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曙
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あけぼの
ふりがな文庫
“
曙
(
あけぼの
)” の例文
そのうしろから、キャラコさんが
水瓶
(
フラスコ
)
を持って、みなの葡萄酒を、ほんのり薔薇色か、ひょっとすると、
曙
(
あけぼの
)
の色くらいに薄めてあるく。
キャラコさん:02 雪の山小屋
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
そこにある者は幸福の気を呼吸し、生命はよきかおりを発し、自然はすべて純潔と救助と保護と親愛と
愛撫
(
あいぶ
)
と
曙
(
あけぼの
)
とを発散していた。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
彼時代の元気というものは、自分にも他人にも
抑止
(
よくし
)
することを許しません。次郎は深夜の
曙
(
あけぼの
)
の里を、再びタッタと駆け出しました。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
濡色
(
ぬれいろ
)
を
含
(
ふく
)
んだ
曙
(
あけぼの
)
の
霞
(
かすみ
)
の
中
(
なか
)
から、
姿
(
すがた
)
も
振
(
ふり
)
もしつとりとした
婦
(
をんな
)
を
肩
(
かた
)
に、
片手
(
かたて
)
を
引担
(
ひつかつ
)
ぐやうにして、
一人
(
ひとり
)
の
青年
(
わかもの
)
がとぼ/\と
顕
(
あら
)
はれた。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
總體
薄枇杷色
(
うすびわいろ
)
で、春の
曙
(
あけぼの
)
を思はせる
釉
(
うはぐすり
)
の流れ、わけても
轆轤目
(
ろくろめ
)
の雄麗さに、要屋山右衞門、我を忘れて眺め入つたのも無理はありません。
銭形平次捕物控:133 井戸の茶碗
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
頬紅からつづいて
曙
(
あけぼの
)
いろの、ほんとに日の丸の感じの紅色の胸がぐっと前に高く張り出し、腹へかけて一段ゆるく明灰色に波うっている。
木彫ウソを作った時
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
王子
(
おうじ
)
は
宇治
(
うじ
)
の
柴舟
(
しばぶね
)
のしばし目を流すべき
島山
(
しまやま
)
もなく
護国寺
(
ごこくじ
)
は
吉野
(
よしの
)
に似て
一目
(
ひとめ
)
千本の雪の
曙
(
あけぼの
)
思ひやらるゝにや
爰
(
ここ
)
も
流
(
ながれ
)
なくて
口惜
(
くちお
)
し。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「
田辺龍子
(
たなべたつこ
)
(
三宅
(
みやけ
)
龍子・
雪嶺
(
せつれい
)
氏夫人)さんも十七位だったかな、小説を書きはじめたのは、そうだ、木村
曙
(
あけぼの
)
女史も十七からだ。」
田沢稲船
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
受け取って見ると、それは大正七年……一昨年の十月十四日の
曙
(
あけぼの
)
新聞の人事広告欄で、赤丸の下には次のような広告が出ていた。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
……そうしてやがて、彼の手で抱き起こされ顔をそむけて涙を拭いたとき窓の明り障子にほのかな晩春の
曙
(
あけぼの
)
の光りがさしていた。
菊千代抄
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
音楽の老木は、ふたたび柔らかな若葉に
覆
(
おお
)
われようとしている。
和声
(
ハーモニー
)
の花壇には、無数の花が新しい
曙
(
あけぼの
)
ににこやかな眼を開きかけている。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
一つ二つ
鶫
(
つぐみ
)
が鳴きはじめ、やがて堡楼の彼方から、美しい歌心の湧き出ずにはいられない、
曙
(
あけぼの
)
がせり上ってくるのであった。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
片足は
棺桶
(
かんおけ
)
へ突っこんでるくせに、のこる片っぽの足じゃ、新しい生活の
曙
(
あけぼの
)
をめざして、むずかしい本のページを、せっせとほっつき回ってるんだ。
ワーニャ伯父さん:――田園生活の情景 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
曙
(
あけぼの
)
の美はこの世における最上の美ともいうべきもの、
殊
(
こと
)
に古代文学にはこれを讃美した
麗
(
うる
)
わしき文字が多いのである。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
新らしき
曙
(
あけぼの
)
の波濤に乗り、オホーツクの
海阪
(
うなざか
)
を越え、渾沌として黒く漂う浮き脂の大いなるうねりに幾万となく群集して
膃肭獣
(
おっとせい
)
の花嫁
成牝
(
カウ
)
らは来る。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
なら栄三郎、去年の秋、俺が根岸
曙
(
あけぼの
)
の里の道場を破ったとき、俺とてめえは当然立ち会うべくして立ち会わなかった。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
曙
(
あけぼの
)
の色がほのかに東の空を染めて、間もなくその日の最初の太陽の光が、はるかな海面を
錫箔
(
すずはく
)
のように輝かせた。
朝のヨット
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
第一編は、クリストフの若き生(
曙
(
あけぼの
)
、朝、青年)を包括し、家庭および小さな郷国の狭い境域における、彼の感覚と心情との覚醒から、試錬までを含む。
ジャン・クリストフ:02 改訳について
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
、
ロマン・ロラン
(著)
はじめて法隆寺を訪れた頃は、私はこうした思いで心が一杯になり、夢中で斑鳩の
址
(
あと
)
をめぐって歩いた。私の心にも
漸
(
ようや
)
く新生の
曙
(
あけぼの
)
が訪れそめた頃であった。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
人生の
黄昏
(
たそがれ
)
はその人その人によって異なるものであって、ある人にとっては生活の
曙
(
あけぼの
)
の光がさし
初
(
そ
)
めた時でも
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
源氏はまだようやく
曙
(
あけぼの
)
ぐらいの時刻に南御殿へ帰った。こんなに早く出て行かないでもいいはずであるのにと、明石はそのあとでやはり物思わしい気がした。
源氏物語:23 初音
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
私の其處を𢌞り歩いたは秋であつたが、若葉の頃、ことに細かな雨のそゝぐ
曙
(
あけぼの
)
など、人知らぬそれら谷間の湯にひつそり浸つてゐるのは決して惡くあるまいと思ふ。
樹木とその葉:08 若葉の頃と旅
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
私はやはり友人のドクトルと
中村座
(
なかむらざ
)
を見物した帰り途に、たしか
珍竹林
(
ちんちくりん
)
主人とか号していた
曙
(
あけぼの
)
新聞でも古顔の記者と一しょになって、日の暮から降り出した雨の中を
開化の良人
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
けれども、その一つの傾向として、「
曙
(
あけぼの
)
」(あるいは「
黄昏
(
たそがれ
)
」)と題した油絵を取って来てもいい。この絵を僕は或時は独逸で
看
(
み
)
、また数日前に瑞西で看たのであった。
リギ山上の一夜
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
自分の人生に、明けかゝった
冒険
(
ロマンス
)
の
曙
(
あけぼの
)
が、またそのまゝ夜の方へ、逆戻りしたようにも思われた。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
それは
曙
(
あけぼの
)
のようであった。彼は彼女が彼に与えた接吻のしめやかさを思い出した。しかし、それは何かの間違いのように空虚な感覚を投げ捨てて飛び去ると、彼はいった。
上海
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
派手
(
はで
)
なるは
曙
(
あけぼの
)
の
振袖
(
ふりそで
)
緋無垢
(
ひむく
)
を
重
(
かさ
)
ねて、
老
(
ふ
)
け
形
(
かた
)
なるは
花
(
はな
)
の
木
(
こ
)
の
間
(
ま
)
の
松
(
まつ
)
の
色
(
いろ
)
、いつ
見
(
み
)
ても
飽
(
あ
)
かぬは
黒出
(
くろで
)
たちに
鼈甲
(
べつかう
)
のさし
物
(
もの
)
、
今樣
(
いまやう
)
ならば
襟
(
ゑり
)
の
間
(
あひだ
)
に
金
(
きん
)
ぐさりのちらつくべきなりし
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
さてこの人間は今日学者が名づけてエアントロプス(
曙
(
あけぼの
)
の人)といっている者である。
貧乏物語
(新字新仮名)
/
河上肇
(著)
ゆっくりと——亀の歩みのように——霊魂のほのかな灰色の
曙
(
あけぼの
)
が近づいてきた。しびれたような不安。鈍い苦痛の無感覚の持続。なんの懸念もなく——希望もなく、——努力もない。
早すぎる埋葬
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
何処
(
どこ
)
の店も、大小料理店いずれも
繁昌
(
はんじょう
)
で、
夜透
(
よどお
)
しであった。前にいい落したが、その頃小料理屋で、
駒形
(
こまがた
)
に
初富士
(
はつふじ
)
とか、茶漬屋で
曙
(
あけぼの
)
などいった店があってこんな時に客を呼んでいた。
幕末維新懐古談:42 熊手を拵えて売ったはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
尾上
(
をのへ
)
の月の
曙
(
あけぼの
)
を眺めて帰る人もあり、旧都に残る人々は、伏見、広沢の月を見る……
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
国家の動力たる政治・経済・教育・文芸が一つの力となって、同じ方向へ回転した時、始めて偉大なる時代の
曙
(
あけぼの
)
が来るのである。柿の種を
蒔
(
ま
)
いても実のなるまでには七、八年はかかる。
日本的童話の提唱
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
夜すがら
両個
(
ふたり
)
の運星
蔽
(
おほ
)
ひし
常闇
(
とこやみ
)
の雲も晴れんとすらん、
隠約
(
ほのぼの
)
と
隙洩
(
すきも
)
る
曙
(
あけぼの
)
の影は、玉の
緒
(
を
)
長く座に入りて、光薄るる
燈火
(
ともしび
)
の
下
(
もと
)
に並べるままの茶碗の
一箇
(
ひとつ
)
に、
小
(
ちひさ
)
き
蛾
(
が
)
有りて、落ちて浮べり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
ここなる二ひらの
帆立貝
(
ほたてがい
)
のひとつは
藤紫
(
ふじむらさき
)
に白をぼかし、放射状にたてた幾十の帆柱は無数の
綺麗
(
きれい
)
な
鱗茸
(
りんじょう
)
をつらねて、今しも
迸
(
ほとばし
)
りいでた
曙
(
あけぼの
)
の光がいろいろの雲の層に
遮
(
さえぎ
)
られたようにみえる。
小品四つ
(新字新仮名)
/
中勘助
(著)
「
鶯
(
うぐいす
)
の声まだ渋く
聞
(
きこ
)
ゆなり、すだちの小野の春の
曙
(
あけぼの
)
」というときの渋味は、渋滞の意で第一段たる「正」の段階を示している。それに対して、甘味は第二段たる「反」の段階を形成する。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
曙
(
あけぼの
)
町へ
曲
(
まが
)
ると大きな松がある。此松を
目標
(
めじるし
)
に
来
(
こ
)
いと教はつた。松の
下
(
した
)
へ
来
(
く
)
ると、家が
違
(
ちが
)
つてゐる。向ふを見ると又松がある。其
先
(
さき
)
にも松がある。松が沢山ある。三四郎は
好
(
い
)
い所だと思つた。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
底のない、幽谷の闇の
曙
(
あけぼの
)
にめざめて偉大なる茫漠の
胞衣
(
えな
)
をむかへる。
藍色の蟇
(新字旧仮名)
/
大手拓次
(著)
あたりの山々は、
曙
(
あけぼの
)
の光を浴びながら、
薔薇色
(
ばらいろ
)
に
赫
(
かがや
)
いている。私は隣りの農家からしぼり立ての山羊の乳を貰って、すっかり凍えそうになりながら戻ってくる。それから自分で
煖炉
(
だんろ
)
に
焚木
(
たきぎ
)
をくべる。
風立ちぬ
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
衣
(
きぬ
)
引まくれ胸あらわに、
膚
(
はだえ
)
は春の
曙
(
あけぼの
)
の雪今や
消
(
きえ
)
入らん
計
(
ばか
)
り、見るから
忽
(
たちま
)
ち肉動き
肝
(
きも
)
躍って分別思案あらばこそ、雨戸
蹴
(
け
)
ひらき
飛込
(
とびこん
)
で、人間の手の四五本なき事もどかしと
急燥
(
いらつ
)
まで
忙
(
いそがわ
)
しく、手拭を
棄
(
す
)
て
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
その八月十八日の『東京
曙
(
あけぼの
)
新聞』に、つぎのような記事がある。
蓮月焼
(新字新仮名)
/
服部之総
(著)
曙
(
あけぼの
)
の光の東より開くと共に、
万物
(
ばんぶつ
)
皆生きて動き出ずるを見ん。
銀座の朝
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
山々に
赤丹
(
あかに
)
ぬるなる
曙
(
あけぼの
)
の
童
(
わらは
)
が撫でし
頬
(
ほ
)
と染まりける
舞姫
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
うきものを寝覚の床の
曙
(
あけぼの
)
に涙ほしあへぬ鳥の声かな
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
松の尾の峰静かなる
曙
(
あけぼの
)
にあふぎて聞けば仏法僧啼く
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
(日本永代蔵、巻五の五、三匁五分
曙
(
あけぼの
)
のかね)
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
薔薇の紅き指もてる美なる「
曙
(
あけぼの
)
」出づる時
イーリアス:03 イーリアス
(旧字旧仮名)
/
ホーマー
(著)
波の底にも照る日影、
神寂
(
かみさ
)
びにたる
曙
(
あけぼの
)
の
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
曙
(
あけぼの
)
や霜にかぶなのあはれなる 同
古池の句の弁
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
曙
(
あけぼの
)
が、森に満たするみづみづし
ランボオ詩集
(新字旧仮名)
/
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー
(著)
曙
(
あけぼの
)
やあかねの中の冬木立 几董
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
曙
漢検準1級
部首:⽇
17画
“曙”を含む語句
曙光
曙色
曙染
曙町
曙覧
曙山
曙立
曙井戸
春曙抄
橘曙覧
曙覽
本郷曙町
澤村田之助曙双紙
曙館
曙躑躅
橘曙覽
澤村曙山
井手曙覧
曙美
曙紅
...