“隠約”のいろいろな読み方と例文
旧字:隱約
読み方割合
いんやく83.3%
ほのぼの16.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
しかし「コロンバ」は隠約いんやくの間に彼自身を語ってはいないであろうか? 所詮告白文学とその他の文学との境界線は見かけほどはっきりはしていないのである。
侏儒の言葉 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
谷から谷へ枝から枝へ飛び移って啼く鳥の心を隠約いんやくうちに語っている生前彼女がこれを奏でると天鼓も嬉々ききとして咽喉のどを鳴らし声をしぼり絃の音色と技を競った。
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
夜すがら両個ふたりの運星おほひし常闇とこやみの雲も晴れんとすらん、隠約ほのぼの隙洩すきもあけぼのの影は、玉の長く座に入りて、光薄るる燈火ともしびもとに並べるままの茶碗の一箇ひとつに、ちひさ有りて、落ちて浮べり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)