後生ごしやう)” の例文
其れでこそ始めで姉妹きやうだいの契約のじつがあると言ふんですわねエ——梅子さん後生ごしやうですから貴嬢あなた現時いまの心中を語つて下ださいませんか
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
吹聽ふいちやうするに疑ひなし其上長屋中へ錢金ぜにかね用立家主へも金をかすゆゑ勘太郎を二なき者の樣におもひ我々如き後生ごしやう大事だいじと渡世する者は貧乏びんばふ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
『これで愈〻いよいよ後生ごしやうも悪くはないやうなものだ』などと云ひ云ひ、石段を下りて無明の橋のへんに差しかかつた頃であつた。
仏法僧鳥 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
けれどもかう云ふ些細ささいの変化は格別人目を引かなかつた。少くとも隣のばあさんなどにはいつも「後生ごしやうよし」のお住だつた。
一塊の土 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
やゝしばしありて雪子ゆきこいきしたきはめてはづかしげのひくこゑして、もう後生ごしやうねがひで御座ござりまする、其事そのことふてくださりますな
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
恐入おそれいりました。うぞ此方こつちへ。貴方あなた御一所ごいつしよに、後生ごしやうですから。……背後うしろから追掛おつかけてるやうでらないんですもの。」
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
訳など聞いて下さいますな、後生ごしやうですから、私はただ別れたいのです。貴方とかう云ふ間柄になつた初めのことを
計画 (新字旧仮名) / 平出修(著)
「みんな、そんな話し、もうめさつしやい。信じんが何よりだ。後生ごしやうさへ願つてゐれば、それでいゝんだつてこんだ。……なむあみだぶ、なむあみだぶ。」
野の哄笑 (新字旧仮名) / 相馬泰三(著)
刺槐はりゑんじゆよ、い匂がして、ちくちくしてくれるのが愛のたはむれなら、後生ごしやうだ、わたしの兩眼りやうがんりぬいておくれ、さうしたら、おまへの爪の皮肉も見えなくなるだらう。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
「蝋燭を持つて參りますわ。そして後生ごしやうですからお起きになつて下さいまし。誰かゞ何かたくらんだのです。何事だかまた誰の仕業しわざだか、おしらべになるのに早過ぎはしまいと思ひます。」
後生ごしやうですからはなしてください』とあらたまつてあいちやんがひました、うした素振そぶりはなしかけてもいかうかまつたわからなかつたので、『何故なぜそのねこ其麽そんな露出むきだしてゐるのですか?』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
おかみさん、なんでも花はそこにあるよ。後生ごしやうだ取つてお呉れ。その妙に氣をそゝる意地の惡い香が、通りすがりにしたばかりで、こゝへ入つて來たんだ。私のいふ愛と恨のその花を取つてお呉れ。
わるい花 (旧字旧仮名) / レミ・ドゥ・グルモン(著)
おやおかへりかい、かへつたばかりでつかれてやうが、後生ごしやうねがひだから、井戸端ゐどばたつて水をんでておれな、それからついでにお気の毒だけれど、おとなりで二はいかりたんだから手桶てをけに二はいかへしておれな。
八百屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
卯一郎 (調子を和らげ)おい、奥さん、おれがわるかつたよ。後生ごしやうだから、その手は勘弁してくれ。不自由この上なしだ。おれが病気になると、お前がいやな顔をすると云ふのは、そこを云ふのだ。
医術の進歩 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
後生ごしやうだから一休ひとやすみしたら御湯おゆつてあたまつてひげつて頂戴ちやうだい
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「いやアよ、いやアよ。後生ごしやうだから、そんなことは——」
泡鳴五部作:03 放浪 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
全く後生ごしやうを願ふといふ念より外にほかは無かつた。
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
後生ごしやうよいよにてらまゐり。
どんたく:絵入り小唄集 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
後生ごしやうだから早く
胡弓 (旧字旧仮名) / ルイ・ベルトラン(著)
譯なぞ聞いて下さいますな、後生ごしやうですから。私はただ別れたいのです。貴方とかう云ふ間柄になつた初めのことを
計画 (旧字旧仮名) / 平出修(著)
たまらねえ、こりや大變たいへん日南水ひなたみづだ。行水盥ぎやうずゐだらひどぢやうかうとふんだ、後生ごしやうしてくんねえ、番頭ばんツさん。」
銭湯 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
わたしうしてもうと決心けつしんしてるのだからそれは折角せつかくだけれどきかれないよとふに、きちなみだつめて、おきやうさん後生ごしやうだから此肩こゝはなしておくんなさい。
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
かう云ふ倅の死んだことは「後生ごしやうよし」と云はれるお住にも、悲しいとばかりは限らなかつた。
一塊の土 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
この仏法僧鳥は高野山に啼く霊鳥で、運くば聴ける、後生ごしやうの好くない者は聴けぬ。それであるから、可なり長く高野かうやこもつたものでも、つひに仏法僧鳥を聴かずに下山する者の方が多い。
仏法僧鳥 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
ねん以前もとかへりたいにと老人としよりじみたかんがへをして、正太しようた此處こゝにあるをもおもはれず、ものいひかければこと/″\ちらして、かへつてお正太しようたさん、後生ごしやうだからかへつてお
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
みづおぼれやせぬかと、心配しんぱいするやうものは、みちはや平生へいぜいから、後生ごしやうひとではあるまい。
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「ねえ、お父さん。後生ごしやう一生のお願ひだから、……」
(新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
貴方あなた後生ごしやうですから。ねえ、後生ごしやうですから、其處そこくださいましよ、きつとよ……」
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
狂風一陣きやうふういちぢんこずゑをうごかしてきたつたをりには、父樣とうさん母樣かあさん兄樣にいさんれも後生ごしやうかほせてくださるな、とて物陰ものかげにひそんでく、こゑはらわたしぼすやうにてわたしわる御座ござりました
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
吾助ごすけおもひてふを、後生ごしやう姉樣ねえさま返事へんじたまはれ、けつして此後こののちわがまヽもはず惡戯いたづらもなすまじければ、吾助ごすけ田舍ゐなかかへらぬやう、いままでどほり一しよあそばれるやう返事へんじたまはれ
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
何処どこ物置ものおきでも馬小屋うまごやすみでもいのでございますから後生ごしやうでございます。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
後生ごしやうでござんす。」——と仔細しさいかたる。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
後生ごしやうですから、」
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)