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往昔
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むかし
ふりがな文庫
“
往昔
(
むかし
)” の例文
獅子は百獣の王、その毛を持っていれば、さすがの狂犬も
慴伏
(
しゅうふく
)
して寄りつかぬというのだ。
掌
(
てのひら
)
に虎の字を書く
往昔
(
むかし
)
の落語を思い出される。
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
いつもの道だが、加茂川から一二丁の間隔を置いて平行にはしつてゐる高い堤(それは
往昔
(
むかし
)
の加茂川のそれではないかと思ふ)
風は草木にささやいた:02 跋
(旧字旧仮名)
/
土田杏村
(著)
太田から
往昔
(
むかし
)
の佐野の渡しのあつた渡良瀬川を渡つて、安蘇山、都賀山の裾を掠めて、そして
下野
(
しもつけ
)
の
室
(
むろ
)
の
八島
(
やしま
)
の方へと出て行つたのであつた。
日光
(旧字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
断念
(
あきら
)
めて
居
(
を
)
りましたところが(
泣声
(
なきごゑ
)
)
鉄瓶点
(
てつびんだ
)
てゞ一
服
(
ぷく
)
下
(
くだ
)
さるとは……
往昔
(
むかし
)
の
友誼
(
よしみ
)
をお忘れなく
御親切
(
ごしんせつ
)
に……
私
(
わたくし
)
は
最
(
も
)
う死んでも
宜
(
よ
)
うございます。
大仏餅。袴着の祝。新まへの盲目乞食
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
アイモニエー曰く、猫
往昔
(
むかし
)
虎に
黠智
(
かつち
)
と躍越法を教えたが
特
(
ひと
)
り糞を埋むる秘訣のみは伝えず、これを
怨
(
うら
)
んで虎今に猫を嫉むとカンボジアの俗信ずと。
十二支考:01 虎に関する史話と伝説民俗
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
▼ もっと見る
往昔
(
むかし
)
、関ヶ原の戦いに東山道の先導となって徳川家に忠勤をぬきんでた山村氏の歴史を考えて見ても、それがわかる。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
ずつと
往昔
(
むかし
)
は江戸の両国川には
鯰
(
なまづ
)
といふものは一
尾
(
ぴき
)
も
棲
(
す
)
むでゐなかつたのを、いつの年か大水が出て、それから
後
(
のち
)
は鯰があの川で
捕
(
と
)
れるやうになつた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
平和家
泣
(
なみだ
)
を啜つて曰く、
往昔
(
むかし
)
の日本は実に無量の罪悪を犯せり、われ幸にして、当時貴邦に遊ばず、若し遊びしならば、我は為に懊悩して死せしならむと。
想断々(1)
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
往昔
(
むかし
)
まだ吉原が住吉町、和泉町、高砂町、浪花町の一廓にあったころ、親父橋から
荒布
(
あらめ
)
橋へかけて小舟町三丁目の通りに、晴れの日には雪駄、雨には唐傘と
釘抜藤吉捕物覚書:06 巷説蒲鉾供養
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
實に情なき者にて其の心の恐ろしき事
鬼
(
おに
)
とも
蛇
(
じや
)
とも
譬
(
たと
)
へ
難
(
がた
)
き大惡人に御座候
往昔
(
むかし
)
より
惡逆
(
あくぎやく
)
非道
(
ひだう
)
の者の
咄
(
はな
)
しも
承
(
うけた
)
まはり候へども此平左衞門殿程の大惡非道の人を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
女はだんだん
往昔
(
むかし
)
の追憶が起ってくるというように、自分の心の底に想い沈んでいるというようであったが、自分の話に興を感ずるといったようにこう言った。
雪の日
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
しかし
強
(
し
)
いて何か不愉快はなきやと
尋
(
たず
)
ねらるれば、やはり
往昔
(
むかし
)
、東海道を旅行した人が、
雲助
(
くもすけ
)
のために
迷惑
(
めいわく
)
を受けた——程度は違うにしても——と同じように
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
それ、ここから見えるあの
田甫
(
たんぼ
)
ぢや、あれが、この村の開けないずつと
往昔
(
むかし
)
は一面の沼だつたのぢや、
蘆
(
あし
)
や
蒲
(
かば
)
が生え茂つてゐて、
鳰
(
にほ
)
だの鴨だのが沢山ゐたもんぢや。
黄金の甕
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
いかにも左様でござります——その伝説に依りますと、その耳飾はずっと
往昔
(
むかし
)
、
西班牙
(
スペイン
)
の国を支配していた
亜剌比亜
(
アラビア
)
回教徒の酋長が、耳に附けていた耳飾で、その耳飾を
闘牛
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
獨逸等
(
ドイツとう
)
音
(
おと
)
に
名高
(
なだか
)
き
國々
(
くに/″\
)
の
名所
(
めいしよ
)
古跡
(
こせき
)
を
遍歴
(
へんれき
)
して、
其間
(
そのあひだ
)
に
月
(
つき
)
を
閲
(
けみ
)
すること二十
有餘箇月
(
いうよかげつ
)
、
大約
(
おほよそ
)
一
萬
(
まん
)
五
千里
(
せんり
)
の
長途
(
ながたび
)
を
後
(
あと
)
にして、
終
(
つひ
)
に
伊太利
(
イタリー
)
に
入
(
ゐ
)
り、
往昔
(
むかし
)
から
美術國
(
びじゆつこく
)
の
光譽
(
ほまれ
)
高
(
たか
)
き
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
そういう挿話ものこされているのであるが、それはここでは詳しく説くまい。
往昔
(
むかし
)
の戯作者の
口吻
(
くちぶり
)
になぞらえ、「
管々
(
くだくだ
)
しければ略す」とでもいわせて置いてもらおうか。
小説 円朝
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
往昔
(
むかし
)
の寺子屋を
其儘
(
そのまま
)
、学校らしい処などはちっともなかったが、其頃は又寄宿料等も
極
(
きわ
)
めて
廉
(
やす
)
く——僕は家から通って居たけれど——
慥
(
たし
)
か一カ月二円位だったと覚えて居る。
落第
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「里老の傳説に
往昔
(
むかし
)
西宮に百太夫と
言
(
いふ
)
もの
木偶
(
にんぎやう
)
を携へ淡路に來り、此村の
麻績堂
(
をうみだう
)
に長く寄宿せり。時に此村の
木偶師
(
にんぎやうし
)
菊太夫なるもの百太夫を伴ひ歸り留ける内、菊太夫が娘に契りて懷胎す。」
淡路人形座訪問:其の現状と由来
(旧字旧仮名)
/
竹内勝太郎
(著)
だからさ、何もみんな無い
往昔
(
むかし
)
とあきらめてしまつてさ。ねえ、銀さん。
もつれ糸
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
その
往昔
(
むかし
)
娘を思っていた
念
(
おもい
)
の深さを初めて知って、ああこんなにまで思い込んでいたものがよくあの時に無分別をもしなかったことだと
悦
(
よろ
)
こんでみたり、また、これほどに思い込んでいたものでも
太郎坊
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
勢
(
いきほ
)
ひよく
引入
(
ひきい
)
れしが
客
(
きやく
)
を
下
(
お
)
ろして
扨
(
さて
)
おもへば
恥
(
はづ
)
かしゝ、
記憶
(
きおく
)
に
存
(
のこ
)
る
店
(
みせ
)
がまへ
今
(
いま
)
の
我
(
わ
)
が
身
(
み
)
には
往昔
(
むかし
)
ながら
世
(
よ
)
の
人
(
ひと
)
は
未
(
ま
)
だ
昨日
(
きのふ
)
といふ
去年
(
きよねん
)
一昨年
(
をとゝし
)
、
同商中
(
どうしやうちゆう
)
の
組合曾議
(
くみあひくわいぎ
)
或
(
あるひ
)
は
何某
(
なにがし
)
の
懇親曾
(
こんしんくわい
)
に
登
(
のぼ
)
りなれし
梯子
(
はしご
)
なり
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
往昔
(
むかし
)
の若さと
艶
(
つや
)
の大部分を失ってしまった。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
岸本はアベラアルとエロイズの
事蹟
(
じせき
)
が青年時代の自分の心を強く引きつけたこと、巴里に来て見るとあのアベラアルが
往昔
(
むかし
)
ソルボンヌの先生であったこと
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
往昔
(
むかし
)
から
此
(
この
)
洋中
(
やうちう
)
で、
海賊船
(
かいぞくせん
)
の
襲撃
(
しゆうげき
)
を
蒙
(
こうむ
)
つて、
悲慘
(
ひさん
)
なる
最後
(
さいご
)
を
遂
(
と
)
げた
船
(
ふね
)
は
幾百千艘
(
いくひやくせんざう
)
あるかも
分
(
わか
)
らぬ。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
あの改革案が岩村男の
指金
(
さしがね
)
で無かつたら、
夙
(
とつ
)
くの
往昔
(
むかし
)
に文部省の方でも取りあげてゐたに相違ないといふのは、少しく美術界の消息に通じてゐる者の誰しも首肯する所だ。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
したか知ぬほんに一時に十年ばかり
壽命
(
じゆみやう
)
を
縮
(
ちゞめ
)
たと
怨
(
うら
)
みを云ば清兵衞否モウ其話は何か
己
(
おれ
)
に
負
(
まけ
)
てくれ
往昔
(
むかし
)
の樣に
蕩樂
(
だうらく
)
をして貴樣の
厄介
(
やくかい
)
に成には
勝
(
まし
)
だらう實は此樣に仕上た身上を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
元来は
静
(
せい
)
であるべき
大地
(
だいち
)
の一角に
陥欠
(
かんけつ
)
が起って、全体が思わず動いたが、動くは本来の性に
背
(
そむ
)
くと悟って、
力
(
つと
)
めて
往昔
(
むかし
)
の姿にもどろうとしたのを、
平衡
(
へいこう
)
を失った機勢に制せられて
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
往昔
(
むかし
)
、孔子は「
怪力
(
かいりょく
)
乱神を語らず」といわれたるに、予がごとき浅学の者、天地間の大怪たる幽霊、鬼神を論ずるは、孔子もしましまさば、一声の下に
呵責
(
かしゃく
)
し去るはもちろんなりといえども
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
学士は弓を入れた袋や、
弓掛
(
ゆがけ
)
、
松脂
(
くすね
)
の
類
(
たぐい
)
を入れた
鞄
(
かばん
)
を提げた。古い
城址
(
じょうし
)
の
周囲
(
まわり
)
だけに、二人が添うて行く石垣の上の桑畠も
往昔
(
むかし
)
は
厳
(
いかめ
)
しい屋敷のあったという跡だ。
岩石の間
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
人
(
ひと
)
の
談話
(
はなし
)
では
今
(
いま
)
は
往昔
(
むかし
)
程
(
ほど
)
海賊船
(
かいぞくせん
)
の
横行
(
わうかう
)
ははげしくは
無
(
な
)
いが、
其代
(
そのかは
)
り
往昔
(
むかし
)
の
海賊船
(
かいぞくせん
)
は
一撃
(
いちげき
)
の
下
(
もと
)
に
目指
(
めざ
)
す
貨物船
(
くわぶつせん
)
を
撃沈
(
げきちん
)
するやうな
事
(
こと
)
はなく、
必
(
かなら
)
ず
其
(
その
)
船
(
ふね
)
をもつて
此方
(
こなた
)
に
乘掛
(
のりか
)
け
來
(
きた
)
り
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
往昔
(
むかし
)
の
青砥
(
あをと
)
左衞門にも
優
(
まさ
)
れる御奉行也との評判なれば
屹度
(
きつと
)
御吟味も下さらんと家主長助
諸
(
もろ
)
ともお光は南の役所へ
駈込訴
(
かつこみそ
)
に及びしかば越前守殿
落手
(
らくしゆ
)
致され一通り
糺問
(
たづね
)
の上追て沙汰に及ぶ
旨
(
むね
)
申わたされ其日は一同
下
(
さが
)
りけり
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
名高い
往昔
(
むかし
)
の船宿の
名残
(
なご
)
りを看板だけに
留
(
とど
)
めている家の側を過ぎて
砂揚場
(
すなあげば
)
のあるところへ出た。神田川の方からゆるく流れて来る黒ずんだ水が岸本の眼に映った。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
その仏蘭西の青年の通っている古い大学こそ
往昔
(
むかし
)
アベラアルが
教鞭
(
きょうべん
)
を執った歴史のある場所であると聞いた時は、全く旧知に
邂逅
(
めぐりあ
)
うような思いをしたのであった。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
おそらく戦時を忘れまいとする
往昔
(
むかし
)
の武人が行軍の習慣の保存されたもので、それらの一行がこの宿場に到着するごとに、本陣の玄関のところには必ず陣中のような幕が張り回される。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
御家人
(
ごけにん
)
旗本
(
はたもと
)
の間の大流行は、
黄白
(
きじろ
)
な色の
生平
(
きびら
)
の羽織に
漆紋
(
うるしもん
)
と言われるが、
往昔
(
むかし
)
家康公
(
いえやすこう
)
が関ヶ原の合戦に用い、水戸の御隠居も生前好んで常用したというそんな
武張
(
ぶば
)
った風俗がまた江戸に
回
(
かえ
)
って来た。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
“往昔”の意味
《名詞・形容動詞》
往昔(おうせき、おうじゃく)
昔。往事。往古。いにしえ。
(出典:Wiktionary)
往
常用漢字
小5
部首:⼻
8画
昔
常用漢字
小3
部首:⽇
8画
“往昔”で始まる語句
往昔入貢
往昔衆道
往昔馴染