本文ほんもん)” の例文
いよいよ本文ほんもんにはいって来たなと栄之丞は思った。そうして、胸のうちでその返事の仕様をあれかこれかと臆病らしく考えていた。
籠釣瓶 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
坂井の奥さんが叮嚀ていねいに説明してくれたそうであるが、それでもに落ちなかったので、主人がわざわざ半切はんきれ洒落しゃれ本文ほんもんを並べて書いて
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
バアトンは本文ほんもんを、一話一話に分けないで、原文通り一夜一夜いちやいちやに別けてゐる。又、韻文ゐんぶんは散文とせずに韻文に訳出してゐる。
「黙らぬ、いうだけのことはいうのじゃ、武士の本文ほんもんによって、二君に仕えず、清節せいせつまっとうする外にお互いの途はない」
討たせてやらぬ敵討 (新字新仮名) / 長谷川伸(著)
さて……悦びのあまり名物の焼蛤やきはまぐりに酒みかわして、……と本文ほんもんにあるところさ、旅籠屋はたごやちゃくの前に、停車場前の茶店か何かで、一本傾けて参ろうかな。
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
其後そのごなんおもへばとてこたへるものまつかぜで、うも仕方しかたからうでは御座ござんせぬか、さてそれからが本文ほんもん御座ござんすとてわらふに、ふく加減かげんなこしらへごと
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
心細いことを書いているうちにお露が来たので、昨夜は書き続きの本文ほんもんに取りかからなかった。さて——
酒中日記 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
小説物語には作者みずから出でて本文ほんもんと関係なき勝手の広告をなす事しばしばなり。西洋にても伊太利亜イタリヤの喜劇には幕明まくあきに作者の現れ出づるもの往々にしてこれありといふ。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
これ著者ちよしやがこのごろ本文ほんもんおいて、『たゞもと用心ようじんわすれざること』とくはへた所以ゆえんである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
彼は女四書じよししよ内訓ないくんに出でたりとてしばしば父に聴さるる「五綵服ごさいふくさかんにするも、以つて身のと為すに足らず、貞順道ていじゆんみちしたがへば、すなはち以つて婦徳を進むべし」の本文ほんもんかなひて
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
事実におおうべからざるところのものなればなり。ゆえ本文ほんもん敵国の語、あるい不穏ふおんなりとて説をすものもあらんなれども、当時の実際より立論すれば敵の字を用いざるべからず
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
を立ててみると……どうじゃ……その盆踊りの晩に、お前の母親かかさんの腹に宿ったタネというのは、お前の父親てておや……すなわち文太郎のタネに相違ないという本文ほんもんが出たのじゃ。
いなか、の、じけん (新字新仮名) / 夢野久作(著)
是日このひはことに快晴くわいせいして村落そんらく秋景しうけい百逞ひやくてい目をうばふ。さて平山ひらやま一ツをこえさかあり、すなはち地獄谷へいたるのみちなり。さかの上より目をくだせば一ツの茅屋ばうをくあり、これ本文ほんもんにいへる混堂ゆやなり。
さあ、是からが本文ほんもんだが、此処らで回を改めたが好かろうと思う。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
喜「さき本文ほんもんことわってあとから云うのは可笑しい」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
本文ほんもん
牡丹灯籠 牡丹灯記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
女のくせに、知ったか振りをいたすのは恐れ入りますから、前置きはこのくらいにして、すぐに本文ほんもんに取りかかることに致します
どうして「今」ではいけないのであらう。それは本文ほんもんに出て来るあらゆる事件に或可能性を与へる為の前置きにちがひない。
澄江堂雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
いや、名歌めいかはしばらく預ッておいて、本文ほんもんかかろう。そうこうしているうちに船頭が出て来た。見ると疲曳よぼよぼ爺様じいさんさ。
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
小六ころくには無論むろんわからなかつたのを、坂井さかゐおくさんが叮嚀ていねい説明せつめいしてれたさうであるが、それでもちなかつたので、主人しゆじんがわざ/\半切はんきれ洒落しやれ本文ほんもんならべていて
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
是日このひはことに快晴くわいせいして村落そんらく秋景しうけい百逞ひやくてい目をうばふ。さて平山ひらやま一ツをこえさかあり、すなはち地獄谷へいたるのみちなり。さかの上より目をくだせば一ツの茅屋ばうをくあり、これ本文ほんもんにいへる混堂ゆやなり。
一狐腋いっこのえきかずの本文ほんもん
鬼桃太郎 (新字新仮名) / 尾崎紅葉(著)
とにかくそれで松茸献上の筋道だけはお判りになりましたろうから、その本文ほんもんは半七老人の方から聴いてください
半七捕物帳:37 松茸 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
本文ほんもんにはさんだ、三葉さんえふ銅版画どうばんぐわの中には、「英国俳優ヂオフライ空窖くうかう幽囚いうしうせられたる図」と云ふのがある。そのが又どう見ても、つちらう景清かげきよと云ふ気がする。
本の事 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
で、本文ほんもん通り、黒革縅くろかわおどし大鎧おおよろい樹蔭こかげに沈んだ色ながらよろいそで颯爽さっそうとして、長刀なぎなたを軽くついて、少しこごみかかった広い胸に、えもののしなうような、智と勇とが満ちて見える。
七宝の柱 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
したがって実際は真実ほんとうらしい話も、私の廻らぬ筆にって、かえって嘘らしく聞えるかも知れぬが、それは最初はじめから御詫おわびを申して置いて、さていよいよ本文ほんもんとりかかる。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
其の学者とふのは、本文ほんもんを十六万部もつて、六シルリングの廉価本れんかぼんより五十ギニイの高価本まで売り尽した男である。又或出版業者は「五百部がよい」と云つた。
うつぶしにたふれけるが——と本文ほんもんにあるところ講釈かうしやくすなは足羽川あすはがは中流ちうりういしなのであるが、比較ひかくしてふまでもなく、はう自然しぜんで、変化へんげ座頭ざとうだけに、観音堂くわんおんだうちかところ
怪力 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
こんな考証は僕の畑にないことであるから、まずいい加減にしておいて、手っ取り早く本文ほんもんにとりかかると、このときの御成は四月の末というのであるから鷹狩ではない。
鐘ヶ淵 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
彼女は第二室を出ようとした時、ことさら彼へ目をやらずにやっと本文ほんもんへはいり出した。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
本文ほんもんつていはく、蓬髮ほうはつ歴齒れきし睇鼻ていび深目しんもく、おたがひ熟字じゆくじでだけお知己ちかづきの、沈魚ちんぎよ落雁らくがん閉月へいげつ羞花しうくわうらつて、これぢや縮毛ちゞれつけ亂杭齒らんぐひばはなひしやげの、どんぐりで、面疱にきび一面いちめん、いや、いろくろこと
鑑定 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「どうも気が早いな。では、早速に本文ほんもんに取りかかる事にしよう。」と、老人も話し始める。
(新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
これも希覯書きこうしよとは称されない。しかし僕にはなつかしい本の一つである。ピルグリムス・プログレスは、日本でも訳して天路歴程てんろれきていと云ふが、これはこの本に学んだのであらう。本文ほんもんの訳もまづ正しい。
本の事 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
そこは御嶽山おんたけさんにのぼる黒沢口からさらに一里ほどの奥に引っ込んでいるので、登山者も強力ごうりきもめったに姿をみせなかったそうです。さてこれからがお話の本文ほんもんと思ってください。
木曽の旅人 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
これでまず両方の戸籍しらべも相済みまして、さてこれから本文ほんもんでございます。
蜘蛛の夢 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
どちらも学者で忠臣でありますから、元遺山もひそかに彼を敬慕していたのかも知れません。あまりに前置きが長くなりましては御退屈でございましょうから、ここらで本文ほんもんに取りかかります
さてこれからが本当の本文ほんもんでございますから、もう少々御辛抱を願います。
探偵夜話 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
前置きは先ずこのくらいにいたしまして、すぐに本文ほんもんに取りかかります
前置きはまずこのくらいに致しまして、本文ほんもんに取りかかりましょう。
青蛙堂鬼談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
いや、もうこのくらいにして、本文ほんもんに取りかかりましょう
半七捕物帳:52 妖狐伝 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
すぐに本文ほんもんの紹介に取りかかりましょう