
悲哉
(
かなしや
)
とて、
㒵
(
かほ
)
に袖をあてゝさめ/″\と
泣
(
なき
)
けり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
堰敢
(
せきあへ
)
ず
空
(
むな
)
しき死骸に
抱
(
いだ
)
き付のう我が妻よ今一度此世に
戻
(
もど
)
りて給はれや
言事
(
いふこと
)
有
(
あり
)
と
臥轉
(
ふしまろ
)
び
如何
(
いか
)
成
(
なれ
)
ばこそ
此如
(
このごと
)
く
果敢無
(
はかなき
)
縁
(
え
)
にしに有りしやと
呼
(
よ
)
び
叫
(
さけ
)
べど答へさへ
泣
(
なき
)
ゐる我子を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
あゝ、
日毎
(
ひごと
)
暮るればこゝに来て、庭造る愛らしき
器物
(
うつわもの
)
、
手籠
(
てかご
)
、如露の
傍
(
そば
)
近
(
ちか
)
く、空想に
耽
(
ふけ
)
れば、あゝわが
若
(
わか
)
かりし折の
思出
(
おもいいで
)
。幸福を歌ふ
啜
(
すす
)
り
泣
(
なき
)
は、心の底より
迸
(
ほとばし
)
り出づ。
珊瑚集:仏蘭西近代抒情詩選
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
思い出したように
頸低
(
うなだ
)
れた者が四五人。軍服の袖を顔に当ててススリ
泣
(
なき
)
を初めた者が二三人……。
戦場
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
合せて引かつぎエイ/\聲に上りしは目ざましきまで感心なり拙者は
中弱
(
ちうよわ
)
りの氣味にて少し足は重けれど初日に江戸ツ子が
泣
(
なき
)
を入れたりと云れんは殘念なればはづむ鼻息を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
泣
(
なき
)
の
泪
(
なみだ
)
で静岡を
発足
(
ほっそく
)
して叔父を
便
(
たよ
)
って出京したは明治十一年、文三が十五に成た春の事とか。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
兎も角お連れなさいというので、勇助は立帰り、此の話をして、是れからおみゑは乳母のおしのにも
暇乞
(
いとまごい
)
をして駕籠に乗り、
泣
(
なき
)
の涙で別れを告げ、丈助勇助が附添いまして
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「先生——。」といって、後はしゃくり
泣
(
なき
)
をする。教師は
一寸
(
ちょっと
)
立止って後を振り向いて
蝋人形
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
近付くまゝに
中
(
うち
)
の様子を伺えば、
寥然
(
ひっそり
)
として人のありとも
想
(
おも
)
われず、是は不思議とやぶれ戸に耳を
付
(
つけ
)
て聞けば
竊々
(
ひそひそ
)
と
咡
(
ささ
)
やくような音、
愈
(
いよいよ
)
あやしく
尚
(
なお
)
耳を
澄
(
すま
)
せば
啜
(
すす
)
り
泣
(
なき
)
する女の声なり。
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
二人は泣きながら
黙頭
(
うなづ
)
くのであつた。歩み出しても
泣
(
なき
)
じやくりが止まりさうにない。
帰つてから
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
小夜子は襖の蔭で
啜
(
すす
)
り
泣
(
なき
)
をしている。先生はしきりに
咳
(
せ
)
く。浅井君は
面喰
(
めんくら
)
った。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
◎これは
些
(
ちと
)
古いが、旧幕府の頃
南茅場町
(
みなみかやばちょう
)
辺の或る者、
乳呑子
(
ちのみご
)
を
置
(
おい
)
て女房に
亡
(
なく
)
なられ、その日稼ぎの
貧棒人
(
びんぼうにん
)
とて、里子に
遣
(
や
)
る
手当
(
てあて
)
も出来ず、乳が
足
(
たり
)
ぬので
泣
(
なき
)
せがむ子を、
貰
(
もら
)
い
乳
(
ちち
)
して養いおりしが
枯尾花
(新字新仮名)
/
関根黙庵
(著)
猶
(
なほ
)
其人
(
そのひと
)
の
戀
(
こひ
)
しきも
愁
(
つ
)
らく、
涙
(
なみだ
)
に
沈
(
しづ
)
んで
送
(
おく
)
る
月日
(
つきひ
)
に、
知
(
し
)
らざりしこそ
幼
(
をさ
)
なけれ、
憂
(
う
)
き
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
に
憂
(
う
)
きを
重
(
かさ
)
ねて、
宿
(
やど
)
りし
胤
(
たね
)
の
五月
(
さつき
)
とは、
扨
(
さて
)
もと
計
(
ばか
)
り
身
(
み
)
を
投
(
なげ
)
ふして
泣
(
なき
)
けるが、
今
(
いま
)
は
人
(
ひと
)
にも
逢
(
あ
)
はじ
物
(
もの
)
も
思
(
おも
)
はじ
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
その女は殆ど専門的の老婆で、その報酬に米を与えるが、その米の多寡によって泣く程度を異にし、随って死者の貧富の度が知れる。米一升を与えれば一升
泣
(
なき
)
と云い、二升ならば二升泣と云うている。
本朝変態葬礼史
(新字新仮名)
/
中山太郎
(著)
彼女は
泣
(
なき
)
そしてすべてを理解した。
殴る
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
滅びゆく
生命
(
いのち
)
へ滅ぶ
可
(
べ
)
きが
泣
(
なき
)
鶴彬全川柳
(新字旧仮名)
/
鶴彬
(著)
三尺の開きを開けて出て
行
(
ゆ
)
きました。跡を
閉
(
た
)
てゝお町はあゝ
情
(
なさけ
)
ないことだと
耐
(
こら
)
え兼て覚えず声が出ます。泣声がお
母
(
っか
)
さまに知れてはならぬと袂を
噛
(
か
)
みしめて蚊帳の外に
泣
(
なき
)
倒れます。
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
仇で
報
(
かへ
)
すとは御前方夫婦の事サア/\只今直に夫文右衞門が身の
證
(
あか
)
りを立出牢させて下されと
泣
(
なき
)
つ
恨
(
うらみ
)
つ
掻
(
かき
)
口説を市之丞夫婦は一々
御道理
(
ごもつとも
)
には御座れども何卒御新造樣私し共の申事を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
すすり
泣
(
なき
)
しながら、また
何気
(
なにげ
)
なく、「アアその墓に埋ってる人は殿さまのようにえらいお方?」というと、さも
見下果
(
みさげはて
)
たという様子を口元にあらわして、僕の手を思い入れ握りしめ
忘れ形見
(新字新仮名)
/
若松賤子
(著)
すると源三は何を感じたか
滝
(
たき
)
のごとくに涙を
墜
(
おと
)
して、ついには
啜
(
すす
)
り
泣
(
なき
)
して
止
(
や
)
まなかったが、泣いて泣いて泣き
尽
(
つく
)
した
果
(
はて
)
に
竜鍾
(
しおしお
)
と立上って、背中に付けていた
大
(
おおき
)
な
団飯
(
むすび
)
を
抛
(
ほう
)
り捨ててしまって
雁坂越
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
僕だって
最初
(
はじめ
)
からこういう間の中といっちゃあ、
末始終
(
すえしじゅう
)
はきっと
泣
(
なき
)
を見なければならないと思うから、今度こそ別れるような話にしようか、今度こそと、その度に
悄
(
しお
)
れちゃあここへ来ると
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
今日も美くしい須永の
従妹
(
いとこ
)
のいる所へ訪問に出かけるのだと自分で自分に教える方が、
億劫
(
おっくう
)
な
手数
(
てかず
)
をかけて、好い顔もしない
爺
(
じい
)
さんに、衣食の
途
(
みち
)
を授けて下さいと
泣
(
なき
)
つきに行くのだと意識するよりも
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼女は
泣
(
なき
)
そしてすべてを理解した。
小熊秀雄全集-15:小説
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
然
(
しか
)
るに女房お政は
夫
(
をつと
)
文右衞門が
問
(
とは
)
ず語りを
側
(
そば
)
にて
熟々
(
つく/″\
)
聞居たりしが
堪
(
こら
)
へ/\し
溜涙
(
ためなみだ
)
夜半の
時雨
(
しぐれ
)
と諸共にワツとばかりに泣出せしかば文右衞門は是を
見返
(
みかへ
)
りコリヤお政何が其樣に
悲
(
かな
)
しくて
泣
(
なき
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
が、前に
泣
(
なき
)
臥
(
ふ
)
している召使を見ると、そこは女の
忽然
(
こつねん
)
として憤怒になって
雪たたき
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
皆
(
みんな
)
手前達が甘やかされて、可愛がられて、風にもあてず育てられた、それほどの果報にも飽き足らず、にきびの出る時分にはその親に
泣
(
なき
)
を見せて、金を
掴
(
つか
)
んで、女をもてあそびに
来
(
う
)
せるためだ。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
僕はあんなに身をふるわしてお
泣
(
なき
)
なさるような失礼をどうしていったかと思って、今だに不思議でなりませんよ。そしてその夜は、
明方
(
あけがた
)
まで、
勿体
(
もったい
)
ないほど大事にかけて看病して下すったんです。
忘れ形見
(新字新仮名)
/
若松賤子
(著)
討ち遂げねばお帰りにはならない、何だ
泣
(
なき
)
ッ
面
(
つら
)
をして
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
私はまた新たに
泣
(
なき
)
始め
升
(
まし
)
た。母は私の側へよつて
手拭
(
てぬぐひ
)
で私の涙をぬぐひ
黄金機会
(新字旧仮名)
/
若松賤子
(著)
荒物屋から婆さんが私の姿を見ると、駆けて出て、取次いで、その花のことについて相談をされたのは私ばかり、はじめは滅相なと思ったが、
情
(
こころ
)
を察すると無理はないので、
泣
(
なき
)
の涙で合点しました。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ほの赤き
瞼
(
まぶた
)
の重げに見ゆるが、
泣
(
なき
)
はらしたるとは風情異り、たとえば
炬燵
(
こたつ
)
に居眠りたるが、うっとりと覚めしもののごとく涼しき眼の
中
(
うち
)
曇を帯びて、見るに
俤
(
おもかげ
)
晴やかならず、暗雲一帯
眉宇
(
びう
)
をかすめて
化銀杏
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ぢいさんもわたしも頭ア
挙
(
あが
)
らなかつたネ、
嬉
(
うれ
)
し
泣
(
なき
)
になけてよ
黄金機会
(新字旧仮名)
/
若松賤子
(著)
聞く方は
泣
(
なき
)
じゃくって
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
泣
常用漢字
小4
部首:⽔
8画
“泣”を含む語句
涕泣
泣々
泣面
啜泣
泣出
泣吃逆
号泣
泣声
泣伏
泣顏
男泣
空泣
泣付
感泣
泣腫
泣叫
泣音
夜泣
泣訴
泣聲
...